なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か   作:輝く羊モドキ

31 / 42
お久しぶりの更新デース。
お仕事が忙しいからシカタナイネ。


試験
生徒の敵って少なそうで少なくない


「 全く勉強してねー!! 」

 

「 体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねー!! 」あああああああ

 

「普段から勉強しろよ。学生の本分だろ。」

「言葉に気を付けろ遊戯ィ!!!」

「…ったく、化太郎ですら予習復習しっかりしてるって言うのにお前らと来たら…。」

「嘘ぉ!?殺生石って絶対コッチ側の人間だと思ってた!!」

「アホ言え、特待生こそ取れなかったがあんなんでも入試一位通過だかんな?」

「そう言えばそうだった!全然賢そうに見えないけど入試一位通過だったんだった!!」

「せ、殺生石?お前そんなナリして向こう側の人間じゃねえよな?同類だよな??」

「…」

 

 

「よよ予習復習とかあああ当たり前だし?なにいいい言ってんだお前ほんとまじ止めろや?」

 

 

「やっぱコッチ側の人間じゃないかヤッター!!」

「おい化太郎…?俺あれほど勉強しろって言ったよな?お前バカだからすぐ忘れるって何度も言ったよな?お前の首の上についてる物は飾りなのか?」メリメリメリ

「痛い痛い!!だって机の前に何時間も拘束されるとかそれなんて地獄だよ!!」

「それが勉強ってモンだお前にそれが分かるまで何度も頭に叩き込んでやるよ物理的に。」

「まーまー落ちつけ遊戯!これから一緒に勉強すればいいだろ?」ニコニコ

「上鳴お前お仲間が増えて随分嬉しそうだな。」

「そりゃそーだろ!一緒に勉強する友達が増えて嬉しくないわけないだろ!!」

「え、何言ってんの。そもそも私にとってもう勉強なんて不要なのだけれども。」

「…は?」

「予習復習なんてしなくても頭に焼き付ければいい。つまり超天才キャラの頭だけ変身すれば見聞きしたことを完全に記憶するなんてお茶の子さいさいYEAH!って訳痛い痛い痛い!!上鳴君お前なにすんだ急痛い痛い痛い!!」メキメキメキ

「殺生石ぃ…。お前ここに来てその裏切りは無いだろ?」メリメリメリ

「イヤァーッ!!助けて融剛!頭取れる!!頭取れちゃう!!!」

「上鳴その辺にしろ。俺がヤる分がなくなる。」「おう。」

「まさかの追撃!?助けてー誰かー!!ヒーロー養成校でイジメが発生してまーす!!!」

 

「…自業自得やな………。」

「逃れられぬ断罪…。」

 

 

いやああああああああああああああぁぁぁぁぁ…

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

-放課後-

 

「と、いうわけでチキチキ、放課後大勉強会・戦闘訓練もしちゃおーぜスペシャルウィズ化太郎家。始めたいと思います。」

「ポロリもあるよ!」

「ねえよ。」

 

「あ、化太郎の首がポロリって意味ならあるか。」「いやねえよ!?」

 

「……え、何だこのノリ。」

「私達勉強会に来たんじゃないの?」

「結局、殺生石に引っ掻き回されそうだ…。」

 

ここは殺生石家別宅。通称『狐御殿』

その目の前に10人の男女が集まった。

化太郎、融剛、葉隠、砂糖、口田、切島、障子、常闇、爆豪、そしてB組の安藤。

一同の目前には『お屋敷』と表現してもまだ足りない位立派な木造建築が立っていた。

 

「ここはこの前来た狸御殿とやらとは違う場所なのか?」

「そうだよ。広さは同じ位だけどこっちはもっと内装がしっかりしてる。」

「雄英からそう離れてないし、良い所だね!」

「図書館には劣るが、静かだな。勉強が捗りそうだ。」

「それに個性の訓練も可能って言ってたな。」

「おう。頭を動かして、体を動かして。めっちゃ辛いぞ?」

「うへぇ、キツそう。」「実際キツいだろうよ。」

 

