なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 作:輝く羊モドキ
「…殺生石さん!私は…あなたを全力で倒す!」
「そう…折角だしももやんの全力…見たかったんだけど。ゴメンね。」
私じゃあ届かないのかもしれない。戦闘の経験においては私は殺生石さんの足元にも及ばないのでしょう…。でも、だからはいそうですか、と負けるわけにもいかない…!あなたを倒す策は考えてきました。この勝負……私が!
『
S 全身を運動エネルギー其の物に変化。
T 変化完了。移動開始。
A 手の具現化、完了。接触。
R 運動エネルギーの移譲。
T 「 、はや 」
!! 全力で、押す。
』
「 お”っ!! 」ドッ!ザザザザッ!
あ……何が……起きて……そら…?
『っ!八百万さん場外!!殺生石くん勝利!』
負け……負けた…?
「手を抜くなって言われちゃったから全力で排除するね。」
全力……あれが……殺生石さんの……
何も…出来なかった……!
「八百万さん立てる!?」
悔しい……悔しい……!!
*****
「……おっと、八百万。怪我は無いか?」
「…!遊戯さん!どうして
「いや、ちょっとトイレ探しててな…。」
「…そう、です…か。……切島さんの試合は見なくていいのですか?」
「ん?まあ大丈夫だろ。なんか長引きそうだし。」
「…」
「…」
「…一人で歩けるか?」
「え?!ええ、大丈夫ですわ。」
「そうか…。席まで歩けそうなら大丈夫かな。じゃあ俺は行くよ。」
「…はい。」
「遊戯さん!」
「…ん?」
「…あ、いえ…。頑張ってください…。」
「……おう。」
出て行き辛ぇぇ……融剛お前こっちにトイレある訳ねえだろお前…心配なら素直に心配したって言えよタコ男がぁぁぁ…!!モモちゃんも言いたいことはハッキリ言えよぉぉぉぉ……!!
*****
切島対鉄哲。殴り合いの末引き分け…と。
うーん、やっぱりあの個性は大したもんだねぇ…。銃弾も効かない。刃物も効かない。たぶん爆発も効かないんじゃない?
でもやっぱり付け入る隙は幾らでもありそうだ。そもそも近づけさせないっていう手も有りだね。
次は麗日ちゃんと爆豪か…ある意味見たいけど見たくないなぁ……
「お、化太郎。もう戻って……お前なにしてんだ…。」
「なにって…補給?」モッチャモッチャ
戻り際に売店探すの面倒くさかったんだぞ…。
「助けてくれ遊戯…請け負ったとは言えこの量を持ち続けるのは精神的に辛い…。」
「……悪いな障子…この馬鹿が…。」
「なんで融剛が私の保護者顔なんですかねぇ…」モゴモゴ
「というかどんだけ食ってるんだよオマエ…昼あんなに食ってただろう。」
「しょうがないさね、ちょっとモモッち倒すのに全力出しちゃったし。」パリパリ
「ところで次だが、お前達はどう見る?」
「どうって…どう?」
「どういう試合運びになるって事?」モッサモッサ
「そうだ。」
「そりゃまあ爆豪が勝つでしょー。」ズズズッ
「…お前いつまで食ってるんだ…。まあ、そうだなぁ…麗日の奴って頭の回る緑谷といつもつるんでるし、ワンチャンは有るんじゃねえか?」「やはりか…。」
「無いね。無い無い。ないない尽くしの0%だよ。」
「おいおい、随分言い切るじゃないか…。」
「この試合方法で身体力の低い麗日ちゃんが勝つ方法は一つ、個性で相手を浮かすのみ。それは分かるね?」
「…まあ確かに、場外に押し出すにしてもちょっと難しいだろうが…。」
「当然爆豪もそれを警戒するだろうし、それでも爆豪の空中機動力は滅茶苦茶高いよ。仮に浮いたとしても爆豪なら麗日ちゃん倒すくらい訳無いでしょ。」
