なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か   作:輝く羊モドキ

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初投稿です(ヒロアカは)。


黎明
主人公の初期設定的な第一話


世界は光に満ちていた。

 

 

 

 

 

未来は希望に満ちていた。

 

 

 

 

 

自分は何にでも成れる可能性を秘めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時まで、そう思っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

『僕』はヒーローになりたかった、でもなれなかった。

 

そもそもなれるようなうつわじゃなかったんだ。だってトモダチをみすてたんだから。そうだろ?

 

ヒーローってのはよわきをたすけあくをくじくんだから。でも『僕』はよわきをみすててあくにしたがった。

 

そんな『僕』を『僕』はキライだった。そんなんでも『僕』はまだヒーローになりたかったんだ。

 

ジブンをジブンではないなにかにかえてたたかうヒーロー、変身ヒーローに。

 

そうして『僕』は『俺』になった。

 

世界は暗い闇で満たされている。

 

未来は不安でどうしようもない。

 

自分は所詮ただの人にしか成れないだなんて。

 

流れるように、漂うように、何かを成す努力をしない『俺』になった。

 

過去を見ようともせず、未来に向き合おうともせず。

 

今からも逃げるようにヒーローに憧れ続けた。

 

ただ憧れて見ているだけだった。

 

そうして『俺』は『私』になった。

 

世界はもはや知っている物になった。ただ知っているだけだった。

 

未来はぬるま湯のようだった。思うことを放棄した。

 

自分は結局凡人だった。いや、それ以下の存在かもしれない。

 

上に倣えが道理。列から外れたらすぐに弾かれる。

 

何も思わず足並みだけ揃えて。抜きんでようともせず、唯抜かれる事に怯え。

 

日常を常としてただ寿命を浪費するままに生きてきた。

 

『私』はこうなりたかったのか?

 

『俺』はこうなる事を漠然と解かっていたのか?

 

『僕』の未来がこうなると知っていたら何をした?

 

 

 

 

 

ヒーローにあこがれたのはどうして?

 

--かっこよかったから。

 

どこがかっこよかったの?

 

--たたかっているところが。

 

どうしてたたかっているとかっこよかったの?

 

--・・・。

 

てきもたたかっているのに、どうしてヒーローだけがかっこよかったの?

 

--それは・・・

 

それは?

 

 

 

 

 

--誰かの為に戦っていたから。

 

 

 

 

 

 

『僕』は友達の為に戦えなかった。戦おうとも思わなかった。

 

『俺』はそんな自分を嫌いになっても、自分から変わろうとはしなかった。

 

『私』は変われる機会は何度も有ったのに、変わる事を恐れてしまった。

 

・・・だから、『私』はヒーローにはなれない。結局最期の時まで変われなかったのだから。

 

だけど『キミ』は違う。『僕』と同じ歳で変わることが出来たのだから。

 

ボロボロになっても立ち向かう姿は、格好良かったよ。

 

 

 

世界は光に満ちている。同じくらい闇にも満ちている。

 

未来は希望に満ちている。ただし障害はいっぱいだ。

 

自分は何にでも成れる可能性を秘めている。成ろうとする努力を怠らなければね。

 

きっと『キミ』は良いヒーローに成れるよ。・・・まあ、こんなロクデナシが言ってもしょうがない事だけどね。

 

 

 

そうだ、こうして出会ったのも何かの縁だ。『キミ』にプレゼントを贈ろう。

 

・・・そんな顔をしないでくれ。確かに見ず知らずのオジサンからプレゼントなんて受け取れないだろうがね。

 

まあ、タブン悪いものじゃないから受け取っておくれ。

 

 

・・・うん、中々似合っているじゃないか。

 

さて、どうやらもうお別れの時間のようだ。これからの君の活躍を草葉の陰から見守っているよ。

 

 

・・・ん?良く考えたらこの世界だと『私』はまだ死んでいないから草葉の陰では正しくないかな?しかし今の私は魂一個の状態だし死んでいるといえば死んでいるからな・・・うーむこういう時に使える正しい言葉は

 

**********

 

 

 

 

 

んごぁ。・・・ぁ~。あ~?なんか変な夢見たような・・・。ぅ~・・・。

 

 

 

 

・・・スヤァ

 

 

「いい加減起きろクソあにぇき」ゴッ「ぎゃはぁ!!」ビダーン!