「スマンナ、急ニオシカケタヨウデ。」

「構わんよ、教師役は多い方がいいさ。」

「そっちこそ、A組の輪の中に入るのは辛いだろ?」

「問題ナイ。オ前達ガイルカラナ。」

「…」

「…フッ、体育祭以来ダナ。常闇踏陰。」

「ああ。次やる時は俺たちが勝つ。」『マケネエゾ!』

「次モ勝ツ。」

「…」

「…」

 

「「…フッ。」」

「盛り上がってるとこ悪いけど先に勉強会だからね?」

 

「お前が来るのはなんだか珍しい気がするな、爆豪。」

「あ”ぁ”?殺すぞ!」

「ある意味いつも通りだったわ。」

「チッ」

 

~~

 

「爆豪君、家で勉強会すんだけど講師役として来ない?」

「あ”ぁ”!?誰がテメーん家なんかに!」

「おや、来ないのかー。残念だなー。是非ともかっちゃんには来てほしいんだけどなー。」

 

化太郎は滑らかな動きで爆豪を抱き寄せ、ボソッと耳打ちした。

 

あの時(体育祭)のリベンジ…果たしたくないの?」

「っ!?」

 

~~

 

「…チッ」

「…」

 

(焦ってんのか…?同年代で格上がいる事に?それとも緑谷の急成長に?或いは両方?)

 

「さあ皆!中に入って勉強会だ!!時間は待ってくれやしないぞ!!」

「はーい。」

 

「…爆豪いくぞ。お前口は悪いが頭は良い所を見せてくれよ。」

「うるせえ!」

 

 

「…」

一同は狐御殿に入っていった。

それを見ている存在に気付かず…

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 狐御殿内は俺の語彙力じゃぁ表現しきれない位に立派なつくりだった。外見も、中身も。

なんだよこの玄関100人が一斉に出入り出来るくらい広いじゃねえか。

なんだこのスリッパふっわふわじゃねえかおい。

なんかチラって見えた部屋が果てしなく広かったように見えたんだが。

中庭まであるとかここは時代劇の武家屋敷かなんかか?

 

「…やっぱり殺生石っておぼっちゃんかお嬢様かなんかだろ…。」

「荘厳…。」

「私、家の中でこんなに歩いたのは初めてだよ…。」

「凄いが…殺生石、ここには他の住人は居ないのか?まるで気配を感じないのだが。」

「ん~?ここには管理者がずっと居るはずだけど…どっか出かけたのかな?ま、勉強会にゃ居なくても問題ないし。ただ訓練にゃーいてもらわんと困るんだけど………ま、いっか!」

「…大丈夫なのか?」

「だいじょぶだいじょーぶ。勉強してるうちに戻ってくるっしょ。とか言ってるうちに勉強部屋着いたよ。」

 

 そういって指し示した所は小さな(それでも一般的な家の扉よりは大きい)襖だった。

 

「もしかしなくても和室か。」

「はーもうちょっとやそっとじゃ驚かなくなっちまったぜ。」

「…チッ。とっとと入って勉強するぞ。」

 

 爆豪がそう言って襖を開けるとそこには

 

 

 

シャンデリアがあった。

 

 

 

「…は?」

「…なにこれ。」

「急ニ別世界ニ来タヨウダ…。」

「和室…じゃないのか?」

「青天の霹靂…!」

「何だお前ら、木造家屋にシャンデリア有ってなんか問題でもあんの?」

「合わねえだろ………。」

 

 

 ◇

 

 

「じゃ、まず何からやろっか?」

「…」

パッ サッ スッ

 

 口田が手振りで表すに、先ずは数学を教えてもらいたいそうだ。

 

「おけー、数学ね。数学なら専門家に任そうか。頼んだよ融剛。」「おう。」

「「いや、専門家って普通コッチなんじゃねえの?!」」

 

 切島と砂糖が安藤を指し示す。まあ、見た目的に分からなくもないんだがな…。

 