「…そうかも知れねえけどよ…」
「そもそも、どうやって麗日ちゃんは爆豪を浮かす?武器になるものはステージ上にはない。ステージ其の物を武器にするにも、所詮ただのコンクリート。よっぽどの大塊を浮かさない限り爆豪の個性でチリになるだけさ。そして麗日ちゃんは大塊を作る力もないし、爆豪がわざわざそんな物作る意図も無いでしょ。」
「…」
「爆豪を浮かす方法も無い。そもそも浮かしても戦闘は継続できるんだ。どうやって麗日ちゃんが勝つんだい?」
『START!!』
*****
「ハァ…。何だろうねぇ。プロのヒーローってあんなんばっかりなのかな…。」
「…や、俺ん処の様な所なんて普通ないから…。」
「…まさか、本当に殺生石の言った通りの試合運びになるとは…。」
「やー、流石に爆豪の大火力はちょっと考えて無かったね。いやはや、あんなんコスチューム無しでぶっ放せるとは見直したわ。てっきりコスチュームあっての大火力だと…」
「……」
「そういえばお前また選出されてるじゃん。」「ああ、それな。また同じクラスの女の子だから気後れするぜー。」「…どの口が言ってるんだか。」
「…まあ、その前に引き分け同士の再勝負だが…」
『引き分けの末、生き残りを勝ち取ったのは切島!!』
「ステージの補修も終わったし、次は緑谷と轟か…。あいつ等始まる前に因縁つけ合ってたからな…どうなることやら。」
「…の前にクジか。なんかテンポ悪いよなぁ…。」
クジの結果。 切島 vs 天
「ほぉ。切島君とテンコちゃんか。どんな試合になるか知らん。」
「天…?確かお前達と騎馬戦で組んでたな。」
「そだね、でもぶっちゃけテンコの戦い方ってよくわっかんね。」
「レク見たところどうも回転する個性らしいが…どうだろうな?投げ技が多彩ならば切島不利と見た。」
「んまぁ、その前に出久君と轟君だ。どんな試合になるかね。」
「…殺生石でも予想できないか?」
「んにゃ?出来るって言えば出来るよ。どちらも先手を取りたがるだろ。でも轟君が先手を取るさ。轟君が一気に凍らす。出久君はスマッシュ撃って氷をぶっ壊す。単純だねぇ。」
「それで、どうなるんだ?」
「出久君が両腕ぶっ壊して勝利。ま、轟君が炎使えば話は別さね。」
『 緑谷!!
ズアァ!
SMAAASSSHHHH!
「んー予想通り。」
「…凄いな、予知能力でも持ってるのか…?」
「予知て!こんなもん天気予報当てるのと変わんないよ!」「何?」
「対人戦闘において、『相手を知る』というのは絶大なアドバンテージだ。同時にまた、『相手に知られていない』というのも同じくな。それだけ情報というのは大事なんだ。」
「そして戦闘経験の豊富な人はその情報を基に相手の行動を読むのさ。私が轟君の試合運びを見て先手を予想した様に、同じく予想した出久君が後手でスマッシュ撃つ。なーんて感じにね。」
「緑谷の場合、戦闘経験というより想像力の豊富さだな。そしてその想像力の基は観察力にある。アイツがブツブツ言いながらノートに書き込みしてるの見たことあるだろ?」
「な、なるほど…。」
「でも分かっていても対応する事はまた別問題さ。なあ障子くん、金槌で自分の指先打ったことあるかい?」
「…?まあ、あるにはあるが…。」
「痛かった?」
「ああ、まあな。」
「じゃあワザと自分の指を金槌で叩きたいって思う?」
「思わないな。」
「だろう?誰だってわざわざ痛い思いなんてしたくない。でもホラ、出久君を見て。」
「……」
「出久君の指。たぶん金槌で指叩いた痛みの10倍以上は痛いんじゃないかな?」