 

 

 

「……ううっ女の子にいきなり暴力振るうなんて。しかも寝込みを襲うなんて最低よぉ……。」

 

「黙っとけ無性生物。いびき五月蠅いんだよ雌雄同体。叫び声からして女じゃねえよ両性具無。」

 

「……寝起きから弟にワンターンスリーキゥされかけている件。」

 

「朝飯だってんだよ蝸牛、とっとと着替えろ。」

 

「はい死んだー。弟の心無い一言でおねーちゃん死んだー。おねーちゃん弟に心まで犯されたわー。」

 

「母ちゃんにメシ要らないっていってくるわ。」

 

「まってよぉ、そんなことしたら空腹でしんじゃうから。」

 

 

 

 

 

「・・・え、弟ちゃん本当に行ったのかよ。まって、まて。待てよ!おいゴラァ!」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「ひゅー、危ない危ない。マジでメシ抜きになるところだったぜ・・・。」

 

「家で大型生物に化けるんじゃねえよ単細胞。」

 

 

私の名前は殺生石(せっしょうせき) 化太郎(ばけたろう)。何処にでもいるヒーロー志望だ。

 

ただちょっと普通じゃない人である。何が普通じゃないかというと・・・

 

「ほらほらー、貴方たち食べ終わったなら皆の分の朝食分けるの手伝いなさい。」

 

「ん。」「イエスマーム。」

 

 

我が殺生石家の普通じゃないポイントその一。数えるのが億劫になるほど家族が多い。

 

 

まあ家族が多いといっても、人型は5人しかいないんだけど。

 

・・・うん。『人型』はね・・・。

 

「おらー。お前等並べー。」

 

目の前の光景を一言で説明するならそう。

 

 

     『狐狸戦争』

 

 

視界を埋め尽くすほどの狐、狐、狐。狸、狸、狸。獣獣しい。

 

しかもそれが理路整然と並んでいるのだから凄い迫力だ。・・・ありゃ?りろせいぜんってこんな意味だったけか?

 

まあいいか。

 

勘違いをしないでほしいのだがこの狐狸共、家のペットではない。遠縁とはいえ私と血が繋がっている。

 

血が繋がっているのだ。冗談ではない、二つの意味で。

 

そこで我が殺生石家の普通じゃないポイントその二。先祖が狐と狸。

 

これはもう説明するまでも無くヤバイ。

 

「こらこら、全員分あるからしっかり並べ。順番守らんとしばくぞ。」

 

動物虐待発言をしている我が弟、殺生石 統狸(とうり)。個性がそのまま『化け狸』である。

 

世間的にはタヌキっぽいことが出来るのとちょっとした変化の術が出来ると見せかけている。

 

実際にはタヌキが人化の術で人に化けているとは思うまいに。

 

「クソあにぇき。サボってんじゃねえよ蹴るぞ。」パチン

 

「既に平手で殴られてるのですけども。」「さらに蹴るってんだよ言わせんな。」

 

いや本当になんでこんなクソガキに変化してるんでしょうね・・・。

 

「貴男の教育が悪かったからじゃないですかね。」「あ、さとりん。」

 

突然現れた謎の美少女の正体。それは私のマブダチである。名前は先詠(さきよみ) さとり。

 

「私は貴男とは血の繋がらないただの他人で同居人程度にしか思っていないのですが。」

「そりゃないぜさとりん。」

 

ひどい。

 

「そう思うんならばもっと普段の言動に気を付けてはどうでしょう。まあ貴男には無理ですか。」

 

「もうやめて、アタイのライフはもうゼロよ!」「そういう所だって言ってるんですよ。」

 

ちなみに家庭内ヒエラルキーのトップ2である。居候の癖に私より偉いのだ。

 

個性は(多分)読心。その個性を用いて多くの喋らぬ狐狸共を手なずけている。

 

「サボんなって言ってんだろ不定形動物ぁ!」ゴベキッ

 

「バベルッ!!」「ローリングソバットとは、また器用になりましたね。」

 

こいつ本当にタヌキかよ。

 

「こらー、喧嘩はだめよー。」

 

この間延びした声が特徴のお方は我が母である。ワガママである。うまいこと言った。

 

名前は殺生石 瑞久女(みずくめ)。ふっさふさの尻尾が九本ある美女である。

 

そして家庭内のヒエラルキー堂々の一位である。怖い。母の言葉に従わぬものは処刑されるのだ。

 

しかし私はマザーのテイルでシエスタするのが日課であった。

 

「・・・」

 

「あらお父さん起きたのー?朝ご飯できてるわよー。」

 

そして我が家最後の人型、マイファザーである。寡黙。名前は二ツ岩(ふたついわ) 団九郎(だんくろう)

 

もっふり尻尾がチャームポイントさ。

 

なんでも昔は一つの国を治めていたとかいないとか。まるで意味が解らんぞ。

 

さてさて、そうこうしているうちに時間が迫ってきてしまった。そろそろ出ないと学校に遅れてしまう。

 

「さあ諸君!学校に行く準備をしたまえ!時間は止まってはくれない「五月蠅いメタモル野郎」スパァン!