「私ノ得意科目ハ専ラ文系ダ。数学ハ出来ナイ事ハナイガ、教エルノハ不得意ダ。」

「マジかよ!見た目に合わなさすぎるだろ!」

「うるさい(#`ー´)別に教えるの下手でもいいだろ(`д´#)」

「お、おう…。スマン。」

 

 そんな事はどうでも良い。さて、数学の覚え方だが…。

 

「ぶっちゃけ数学は数こなせ、以上。」

「!?」スッ パッ パッ

「それじゃあ全然分からないって。」

「ま、簡単に言い過ぎたな。勿論今ならどこでも分からない所を教えてやれるが、数学なんて結局、教えた所がそのまま出る訳でもないしな。だから公式だけ暗記して、後は何度も何度も問題を解くのが一番だ。」

「いや…もっと楽に覚える方法とかねえか?」

「ねえよ。」

「そんなミもフタもない…。」

「公式ヲ覚エタラ問題集ヲ何度モ解クノガ良イ。買ウ金ガナイナラ図書館デ写ストイウテモアルゾ。」

「つーか、習ったらその日のうちに復習すれば覚えられるだろ。」

「…爆豪がマトモな事言ってる!」「殺すぞ!」

 

「言っとくが、マトモじゃない爆豪がやってることをお前たちは出来てないって事自覚しろよ?」

「「「「 うっ 」」」」

 

 

 ◇

 

 

「英語がちょっと分かんないから教えてー?」

「英語かぁ…。リスニング?読解?」

「両方。」

「うーん………先ずはリスニングからかなぁ…。英語は自分で発音さえできれば勝手に聞けるようになるからね。」

「あれ?でもリスニングって普通テストじゃ点数配分低くないか?」

「まあそうなんだが、英語は発音を覚えながら同時に文法を体で覚えるようにすると効率がいい…というかそうしないと覚えれん。」

「そうなの?」

「うん。結局、発音する英文も文法がある訳だし。イメージ的には座学と実技同時進行って訳だね。」

「英語は特に参考書が要る教科だからな。参考書を熟読しながら発音練習すればわりかし良い点取れる。」

「良い点以上が取りたいなら速読と精読が出来るようにならないとね!」

「余談ダガスピードラーニングナンテ物ガアルガアンナ物ハ覚エタ所シカ理解出来ナイカラヤルダケ時間ノムダダゾ。」

「おっと某教材をディスんのはそこまでだ。」

 

 

 ◇

 

 

「世界史とかヒーロー史とか暗記物が苦手なんだよなぁ…。」

「暗記は寝る直前にやった方が良いぞ。寝てる時に脳が記憶の整理をするんだが、寝る直前の記憶は定着しやすいとかなんとか。」

「ついでに教科書の丸暗記はあんま意味がないよ!」

「そうなのか?」

「教科書に書いてある文章そのまま問題に出ることなんて殆どないって訳よ。」

「それに歴史において重要なのは年号じゃなくて歴史全体の流れだ。一問一答形式じゃなく記述形式の問題も増えてくるからな、暗記の助けになるし流れ全体を掴んでおくことが重要だ。」

「つまり勉強は時間を掛けてやれって事だOKアンダースタン?」

「結局そこに落ち着くのか…。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

カリカリカリ…

 

「あー疲れたぁ。」

「始めてまだ1時間しかたってねえぞ。」

 

そうは言うが勉強なんぞに1時間も集中した皆は褒められるべき。

 

「テストで良い点取ってる奴は大抵机に2時間3時間向かってんだよ。毎日な。」

「そりゃそうかも知れないけどさ…ちょっと休憩しようぜ…。」

「同意する…。」

「気分転換も大事だと思うぞ?なあ口田。」

「…」コクコク

 

皆テーブルに伸びてら。気分転換も大事ねぇ…。

 

「じゃあ今から戦闘訓練しますですか?」

「フム、丁度体ヲ動カシタイト思ッテイタトコロダ。」

 

「………本当に先生たちと戦う事になるのか?」

「先輩たちは入試のときのようなロボが相手だったんだろ?」

「実際どうなるかは知らん。けど予想では先生達と戦う事になるって思ってるネ。」

 

