なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か   作:輝く羊モドキ

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今日の黒歴史
・謎のオリカを考える。


運も実力の内だろうけど実力は運の内に入らない

「切ィィィ島くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」

「うおおおらあああああ!!」

「お前に足りないものは、それは!情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!そしてなによりもォォォオオオオッ!!

 

 硬さが足りない!!」

 

 

「死ぃぃぃぃねえええええ!!!」BBBBBBBBOOM!!!

「ハハハハ!俺の『ダメージフュージョン』を破ってからホザけ!!」ドドドドドド

 

 

「砲門展開。サアドオシタ?未ダニ触レラレテモイナイゾ?」

「……!!」

 

 

戦闘訓練が始まって約1時間弱。最後のペア分けの訓練が終わろうとしていた。

訓練に参加した者達は一部の例外を除いて傷だらけのボロボロになっている。

 

 

「そこまで!!」

 

 

終わりの合図が室内に響く。全員戦闘行為を止め、一部の者は床に倒れ込んだ。

 

「だあああ~!!疲れたぁ~!!」

「ハァ…ハァ…。」

「ゼェ…ゼェ…。イタタ…。うぅ、腕が痛いよ…。」

 

「はい、お疲れ様。じゃ、この後は弱点克服の特訓しよっか。すぐに。」

「「「 鬼かッ!!! 」」」

 

「殺生石、少し休憩を入れよう…。」

「ナニ言ッテイル。コノ程度ノ準備運動デ音ヲ上ゲルトハ…。」

「準備運動ってレベルじゃねーから。」

「スタミナの権化か…。」

「…ところで何で弱点克服の特訓なんだ?」

 

化太郎は指を振りながら答える。

 

「決まってるでしょ?実技試験対策さね。」

「実技試験対策に?」

「そ。さっきも言ったけど相手は先生達(プロのヒーロー)だからね…多分。生徒達にとって相性の悪い相手が用意されるって思ってるよ。」

「成程な。相性の悪い相手を出し抜ければ合格、出来なかったら不合格って所か?」

「相性の悪い相手…。俺で言ったら誰だ?」

「切島の場合は攻撃方法が近接のみだからな。例えばミッドナイトやセメントス、13号といった近づけさせない、近づくとアウトな相手だろ。」

「逆にスナイプの銃撃はほぼ無効化出来るから試験相手にはならないと思うよ。」

「成程な…その理由だと俺も切島と似たようなモンか。」

「砂糖君の場合校長先生も相性が悪い相手だね。なんてったって頭脳派。」

「…というか、校長と相性の悪い生徒が多すぎる気がするんだが…。」

「それ言っちゃーミッドナイト先生なんか男子全員と相性悪くない?」

「確かに。」

「相性のいい悪いは個性だけの話じゃないさ。その人の性格とか戦闘スタイルとか加味して決めるだろうし、試験なんだから生徒側に『勝ち筋』が残されてるはずやね。」

「…つまり、如何に『勝ち筋』に乗ることが出来るかという事だな。」

「YE~S!戦闘とは自らの得意分野の押し付け合い。一年前期の集大成を見せつけられるかがカギだよ!」

 

皆が話していると、大生座敷 迷梧が大量の菓子と飲み物を運んできた。

 

「主様、訓練を続けるのも良いですが補給も大事ですよ。皆様方もどうぞ。」

「さんきゅ、マイゴさん。」

「あざっす!」

 

一同は迷梧の個性により突如現れた座布団に座り、菓子類を食べ始めた。

 

「…ところでだが、殺生石の場合は誰が相性の悪い相手なんだ?相澤先生くらいしか思いつかねえんだが。」

「最近気づいたけど、相澤せんせーは個性そのものを抹消するんじゃなくて個性による現象を抹消するっぽいんだよね。つまりせんせーに見つかる前にムキム筋になっておけばワンチャンあるかもん。もしくは瞬きするタイミングでせんせーのまぶたごと目を焼く閃光ブッパとか…。」