 

弟の家庭内暴力が加速する。

 

「あにぇきももう中学生になるんだからいい加減性格と行動に落ち着きを持てよ。」

 

それが出来れば苦労しない!

 

・・・本当にね。

 

 

私の普通じゃないポイント。不定形。

 

言葉通りに一定の姿形を持たない。持てない。

 

改めて自己紹介をしようか。私は殺生石(せっしょうせき) 化太郎(ばけたろう)。個性は変質。

 

私と、私の身に着けている物を私がイメージできる様々なものに姿を替えることが出来る個性だ。

 

そこには恐らくだが制限というものが無いのだろう。生物、無生物、空想上の存在あるいは、無。

 

其処にイメージが出来てしまったら、姿を変えてしまうのだ。

 

自身の身体が気体になるイメージをもったらガス生命体に。

 

自身の身体が不明の金属になるイメージを持ったらSFの人型ロボットに。

 

自身の身体が目の前の人になるイメージを持ったら目の前の人に。

 

常に変質し続けてしまう。自身の個性が常に暴走してしまっているのだ。其処に自分の意志は無い。

 

私は、生まれた時から自分の顔を持たなかったらしい。

 

人間の、最も個性的な部分の欠落。

 

ましてや、この誰のモノかも分からない知識、記憶、経験はなんだ?

 

私は誰だ。私は私なのか。私とは私で私の私は。

 

 

 

 

 

 

どうでもいいやぁ・・・。

 

 

そんな感じで私はいつも性格不安定なのだ。小学校の成績通知表でも

 

『もっと落ち着きを持ちましょう。』

 

とか書かれるくらい落ち着きを持たない。まあ、三つ子の魂百までっていうし、許して。

 

 

そんなこんなで、朝起きてからもう変質するのが10回目を迎えた。小学生の頃は100回とかが普通だからこれはもう成長といっても過言ではないんじゃなかろうかいやしかし五十歩百歩ともいうし結局10回も100回も変わんないんじゃないかなでも実際変質回数は減っているんだから順調に成長していってるねコレは高校に上がる位になったら一日2,3回くらいまでに抑えられるのではないかなそう考えたらテンション上がってきた流石に友達もっと欲しいしね親友と呼び合うような間柄なら居るんだけどやっぱりもっと友達が多いほうがいいかなでも一人親友が居るんだから贅沢もいっていられないかブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

 

 

・・・おっとまた無意識に変質してしまった。そういえばあのモジャ髪君元気かな。

 

というか気が付いたら弟もさとりんも居ない。小学校に行ってしまわれたのね。

 

時間もヤバイ、このままでは入学式初日に遅刻をしてしまい遅刻マンのレッテルを貼られてしまう。

 

折角なら遅刻ウーマンのほうがいい。

 

違う、そうじゃない。私は着の身着のまま、学校指定のカバンすら持たずに家を飛び出した。

 

「いってきまーす!!」

 

制服も、カバンも、学校ついてから変質して作ればいいや。

 

こういう時にこの個性は便利だよなぁと思いながら鳥に変質した。

 

何故か頭に違和感を覚える。まあいいや、無視した。学校までの道をひとっ跳びぞ。

 

 

 

 

 

「・・・なあ。」「あらー、お父さん。どうしたの?」

 

「・・・アイツ、あんなお面着けてたか?」「ついにオシャレに目覚めたのかしらー?」

 

 

 

学校には遅刻せずに済んだ。遅刻マンや遅刻ウーマン等のレッテルは貼られなかった。

 

変わりにマスクマンの称号を頂いた。解せぬ。




他の作品書いてたら凄いムラムラしてきたので思わず書いてしまいました。
こんな稚作をお読みいただいて感謝感激。

ちなみに化太郎の両親とも普通の人ではないので化太郎を産んでも
「まあこういうこともあるか。」
と気にしなかった。


BAKETARO
SESSYOSEKI

○個性

 変質

全身及び身に着けている物をあらゆる物に変えることが出来るぞ!
但しイメージだけで変わってしまい未だ制御が出来ていないから非常に不安定だ!
しかし個性の制御が出来ればまさにチート級だぞ!


殺生石’s顔-生まれつき無い。

殺生石’s全身-生まれつき無性。変身してないときは胸部装甲も槍も穴も無い。

殺生石’s服-体とともに変質するから基本的に安物。

殺生石’s仮面-夢の住人?からの貰い物。何故か個性の影響を受けない。

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