根拠らしい根拠はないけど、体育祭の時のタイマン(1対1)ガチバトルの前例があるからなぁ。去年はスポチャンだったのに…

 

「先生たちもプロのヒーローでしょ?私達に勝ち目あるの?」

「うーん…ハンディ次第かな?多分だけど、生徒複数人に対して先生一人って組み合わせだと思う。でも多すぎると生徒一人一人の採点が難しいから………二人か三人一組かな?」

「だとしても俺等が先生と戦って勝てるのか?………まぁ、お前達は勝てるかもしれないが…。」

「そこはほら、『より実践的な教え』って奴よ。勝てそうもない相手からは逃げる。これ常識。」

「フム、ツマリ教師ヲ倒スモシクハ教師カラ逃ゲキレレバ合格…ト。」

「勿論ただ倒すんじゃなくて別の条件があると思うよ?例えば何らかの捕獲アイテムで捕まえるとか。」

「なるほど…。」

「まー所詮予測は予測でしかないし、実際どうなるかなんてその時にならないと分かんないけどねー。」

「だが予想せずに教師たちに当たるよりはマシ…か…。」

「そゆこと。じゃ、場所移して軽く戦闘訓練しよっか。闘技場はここからすぐ…」

 

 BEEEP! BEEEP!

   BEEEP! BEEEP!

 

唐突に狐御殿内に警報音が鳴り響く。こんな警報付いてるなんて知らなかったけど。

 

「なっ!?何事だ!!」

「おい化太郎!何が起きてる!?」

「知らぬぅ。…障子君、なんか異常ない?」

「急に言われてもな…!?何かがコッチに来ている!!」

「何か…?」

 

はて、するってぇとその『何か』は狐御殿の防御機構を無視して、しかも管理者に悟られずにコッチに来ているって事か…。あっ(察し

 

「おい、何かがコッチに一直線に向かってくるぞ!もう5秒もなくここにつく!」

「っ、なんだかわからんが全員戦闘態勢を取れ!殺生石!この家壊しちゃったら悪い!」

「…えっ?ああ、まあ別に構わないけど…。」

「来たっ!!」

 

障子君がそう言ったと同時に部屋の電気が落ち、周りが見えなくなった。

 

ドガン!

 

入り口の襖が蹴り破られる音がした。外から光が漏れ入ってくる。

 

「な、なんだ!?うわっ!!」ガギィッ!

 

硬い物同士がぶつかる音がした。今のは多分切島君だな。

 

「っ切島く…きゃっ!」

「ぐおっ!」

 

声からして葉隠ちゃんと砂糖君だな。

 

「…!!」ガッ

「っ!」ゴッ

黒影(ダークシャドウ)!」ガッ

 

音のした方向からして…口田君、障子君、常闇君は闖入者の攻撃から身を守れたみたいだね。

 

「そこかァ!!」BOOM!

「オラァ!」バギャッ!

「フッ!」ガギッ!

 

そして融剛、ロイ子、爆豪君は闖入者を迎撃したようだ…。

 

………というか

 

「いきなり私の友達を攻撃するとか何考えてんのマイゴさん…。」

「失礼、主様に相応しい方かどうか見極めるためですので。」

「だから言ったでしょ?主様に相応しいかどうかは主様自身で決めるって。」

「言うだけじゃなく止めろよウドンさん。」

 

「…な、なんだ?どういう流れだこれ…?」

「知るかっての。」

「う、う~ん…痛い~。」

 

 

 ◇

 

 

「さて、家の馬鹿野郎が失礼したね。紹介しましょう、君たちに一発づつかましたこの狐のお面を被った馬鹿が『大生座敷 迷梧(おおざしき まいご)』通称マイゴさんだ。」

「ここ、狐御殿の管理者で御座います。どうぞ良しなに。」

「そしてこっちの兎のお面を被ったおっぱいデカいさんが『優曇華 修福(うどんげ しゅうふく)』私のいとこかなんかだ。」

「かなんかて…。こんなんでも一応家の治療師なのよ?」

「じゃあ怪我人増やす真似すんな。」「むぅ。」

 

「「「「( キャラ濃すぎだろ…! )」」」」

 

うんうん、皆の考えが手に取るようにわかるぞ。

 

「ズバリなんで同じ部屋に3人もお面被ってる奴がいるんだって思っただろ!!」

「そうだけどそうじゃねえよ!!」

「なん・・・だど・・・?」

 

私の考えが間違っているだと………バカな…!