「!!?」
「自分から痛みの中に飛び込むのは勇気がいるね。ましてや、それを何度も何度も経験するんだ。恐ろしいねぇ…。」
「…」
「そこまでの代償を払ってでも緑谷が暴きたいもの、それは轟の個性の弱点だろう。」
「個性の力だけでなく、判断力、それに伴う応用力、そして機動力。全て自分を上回る相手にどうやって勝つか。それを考えるために必要なのが情報さ。いやーやっぱ出久君は凄いなぁ。身のこなしから見ても全然喧嘩慣れしてなさそうなのに、勝つために何が必要かよぉーく分かってる。」
「爆豪の戦闘センスとはまた違う才能だな。その代償が両腕全損なら全く羨ましくないが。」
「…というか出久君はあの個性の使い方しか出来ないんかねぇ…。」
「…!」
「(一体どういう生活してればこんな発想に至れるんだ…!?俺と同い年な筈なのに、ここまでの差が有るなんて…!)」
「…?どうした障子?」「…いや、何でもない。」
『全力でかかって来い!!』
「……あぁ、マズいなぁ。」「…?何が拙いんだ?」
「いや、出久君のお節介モード出ちゃったなーって思ってね。」
「お節介モード?」
「いやねー?前から思ってたんだけど、出久君ってたぶん私以上にその時の調子に左右されるんだと思うんだよ。」
「…あー、なんとなく分からんでもない。」
「それでねー、これは融剛と会う前の話なんだけど、喧嘩してる相手にまでお節介焼いちゃう時があるんだよねたまに。それがお節介モードって呼んでるんだけど。」
「…はぁ、なんとなく話が見えてきたぞ。要はナメプしてる轟の
「さっすがー、話が早いね。轟君と言えばエンデヴァーの子。エンデヴァーと言えばオールマイトの次、なーんて言われ方されてるし。ましてや始まる前の出久君への挑発。そんでもって出久君はオールマイトそっくりの個性と。ここまでピースが揃ってりゃ十分でしょ。」
「…はぁ~、成程。そりゃお節介だな。他人の事情に首突っ込むなんざイカレてるな。」
「まぁ、それが出久君だし。ある意味滅茶苦茶ヒーローしてんじゃん。」
「…余計なお世話はヒーローの務め…か。母さんに言われたなぁ…。」
ゴオオ!!
『これはーー…!!』
「ほーら、出久君の勝ち目が潰えた。しょーがねーおバカちゃんだね全く。」
「…はぁぁ~。まったく炎も氷も使う相手なんざ面倒でしょーがねえなぁ。出来ることなら轟と緑谷が当たる前に轟潰したかったぜ。」
「ま、それもくじ運。運命ってやーつ?」「喧しい。」
W H A K o o O O M !!
ゴ オ オ オ オ オ !!
「うひょぉぉお!水蒸気爆発って奴ぅぅぅぅ!!」
「っっ!緑谷死ぬんじゃねえかコレ!?」
「はっは、人間って以外にも丈夫なんだよ!早々死ぬかい!」
「お前が言っても説得力ねえから!」
『緑谷くん……場外、轟くん…勝利!!』
*****
「出久くーん!!生きてるー?」「おま、さっき言った言葉は!?」
「「「デ緑ク谷くくん!!!」」」
「みんな…次の試合…は、」「びっくりした…」
「ステージがぶっ飛んだから補修タイムだって。それより腕大丈夫?もげてない?」
「怖かったぜ緑谷ぁ、あれじゃプロも欲しがんねーよ。」ドッ
「塩塗り込んでくスタイル感心しないわ」「でもそうじゃんか。」
「うるさいよホラ!心配するのは良いがこれから手術さね。」ババー
「「「シュジュツー!!?」」」ええ!?
「流石に粉砕骨折はリカバリーガールとはいえしゅぢゅちゅですか。」
「言えてないよ。粉砕骨折ってよくわかったね。」「まあ経験上。」「経験上!?」
◆
『炸裂ピンキーガール!!芦戸 三奈!!