「怖いわ!!」

「おい、誰がコイツの暴走止められんだよ…。」

「私にもワカラン。ま、そん時になればわかるでしょ~うねー。」

「そうか………。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「さて、突然ですが問題です。「本当に突然だな。」柔道や空手とかの『試合』と『喧嘩』の違いはなんでしょう。」

「ん~?ルールがあるかないかの違いじゃないの?」

「まあ、概ね正解だね。ルールがあってこその試合だし、なければスポーツでも何でも無いわけで。」

「何が言いたいんだ?」

「まあ落ち着けよ砂糖君。じゃ次、『喧嘩』と『戦闘』はどう違うと思う?」

「喧嘩と戦闘…?」

 

ブラック○ンダーを齧りつつ常闇が答える。

 

「辞書的な意味ならば喧嘩とは個人的な争いの事。戦闘とは敵対する勢力同士の暴力の相互作用だ。」

「おー、そうなんだ。まぁ私が言いたい事とちょっと違うけど、要するに喧嘩ってのは相手憎しの争い事で、戦闘ってのは目的に対する手段だって思うんだよね。」

「ふぅん?」

「だからヒーローは戦闘出来てこそ。なんて言うけど極論、戦闘出来なくても目的さえ達成できればヒーローは務まる。」

「………」(それで、結局何が言いたいのか分かんない。)

「化太郎が言いたいことはつまり『お前ら試合や喧嘩は上手だけど戦闘は下手だよな。』って事だろ。」

「私すっげぇ口悪ぅい!でも大体当たってぅ!!」

「…つまりどういう事だ?」(てぅ…)

「うん。私と融剛、それとロイコは少し…ちょっと?くらい前からあるプロヒーローの所でルール無用のガチバトルをずっと続けててね、戦闘経験なら皆以上にあるって自負してんだけど。」

 

ズズズッと湯呑のお茶を啜る。「あっ緑茶美味しい。」

 

「それで?」

「ん。皆は多分さ、雄英に入る前に武芸の動画か指南書かもしくは道場とかで多少の荒事に耐性はつけてきたんじゃないかな?でも入学してからの戦闘訓練の授業じゃ、覚えてきたこととだいぶ食い違ってたでしょ?」

「あー、分かる気がする。」

「確かに個性の訓練と戦闘訓練は似て非なるものであった。」

「だからねー、『目的』の為なら戦うだけじゃなくてもっと違う視点で見てみる柔軟性が皆には必要だって思ったんだよね。」

「…爆豪、例えばだが全身が強靭な金属の塊の様な(ヴィラン)が居たとしたらどうする?」

「ブッ殺す!」

「ワタシノ対爆装甲ヲ正面カラ破レナイクセニ…」「あ"あ"っ!?」

「じゃ砂糖、お前ならどうする?」

「あー…とりあえず応援を呼ぶ…か?」

「まぁ、間違いじゃないね。全身が金属塊の(ヴィラン)だ、真っ向勝負じゃ分が悪い。ヒーロー飽和社会だ、そんなヤツ相手に相性のいい個性持ちのヒーローぐらい探せばいるでしょ。でもさ、もしその(ヴィラン)が近くの市民を攻撃し始めたら?」

「!!」

「ヴィランがヒーローに勝つ条件ってのはね、『現場からの脱出』『一般市民を攻撃』『現着したヒーローを殺害』等等…。対するヒーローは『周囲の被害を最小限かつ市民を無傷で保護かつ(ヴィラン)の捕獲』だけ。さて、ヒーローの目的はヴィランに勝つ事、ヴィランに勝たせない事。目的に対する手段は戦闘だけじゃないよ。」

「ふむ…例えばだが、その(ヴィラン)と対話するのはどうだろうか。」

「悪くない発想だ。(ヴィラン)も人間、話しかければ応える程度の理性を持ってることは十分に考えられるな。時間稼いで他のヒーローが応援に駆け付けるのを待つってのも選択肢の一つだ。」

「その(ヴィラン)を捕獲するために罠を張るってのはどう?」

「良イ考エダ。真正面カラ戦イヲ仕掛ケルコトハナイ。」

「だからブッ殺せばいいだろ!!」

「…うん、お前はもうそれでいいよ…。」

 

