IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

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久々の番外編です。
いつもより長いです。

それでは本編をどうぞ↓


番外編 KGDO社内大会!

これは南美達がIS学園に入学する1年前の年の瀬の出来事である。

 

 

 

 

「さぁ、今年も始まりましたKGDO恒例の社内大会だぁああ!!」

 

アナウンスと同時に会場のボルテージが急上昇する。

観客の熱気によって暖められた会場は年末であることを忘れるくらい暑く、そして熱い。

 

腕利き揃いで知られるKGDOは警備員同士の切磋琢磨と世間へのイメージ戦略として、いつも年の瀬に社内大会を開き、それを一般に公開している。

そしてその大会は格闘ファンにとっては堪らないものであるため、チケットは出る度に即完売となるのだ。

 

「取り合えずしょっぱな、というよりも常時解説は飛田高明さんにお越しいただいていまーす! 随時ゲスト解説を入れますけどね。」

 

「どうも、KGDO社員の飛田です。」

 

実況ブースに設けられた解説者席に座る飛田は小さく頭を下げる。

 

「さぁ、それでは早速第1試合と行きましょう! 第1試合は川内弥子さん対陣雷浩一さんの試合です。いやー、早速の好カードですね、飛田さん!」

 

「えぇ、弥子さんの実力はかなりですし、対戦相手の陣雷も負けてはいません。」

 

実況と飛田の掛け合いが終わると、リング上のディスプレイに弥子と陣雷の姿が映し出される。

そしてそれと同時に会場の対角にある入り口から白いスモークが吹き出し、その煙を裂くようにそれぞれの入り口から弥子と陣雷が姿を現す。

 

「赤コーナー! 白いスモークから姿を現すのは褐色の美女! だがその正体は全てを叩き潰す破壊の化身、“撲殺”弥子ぉ!!」

 

「「うぉおおおおお!!川内さぁあああん!!」」

 

リングに上がる弥子を見て彼女のファンが一斉に彼女の名前を叫ぶ。

すると弥子はその一団がいる方に顔を向け、拳を掲げる。

 

「対する青コーナー! ローキックの鬼、現役時代にこの男の餌食になった選手は数知れず、ハリケーンソルジャー!陣雷ぃ浩一ぃい!!」

 

「うぉっしゃぁあああああっ!!」

 

リングに上がると同時に陣雷は威嚇するかのように雄叫びを上げる。

そしてその雄叫びに答えるように青コーナー側の観客席から野太い叫び声が響き渡る。

 

 

「さぁ、両者リング上で睨みあっています。ここでルールの説明を少々。KGDO社内大会は基本的に何でもアリなんですが、社員同士の切磋琢磨が目的なので目潰しや関節技からの完全粉砕などは無しとなっております。」

 

解説の前置きが終わると、観客席の全ての視線は中央のリングに注がれる。

リング上の弥子と陣雷は既に臨戦モードであり、2人の目は獣のようにギラついている。

 

「時間無制限一本勝負、始め!!」

 

2人の間に立つレフェリーが後ろに下がりながらそう宣言するとゴングがなり、試合開始を告げる。

 

「らぁあああっ!!」

 

ゴングと同時に仕掛けたのは陣雷の方であった。

一歩前に詰めて弥子の膝に自慢のローキックを放ち続ける。

 

「ロー!ロー!ロー!もう一発ロー!!陣雷選手のローキック攻勢が止まらない!弥子選手の膝を削っていく!!」

 

陣雷から連射されるローキックを弥子はただただ構えを崩さずに耐えている。

一切の表情も変えずに弥子はひたすらに陣雷の蹴りを受け止め続ける。そして数秒後、陣雷の蹴りが一瞬止まった瞬間に弥子が歩を進める。

 

「はぁぁぁ、つぇらあっ!!」

 

強く踏み込み放たれた弥子の拳はその衝撃だけで陣雷の巨体を持ち上げる。

 

「うぼぉ?!」

 

鳩尾に突き刺さった弥子の拳によって陣雷は肺に詰まっていた空気を吐き出す。

だが弥子はそれだけで止まらない。浮いた陣雷の腕を掴み、自身の身を反転させ背負い投げの要領で陣雷をリングマットに叩きつけた。

叩きつけられた陣雷は軽く呻くと敗北を認めてそのまま意識を手放し、弥子の勝利が確定する。

 

「決着!電光石火とはこの事か! ローキック攻勢で優勢に立っていたはずの陣雷選手が次の瞬間にはマットに沈んでいたぁあ!! コレが“撲殺”弥子の実力なのか!? 飛田さん、これは一体…?」

