なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か   作:輝く羊モドキ

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臨時休校になった日の話


代償と休息

眼を開けると知らない天井だった。

 

というか天井ですらなかった。

 

…はて。ここ何処。

 

「やれやれ、キミも無茶をするね。」

 

「…あんた誰よ。」

 

なんだこの…おっさん?

 

「『俺』か?そうだな…なんていえば分かり易いか…まあ、とりあえずこの空間の主って所だ。」

 

「空間の主?」

 

何を言ってるんだ。

 

ちょっと辺りを見回す。何も無い。

 

足元を見る。………水?

 

上を見上げる。……雲だろうか、ゆっくりと風に流されている。

 

遠くを見る。……地平線?水平線?

 

「ここは一体なんなんだ。」

 

「ここは、そうだなぁ。死後の世界?」

 

「…はあ?つまりここにいる私は死んだって事?」

 

「キミはまだ死んで無いが『俺』は既に死んでいるからね。もしかしたら別の適切な呼び方があるかもしれないが『俺』はここを死後の世界だと思ってるよ。」

 

「…じゃあなんで私は此処にいるんだ?」

 

「そりゃ勿論『俺』が呼んだんだよ。キミ、個性を限界以上に使っただろう?良くない良くない良くないなぁ。」

 

「何が良くないんだよ、限界までお腹がすくだけだろう。」

 

「そうじゃないんだよね。君は自分の個性のエネルギー源を勘違いしているよ。」

 

「…?勘違いって言われてもね。現に食事をしたらエネルギー補給にもなるだろう?」

 

「まぁ、確かに食事をすることでもエネルギーは補給されるけどね。」

 

「何が言いたいんだ?さっぱりわからない。」

 

「『俺』が言いたいのは要するに、個性を限界以上に使ったら『次』が無くなるよ、って事さ。」

 

「…『次』?」

 

「そう、『次』。さっきは『僕』と『私』のエネルギーで代替出来たけど次からは自分のモノを使わないとダメだぜ。」

 

「??」

 

「まあ、いずれ全て理解できるようになるさ。現にキミはさっきも知るはずの無いことをさも当然のように理解したからね。

 

「知るはずの無いこと…オールマイトの活動限界の事か?」

 

「……さて。話は終わりだ。もう自分の身体に戻りな。」

 

「待て、何が何がかさっぱりだ。『僕』?『私』?何なんだいったい。」

 

「それもいずれ…な。それでは、さよなら(おはよう)

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

……………今度こそ知らない天井だ。

 

はて、夢を見ていたような気がしないでも無い。私はどうしてこんな所で横になってるのだろう。

 

「意識が戻ったようだね。」「何奴ですか。」

 

声がした方向を見ると白衣をきた蛙がいた。

 

 

 

「まさか冥土返し(ヘブンキャンセラー)…!」

「よく言われるけど違うからね。ただの蛙顔の医者だからね。」

 

なんだ、蛙か。

 

「それで、何奴ですか。」

「聞いてなかったのかね。医者だって言ったんだけどね。」

「私はなんでここに押し込められているんですか?」

「人聞きの悪い事を言わないでほしいんだがね。キミは一日程意識不明だったんだけどね。キミの様子を見る限り大丈夫そうだね。それでも今日いっぱいは念のため入院してもらう事になるけどね。」

「入信?新興宗教か!」

「医者たるもの信じるものは自分の腕と仲間ぐらいだね。神にすがる医者なんて碌な物じゃないね。そうじゃなくて入院ね。」

「入院…?なんでですか。こんなに元気なのに。」

「そうだね。無駄に元気そうだけどついさっきまであらゆる生命活動が停止していたからね。」「無駄に…」

「クマムシって知ってるかね?」

「あったかいんだからぁ~。」

「そっちのクマムシじゃないね。緩歩動物の方のクマムシだね。」

「かん…なんですって?」

「クマムシを代表にワムシやネムリユスリカ等の動物が厳しい環境でも生き残るためにクリプトビオシスを行うんだけどね。さっきまでのキミの状態はそれに限りなく近い状態だったんだね。」

「………」

「クリプトビオシスというのは隠された生命活動という意味でね。要は厳しい乾燥で生存するのが困難になった時自身、あるいは卵の生命活動を停止、無代謝状態にすることで超長期的に自己を保存するんだね。それで劣悪な環境が変化して自身が生存できる環境になるまで耐えるようにできてるんだよね。」