「…ま、戦闘訓練って銘打ってるけど要するに目的の為により良い手段を考えて実践しましょ、って事ね。」

「成程な、それで少し前の話に繋がってくるわけだ。」

先生達(プロヒーロー)を相手にするって話だな。」

「そーそー。きっと先生達はヴィラン役として相手する事になると思うし、戦うだけじゃなく他の手段を取る必要があるかもしれないからねぇ。」

「時に戦い、時に撤退し、時に罠を張り、時に不意を打つ…。」

「でもよ、やっぱりヒーローはこう…真正面から敵を討つモンじゃねぇか?」

「切島君、意地やプライドだけでヒーローは食べてけないんだよ?」「切実!」

 

化太郎は手を叩きながら徐に立ち上がる。

 

「さあさあ、そろそろ訓練再開しようか。さっきの話を頭に入れておいて、改めて戦いを教えてあげようねぇ!!」

「この流れでまた戦う事になるか普通?」

「ざぁんねぇん!!なんだかんだ言って結局、(ヴィラン)鎮圧すんのは戦闘行為なんだよォ!!」

「…」

「諸君らの弱点を指摘しながらボコボコにしてあげるからねぇ!!」

「やってる事がちょっと親切なヴィランなんだけど。」

「対象が俺らな時点で笑えない。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「さぁステージのセッティングだマイゴさん!!」「御意に。」

 

今まで道場然とした室内が一瞬の内に変化する。

まわりはさながら森の中。だがこの辺り一帯だけ何故か木が生えておらず、さながら森に穴が開いたようなスポットになっている。

 

「すげぇ………。てか完全に外じゃん!!」

「その様に見えるだけで室内で御座います故。」

「えー…これの何処が室内だよ…。」

 

「さて、状況設定といこうか。相手は格上、場所は森林、通信で応援を呼ぼうにも電波は届かないという設定ね。だからこの場合は周りの被害はあんまり考えなくても大丈夫で、周囲に市民は居ない状態。でも応援を呼ぶ場合は相手を振り切らないといけないね。」

「つまり、ヒーロー側の勝利条件は相手を捕獲、もしくはこの場から脱出する事か?」

「その通り!ちなみにヒーローは二人一組(ツーマンセル)でヴィランは一人って設定ね!ヴィラン役は主に私と融剛とロイコで務めるよ。」

「ちなみに組み合わせだが俺等の独断で決めさせてもらう。弱点が似た者同士や戦闘スタイルが似てる者同士で組ます。」

「全力デカカッテクルトイイ。受ケ止メタ上デ返リ討チニシテヤルカラナ。」

「一応試験を想定して訓練するから自分の弱点はバンバン狙われるって思っといてね。それと準備運動で私達と戦った時より遥かに強くなるから、覚悟してね?」

「どういう事だ?さっきまで手加減していたって事なのか?」

「そういうわけじゃないよん。実際に見たらわかるか。」

「任せろ。」「久シブリダナ。」

 

融剛と露伊戸が並び立つ。

 

「さてさてさーて?お前等がこれ見るのは初めてのヒーロー基礎学以来か?そん時は常闇と融合したんだったな。」

「まさか…アレか!?」

「そう、アレだ!『フュージョンヒーロー』!!」

 

融剛と露伊戸が両手を組み合わせる。すると不思議な光が辺りを包み込んだ。

 

「融剛の効果発動!このカードと場のモンスターを墓地に送り、エクストラデッキから融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚する!」

「急に何言ってんのお前!!?」

 

「あらゆる困難・理不尽・運命を操り、絡繰り、捻じ曲げる絶対の神よ!悪を討つ英雄の姿を借りてこの地に舞い降りよ!融合召喚!降臨せよ!F・HERO(フュージョンヒーロー)機械仕掛けの偽神(デウス・エクス・マキナ)!!」

「マジで何言ってんのお前!!!?」

 

 

《F・HERO 機械仕掛けの偽神》

融合・効果モンスター

星10/光属性/機械族/攻3000/守3000

「遊戯 融剛」+「安藤 露伊戸」

このカードは「遊戯 融剛」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードが特殊召喚に成功した時、手札・フィールド・墓地に存在する機械族モンスターを任意の枚数装備魔法扱いで装備することが出来る。この効果で装備されたモンスターがフィールド上に存在する限り、このカードは破壊されない。