 

「陣雷の攻め方は間違ってませんよ、相手が普通なら、ね。弥子さんのスタイルはパワー至上主義の一撃重視です。彼女の間合いに入ることは死地に赴くことと同義です。」

 

どよめきと歓声が渦巻く会場で、淡々と飛田が解説を続ける。

 

「弥子さんの一番の驚異は腕と脚のどれか一つでも生きてれば致命的な一撃を撃てる事です。いや、自分で言っておいてなんですが反則染みてますね。まぁ、膝を削ろうとした陣雷は間違ってません、けれどその程度では弥子さんを止められません。対処法は足を止めずに正面から打ち合わない事でしょう。」

 

「なるほどなるほど。飛田さんありがとうございます。それでは次の試合に行く前にゲスト解説の方を紹介します。先程の試合に勝利しました川内弥子さんです!」

 

実況が飛田の隣の席に手を向けると、そこにはにこやかな笑顔で座る弥子がいる。

試合を終えてから直行してきたのか、試合衣装のままであり、まだ所々に細かな汗が浮いている。

 

「どうも、ご紹介に預かりました川内です。解説は不馴れですが飛田さんもいますし、大丈夫でしょう。」

 

「さらりとハードルを上げますね。」

 

「飛田さんへの信頼です。」

 

解説席の2人が和やかに談笑をしていると、次の試合の時間へと差し掛かる。

 

 

「さぁそれでは次の試合です。次はルガール=ベルンシュタインさん対不破刃さんの試合です!」

 

「もうルガールさんが出てくるの?」

 

「例年よりも早いですね、クジの関係とは言え…。」

 

実況のアナウンスに解説の2人は驚いた顔をして、苦笑いを浮かべる。

だがそんな2人とは違い、観客席は大いに盛り上がっている。

 

そしてそうこうしているとリング上のディスプレイにルガールと不破刃の姿が映され、2つの入り口から勢いよくスモークが噴射される。

 

「まずは青コーナー! 鍛え上げた肉体を見せ、雄叫びを上げてリングに推参するのはKGDOきっての漢!! その内面を知る者達は彼をこう評する、“凄い漢だ”と!不破刃選手の入場です!」

 

「うおおおおおおおおっ!!」

 

スモークの中から雄叫びとともに勢いよく飛び出してきたのはいつものように上半身を晒した不破刃である。

その雄叫びを聞いた観客は皆、やまびこのように雄叫びを返す。

そうしてずんずんと進んでいく不破はリングロープを潜るのではなく、跳躍によって飛び越えてリングインした。

 

「対する赤コーナー! KGDO物資輸送部門のトップ。運送ならば任せておけ、運送の神とはオレの事だ、ルガール=ベルンシュタイン選手です!!」

 

アナウンスと同時に割れんばかりの歓声を受け、ルガールが登場する。

その風格は正に歴戦の勇士そのものである。

ルガールは勢いよくリングインした不破とは違い、ゆっくりと一歩一歩を踏みしめながらリングインする。

 

「今年もこの日が来たな!ルガール!!」

 

「あぁ、私も待ちわびたぞ。強者との闘争、望むところよ…。」

 

ルガールは薄く笑みを浮かべ、手袋を嵌め直す。

両者が準備を終えて数秒後、開始を告げるゴングが鳴る。

 

─シネェイ... ツブレロツブレロツブレロツブレロツブレロ(ry

 

 

「け、決着です! ルガール選手、頭突きにいった不破選手の頭を掴んでそのままリングポストに叩きつけたかと思ったら、次は対角のリングポストに叩きつけるの繰り返しに不破選手、あえなくダウン!」

 

「うわちゃ~、運送スペシャル…。」

 

「頭突きを読まれていましたね。恐らくですが興奮で頭に血が昇ってたんでしょう。」

 

解説の2人は揃って頭を抱えている。

原因は不破刃に何もさせずに沈めたルガールの荒業にあった。

 

「飛田さん、弥子さん、先程のルガール選手のアレは…?」

 

「自分達は運送スペシャルと呼んでます。」

 

「原理は簡単ですよ。相手の頭をリングポストに叩きつけて、跳ね返って来た相手の頭を掴んで対角のポストに運んで叩きつけての繰り返し。どんな相手も簡単に気絶させられるルガールさんの必殺技ですね。」

 

「と簡単に言っても、相手を高速で押し込んで運べるパワーとスピードを兼ね備えたルガールさんだからできる技です。」

 

