なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か   作:輝く羊モドキ

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なんざん。
作者の都合上、この章は短めの話が続くかも。


前回からのあらすじ。(byルーナー)
職場体験に来た『サウザンドフェイス』。ウチの相棒達からの信頼も得ることが出来て万事オッケー、と見せかけていきなり現れるは黒幕?とりあえずこいつを倒せばいいのかしら…って、市民達を人質にするなんて!幾ら銃をぶっ放してくる市民とはいえ守らないとヒーローの資格がなくなるわ!一体どうすればいいのかしら…。と思ったら突如現れる謎の影!あなたは敵なの?味方なの!?

次回、なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 『正体不明の戦士ですが何か』

皆の心の闇を集めちゃうわよ?




融剛・イン・キラーワールド

 

 

 ステインは速い、轟の攻撃を回避できるくらい圧倒的に。しかも今は本気を出してきたのか更に速くなっている。一撃一撃が確実に殺しに来ている…。が、相手は俺だ。ダメージフュージョンが発動し続けている限り俺に負けは無い。問題は俺の集中力と許容限界にあるがな…。

 ステインはやはりと言うか、『一撃で殺す』ことには余り長けて無いように見える。そりゃそうか、血を摂取した相手の身体を止める個性なんだ。一撃で殺すより、相手を出血させる方が楽だし、動きが止まった相手を殺す方が絶対に楽だわな。格下である俺が付け入る隙はそこにありそうだ。

 

「…ハァ…」SLASH SLASH

「…っ」DODGE DODGE

 

 ダメージフュージョンがあるとはいえ、避けられるものは全力で避ける。体の中を刃物が通り抜ける感覚は気持ち悪く、自分の集中力を削いでいく。そしてそれ以上に、万が一血を奪われたら俺の死がほぼ確定する。

 死ぬこと自体は仕方ない、それも運命としよう。ただまだ死ぬには早すぎる。せめて緑谷と轟の撤退が完全に終わって、プロヒーローが到着した位までは死んでたまるか。

 

「…」トッ トッ

「…」バッ

 

「ハァ…後ろを取られるのはそこまで嫌か?」

「ああ嫌だね。お前みたいな目つきのホモ野郎を知ってるからな、シリを狙われるのは勘弁で。」

「…」

 

 自分でも流石に厳しい言い訳だな…。だが弱点が知られたところで問題はない。何年弱点を知り合ってる相手と組手してきてると思ってるんだ。

 それより、ようやくヒーロー殺しを捕らえる算段が付いた。

 

「さぁ、お前のターンは終わりだ。俺のターン!!

 『シンクロフュージョン:フリージング・エッジ』!!」パキ…

「…ハァ…」

 

 ダメージフュージョンと併用できるほぼ唯一の技『シンクロフュージョン』。俺と轟の氷撃とステインの斬撃を融合。今の俺はさながら凍える刃。リーチの不利は個性で補った。…次は、

 

「ふっ!」SHUK

「っ!…ハァ…」トッ

「はぁっ!」SHUK SLASH

「…」トッ ザザッ

 

 流石に打ち合わないか、当然か。轟のあの出力を見たなら、鎬を削った一瞬の間で凍らされるかもしれないと思うのも仕方ない。だがそれは既に俺の策の中。

 

 俺が斬る。ステインは躱す。躱しながら切り裂いてくる。俺が躱す。俺が斬る。

 

 それはまるで俺とステインが演武を交わす様に、クルクルと位置を変え、地面を、壁を、跳び回る。

 

 

「…ハァ…ハァ…」

「よう、どうした?ガチガチ震えて、怖いのかい?」

「……」

 

 

 既にステインはその機動力が半減している。当然だ、周りを見れば既に霜が張り付いている程に寒くなっている。俺は攻撃と同時に冷気を辺りにまき散らしていた。この寒さの中、全力で動き回りもすれば体温が奪われていくのも自明の理。特にステインはその速さが仇となった。先程まで異常な速さを持っていたステインは既に人並みより速い程度になっている。もはや捉える事は不可能ではない。

 

 …しかし機動力を削いだ代償が、コレか…。

 

「…ハァ…。そういうお前は既に限界を迎えてるんじゃないか?」

「…はっ、俺に限界なんてねえよ。常にプルスウルトラだ、阿呆。」

 

 出血は無い。傷口を無理矢理凍らせて塞いでいるから。

 両足の調子がおかしい。ダメージフュージョンの許容限界を超えた代償か。

 左腕の感覚が無い。神経が切れたか?…まあ動かせるなら大丈夫か。

 

「……ハァ……満身創痍とはお前の事だ。なのになぜまだ立ち向かう。」

「バーカ。指一本でも動く気力が有りゃ理不尽に立ち向かうのがヒーローだ。」

 

 ステインの目はまだ俺を殺す事を諦めていないみたいだ。いい加減プロ来てくれ、死ぬ。

 

「…ハァ…やはりお前は殺すには惜しい。だが、お前の目は危険だ。ここで死ね。」

「おいおい、偶には使命より感情優先で動いてもいいんじゃないか?人間なんだろ。」

「…お前は偽物より…徒に力を振りまく犯罪者より…遥かに危険な存在だ…。」

「はっはぁ、子供相手に随分過大評価してくれるじゃないかヒーロー殺し。」

「…ハァ…お前が、子供だからだ。お前が成長すれば、いずれ社会の大きな癌となる!」

「…くくっ、癌とは言ってくれるじゃねえか。ヒーロー志望の子供捕まえて言う事か?」

「ヒーロー志望?お前のような目をした奴はヒーローとは違う言い方がある。」

 

 

 

「お前は修羅場を渡り歩く事こそを目的としたただの戦闘狂だ!」

 

 





もうね、滅茶苦茶難産ですよ。便秘ですよ。

…もしかしたらこの話の流れがしれっと変わる可能性があります。

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