(2):このカードは、(1)の効果で装備したモンスターの効果を得る。

(3):このカードに装備されているカード1枚を墓地に送り発動できる。相手のフィールド・手札のカードをそれぞれ一枚まで墓地に送る。

 

 

「「「なんか変なの出た!!!!!」」」

 

「そこにさらに!俺とお前を超融合!!!」

「今度は何やって、ああもうつっこみが追いつかねえ!!」

 

「三位一体の英雄神!理想と正義の下に全ての悪を打ち払え!憑依融合!!EXF・HERO(エクストラフュージョンヒーロー)究極幻想(アルティメットファンタズム)サウザンドフェイス!」

 

 

《EXF・HERO 究極幻想サウザンドフェイス》

融合・効果モンスター

星12/光属性/戦士族/攻0/守0

「殺生石 化太郎」+「F・HERO」モンスター1体

フィールドの上記カードを墓地へ送った場合のみ、

エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

このカードはリリース出来ない。

(1):バトルフェイズに移行した時、自分のデッキの上からカード5枚を裏側表示で除外し、フィールド・墓地のカード一枚を選択して発動する。

そのカードがモンスターだった場合、そのモンスターと同名カードとして扱い、元々の攻撃力と効果を得る。

そのカードが魔法・罠カードだった場合、そのカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

(3):このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力の半分だけアップし、このカードが破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する。

 

 

「「「なんかえげつないの出た!!!」」」

 

 

『強靭!無敵!最強!!!括目せよ!これが強さだああああああ!!!』

 

 

 

「…主様、目的がズレております………。」

 

 

 ◇

 

 

「さぁて、まず最初の組は切島君と砂糖君だよ!お相手は私がしよう。」

「さて、お前等が戦う前に聞くが、自分の『こうされたらヤバイ』ってのは何か分かるか?」

「こうされたらヤバイ…?」

 

切島と砂糖は腕を組んで頭をひねる。

 

「俺等は殴ることしか出来ねえからな…。距離をとりながら遠距離攻撃で削られる事か?」

「確かに距離取る相手に弱いかもしれんね、でも砂糖君なら道に落ちてる物でも拾って投げりゃ対抗可能だし、切島君に至っては大抵の飛び道具効かないでしょ?」

「いわれてみりゃ、そうだな。」

「例えばこうだ。体が硬くなっても、怪力になっても、一切意味を成さない状況に陥る事。」

「………って、どういう状況だよ?」

「こういう状況とかどうよ?『絡みつく石人形(インスタント・スタチュー)』!!」

 

突然現れる人形。一体一体は小さい赤ちゃん程度の大きさだが、次から次へと化太郎の身体から飛び出しては切島・砂糖ペアに飛びかかっていく。

 

「うげっ!何だこいつら!!」

「なんてことない只の石人形さ!殴れば壊れるんじゃないかな?」

「っらぁ!!」

 

切島がその硬化した拳で石人形を殴りつける。石人形はあっけなく砕け散ったが、そんな事お構いなしに他の石人形が飛びかかってくる。

 

「クソッ!数が多すぎる!!」

「うおおお!!なんだコレ!!くっついて離れねえっ!!!」

「はっはっは。中々にイカす拘束技だろう?とあるマンガ見て思いついた技だよ。」

「壊しても壊しても次々と増援が来る。エグイなぁオイ。」

「対抗策ハ全テ壊スダケノ範囲攻撃、アレニ捕マラナイ機動力ノドチラカカ。」

 

「解説良いから早く助けてくれ!!重すぎて身動き取れねえよ!!」

「はいよ、解除。」

 

石人形が一瞬にして煙のように消え失せた。

拘束から解放され、肩で息をする切島・砂糖ペア。

 

「とまあ、二人の弱点はこういった再生する武器や拘束技だね。ロイコも言ったけど、範囲攻撃か機動力のどっちかを得れば改善できるんじゃないかな。まぁ、そんな技を『出させない』立ち回りってのも必要だけどね。」