「……………」

「恐らくキミも似たような状態だったんだろうね。少し違う点はクリプトビオシスは環境の変化から自己を守るための反応だけどキミのは個性を使い過ぎたことによる栄養失調から身を守るために栄養を不要とする身体に作り替えたんじゃないかって予想なんだけどね。それにしてもキミの身体は中々興味深い構造をしているね。是非とも解剖してみたいと思うんだけどね。」

 

( ˘ω˘ ) スヤァ…

 

「人が説明している時はしっかり聞かないと失礼だとおもうんだけどね…!」

「いやぁ、寝ろっていう前フリかと。」

「…まあ、いいけどね。健康そうなら何よりだね。ナースコールはソレね。緊急時だけおしてね。」

「今日いっぱいはこの何もない退屈な部屋で過ごせと?」

「そうだね。ごゆっくり。私はこう見えてそこそこ忙しいんだね。それじゃあお大事に。」

 

 

………

 

……………

 

テレビもねえやこの病室。なんなんですかねぇ…。

 

……寝るか。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 やれやれ、アイツが一生お世話になりそうもないところにお世話になるとは思わなかった。ハッキリ言って病院にお世話になるより警察のお世話になる方の心配してたくらい。

 まぁ、よく考えたらアイツも病気くらいするか。でも生半可な病気なんて無かったことに出来そうなアイツが掛かる病気ってなんだ。

 

 

 いい感じに混乱してるなぁ俺。

 

 化太郎の奴が意識不明で入院してるって聞いたもんで、とりあえず入院している場所を聞いておいた。USJが襲撃された次の日、学校は臨時休校だったから見舞いに行く事にした。

 意識不明だの生命活動をしてないだの言っていたが案外叩けば治りそうなものである。近場で買った見舞い品を担いでアイツが入院してるっていう病院に来たはいいが…

 

 

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

 

 

 帰りたい…。

 

 

 

 

 

「病院の出入り口であんなブツブツされたら子供泣くぞ…。」

「ご…ごめん…。なんていうかその…御見舞いに来るのって初めてで…。」

 

 緑谷のことは、普段卑屈気味なくせにいざという時のクソ度胸や頭の回転とか評価してたんだが。コイツもしかしてアホの部類なのでは…。

 まぁいいか。折角なので緑谷と一緒に化太郎の見舞いに行く。アイツは生意気にも病院の最上階の病室にいるらしい。普段は意識して階段を使っているが面倒なのでエレベーターを使って上る事にした。

 エレベーターに入って閉まるボタンを押した時…

 

「ちょ、ちょっとまってー!私も乗るからー!」

 

との声が聞こえて服が飛び込んできた。

 

「ふぅーギリギリセーフ!アレ、よく見たら緑谷君と遊戯君じゃん。」

「そう言う空飛ぶ服は…葉隠か。」「空飛ぶ服って!」

「は、葉隠さんも化太郎くんのお見舞い?」

「そうだよ。意識不明って聞いて心配したんだもん。」

 

 確かにクラスメイトが意識不明って聞いたら心配するわな。まあ俺はあの(・・)化太郎が意識不明だからこそわざわざお見舞いしてるんだが。

 ……ところで凄い気になることがあるんだが…

 

「なあ、お前等の持ってるそれ…」

「え、これがどうしたの?」「え!?な、何か変かな…!?」

「いや、化太郎への御見舞いの品だよな、それ。」

「そうだよー。お見舞いの品って言ったらこれかなって。」

「こういうのよくわからないから、お店で目についたのを買ったんだ。」

「そうか……」

 

 葉隠…百合の花ってお前…。緑谷…フルーツ盛り合わせってお前……

 

「…あのな葉隠、緑谷。化太郎は気にしないからいいけど、次から見舞いに来るときは気を付けような…。」

「「 ? 」」

 

 そう言う俺は何を持ってるのかって?ジャンプだよ。

 

 

 ◇

 

 

「おーっす生意気にも個室に居る化太郎にお見舞いに来たぞありがたがれー。」

「ちょ…!遊戯君、流石にそんな言い方は…」

「気が付いたら個室に居たんだ。『僕は悪くない。』おらとっとと見舞い品寄越せー。」

「あーこれ大丈夫な奴だ。」

 