 

「馬鹿はお前だ。」

「貴様、主様にそのような口をきくなど我が許しません。」「私が許すパンチ。」「ごぼぇっ!」

「…で?主様、どれが本命なの?」

「やっぱり融剛かな!」

「あら、そこの髪の毛ツンツン頭かしら?」「違うよ!」

「じゃあそっちの鴉みたいな頭の子かしら?」「違うよ!」

「じゃああっちのたらこ唇?」「違うよ!」

「じゃあこっちのマスクマン?」「違うよ!」

「じゃああそこの…えーと、ゴツゴツ頭かしら?」「違うよ!」

「じゃあここの透明な女の子かしら?」「違うよ!」

「まさかこのメカメカしい子かしら?」「違うよ!」

「………顔だけで選ぶのはやめなさい。」「なんでや!融剛は顔以外にも良い所あるぞ!」

「言い方。」

「…はっ!貴様が主様を誑かす疫病神かあああああ!!!」「黙殺パンチ。」「ごべぶっ!」

 

「ものの見事に話が進まない。」

「日ガ暮レルナ…。」

 

 

 ◇

 

 

ま、色々あって武道場。

 

説明しよう!狸御殿は建物全体が訓練施設みたいな物だが狐御殿は道場兼居住区になっているのだ!ただ狐御殿に住んでるのはマイゴさんとシュナさんだけだがな!説明終わり!

 

「分かったか!」

「そのノリが分からん。」

「(´・ω・`)」

 

「…で、なんで室内なの?いや確かに訓練って意味なら室内でもいいだろうけどさ。」

「こういうのは普通外でやるのではないのか?」

「ま、ド派手に動き回るんなら外がいいかもね。さっきも言ったけど格上相手には逃げるのが常道だし。」

「ならば、」

「だが殺生石家には普通は通用しない!」ババァン!

 

外に出ない理由!つまり外に出なくてもいいと言う事!何故か!説明しよう!マイゴさんが。

 

「皆様方、それは我が個性を用いれば実に簡単な事で御座います。」

 

そう言ってマイゴさんは指を鳴らす。

 

するとどうでしょう。和風板敷だった武道場が中身の無い鉄筋コンクリート造りのビルの様に変わってしまったではありませんか。

 

「…え?」「なっ!?」

「とまあこのように、我にかかればこの狐御殿の内装が思うがままであります。」

「これなら外より色々な地形で思う存分戦えるでしょ?」

 

という訳で早速バトろうぜ!ヘイカモッ!!

 

「…前から思ってたがやはり殺生石はバトルジャンキーの気があるな…。」

「爆豪とは違う意味で修羅だよな。」

「あ”あ”?!一緒にすんじゃねぇ!!」

「だが授業内ではあまり殺生石と戦闘する機会も無いからなぁ…戦闘の良い勉強になるし。」

「遥かな高みを目指すための良い機会だ。」

「やっぱヒーローって言ったらこれだよな。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「段取りはこうだ。まずペアを作って5分間タイマンバトルをしてもらう。終わったら1分インターバルを挟んで別の相手とまた5分間タイマンしてもらう。コレを全員と当たるまで続ける。以上!」

「超ハードじゃねえか!」

「何!?これが普通じゃないのか!?」

「それが尋常ならば死人が出るぞ遊戯…。」

「やっぱ殺生石と遊戯ってどっかズレてるよね。」

「なんでもいいからさっさとすっぞ!」BOM!