「…おう。立ち回りか、俺に出来るかな…。」

「…はぁ、なに不安がってんだよ。出来るさ、お前ならな。」

「ふふん、心配することは無いよ切島君、キミは骨太だから大丈夫さ!」

「いや、意味分かんねえよ。」

「…そっか、そうだな!よおっし!セメントスでもオールマイトでもドンと来い!!」

「その心意気だぞ切島少年!!では遠慮なくDETROIT…」

「待て待て待て!!そう言う意味じゃねえから止めろ殺生石!!」

「違うのか!?」

「違…くはないけどおまえいきなり過ぎるだろ!!」

「いきなりじゃなきゃいいんだな。じゃやるぞー。CAROLINA…」

「そう言う事を言ってるんじゃねえ!!」

「止めろ殺生石!いくら何でも「じゃあ砂糖君にSMASH。」流れるようにこっち来るなうおおおおおおおお!!」

 

 

「これが地上に注ぎし混沌…!」

「次ハオ前達ダカラナ?」

「!!」ブンブン

 

 

 ◇

 

 

「次、常闇と口田。相手は俺がする。」

「よろしく頼む。」「…!」(お手柔らかにお願いします。)

「さて、ちょっとキツイ言い方をさせてもらうけど君達二人は個性に比重を置いてるせいか素の戦闘力は低いよね。」

「常闇は接近されたら弱い。口田は身体能力は高いが、あんまりケンカ慣れしてないだろ?」

「個性頼リナノハ悪イ事デハ無イ。シカシソレハ弱点ヲカバー出来ル事ガ前提条件ダ。」

「ま、言うまでもないだろうけど相澤せんせーみたいな個性が相手だとなんも出来なくなるし、自分の個性と相性の悪い相手なんてザラだから素の戦闘力を鍛えておくに越したことはないからねぇ。」

「成程、一理ある。」「…」コク

「という訳で今から2対1の殴り合いをするぞ。」

 

「いや待て。普通もっとこう…理論から入るとかそう言うのではないのか?」

「あ?ねえよんなもん。」

「別ニ戦エナイ訳デモナイダロウ?今マデ個性ヲ使ッテヤッテタ事ヲ自ラノ肉体デ行ウダケダ。」

「とりあえず殴り合ってみて、ダメそうだったら横から助言してあげるから早く殴り合って、どうぞ。」

「!!」(適当すぎない!?)

「うるせえゴタゴタ言わずにかかってこいや。」

「何も言ってないんだよなあ…。」

 

何とも言えない微妙な空気のまま、口田と常闇は渋々と戦闘態勢を取った。

直後

二人の腹に拳が突き刺さる。

 

「ぐっお…」「うぐっ」

 

膝から崩れ落ちる二人。

 

「あえて鳩尾は外した。既に戦闘は始まってるのに、気を抜いてんじゃねえよ。」

「かかってこいって言って殴りかかる鬼畜外道が此処にいます。」

「オオ怖イ怖イ。」

「うっせ!」

 

腹部の鈍痛に苦悶の表情を浮かべる。

しかしいつまでもうずくまっている訳にもいかない。遊戯が言ったように既に戦闘は始まっているのだから。

脚に力を入れ立ち上がる。

 

「…!」

「思ったより立ち上がるのが早かったな口田。だが隙だらけだぞ?」

 

遊戯の腕が鞭のようにしなりながら口田の目に伸びてくる。格闘技におけるサミングだ。

口田はとっさに顔をのけ反らせ回避する。

しかしそれこそが相手の思う壺だった。

遊戯は伸ばした手をそのまま立てて口田の上がりきった顎に掌底打。

視界が揺れる。天地がひっくり返り、受け身も取れぬまま倒れた。

 

口田が背中から地面に激突したタイミングで常闇は立ち上がった。

遊戯に向かって駆け出し、勢いそのままに蹴りを放つ。

 

「悪手だ。」

 