2人の解説に実況はポカーンと口を開けていたが、すぐに我に返るとマイクを握る。

 

「なるほどぉ…。常人に真似できる事ではないと…。」

 

「「そうですね。」」

 

実況の言葉に弥子と飛田は揃って溜め息を吐き出した。

 

 

「ではでは次の試合に移りまーす。次はクリザリッドさん対アーデルハイドさんの試合です。」

 

「アーデルハイドくんはルガールさんの息子さんですね。ドイツではそれなりに有名な選手で、大学卒業からすぐにKGDOに入社した若手のホープですよ。」

 

「社内大会は今年が初参加なので実力はまだまだ未知数、楽しみです。」

 

ほうほう(梟)と実況が頷き、フンスと鼻息荒くしてアーデルハイドを見る。

 

「片やクリザはKGDOの中間管理職代表ですね。実力も高いですし、堅実な戦い方をしますね。」

 

「まぁ、私としてはクリザの肉弾戦より恋の進展の方が見たいですけどね~。」

 

弥子はアハハハハと笑いながらクリザリッドを見る。そこには会場の放送で恋沙汰をバラされてキョドるクリザリッドの姿があった。

 

(ドンマイ、クリザ…。)

 

そんなキョドりまくりな姿を晒すクリザリッドを見て飛田は小さく溜め息を吐いた。

 

 

「くそ…。調子が崩れる…。」

 

「ドンマイですね、クリザリッドさん。」

 

「…言うな…。」

 

リング上で向かい合う2人はこれから試合で手合わせをするとは思えないほど気の抜けた会話を始める。

だが、その身に纏う空気は本物の闘士のものである。

 

「さぁ、始めるぞアーデル。構えろ。」

 

「は、はい! よろしくお願いします!」

 

2人が構えを取ると同時にレフェリーの声が掛かり、ゴングが鳴らされる。

 

「行きます!!」

 

先に仕掛けたのは若手のアーデルハイドの方だった。

経験の差もあり、先手を譲ったら押し負けるという考えだろう。

 

「遅いぞ!」

 

体勢低く突っ込んでいくアーデルハイドをクリザリッドは彼のこめかみを抉るように鋭いローキックで迎撃する。

 

「中間管理職を甘く見るなよ。」

 

ローキックを思いきり食らい、体が揺らいだアーデルハイドにそう言い放ったクリザリッドは手を緩めずに攻勢に移る。

 

 

 

「終わりにしようか…。」

 

満身創痍で、今にも膝を付きそうになっているアーデルハイドにクリザリッドは冷たく言う。

 

「行くぞ!」

 

足下すら覚束無いアーデルハイドに向けてクリザリッドは鋭く踏み込む。

だが、アーデルハイドは折れていなかった。

踏み込んできたクリザリッドに対して全速で踏み込み、その頭を掴んだ。

 

「うあああああああっ!!」

 

クリザリッドの頭を掴んでアーデルハイドは渾身の力でクリザリッドをリングポストに向けて叩きつけようと頭を掴んだまま走る。

だが、そのままされるがままになるほどクリザリッドは甘い男ではない。

あと一歩踏み込み、腕を伸ばせば叩きつける事が可能な距離まで詰まった瞬間、クリザリッドはアーデルハイドの鳩尾目掛けて強烈な膝蹴りを見舞う。

 

「ぐぬぅ!?」

 

「うがぁあ!」

 

クリザリッドの膝蹴りをもらったものの、アーデルハイドの勢いは止まらずクリザリッドはリングポストに叩きつけられた。

 

アーデルハイドのその姿は父親であるルガール=ベルンシュタインを彷彿とさせる。そして彼の放った技が父親と同じものであるならばこの後はクリザリッドの頭を掴み、対角にあるリングポストに叩きつけるのだが、アーデルハイドはクリザリッドの頭を掴み叩きつけた姿勢のまま動かない。

 

「こ、これはどうしたのでしょうか…? クリザリッド選手もアーデルハイド選手も動かなくなりましたが…。」

 

「勝負あり…か。」

 

「そうですね。」

 

実況ブースにいる弥子と飛田がそう言うと、腕を伸ばしたままの姿勢でいたアーデルハイドが急に崩れ落ち、リングマットに沈む。

 

「え、え、ア、アーデルハイド選手がダウン! と言うことはクリザリッド選手の勝ち─」

 

「いいえ、勝ったのは2人ですよ。」

 