「私だって全力でやるんだ!負けないよ!」
「…そ。芦戸ちゃんには悪いけど、勝つから。」
「(殺生石のあの超スピードには敵わない。なら…)」
『START!!』
「スグに強酸ばら撒く!!」
『芦戸!超速を警戒していきなり酸を吐き出したぁぁ!!これには殺生石警戒して動けないか!?』
『…いや、ありゃ動く気が無いな。』
「…?なんで動かないの…?まぁ、動かないなら酸の的に…!」
すぅぅ…
「な、なぜ動かないんですか!?」「手を抜いてんのかアイツ!?」
「…いや、『溜め』てるんだ。」「溜め…?」
「…!殺生石の背中から翼が!」「なんだありゃ…。植物みたいな羽だな……。」
「…何をするつもりだおい…」「あれは…まさか、タブー…?」
「そんなキラキラな羽で何をするつもりか知んないけど…食らえ!酸弾っ!」ビャッ
「 OFF波動 」
『…はっ!何が起きたんだ!!?ステージから芦戸が…っていうかミッドナイトもセメントスもぶっ飛んでるぞオイ!!!』
「なあああ!!いつからここはスマブラ会場になったんだ!?ぽんぽん人を吹っ飛ばしやがって!!」
「あんなのどうやって避けるんだよ!」
「…!!ふざけやがって…!あれがアイツの見せ札だってのか!!」
「見せ札…って言うより、俺達戦う側の心を折りに来てんだよ…。さっきは超スピード、次は不可避の範囲攻撃。」
「おいおいおい!マジであんなんどうやって攻略すればいいんだよ!」
「正に暴君…」
*****
『天 転々
「なんや、さっきのが派手すぎて霞んじまうわなぁ…。堪忍してぇよもー。」
「ほんとにな、だけど地味に負ける気はねえぜ!」
「はん、なんやジブン。そない個性しとるからって勝った気でいるんは間違いやで。」
『START!!』
「先手必勝!」
「ひゃー、直撃は痛い、カスっても鋭利に切られる。たまったもんやないなぁ。」
「じゃあ当たらずに当てるしかないわな。」ドッ「っ!効かねえよ!」
「なあ知っとるか?人間って腕より脚の方が長いんやで?」
「っ!だからっ!なんだ!全然っ!効かねえぞっ!」
「テンコちゃんって意外にも足技使いなんだなぁ。」モグモグ
「俺はこっちの試合よりお前の弱点の方が気になるんだが…。」
「これから戦うかもしれない相手に教える訳無いだろ轟くん!」モグモグ
「天の奴は距離を保ちながら蹴り続ける…でも切島には効いてないな。どうすんだ?」
「ああ、あれは誘いだよ。」「誘い?」
「要はああやって蹴りを入れながら距離を保つ、切島は距離を詰めながら個性で防御する。だが天の奴足が長いからな、切島のリーチの外側から一方的に攻撃できんだ。当然切島は攻めるために相手の懐に飛び込むが…。」
『うおおおおおお!!回る!回る!!回るうううう!!!天のやつ容赦ねえええ!!』
「実の所テンコちゃんの本当の間合いはその距離だったって訳。」バリバリ
「ヘッドロックしてジャイアントスイング…そのまま投げるのかな?」
「がっ!ああっ!!」
「ほれほれ!まだまだ回るでぇぇぇ!!」
「はぁなぁせぇぇぇぇ…!!」
「お?ええんか?放すと場外ひとっ跳びやでぇ。」
「ぬぐぐっ!クソぁぁああ!」
「ああなると切島君厳しいねぇ。暴れるしかないけど、暴れると首が締まって苦しいよ。」ゴクッ
「しかも回転速度が更に加速していってる…そろそろ投げたら一気に場外になるな。それまでに切島は何とか打開の一手を打てるか?」
「ほなそろそろいくで!せーぜー頭打って死ぬんやないで!」
「っ!コナクソ!」
「!ちょ!おまどこ掴んどんねん!放しぃ!!」
「放すかぁ!うらあああああ!」
「ギャー痛たたた!!折れてまう!!」
「おおっ!あんな体勢から尻を揉みに行くなんて大胆だね!」
「いやソコ!?」
「え、だってテンコちゃんあんな見た目でも女の子だし、切島君も男なんだなぁって。」
「…まぁ、試合中の事故だ。それより切島の奴自分の足をアンカー代わりにステージに打ち込むなんて考えたな。天は切島をしっかり固定してる分、回転力が仇となったな。」
「うへぇ、肉が骨から剥離しそうだ…。」
「やめろ、そんな事いうと見ていて痛くなる…」
「流石にテンコちゃん放しちゃったねぇ。」
「お、ケツが割れるぅ…」「すでに割れてるだろ…う”、目が…。」
「イダダ…全くA組の奴らはワイのケツにもうちょい敬意をはらわんかい…!」
「野郎のケツに敬意をはらうかよ。」
「ワイは女や!」「…え?」
「スキアリ!『
「っ!ぐっあああああ!」ギャリギャリギャリ
「うわ!すげえ火花が散ってやがる!」
「恐ろしい技だ…!高速回転することで貫通力を上げている。」
「流石に切島もこれには苦悶の表情か。」
「どれだけ硬くなっても衝撃まではどうにも出来ないみたいだね。」
「というか切島の奴、足を止めて受け止めきったぞ。」
「あーらら。そりゃまずいね。」「どうして?」
「痛ぇ…だが止めたぞ!」
「じゃあオカワリはどうや?!『頭足投げ』!!」ドッ
「ガァァ!!」ガァン!!