常闇の勢いの乗った前蹴りは、正確無比な手刀によって伸びた足首を打ち抜かれる。

常闇の蹴り足が地面に降りる前に一歩、遊戯は踏み込み常闇の服の首もとを左の指で絡めとり引き寄せる。

常闇は足がもつれ、体勢を崩しては遊戯に向かって倒れ込んだ。

直後

遊戯の右肘が常闇の顔に突き刺さる。

常闇が倒れ込む勢いと遊戯の体重を乗せた肘鉄は容易に常闇の意識を刈り取った。

 

「う、うわあああ!!常闇の顔がやべえ事になってる!!」

「あ、やべ。やり過ぎた。」

「アホかお前!!ヴィラン相手にしてんじゃねえんだぞ!ウドンさん治療お願い!!」

「あぁらら、鍛えてなかったら今ので死んでるわよこの子。」

 

その後、常闇の顔は無事に元通りイケメン鴉に戻った。

しかし遊戯との戦闘の一部の記憶が無くなっていた。ある意味運が良かったかもしれない…。

 

 

 ◇

 

 

「葉隠、障子、ワタシガ相手ダ。」

「障子君は索敵特化、葉隠ちゃんは隠密特化、そして近接戦闘もそこそこ優秀と。」

「私は透明なのを利用した不意打ちが得意だよ!」

「俺は敵を常に捕捉出来、力と手数を利用した制圧が得意だ。」

「一芸に秀でているってのはいい事だ。だがもしその一芸が通用しない相手だったら?」

「赤外線センサーで熱源感知、さらに遠隔ドローンで索敵、力も手数も優秀、そして遠距離攻撃と。さぁ、自分の個性をツブしにかかってくる相手に対してどう立ち回るかの練習をしましょーねぇー。ということでマイゴさん!FieldChange!!」

「御意に。」

 

辺りの空間はひらけた森林から密林の様に変化した。足元には本物と見間違うような草が鬱蒼としている。

 

「う、うわぁ。確かに訓練に持ってこいな状況だけど虫がいっぱいいそう…。」

「あくまでも見た目だけの再現です故に虫の類は一匹も居ませんよ。」

「そ、そっか。」

「と、いうわけでこれからロイコと命懸けのかくれんぼをしましょうねー。」

「マジか…。」

「マジダ。」

 

安藤は森の暗がりに消えていった。

次いで葉隠と障子は安藤とは別の方向に消えていった。

 

「さて、観戦組は巻き込まれない様に一端どこうか。この辺までドローン飛んでくるだろうし。」

「思ったんだが、こんな状況じゃ逃げの一択じゃないか?」

「そんな事は安藤だって百も承知だ。だから既に逃げられないように手を打ってる。」

 

遊戯がそう言うな否や機械音と発砲声が聞こえてくる。

 

「早っ!?もう戦ってるのかよ!?」

「いやぁ、ただの空砲だと思うんですがね。威嚇と障子の索敵封じも兼ねての。」

「索敵封じ………音か!」

「発砲音がするって事はもしかして見つかったのかも…と思うかもしれん。そう思ったら一方的に脅威にさらされているかもしれないと精神を削り続けるだろう。」

「でもよ、銃声でも何でも普通は音がする方向にいるって分かるモンじゃねえか?」

「普通はね。そうは問屋が卸さないと来たもんよ。まずこの地形、音が反響しまくってどこが発生源か分かりづらいでしょ?それに忘れたのかな、ロイコは設置型の砲台をばら撒く事が出来るんだよ?」

「音を鳴らしまくって相手を攪乱させ、自分は音を消して相手を探し出す。理に適ってる戦法だろ?」

 

すると今まで断続的になっていた発砲音が途絶えた。

 

「…おい、銃声止まったぞ。」

「うーん…これは揺さぶりかなぁ?」

「恐らくだが障子と葉隠は何処か隠れやすい所で息をひそめてたんじゃねえか?安藤だって幾ら沢山の機械の目を持とうとも一人で探すにゃ限界がある。あえて相手が動くのを待ってるんだろ。」

「この勝負、ただのかくれんぼに非ず、精神の摘みあい也。」

 

ガギィン!!

 

金属を殴りつけるような音が鳴り響く。

 

「お、障子の奴、安藤の探知を掻い潜って一撃当てた…のか?」

「もしかしたらロイコのデコイに当たったのかもしれないねぇ。」

 

ガシャァン!!ズガガガガガガ!!

