なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か   作:輝く羊モドキ

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USJ編はおしまい。


限界と超越

ああ、クソ。嘘だと言ってほしい。

 

さっきからずっとだ。どうして、なんで。

 

爆豪、轟君、切島君が参戦したってのに。状況は好転したはずなのに。

 

最悪のヴィジョンが頭から離れない。このままだと皆……死ぬ。

 

「っと動くな!!『怪しい動きをした』と俺が判断したらすぐ爆破する!!」

「ヒーローらしからぬ言動…」

 

黒モヤモヤは爆豪が抑えてる。ネズミ女と脳みそ野郎は轟君が氷漬けにしている。あとは手男だけ…。

 

本当にそうだろうか。

 

もし脳みそ野郎がほかの隠し玉を持っていたら?

 

もしネズミ女があの程度の氷漬けでも動けるようになったら?

 

考えたくない。でも現在マトモに言葉を話すエネルギーすら絞り出せない私には考えることしか出来ないから。

 

そもそもなぜ脳みそ野郎は指示待ち人間なんだ?

 

オールマイトの一撃すら耐えられるのになぜネズミ女は沈黙している?

 

私の中で、ありえない、が。そんな訳無い、が。パズルのピースのように組み上がっていく。

 

こんなのは妄想だ。有り得る訳がない。

 

こんなのは非現実的だ。起こりうるわけがない。

 

なのに。

 

 

 

 

 

ああ、だめだ。駄目だ。ダメだ。皆逃げないと。君らではアレらの相手は荷が勝ちすぎている。

 

手男に捕まったら身体が崩壊するんだぞ?どうやって防ぐんだ?

 

ネズミ女はタングステン合金にも負けない牙を持ってるんだぞ?どうやって守るんだ?

 

脳みそ野郎にはどうやって戦うつもりだ?動きを眼で追うことすらできてないだろ?

 

 

あ、爆豪…声…出ない…

 

オールマイト…庇った…

 

手男が何か講釈を垂れている。何を言ってるのか聞こえやしない。

 

皆…早く逃げるんだ…!

 

 

 

あぁ、ああせめて。せめて声だけでも。

 

!オールマイトが脳無と真正面から殴り合ってる!!

 

ダメだ…!ダメだ…!ダメだ!!!!

 

『止まれ脳無!』

 

「!?」

(ヴィラン)よ こんな言葉を知ってるか!!?

 

      P l u s(更に)            ド

             U l t r a(向こうへ)!!  ガ ァ … ン

 

 

ああ、やっぱり流石オールマイトだ。……でも、いくら全盛期から衰えたと言ってもあれじゃ…

 

あ、ああ、ああああ、まだ。まだだ、あのネズミ女がオールマイトを喰おうとしてる。

 

動け、マズい、ダメだ、私が、誰かが、オールマイトは、皆は。

 

オールマイトが、死ぬ。

 

平和の象徴が…死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

ダメだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あァ~あァ~。負けちまいやがんのあの脳みそォ。結局つかえねェじゃねェか。」

「黙れ…!お前はいつまで凍ってるんだ雑魚…!」

「はッ。とっくに動き出す準備はできてるがァ?お前等に先を譲ってやっただけだァ。」

「…お前ぇ……」ガリガリガリ

「死柄木 弔…落ち着いてください。よく見れば脳無に受けたダメージは確実に表れている。どうやら子供たちは」「オイシイ所は僕がもらおうかァ!」「なっ!」

「オオォォォォルマイトオオオォォ!!おとなしく僕の餌となりなァ!!!」ビュッ!

 

「(来るんかい!!!ったくホーリーシットだ!早く…!!!皆…)」

 

 

 

 

「跳べ、出久君。」「うん!」

僕だけが知ってる秘密--------!!!

 

 

 

「な…緑谷!!?」(速い…!)

「……!!」

折れ…てない…!でもズキズキする…!さっきはうまく行ったのに…!!でも!!届いた!!

「!?速すぎるゥッ!!!」

 

《オールマイトから離れろ!!》  S M A S H !!

「ごォッ…がァ!!」ベキベキッ

!折れてない!力の調整がうまく行った!

「うぬぼれんな、私のおかげだ。お前普段からどんな個性制御訓練してんだ馬鹿。反動だけで私脱げかけたぞ。」

「ご、ごめん…!!」

 

「緑谷少年…!?その姿は一体!」

「説明は私が。」「その声は…殺生石少年!?」「…良く分かるなぁ本当に。」

「今の私はいわば、出久君の戦闘コスチュームに変身しています。そして出久君の個性発動と同時に衝撃緩和や反動軽減用にコスチュームを操作することで擬似的に出久君を操っている訳ですね。ハッキリ言って、この馬鹿はどういう個性訓練してたか分からないけど自分の個性に見合った体の動かし方がまるで出来ていないんで私がこうやって外骨格のようにサポートして無理矢理反動を無視する形で「話が長いよ化太郎くん!」お前のブツブツほどじゃないんだけどね、まあいい。」

 

「オールマイト、あなたもう活動限界ですよね?」「!?」「…!なっ!何故それを…」

「大丈夫です。誰にも言いません。というか反則じみた方法で知った事なんで元々言えるものでもないっていうか…」

「化太郎くん…!何で!?いつ!?」「出久君のコスチュームに変身する直前。」

 

 