「うわっ!頭からモロに行った!」
「足で頭を掴んで投げる…言葉にすると簡単だけど普通無理だろ……。」
「無理を可能にしたのはテンコちゃんの個性だねぇ。たぶんあの個性は自分の身体の一部を支点に回転できるって個性だと思う。」
「つまり自分の重心を支点にして足で固定した切島を地面に叩き付けたって事か…。」
「普通の人だったら頭が砕けてもおかしくないな…。」
「…切島も流石にダウンか。当然だな、生きてる以上血は流れてる。だがあの勢いじゃあブラックアウトすんのも仕方ない…。」
『切島くん戦闘不能!勝者、天さん!!』
『遊戯!
「あーやだやだ。トップクラスの戦闘馬鹿相手にすんのはよぉ…。」
「…(お前の方がバカだろ。)」
「…でも、あの時の戦闘訓練の借りはきっちり返させてもらうぜ!!」
『START!!』
BZZZZZZZZZZT!!
『強烈ゥゥゥ!!上鳴初っ端からぶっ放した!!眩しくて見えねー!!』
「へっ!どーだ!幾ら遊戯でも電撃までは…」
「ああ、ちょっとチクッとしたな。」
『あれだけの大放電でも効いてなーーい!!どーなってんだ遊戯ィ!!!』
「融剛にダメージ与えたかったら不意打ちか見えない方向から攻撃するか、もしくは相打ち覚悟のカウンターか…いずれにしても難しいね。」
「ダメージ…なんちゃらって技だっけか。アンタも大概だけど、遊戯の奴も十分チートだよね…。」
「ところで轟くん。参考までに聞きたいんだけど、キミならどうやって融剛を攻略する?」
「…そうだな。奴の個性にも限界はあるだろ、そこを突く。」
「ほうほう、成程ね。」
『上鳴二度目の大放電!!何も見えねー!!』
「うぇ、ウェイ…」
「残念だなぁ上鳴。せめて指向性さえ付けれたなら多少節電にはなるだろうに。」ガッ
「ウェイ!?」
「そーら飛んでけー。」「ウェエエエエイ!!」
『上鳴くん場外!遊戯くん勝利!!』
『常闇!
「…」「…」
『START!!』
「休まず攻めろ
「穿テ。『ガン・キャノン・ショット』!!」
『クタバレェ!』
「『パイルシュート』!」『痛ックナイ!』
「ムッ、ナラバ本体ダ。走リ回レ。『小さな小さなローリングボム』!!」
「前から思ってたけどさ…。」「おん?」
「安藤ってなんで珍兵器好きなの?」「浪漫だからじゃね?」
「なんか小さなもやっとボールがステージ上を所狭しと駆け回ってるんだけど…。」
「小さいって言っても50㎝くらいあるし当たればただでは済まないよ。常闇君もダークシャドウで弾こうにもロイコの砲門が常に狙ってるから自分の足で避けるしかないし…あれ?意外と役に立ってね?珍兵器。」
「常闇も個性無しの身体能力が高ければなぁ…もったいない。」
「うーん…ロイコはどんどんロリロリしくなってくねぇ。」
「くっ!
「邪魔ダ、『フラッシュバン』!」ビカッ『ギャン!』
「…フム、ヤハリ影ニハ光ガ弱点ノヨウダナ。」
「(
「フッ、『インパクトストロボスコープ』!!」ヂカヂカヂカッ『ギャー!!』
「集マレ自走爆雷。サテ、棄権スルナラ良シ、サモナクバコイツラガ火ヲ吹クゾ?」ヂカヂカ
『ヒィーン…』
「くっ……まいった。」
『常闇くん降参!安藤くん勝利!!』
「常闇は個性じゃなく地力を鍛えるのが課題だな。そうすれば安藤にも勝てるチャンスはあったんだがなぁ…。」
「しっかしロイコも大盤振る舞いだね。ローリングボムだっけ?アレ4つも出すとか消耗考えてないのかよ。」「お前が言うな!」
『飯田!
