IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

84 / 182

暑い日と蒸し暑い日が続いて嫌になりますね。

では本編をどうぞ↓


第65話 決闘は決着に向かって

「はぁああああっ!!」

 

「つぇりゃぁああああっ!!」

 

雪片弐型の刃とシュバルツェア・レーゲンのプラズマ手刀がぶつかり合う。

零落白夜やAICのような不粋なものなど立ち入ることはない、純粋な力と力のぶつかり合い。

 

鍔競り合いになり、二人は互いの顔を近づける。

二人の表情は確かな笑顔であった。

 

「楽しいなぁ、なんの柵もなく、自分の力を全て出すことがこんなに楽しいとは思わなかった。」

 

「はっ! だったらもっと来いよ!!」

 

一夏は雪片弐型でラウラを払いのける。

そして弾き飛ばされたラウラは目線を一夏から逸らささずに後ろに飛ぶ。

 

「ああ、こうして全力を尽くすことを楽しいと思えるとは…。」

 

ギラつく瞳で笑いながら一夏を見据えるラウラはワイヤーブレードすらもアリーナの片隅に投げ捨てた。

 

 

 

 

「ああああああああっ!!!」

 

「イィィヤッ!!」

 

雪片弐型がシュバルツェア・レーゲンの左肩を、ラウラの手刀突きが白式の左胸を同時に貫く。

ISの生体保護機能で大事には至らないものの、二人の顔は僅かながらに苦痛で歪む。しかし、次の瞬間には二人とも笑みを浮かべていた。

 

「フフフ、フハハハハ、いいぞ、もっとだ!!もっと、もっとぉ!!」

 

狂ったような笑みを浮かべながらラウラは一夏に叫ぶ。

そんな一夏もまた、戦いに愉悦を覚えた顔をしていた。

 

シュバルツェア・レーゲンの肩に食い込んだ雪片弐型を引き抜き、もう一度振りかぶる。

ラウラも一夏のその動きを見て、今度は左腕を引き絞る。

 

「らぁぁあああああっ!!!」

 

「シャアアアッ!!」

 

今度も同時だった。

振り下ろされた雪片弐型の刃はシュバルツェア・レーゲンの右肩のユニットを叩き斬り、ラウラの放った手刀突きは深々と白式の右胸に食い込む。

 

「浅いな…!」

 

両胸の装甲を貫かれたが、一夏の動きは鈍ることはなかった。

それどころかシュバルツェア・レーゲンの肩のユニットを切り落としてからもなお、さらなる追撃を狙っていた。

 

振り下ろした雪片弐型の向きを変え、力の向きを急激に変えて振り上げる。

その刃はラウラの右脇腹を的確に殴り付けた。

 

「がぁっ!?!」

 

その衝撃にラウラは体中の空気を吐き出す。

そして、数十分にも及んだ二人の殴り合いは決着をむかえる。

 

一夏の放った振り上げはもう満身創痍であったシュバルツェア・レーゲンの残りのエネルギーを空にするには充分過ぎるほどの一撃だった。

それを受けたシュバルツェア・レーゲンは飛行する力を失い、真っ逆さまにアリーナの地面へと落ちていく。

 

その事をラウラは自身のISからの信号を通じて理解していた。

 

 

 

(終わる…のか…? この、闘争の時間が…?嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ、イヤダッ!!)

 

墜落し、動かなくなったシュバルツェア・レーゲンを身に纏うラウラはそれまでの戦いを胸に浮かべながら立ち上がる。

 

(もっと、もっとこの戦いを続けたい!!そのための、そのための力が…!!)

 

『機体損傷度甚大、精神状態規定値に到達、システム起動』

 

機械的な冷たい声が聞こえると、シュバルツェア・レーゲンの装甲が黒く溶けていく。

そしてそれは意思を持つかのようにラウラの体にまとわりついていく。

 

「な、なんだ、これは!?違う、私が求めた力は、こんなものじゃない!!」

 

身を捩らせてその黒いナニカから逃れようとするラウラであったが、次の瞬間には全身を黒い何かが覆った。

 

 

 

「い、今のはいったい!?」

 

「分かりませんわ。それよりもあの再起動は…。」

 

モニター越しにアリーナの様子を見ていた四人の内シャルロットとセシリアがまず声を上げた。

 

モニターに映るのは、全身を黒い装甲で覆われたシュバルツェア・レーゲンとそれと対峙する白式の姿だった。

 

 

 

「あれは…!!」

 

観客席で決闘を見守っていた千冬が面食らったような顔で呟くと、すぐさまその場を離れようとする。

だが、その千冬の腕を南美が掴み、引き留めた。

 

「手出し無用ですよ、織斑先生…。」

 

「今はそんなことを言っている場合じゃないだろう!!」

 

焦ったように言う千冬の顔を南美は見上げるとニッと笑う。

 

「少しは一夏くんを信じてあげてください、織斑先生。」

 

笑顔でそう言いきった南美は千冬の腕を掴んだまま視線をアリーナにいる一夏へと移した。

南美のそんな自信ありげな様子を見た千冬は躊躇いを見せた後、その隣に座った。

 

 

 





登場人物設定に追加を行いました。

追加メンバー
・高野レン
・ヘビィ=D!
・高町なのは


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。