「気合十分ダナ。ヨシ、マズハ私ト組メ。」

「指図すんじゃねえ女男!!」

 

やれやれ、主様にも困ったものだ。本来ならこんな人間共を狐御殿に連れて来るなどお古の連中が黙ってないだろうに…。まぁ、騒ぐ輩は拳で黙らせるがね。

 

「ねえ迷梧。本当に主様は結婚相手を探すために高校に行ってるのかしら?」

「そんな訳無いでしょう常識的に考えて…。あと我の事を呼び捨てにしましたね小娘。」

「あらぁ、役職的には同格でしょう?年齢の事を持ちだす老害はこれだからやぁねぇ。」

「貴様…。まあいいでしょう、主様の御前だ。」

「クールぶってるところ悪いけど貴方主様にボコボコにされておいて良く言えるわね。」

 

黙れ。

 

「さて、ペアは組み終わったな?怪我したらインターバルの間にウドンさんの所に行けばすぐ治してもらえるぞ!骨折程度までならな!」

「はぁい~、だからなるべく怪我しないようにね。」

 

此奴の治療を受けるくらいなら他の癒者探したほうがいいと思うがな。

さて、先ほどほんの小手調べをしたが真に主様の相手が務まるのは僅かばかしの様だ。あの程度の攻撃とも呼べぬ攻撃をモロに受けたのが3人。防御したのが3人。回避どころか反撃までしたのが3人か…。

 

「じゃ、マイゴさんヨロシク。」

「御意に。」

 

我は指を鳴らす。部屋に仕切りが生まれ、組んだもの同士を隔離する。正しく決闘場だ。

我と優曇華は上階席から個々を見下ろせる位置に移動する。

この程度の訓練に監督者など要らぬと思うが…主様の御指示とあらば仕方あるまい。

まぁ、折角だ。主様と並びたてる程度の存在かどうか見させてもらおうか。

 

「さあ尋常に………始めぇ!!」

 

合図を出すと同時に各々が激突する。

………が、一部の組は互いに様子を窺っているのか動きはしない。愚かな…。

 

「時間は有限だと言うのに貴様等はお見合いですか?呑気なモノですね。」

 

我が手中に湯呑を生成し動きの無い組へと投げつける。

 

「っ!ビックリした!?」

「…!!」

 

「今は機を待つ時ではありません、直ちに動き出しなさい小心者共。」

 

透明な少女と喋らない少年が此方に抗議の目を向けてくるような気がした。

しかし今はまだ準備運動に過ぎない。すぐにでも動き出して体を温めよ。

 

そんな事をやってる間にもう戦況が変わった所がある。

いや、変わったというよりすでに決着がついたと言うべきか。

 

「くっ、無念…!」

黒影(ダークシャドウ)任せはこのジャッチメントが許しませんの!」

 

ふむ、流石主様。鴉頭を開始10秒で鎮圧するとは…。

しかしあの鴉頭は接近されると弱いようだ。我が攻撃から身を守れたのは偶然か?

 

「わかってると思いますが貴男は接近されると脆いですわ!そして相手を絶対に近づけないという意思も弱い!接近されたときの切り札とそもそも接近させない為の技を習得するべきですの!」

「ああ…」

「ですが黒影(ダークシャドウ)自体は非常に高いポテンシャルをお持ちですわ!いかに個性と体力の穴を埋めるかがカギですの!大丈夫、時間がある限り私達が協力しますですの!」

「感謝する。さあ、二回戦だ…!」

「良い覚悟ですの。行きますわ!!」

 

そうして再び始まる戦闘。鴉頭は今度は巧く主様から距離を取っている。

…ふむ、あの個性はかなりの攻撃力と防御力を兼ね揃えているのか。主様の破壊力に対して無傷でいなせるとは大したモノだ。

 

さて、次に目を引く所は…

お、あのタラコ唇とユウゴウとか言った奴の所が終わったみたいだ。

 

「い、今何が起きたんだ…?」

「お前を投げただけだが?」

「いやいやいや!?俺一秒くらい宙に浮いてたよな!!?」

「合気の一種だ。お前の力がかなり強かったからその分高く飛ばせた。本当だったら空中コンボに繋げたかったんだが…。」

「殺す気か!!?」

「安心しろ。空中なら衝撃も多少逃げるから早々死ぬことは無い。ま、上方向以外に投げてたらコンボも繋げやすいんだがその分ダメージがなぁ…。」

「…どうなるってんだ…。」

「下に向かって投げた時点で金持ちの家によくある虎皮カーペットみたいになる。」

「殺す気か!!!」

 