「よーよーあんさん。中々足はやいんなぁ。」
「む?ああ、自慢の脚だ。」
「そーかそーか、でもワイも足は自慢なんやでぇ。」
「飯田くん大丈夫かな…。」「うん…あの人に捕まったら速さなんて関係ないもんね…。」
「…レシプロバースト…だっけ?飯田の個性の『間違った使用法』ってのは。」
「うん…。」
「……勝負の要はそのレシプロバーストを使うかどうかだね。」
「…やっぱり使ったら飯田くんが勝つの?」
「いや…逆だ。」
「開幕レシプロバーストを使ったら負けだな。」
『START!!』
「行くぞ!」DRRRR
「(使わへんのかい!)」
「うおおおお!」
「ちぃっ!使わなんだったら別の方法で戦うだけや!」
「えっ!?使ったら負けるってなんで!?」
「テンコちゃんはあれでも意外と打たれ強いんだよ、だから仮にレシプロバーストの速さからの攻撃を受けても反撃することができるね。」
「そうなると今度は飯田が苦しい。なんせバーストは制限時間が短いからな、エンストしたところを狙われる。」
「また、かなりの速度からの場外まで運ぶのも難しいね。テンコの個性は回転。自分をコマのようにグルグル回せば掴むこともままならない。」
「…だが今はバースト使ってないからそっちの解説をするか。飯田はプレゼント・マイクも言ってたが中堅って感じだな。」
「言い方を変えれば弱点らしい弱点が無いって事だね。遠距離からでも個性を使って相手に高速で詰め寄れるし、近接戦闘は飯田の肉付きを見てもだいぶ強い方だ。」
「恐らく脚のエンジンを使った高威力の蹴り技主体だろうか。蹴りってのは思いのほか戦いにおいて効率は悪いんだ。なんせ普通の人間は足は二本しかないからな。片足で体のバランスを取る必要がある。」チラッ
「私を見るんじゃない。そりゃ私は『普通の人間』じゃないけどさぁ…。」
「だが飯田の蹴りは…見る限りかなり出が速い。そして両足が浮いてもそこから蹴り足を出せるのはかなりの強みだ。」
「それを可能にしてるのは飯田君の個性だけじゃなく体幹を鍛えてるってのもあるね。そして体幹を鍛えるって事は戦闘において攻撃力と防御力の向上に繋がるのよ。」
「つまり飯田は攻撃守備のバランスがよく、機動力が高めの純格闘タイプって所だな。」
「さぁてさて、一方でテンコちゃんの方だけど…」
「ぐおっ!まるでブレイクダンスのようだ…!」
「はっはぁ!下から上から連続で蹴られた事は無いやろぉ!」ギュルギュル
「くっ!このお!」ブォ
「おおらぁ!」ガッ
「「~~!!」」ジィィン
「ひぃっ!」「うわっ、今のはお互い痛いな…」
「見てただけやのにこっちが痛なってきた…」「スネとスネがぶつかったぞ…。」
「ま、まあともかく、テンコちゃんはどうやら個性を多用する軽業師タイプって所かな。」
「ああいうタイプは道場とかで格闘技習っているような奴に思いっきり刺さるんだ。なんせ型らしい型が無いからな。経験則で防ごうにも元々の経験が無い。」
「まさか常に逆立ちしながら蹴り入れてくる相手なんて想定してないでしょ。相手からすれば自分の脚と相手の顔がより近づくんだから致命的な一撃を入れやすいんだ。でも自分からすればまさか相手の顔が自分の腰より下にあるなんて思わない、結果意外なダメージを受けやすい。」
「だが型にはまらないってのは往々にして邪道でもある。何で型があるかっていうと、その方が力が入れ易かったり、攻撃と防御が一体になってたり色々な理由がある。だが邪道にはそれが少ない。だからこそ邪道なんだか…」
「テンコちゃんはそのデメリットを個性の力でカバーしてるね。今ブレイクダンスみたいに上も下も無いような型は力なんて入るはずもないけど、そこに遠心力を加えることで威力を稼いでいるんだね。」
「やれやれ、ヒーローじゃなくバレリーナかフィギュアスケーターにでもなれば稼げるんじゃないか?」
「でやぁ!」DRRRR
「おりゃぁあ!」ギュルギュル
「(くっ!このままでは燃料が切れてしまう…ここは一か八か賭けに出るか…?)」
「(ぐぬ、しぶといやっちゃ!なかなか掴ませてくれへんし、いい加減目ぇ回ってきたわぁ…)」
「(…いや、まだ賭けに出るのは早いか…。相手の回転をどうにかしないと……そうだ!)」
「うおおお!」DRRRR
『おっとぉ!どうした飯田!!突然相手に背を向けて駆け出したぁ!!どこ行くんだ!』
「ぅ、なんや、何のつもりや…。」
「ギアチャンジ!」BABBBBBBB
「…なっ!早っ…くっ!『スピンハイ』!!」ギュギュギュゥゥゥゥゥン!