「……ぐ、ぐくく、くははァ。はははははァ!情けねェ!情けねェよなァ旧鼠 公星ィ!!何度も、何度もボコボコにされてよォ!見ろよこの足ィ!ガタガタブルブルしちまってらァ!」

ガリッ「なんだ…アイツ…。ついに壊れたか…。」

「ははははァ!はァははははははァ!ははは、………」

 

「おィ、退くぞ。」

「…あ?お前がなに指図してんだ…?」

「増援だァ。霧野郎、早くゲート開けェ。」

ドズ

「!!!!」

「来たか!!」

 

『 1-Aクラス委員長飯田天哉!! ただいま戻りました!!! 』

 

「あーあ、本当に来てたのか…ゲームオーバーだ。帰って出直すか黒霧…」

   BLAM  BLAM    BLAM

「ぐっ!!!」「うッ!ちィ!!」

ズズ…ズズズズズ

「今回は失敗だったけど……今度は殺すぞ。平和の象徴 オールマイト。」

「この雪辱ゥ、絶対忘れないィ!!殺生石化太郎ゥ!!!」ズズズ…

     ズズ…

 

 

「………っ!!」ズキズキ

「今更足の痛みが来たんかい。全く緊急時だからって力み過ぎだぜ。あーあーあーアホみたいに足が腫れあがってらぁ。ま、私が補助していなかったら両足粉砕骨折以上の大被害だったかもね。感謝しろよ。」

「あ、ありがとう。」ズキズキ 「礼には及ばん。」

「でも…結局敵には逃げられた………何も…出来なかった…」「…」

 

「そんなことはないさ。あの数秒が無ければ私はやられていた…!」

 

「また助けられちゃったな。」

 

「オールマイト…」「無事で…良かったです…!」

 

 

「緑谷ぁ!殺生石ぃ!!大丈夫か!?」

「切島くん…!」「大丈夫だ、問題ない!」

切島少年!!なんて素晴らしい心持ち!!

しかし待ってばれてしまうやばい待ってくっそおおおおお

「待っ」 ズ

      ッ

「生徒の安否を確認したいからゲート前に集まってくれ。」ドス…ドス…

 

「怪我人の方はこちらで対処するよ。」ヌー…

「そりゃそうだ!ラジャっす!!」

 

 

「…やれやれ、とりあえず一件落着って所かな。」

「うん…。また来るみたいな事を言ってたけど、しばらくの間は大丈夫だと思うよ。…ところで化太郎くん、コレって…」

「コレ?……あぁ、『憑衣装着(オーバーオール)』って名づけよう。」

「そういう意味で聞いたんじゃ無いよ…」

「しかし…オールマイトの活動限界……か。」

「殺生石少年。どうやって知ったのかは分からないが……この事は誰にも言ってはいけないよ。」

「分かってます。私はお喋りだけど口は堅いって評判が無いわけでもないことも無いって言われている訳でもないですから。」

「それって結局どっちなの!?」

「HAHAHA、大丈夫だって。融剛にだって絶対話さないさね。」

「大丈夫かな…。」

「へいへいオールマイト、ちょっとは生徒を信じてもいいんじゃ」ドチャッ

「!?化太郎くん!!?」「殺生石少年!!?」

 

 

 ◇

 

 

「17…18…19………両足重症の彼ともう一人を除いて……ほぼ全員無事か。」

 

「遊戯…お前だけUSJ内の何処にも反応が無かったがどこに居たんだ?」

「分からん。学校の敷地よりも外だったことは確かだ。」

「ええ?なんで遊戯だけ外に引っ張りだされたんだ?」

「知るか。」

 

「とりあえず生徒らは教室へ戻ってもらおう。すぐ事情聴取って訳にもいかんだろ。」

「刑事さん。相澤先生は…」

 

《両腕粉砕骨折、顔面骨折…幸い脳系の損傷は見受けられません。ただ…眼窩底骨が粉々になってまして…眼に何かしらの後遺症が残る可能性もあります。》

「だそうだ…」「ケロ…」

「13号の方は背中から上腕にかけての裂傷が酷いが、命に別状はなし。オールマイトも同じく命に別状なし。彼に関しては、リカバリーガールの治癒で十分処置可能ということで保健室へ。」

「デクくん…緑谷くんは…!?」「殺生石は大丈夫なんですか…!?」

「緑谷君は保健室で間に合うそうだ。…ただ…」

「…化太郎がどうかしたんですか…?」

 

「……殺生石君は意識不明だそうだ…。」「「「 !!? 」」」

 

「意識不明…!?寝てるだけじゃないんですか…!?」

「ああ…と言うよりそもそも生きているのかどうかも怪しい状態らしい。怪我は無いみたいだが……詳しくは分からないが生物として行うべき活動を一切行っていないそうだ。」

「…!??それってどういうことですか!?」

「それがよく分からないんだ。なんでも彼の個性は様々な物に変身できる個性だそうだね。その個性により呼吸や心臓の動きを止めても生きていられるように自分の身体を作り替えたんじゃないかってのが医師達の見解だ。」

「…つまり?」

 

 

 

「意識が戻るまでは入院してもらうことになるね。」

 




閑話を挟んで今章は終了です。

感想いっぱいくれよォ(直球)


憑衣装着(オーバーオール)
コスチュームに変身することによって装備者に様々なサポートを行える。
例えば、個性による反動の軽減から移動補助、攻撃力増加やダメージ軽減まで色々出来る。
某カードゲームのユニオンモンスターみたいになる。

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