ほう、あのユウゴウとかいう男はかなりの実力者だな。力の流れというものを心得ている。

そしてあのタラコ唇………力はかなり強いな。筋力だけなら団九郎様と同じ位やもしれぬ。

しかし如何せん力の流れをまだ理解できてはいないようだな…勿体ない。

だがスジは良いな。近いうちに岩砕きが出来るようになるやもしれん。

 

BOOOOOOM!!

 

ふむ、あちらはかなり元気だな。あの程度の壁では破られかねん。

 

「死ィィィィねェェェェ!!!」BOOOOM!!

「ッ!対爆装甲ヲ剥ガシニキタカ…!ヤハリ見タ目以上ニ頭ハ回ルヨウダ!」

「オラァ!オラオラオラオラオラァァ!!!」BBBBBBOOM!!

「グッ、ナントイウラッシュ…!機器ガイカレソウダ…ッ!」

「トドメだ!!死ね!!!」ブゥン

 

右の大振り。だがツメを誤ったな。

メカ子が左腕を飛ばして相手の右腕を捕らえる。そして右腕で相手の左腕を抑えた。

これで胴ががら空きだ。

 

「『サードハンドブロー!』」

「ごぼ…ェ!」

 

メカ子は何と腹から3本目の腕を生やして相手の鳩尾を殴りつけた。素晴らしい奇襲だ。

………主様と昔した戦闘訓練を思い出すな。

メカ子は相手の腕を放さずまだ追撃をするようだ。

 

「『サードハンドブロー!』」

「ナメ…んなァ!!!」BOM!BOOOM!!

「ガッ!」

 

あの爆発頭、思い切った事をする。爆発の反動を利用して無理矢理拘束を引き離し、勢いそのままに相手にぶちかましを行うとは。

しかし無理矢理に解いた代償は高い。自分の腕がズタズタではないか。

…ほう、あんな腕でもまだ戦意は消えていないか。英雄(ヒーロー)より戦士(ソルジャー)の方が似合っているのではないか?

 

…む、時間か。

盛り上がっている所だが仕方ない。指を鳴らし、決闘場を消す。

 

「そこまで!一分間の休息後すぐに違う相手と戦う!休憩中に相手を探しておくように!」

 

我が隣で寝息を立ててる小娘を叩き起こす。

 

「ぷぁ!?な、なにすんの!」

「仕事です、さっさと治療してあげなさい。」

「む、むぅ。随分とボロボロボロロッカだこと。治療してあげますかー。」

 

そう言って優曇華は子供等の所に移動する。彼女の治癒能力はかなり特徴的であり、優曇華という名が示す通りだ。

 

「うーん、随分派手に怪我してるわね。さっ、他の怪我人も順番にこっち来なさいな。」

 

言いながら爆発頭の怪我をしている部位を触る。

するとみるみるうちに怪我が消えていった。

 

「スゲー!!怪我が一瞬のうちに消えたぞ!!」

「爆豪、調子はどうなんだ?」

「あ?………特に問題ねえ。」

 

身体の調子を確かめながら軽く動かす爆発頭…もとい爆豪。

 

「ほう、リカバリーガールの治癒ならば怪我を治すと相応の体力が消費されるらしいが、それがないのか。」

「そだね。確かにウドンさんの個性なら大怪我治療して疲れるってことも無いよ。でも…」

「あ、爆豪。頭になんか付いてるよ。」ピッ

「あっ」

 

「っ!だあああっ!!!」

 

突如倒れ込む爆豪。そして治ったはずの腕が再度ズタズタになる。

 

「えっ?えっ?」

「ウドンさんの治療は疲れるって事は無いけど、代わりというかなんというか…治療した時の怪我の大きさに比例したサイズの卵が髪の毛に出来るんだよね。んでその卵が勝手に取れたら治療終了…なんだけど、無理矢理取ったり潰したりすると怪我が戻ってくるんだよね。ダメージ倍増で。」

