いやぁ、遅くなりました。
期末と夏合宿とが連続で襲って来たもので…。
では本編をどうぞ↓
「さてと…。」
シャルロットと一夏がコンビを組むことを表明したその日の放課後、一夏はアリーナの中央でラウラと対峙している。
そしてそんな二人を見守るように南美は観客席の上段で佇んでいた。
「本当に良かったのか?」
観客席の手すりに掴まりながら缶コーヒーを飲み下した千冬は隣の南美に尋ねる。
「いいんですよ。こう言っちゃなんですが、一夏くんは“こっち側”の人間です。下手に口で話し合うよりも拳で語り合った方が早い。」
そう言って南美は手すりに寄りかかって、千冬の方を見た。
「まぁ、そうだな。……北星、お前は随分とラウラから慕われるようになったな。」
空の缶を握りしめながら千冬は話題を変えるように呟いた。
「………ラウラちゃんはまだ私達と同じ、子ども。こんなこと私が言えた立場じゃないけど、ラウラちゃんが見てきた世界は辛すぎる。」
「それは、…それは分かっているつもりだ…。」
「ただの格ゲーマーでバトルジャンキーの私にドイツのお国事情だとか、政治的なことだとか、ましてや試験管ベビーなんてことは分かりません。でも、これだけは分かります…、ラウラちゃんの親代わりだった貴女は、もっと何か言ってあげるべきだったって…。」
南美の指摘に千冬は下を向いて押し黙った。
そんな千冬に南美は言葉を続ける。
「千冬先生、貴女はちょっと不器用です…。一夏くんのことと言い、ラウラちゃんといい…。」
「言うな。そのくらい、自分が一番分かっているさ。私は口下手で、不器用な人間だ。」
そう千冬が言うと、南美はそれ以上何も言わなかった。
その代わりに、アリーナの中央で向かい合う二人へと、視線を移す。
「…決闘の申し出、受けてくれた事を感謝する。」
ISを装備した二人、そのうちの片方であるラウラが対峙する一夏に言った。
「……ああ。折角やるんだ、全力でやろう。腹の内までさらけ出して、後腐れなく、な…。」
そう言って一夏は雪片弐型を構える。
「ああそうだな。正々堂々とやろう。いざ、情ケ無用!!」
ラウラのその言葉を合図に二人は急加速する。
アリーナに響くのは二人の声とぶつかり合う重い激突音だけ。
南美と千冬は観客席から黙って二人の決闘を見守っている。
そしてそれは他の専用機持ちも同じ。
彼女らはピットの中で、モニター越しに二人の戦いを見守るだけだった。
「ぐっ!」
「どうした!!そんなものか!!」
ラウラのワイヤーブレードが一夏の雪片弐型を絡めとる。
そして思いっきりワイヤーブレードを握る腕を引き、雪片弐型ごと一夏の体を引き寄せる。
そしてラウラは拳を握り右腕を引き絞る。
それを見た一夏は雪片弐型を手放し上体を起こした。
「「ああああああっ!!」」
二人の声、そして腕が交差する。
両者の拳は互いの顔を確かに捉えていた。
次の一手は同時だった。
ラウラはすかさず左足で一夏の右膝を蹴り、一夏はラウラの右腕を捻る。
ラウラは肘を捻られながらも蹴りつけ、そのまま力に従って動き、空中で1回転する。
そして一夏は回るラウラの体から、ただ一点、頭目掛けて右足を思いっきり振り抜いた。
力強く、ISの補助も加わって放たれた強烈な蹴り。
それを受けたラウラの体はまたもや力の向く方向へと回転する…かに思われた。
しかし現実は違った。
ラウラは蹴られた瞬間に一夏の右足首を掴んでいたのだ。
一夏の右足首を掴んだラウラは逆さまのまま、体を真っ直ぐに伸ばし、振り下ろすような蹴りを一夏の頭に打ち込んだ。
完全に決まったはずの蹴り。それこそ渾身の一撃だった。それこそこのような間をおかない反撃が飛んでくるとは露にも思わないほどに。
しかし、それが現実である。
決まったと思い、力の抜けた一夏を襲ったのは衝撃だった。
堪らず一夏は距離を取った。
そしてラウラも間合いとタイミングを測るかのように1歩、また1歩と飛び退く。
「そんな、ものなのか…?」
不意にラウラが呟いた。回線を繋いだわけでもない、ただの小さなその言葉はただ一人、一夏にしか届いていない。
「そんなものなのか? あの時、守れる限りの者を守ると私に言い張った貴様の力はこの程度のものなのか!?」
ラウラの言葉は終わりに近づくほどに強くなる。
その言葉を受けた一夏は転がっていた雪片弐型を拾い上げる。
「そんなわけねぇだろ。さぁ、来いよ、こっからがオレの全力だ…。」
一夏は雪片弐型を正眼に構えてそう言った。
この前、夏休みを利用して自分探しの旅に出ている友人に頼まれて友人宅を掃除してましたら、“クラリッサが鼎二尉に見えてきた。”と書きなぐられたメモが見つかりました。
どういうことなんでしょう。
これと似た症状を知っている方はいますでしょうか?