「ぐああああああ!!!」

 

「…決着………か?」

「声からして障子君だったねえ。おーい!終わったー!?」

 

 

「アア、今終了シタトコロダ。」

 

草を掻き分けて暗がりから現れたのは安藤だった。

彼の右肩には縄で縛られている透明人間…葉隠が担がれている。

そして彼の歪んでしまっている左腕の先にはボロボロになった障子が引きずられていた。

 

「障子ィ!!大丈夫かオメェ!!」

「はいはーい、どいてどいてー。今から治療しますからねー。」

 

「安藤、どうしたその左腕。」

「アア、最後ノ最後デナ。一本取ラレタ。」

「もー安藤くん強すぎ!どーなってんだよもー!」プンプン

「フン。オ前モ中々ニ力ガ強イジャナイカ。ワタシノ腕ヲ歪マセラレルトハ正直思ッテモナカッタ。」

「葉隠、怪我はないのか?」

「うん。障子くんが銃撃から庇ってくれたんだ。」

「マジかよ障子…男らしいじゃねえか!!」

「自己犠牲精神…。」

 

 

 

 

「さぁってさてさて。長いことお待たせしたねえ爆豪君。ついにキミの番だよ。」

「ようやくテメエをぶち殺せる時が来たか!!」

「(ぶち殺せるて…)チッチッチ。私を殺したきゃ理不尽(オールマイト)でも連れて来なさいな。今日はあくまでも特訓。爆豪君を叩いて殴って伸ばしていく時間だよ、残念だったね。」

「だが、さっき見た限り戦闘面においてお前に弱点らしい弱点はねえ。後は経験値積めばレベルアップしてくだろうよ。」

「ソコデオ前ニハワタシラノ内一人ヲ選ンデタッグヲ組ンデモラオウ。」

「あ”あ”?」

「つまりこう言ってんのさ。『お前、コミュ力無いだろ。』」

「ガンガンあるわ!殺すぞ!!」

「全然ねえよ。殴るぞ。」

 

「ま、ヒーローになりゃ嫌な奴相手でもチームアップせなアカン時もある。『嫌いな奴とチームアップしたからヴィラン逃がしました。』じゃヒーロー止めちまえって話ですなぁ。」

「仲間トノ作戦共有ヤコンビプレーノ為ニハコミュニケーションハ欠カセナイ。」

「そこで俺等の内誰か一人と急造タッグを組む。雄英もこういう事よくやるだろ?」

「そして残った二人がヴィラン組となって戦うわけ。言っとくけど、私達はそこそこ長い付き合いだからコンビプレーだってお手の物だよん。」

 

「「「さあ、誰を選ぶ?」」」

 

 

「チッ、なら………テメエだ。」

 

爆豪が指した人物は…

 

 




ええ、大真面目に考えましたよ。オリカ。

休みの日と睡眠時間を削って少しづつ書き上げました。そのせいか一話の中でも作者のテンションが違う部分があるので読んでて違和感を感じるかもしれませんがご容赦を。


《F・HERO 機械仕掛けの偽神》
「特殊召喚時に機械族モンスターを装備することで効果と破壊耐性を得ることが出来るぞ!
強力な効果で場を一掃するもよし!直接攻撃効果を得るもよし!装備カードを墓地に送って相手の手札とフィールドをボロボロにするも良し!様々な効果を得て相手を打倒しろ!」

サイバー・ドラゴン「貴方と合体したい!」 「ヤメロォ!!」


《EXF・HERO 究極幻想サウザンドフェイス》
「バトルフェイズに移行した時に自分・相手のフィールド、墓地のカードをコピーするぞ!強力なカードをコピーして強化しまくれ!
更にこのカードが得ることが出来る効果と攻撃力にはエンドフェイズまでの制限が無い!毎ターン強化して最強に育て上げろ!
裏側表示で除外されたカードはネクロフェイス等でデッキに戻せるぞ!」

強制脱出装置「対象に取ることが出来ますね、ふむふむ。」 「ヤメロォ!!」

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