「凄い!いったん距離を取って加速する時間を稼いだんだ!」
「頑張れー!飯田くんー!」
「なるほどね、相手の回転力に負けないように加速力を追加したんだ。」
「だが諸刃の刃、相手の回転力も更にあげる時間を取らせちまった。」
「さぁてここが勝負の分かれ目。テンコちゃんも打たれ強いとはいってもあの速度からの蹴りを食らったら場外も有り得るね。」
「えっ?それならレシプロバーストの時に蹴られても一緒なんじゃ?」
「違うぜ麗日。レシプロバーストの時は『速過ぎて』相手が飛ばないんだ。」
「慣性の法則ってやつさ。ギアチェンジした今なら、まあ蹴り方次第で場外まですっ飛ばせるかな。」
「…あれ?殺生石くんが八百万さんを飛ばした時はどうなの?」
「あれは自分の運動エネルギーを相手にそのまま移す『技術』だよ。飯田くんの蹴りじゃ無理だね。」
「話を戻すが、飯田の蹴りが決まれば勝てる、だがあの回転の前にどう出るか…。」
「…もし、決まらなかったら…?」
「まけちゃうんじゃなーい?」
「行くぞ!!」BABBBBB
「来なくてもええで!」ギュギュギュゥゥゥゥン
「(殺生石くんの見せた、自身の速度を相手に移す技。速過ぎて見えなかったが恐らく、『押す』ことが重要なんだろう。だが、あの回転速度の前じゃぁ押す事は困難を極める…なら僕のやれることは…!)」
「おおおお!!」BBBBB!
「……」ギュギュギュゥゥゥゥン
「今ぁ!」
ずぁぁあ!
「って居らへん!!」
「後ろだ!」ぶぁ「何ぃ!」ガッ!「っぎぃ!」
『重い蹴りが脳天に直撃ぃぃぃ!!』
「レシプロバーストォ!!」ガシィDRRRRR
「おおおおお!!」DRRRRR
「ま、まて…」
「おおおりゃああ!」ブゥン
「がっはぁ。」ドッザザ…
『天さん場外!勝者、飯田くん!!』
「へー、あの速度から攻撃…と見せかけて一端相手を通り過ぎる。」
「速度に釣られてカウンター決めようとした天は攻撃をスカし、大きなスキを晒した。」
「そ…その隙を飯田くんが突いて…。」
「相手が怯んだ所をレシプロバーストを使って場外へ運んだ…。」
「あんなメガネしてなかなかの頭脳プレーするじゃないか。」
「メガネ関係なくない!?でも凄いよ飯田くん!!」
「……さぁて、じゃあちょっくら行ってくるね。」
「…ああ。恥になる様な戦い方すんなよ。」
「…そっか、次の組み合わせは…。
「爆豪対化太郎だ。」
不可避の超スピード。不可避の範囲攻撃…一体こんなんどう相手どれば勝てるんだ…!(戦慄
Q.OFF波動ってなあに?
A.公式チート(ただし弱体化する)