「なんだー。意識不明って聞いたから大事かと思ったけど全然へーきそうだね!」

「まあね、医者からはクマムシ扱いされたのを平気と捉えるかはその人次第だろうけど。」

「あったかいんだからぁ~。」

「たぶんそのクマムシじゃないよ…。」

「しかしお前が病院の世話になるのは初めてじゃね?大怪我しても変身して怪我をなかったことに出来るだろ。」

「怪我を無かったことに出来るけど痛いものは痛いんだ。まあ今回のコレは怪我とか関係ないところだけど。」

「あ…そうだ!化太郎くん。あの時どうして急に倒れたの?」

「あー、あんとき既に私はガス欠しててね。ぶっちゃけ『憑衣装着』した時から既に限界突破してたんよ。」

「『憑衣装着』?」

「うわ!なんか必殺技みたい!」

「おう。融剛の『フュージョンヒーロー』を真似てみた。」

「『フュージョンヒーロー』って?」

「ああもうなんか聞きたいことが溜まっていく。しっかり順番に説明しろ化太郎!」

「しょうがないなー。解説の殺生石君にお任せなさい!」

 

「じゃあ説明しやすい順番から、融剛の『フュージョンヒーロー』ね。フュージョンヒーローってのは初めてのヒーロー基礎学の時にお披露目してたよね。」

「あ!常闇くんと遊戯くんが一つになってた時のやつ!?」

「そうそれ!融剛は誰かと融合することで身体能力の向上と一緒に融合した人の個性をほぼ自由に使うことが出来るんだ。同時に融合できる人は自分を入れて3人まで!個性同士の相性が良かったら相乗的に強い個性を生み出せるんだよ。」

「凄い!色々な人と力を合わせて戦える個性なんだ!」

「ああ、まあな。簡単に言うと一つの身体に頭と個性が二つついてるようなものだ。」

「へー!じゃあ私と融合したら透明になれんのかな!?」「なれるんじゃないか?」

「そんな事はどうでもいいんだ、重要なことじゃない。そんなフュージョンヒーローからアイデアを得て考えたのが「『憑衣装着』って訳だな。」言うなよぉ。」

「わぁ、必殺技のオンパレードだね!」

「と言ってもやってる事は私が人に纏わり憑いてるだけなんだけどね!」「言い方」

 

 

 ◇

 

 

「いいなー。私も何か必殺技欲しいなー。」

「必殺技か…そう言えば緑谷。」「何?遊戯くん。」

 

「お前って自爆技しか持ってないの?」「不名誉な発言!??」

 

「確かに戦う度に身体ぶっ壊してたらそう思うよねぇ。」

「い、いや、これはその…しょうがないって言うか不慮の事故って言うか…。」

「不慮の事故で四肢爆散しても知らねえぞ…」「う、…キヲツケマス。」

 

ドンドンガラッ

 

「あにぇきー、生きてるかー?生きてたらトドメ刺すぞー。」

「隙あらば殺そうとするの止めてくれませんかねぇ!?」

「うわっ!ビックリした。」

 

「…おっ?」「えっ?」「ん?」「…あ、どうも…」

 

「あにぇきに見舞いに来るやつがいる……だと……!?」

「へイディアリトルブラザー、ちょっとそこに座れ。偶には年上の威厳というものを見せてやろう。」

 

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 

「えー、このクソ生意気なメガネタヌキ野郎が統狸(とうり)。私の弟だ。」ボロッ

「どうも。このクソ生意気なあにぇきを持つ統狸です、ヨロ。」

「(流れるような蹴りの連撃…!!化太郎の蹴り技のルーツはこれか…!!)」

「なんで私は病院でこんなボロボロになってるんだろうな。」

「あ、あはは……」

「わー、可愛いね!統狸くんは何歳になるの?」

「…あー、生まれてから今年で8…「統狸は今中一だから13歳になるね。ね!」

「お、ああ。そうだ。」

「中一!見えない!」

「おうそりゃどういう意味だインビシブル脂肪。」

「イン…なんだって?!」

「(うわぁ……すごい事言うなぁ…)」「(インビシブル脂肪…その発想は無かった)」

 

「んで、統狸が一人でお見舞いに来るなんてどうしたの?天災の前触れ??」

「父さんも母さんも今日は会合だ。覚えとけよゴミクズ、お前の頭にはA4の紙一枚分の記憶領域も無いのか。」「……泣いちゃうぞー。そんな事いうと恥も外聞も無く泣いちゃうぞー。」

「さとりは例の…あー。アレの日だ。」「女の子の日か。じゃあ仕方ない。」「違ぇよカス虫、お前なんで頭ついてるのに口から垂れ流す言葉は脊髄反射なの?どうせ使わないんだったら捨てれば?脳。」