「先行ってよそういう事!!」

「言う前に取っちゃったんじゃんかよー。」

「大丈夫よ、また治せるから。」

 

「…ちょっと待て。その卵って大体どれくらいで勝手に取れるんだ?」

「そうね…怪我の度合いにもよるけど1日くらいかしら。」

「………それで、その卵の耐久力はどれほどだ?」

「んー…大きくなればなるほど脆くなるわ。バクゴウ君…だっけ?くらいの大きさだと指ではじいた程度で潰れるわ。」

「…つまり怪我した者は頭に爆弾抱えながら訓練を続けるということか…?」

「そうね。」

「…」

「…」

 

「なんで殺生石が絡むと色々ハードモードになるんだよ!!」

「ふっ、切島君。ノーマルモードの人生なんて男らしくねーでしょ?」

「それとこれとは訳が違うんだよなぁ…。」

「…あ、俺怪我治さなくていいや。」

「あら、そうはいかないわ。怪我したまま激しい運動なんて危ないでしょ?」ポン

「…うわーすげー、いっしゅんでけががきえてしまったー。」

 

「あ、そうそう。戦闘訓練で手を抜くようならマイゴさんに容赦のない狙撃をしてもらうから。」「御意に。」

「鬼や…鬼が居る…」

「サテ、モウ一分経ッテイタナ。トットトペアヲ作ッテ訓練再開ダ。」

「くそぅ、怪我しない組はこれだから…。」

 

嫌だ嫌だと嘆いていながら逃げる素振りなどは見られない。成程、実力はまだまだだが精神面においては中々立派の様だ。ウチの若い奴らにも見習わせたい所だ。

ふむ、ヒーロー養成校か…面白い場所の様だな。人間の育成機関も捨てたものでは無いらしい。

 

「さぁ~容赦無く弱点をついて行くからねー!!遠慮なくかかって来いよー!!」

「ギャァァァ!!」

 

…ふむ、ふむ。主様も活き活きとして良きかな。主様が高等学校に行くと聞いた時には不安しかなかったが、どうやら大丈夫の様だ。

 

「主様が楽しそうで何よりね。」

「ふん、貴様は気に食わないですがそこだけは同意しましょう。」

「フフフ、主様が高校に行くって聞いた時は血相を変えて主様の下に飛んで行ったのは誰だったかしら。」

「…やはり貴様はあの時に始末しておくべきでしたね………。」

「あら、怖い怖い。」

 

「どぉぉぉしたぁぁぁ!踏み込みが足りんぞぉぉぉぉ!!!」

「ちょ、待て!グアアアア!!」

 

 

戦闘訓練はまだまだ続く。





訓練回はもうちょっとだけ続くんじゃ。
さらっと新キャラが出ましたが、今後活躍するわけじゃないです。

今後出ないわけでもないですけど。

そして優曇華の個性の説明ですが、分かりづらいって方は『うどんげ 卵』で画像検索して頂けると分かり易いかもです。ただ虫の卵なんでそういうのが嫌な人は(´_ゝ`)フーン程度に思ってください。


『大生座敷 迷梧』

個性:マヨヒガ 特定の空間内をほぼ自由につくり変えることが出来る。

迷い家の座敷童子。色々あって殺生石家の軍門に下った。現在狐御殿の管理者。
口調は慇懃だが偶に素が出る。
キツネを模したお面を常につけているが、これは『殺生石家の者です』という印のような物。
狐御殿は、外来の客が寝泊まりしたり力比べしたりする場として使われることが主な用途。


『優曇華 修福』

個性:治療の卵 怪我や軽い病気等を卵の形にして固めておく。

化太郎の祖母の弟の孫の結婚相手の伯母の娘ああもういとこで良いや。
ウサギを模したお面をつけているが、これは化太郎がお面被ってるのを見て『やべーイカす』と思って被っている。その日の気分によって被るお面も違う。
珍しい治癒の個性だが、『間違った使い方』の方がよく使われている。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。