IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

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これから忙しくなるので、投稿ペースはまた以前のように遅くなります。

では本編をどうぞ↓


第57話 乙女達の反省会

「勝負はここまでのようね…。」

 

「残念だけど、決着をつけるのは今じゃないってことか…。」

 

ボロボロのまま対峙する二人は心の底から残念そうに呟いた。

 

「行きましょセシリア…。今度は勝つわよ。」

 

「えぇ、私も努力致します。今度こそ、二人で勝ちましょう…。」

 

疲労困憊の鈴はセシリアの肩を借りながらよろよろと歩きアリーナを後にする。

その後ろ姿を見届けた南美は二人の姿が見えなくなると仰向けに寝転がり、天井に目線を向ける。

 

「ふぃぃ…、疲れたぁ…。」

 

「…二連戦しても疲れたで済むのだな…。」

 

「アハハ、慣れてるからね。今まで私は連戦を言い訳に出来なかったから。」

 

南美の言葉に箒は“そうか”とだけ呟く。

そして仰向けに寝る南美の隣に腰を下ろした。

 

「私は…強くなれるだろうか…。」

 

「どしたの急に?」

 

いつもの箒らしくない、弱気な発言に南美は彼女の顔に目を向ける。すると、うつ向いていた箒と目があった。

 

「私と一夏は今、狗飼師匠の稽古を受けている。そしてISの訓練も同じような事をしている。でも、一夏はどんどん前に進んで行くような気がするんだ…。今日の南美との試合を見て思ったんだ。私と一夏のどこに差があるんだ…。」

 

「……箒ちゃんはさぁ、どうして強くなりたいの?」

 

南美の質問を受けた箒は言葉に詰まる。

そして幾秒かの間の後にやっと口を開いた。

 

「…自分でも、わからない…。ただ、今よりも強く、もっと、もっともっと強くなれば、自由になれるかもしれない。そんな事を昔は思っていた。でも今は、い、一夏の隣にずっといれるかもしれないなんて事を考える自分もいるんだ…。」

 

箒の独白を黙って聞いていた南美は最後までその言葉を聞き終えると、ニヤリと口元に笑みを浮かべる。

 

「乙女だねぇ。でもまぁ、好きな人の為にって気持ちは分からなくはないかな?」

 

「そ、そそそ、そんな! 私は一夏の事なんて、これっぽっちも…!!」

 

「嘘おっしゃい。今の態度でバレバレよ。」

 

「ぐぬぬ…。」

 

アハハと笑う南美を箒は真っ赤な顔のまま睨み付ける。

しかし南美はそんな箒の眼力もなんのその、ニヤニヤと箒の事を見続ける。

 

「まぁ好きな人の為に頑張ればその内花開くもんよ。焦らず頑張るしかないと思うわ。」

 

「だ、だから私は一夏のことなぞ!!」

 

「はーいはい、分かったから(ニヤニヤ)」

 

「ぐ、その顔を止めろー!!」

 

箒は木刀を取り出して南美に詰め寄る。そんな箒の反応を面白がるように南美は声を出して笑い、疲労の色を見せないまま走って逃げた。

 

「待て南美!」

 

「待てと言われて待つもんですか~。」

 

 

 

「ありがとセシリア…。」

 

セシリアの肩を借りて更衣室まで辿り着いた鈴はそのままベンチに腰掛ける。

 

「負けたわ、ね。」

 

「えぇ、2対1の勝負でしたから確かに私が残っていたので勝ちですが…。」

 

「あんな勝ち方じゃ、情けないし、勝ったなんて言えないわ。」

 

「同感ですわ。」

 

二人しかいない更衣室にはどこか重たい空気が流れる。

そして暫くの沈黙が場を支配していると、ベンチに腰掛けている鈴が口を開いた。

 

「…あたしらの連携もまだまだ、個人の力もまだまだってことね。セシリア、特訓の時間を増やすわよ。」

 

鈴の言葉を聞いたセシリアの瞳に光が灯る。そして好戦的な笑みを浮かべるとつかつかと鈴の前まで歩み出る。

 

「もちろんですわ! それでこそ私のパートナー、今度こそ南美さんに勝ちますわよ!」

 

「当たり前じゃない! さぁそうと決まったら早速反省会ね。忘れないうちにやるわよ!」

 

明るく言う少女達は自分の使うロッカーの中から中頃までの各ページにびっしりとメモ書きのなされたノートを取り出す。

 

「まず今回の反省点はセシリアの遠距離火力を活かせなかったことね。」

 

「えぇ、当たったのは囮だったビットの射撃…。私のスターライトmarkⅡの直撃はありませんでした。」

 

残念そうに首を横に振るセシリア。その正面では鈴が小さく頷きながらノートに書き込んでいる。

 

こうしてセシリアと鈴が遅くまで綿密なミーティングを行い、一夏がシャルルに銃について教えを請うて夜を過ごした。

 

少年少女達の研鑽の日々はまだまだ続く。

 

 

 

 

 






そろそろ番外編でも書こうかなぁなんて…。


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