「……!!!」

「分かったから無言でこっち見ながら泣くな。」「殺生石くんが言葉で負けてる…!!」

「うーん、凄い兄弟だね…。」

「そもそも何でお前元気なのに入院してんの?頭の病気なの?今更なの?」

「……」

「ちょ…!統狸くん!殺生石くんが完全に無表情で泣いてるからやめたげてよお!」

「化太郎ー。死ぬなー。傷は浅いぞー。」「ビックリするほど棒読みだ!?」

 

「ああ、そうそう。父さんと母さんから伝言。『・・・鼠共に負けるなよ。』『これからも精進するのよー。』だって。」

「…おお、なんという温かい激励のお言葉か…!!」

「…え、何この空気。」「今とさっきで温度差が激しい。」「高低差有りすぎて耳キーンなるわ。」

「それともう一つ。『今度の体育祭、余りにも不甲斐無い結果だったら四肢欠損くらいは覚悟してるわよね~…?』」

「…おお、なんという冷たい殺意のお言葉か…ッ!!」

「化太郎くんが白目をむいている…!」「どんだけ恐怖を感じているか。」「顔をみれば分かるねえ。」

 

「…さて、別になんともなさそうだし、オレは帰るぞ。」

「お、おう。本当に顔見に来ただけか…。」

「あにぇきの顔なんて普段から見慣れてるからわざわざ見たくねぇよ。……あ~。それとそこの三人。ちょっといいか?」

「えっ…とぉ…」ちらっ

「……」 「……」こくっ

 

「どうした?俺たちに何の用だ?」

「ああ、ちょっとな。外に来てくれると助かる。」

「うん、良いよー。じゃぁ殺生石、ちょっと待っててね。」

「なんだよー。急にハブんじゃねーよー。」

「喧しいんだよおしゃべりクソマネマネ。ベットでまごついてろ。」

「お前日を重ねるごとにボキャブラリー凄い事になってんな…。」

 

 

 

 

「それで、わざわざ部屋の外に出てまでする内緒話ってなんだ?」

「ん、まあ…大したことじゃないんだけどな。」

 

「今更だけどお前達って遊戯融剛、緑谷出久、葉隠透…だろ?」

「うん…。あれ?自己紹介したっけ…?」

「してもらってないが、見て一発で解かったよ。あにぇきが見せてくれた変身そっくりそのままだったんだからな。」

「あー…。」

「…まぁ、なんだ。俺等の家って他人には絶対に言えないような秘密の塊でな。最近は特にゴタついてて皆今日見舞いに来れないんだけど…オレが家を代表して言うわ。」

 

 

「化太郎の見舞いに来てくれてありがとう。」

 

 

「「「 ・・・ 」」」

「…それと、これはさっき言った秘密の内の一つなんだが、きっと今後オレ達と関わるとロクでもない連中に狙われると思うんだ。それこそチンピラの様な(ヴィラン)じゃなくて、もっと深い闇に潜むような(ヴィラン)に…だから………」

 

「…危ないから化太郎くんに関わるなって?」「!……ああ。」

「…そっかぁ。」「…もちろん、学校で挨拶したり、偶に遊んだりなら大丈夫だと『ん”んっ』っ。」

 

「まず最初の見舞いに来て…ってやつだが、別にこっちが好きでやってる事だ。気にしなくていい。むしろアポぐらい取っておけばよかったかなと思ってたところだ。」

「…」

 

「それと、ヤバい(ヴィラン)に狙われるから化太郎に関わるなって話だが…

 

 

そんな事知ったこっちゃないぜ。」

 

「!?」

 

「僕達はヒーロー科の生徒なんだ…!危ないからって友達を捨てることは出来ないよ!」

「私も!戦闘は得意じゃないけど逃げ足なら自信あるよ!」「透明人間だしな。」

「ま、そう言う事だ。俺達は自分の身くらい自分で守れるさ。(それにすでにヤバイ(ヴィラン)に目を付けられてるし…)」「え?なんか言った?」「いや、なんでも。」

 

「ん。まあとにかく、俺達は少なくともただやられるほど弱くは無いよ。それに…化太郎も化太郎だからな。案外俺等が(ヴィラン)に襲われても勘で助けに来るだろ。」

「…ああ、なんとなく分かる。」「化太郎くんって時々妙に鋭いからね。」アハハ。

 

「…そう…か。うん、そうか………。ゴメン、余計な事を言ったみたいだな。」

「別にいいさ、家がちょっとばかし普通じゃないってのはそれだけ気を遣うからな。」

「両親がプロヒーローなのはちょっとばかし普通じゃないって分類で良いの?」

「は、なんでそれを……!化太郎か!!」「聞いちゃった♪」

「ええ?!遊戯くんの両親ってプロヒーローなの!?」

「こうなっちゃったじゃねえか!なに喋ってんだ!」「あ、メンゴメンゴ。」「化太郎が増えたみたいでムカツク…!」

「ハハハハ。……なあ、お願いがあるんだが、オレが今日話したこと、あにぇきに黙っててくれねえか?」

「え、いいけど…。どうして?」

「決まってんだろ?アイツは昔から俺等家族にとって特別な位置にいるんだ。表向きの立ち位置だけじゃなく、心の位置でも……。だから、こういう事はあんまり見せたくなんだよ。」

「ふぅん。そう言うやさしさを普段から化太郎に見せてやらないのか?」

「やだよ、恥ずかしいじゃん。」

「…やれやれ、本当に可愛げのない弟くんだぜ…。」

「おやぁ~?自分はさも可愛げがある弟みたいな言い方だね?」

「…化太郎か…?」「うん、4人姉弟なんだってね!いいなー賑やかそうで!」

「アイツ何でもかんでも喋りすぎだろぉ!」「あははは…。」

 

「じゃあ、オレは帰るよ。チビ達が待ってる。…今日は悪かったな。それとありがとう。」

「あぁ?何がだよ。」「色々だよ、色々。じゃあな。」

「じゃあねー統狸くんー。」「バイバイ。」

 

 

 

「さて、そろそろいい時間だし、俺等も帰るか。それにクラスの連中に化太郎は普通に元気だったって知らせておくか…。」

「そうだね。…殺生石?私たちもそろそろ帰るから」ガラッ「ねー……」

「……?どうしたの葉隠さん?」「…?」

 

 

 

 

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

やべぇやべえよ体育祭もし入賞すら出来なかったら私は死ぬまずいまずいまずい死にたくない死にたくないどうやって生き残るかこれはマジで全力を尽くすしかないか今からでも体育祭の傾向と対策を練る必要があるかそれともとにかく自力を磨いていくしかないかこの際周りの奴ら全員蹴落とす方向で考えるかいやでも万が一があるし返り討ちにあったら怖いそれどころか足を引っ張る事に目が行き過ぎて入賞逃したら私が死ぬこれじゃ本末転倒だこうなったら最初から最後まで死力を尽くすべきかそうなったらエネルギー切れが怖いなどうやったらエネルギー切れを起こさずに全力を出し続けるか途中途中で補給できればいいんだけど流石に競技中に補給できるわけはないだろうしああやっぱりペース配分も考えなきゃダメだろうかそれともこっそり食料を持ち込む必要があるかとにかくなんにせよ入賞出来れば一位を取らなければ私は死ぬヤバイコワイシニタクナイタスケテ

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

 

 

 

 

「…」「…」「…」

 

「帰るか緑谷1号。」「僕1号!?」「じゃあ今の殺生石は2号か。」

 




この話の始めの人物は『俺』。
一話目の人物は『私』。

謎は深まっていきますね。


融剛 → 緑谷
頭の回転はクラス内でも優れている方だな。個性もパワー系の極致みたいだ、反動さえなければ。どういう生活してたらあんなに内気になるんだろうな?

緑谷 → 融剛
近接戦闘はクラス内でトップを争うんじゃないかな。個性を使った大技や小技も多様だし、身体能力もすごく高い。僕ならどういう風に戦えば勝てるんだろう…。

葉隠 → 融剛
なんか凄い強い男の子。個性もチート級で性格も悪くない…らしい。殺生石の受け売りだけどね。

融剛 → 葉隠
透明化の個性は凄いと思うが如何せん最初の授業の出落ち感がぬぐえねえからな…。


殺生石統狸(とうり)
足技が強烈で多彩な中一の化け狸。最近言葉の引き出しがメキメキ増えていく。口が凄い悪い。

会合
殺生石家は言わば狐と狸たちの間のヤクザ一家。辺り一帯の個性を持った動物たちを人間が悪用しない様に保護している。その昔様々な動物たちに個性と知恵を与え回ったモノが居るらしいが…

さとりの例のアレの日
個性を持っていても喋る事の出来ない動物たちを相手に相談会の様なものを開いている日。

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