クリザリッドの勝ちを告げようとした実況の声を遮り、弥子が言う。

その視線の先にはリングポストに叩きつけられ、立ったまま気絶したクリザリッドの姿があった。

 

「ダブルノックアウト…。アーデルハイドくんの大健闘ですね。」

 

腕を組んだまま微笑む弥子は実況ブースから立ち去り、リング上の2人に駆け寄る。

そして2人の呼吸が規則正しいことを確認すると、頭を強打したクリザリッドは担架を持った救護班に任せ、自身はアーデルハイドを肩に担いでリング上を後にした。

 

「パンチドランカーを狙ったのか、偶然か…。どちらにせよ凄い新人ですね。」

 

弥子と救護班によって医務室に運ばれた2人を見送った飛田は賞賛の言葉をアーデルハイドに送る。

会場は最後に意地を見せたアーデルハイドへの拍手が鳴り響いている。

 

 

 

「さてさて、新人のアーデルハイド選手がクリザリッド選手に食らい付き相討ちという結果に終わった先程の試合で、会場は大いに盛り上がっています。」

 

「これは次の試合が楽しみですね。次の組合わせは?」

 

「はいはい、それでは次の試合です。グスタフ=ミュンヒハウゼンさんと狗飼瑛護さんの試合です。」

 

グスタフの名前が告げられた瞬間、解説席の飛田の顔が強張り、控え室で待機しているKGDOの社員全員がどよめいた。

 

 

「もうダメだぁ…、おしまいだぁ…。」

 

「あかん、グスタフさんはあかんのや…。」

 

 

「な、何やら観客席の社員エリアがとてもざわついてますね…。」

 

「今まで参加してこなかった、いや参加を自粛していたグスタフさんが早くも出てきましたから、動揺しているのでしょう。」

 

なんとなく分かっていない事務方出身の実況者に飛田は顔を強張らせたまま説明をする。

その最中も観客席に準備されている社員エリアではまだ動揺が走っている。

 

「試合を始める前に、弥子さんが医務室に行ってしまったので新しいゲストの方を紹介します! 先程大健闘したアーデルハイドさんのお父さん、ルガール=ベルンシュタインさんにお越しいただきました!」

 

「よろしく頼むよ。」

 

実況に笑顔で話を振られ、ルガールは微笑みながら頭を軽く下げる。

 

「それではKGDOの中でもベテランのルガールさんに質問です。今から試合をするグスタフさんとはどのような方なのでしょうか?」

 

「実直な男だよ。仕事に真面目だし、私生活もキッチリしてる。かなり信頼できる人物さ。腕も確かだしね。」

 

「なるほど、確かに写真を見るととても真面目そうに見えますね。」

 

実況がリング上のディスプレイに映るグスタフと狗飼の姿を見て少しだけ頬を緩ませた。

 

「さて、選手2人の準備ができたようなので、入場していただきましょう!」

 

声高に実況がそう告げると2つの入り口から勢いよくスモークが噴射され、同時に観客席から轟くような歓声が会場中に響く。

 

「まずは青コーナー! スーツに身を包み、現代に蘇った侍! その刀に斬れぬものはあんまりない!! 狗飼瑛護!!」

 

実況の声とともに真っ白なスモークの中から黒いスーツに身を包んだ狗飼が静かに現れる。

そして鋭い目付きでリングを見定め、歩みを進める。

 

「対するは赤コーナー! 今まで自粛していた男が遂に出場! その実力を見せつけに来た! グスタフ=ミュンヒハウゼン!!」

 

白いスモークから出てきたのは、全身を黒い衣服で包んだオールバックの男。

不敵に微笑み、リング上の狗飼を見定めるグスタフは余裕のある笑みのままリングに上がる。

 

「瑛護…。お前とやるのは久しぶりだな。」

 

「グスタフさん、今日は胸を借りるつもりでぶつからせてもらいます!」

 

竹刀を握り締めた狗飼は緊張していた顔から一気に戦士の顔つきになる。

同様にグスタフも余裕の表情は崩さないものの、その瞳に闘志が宿る。

 

2人の準備が整うと、ゴングの高い音が鳴り響く。

ゴングと同時にグスタフは一歩飛び退き、狗飼を見据える。

 

それを見て一瞬躊躇った狗飼だが、直後には足を踏み出して斬りかかる。

 

だが、3歩の距離に入った瞬間、狗飼の体は大きく揺らいだ。

 

「っ!?」

 

「さぁ、行くぞ!」

 

体勢の崩れた狗飼にグスタフが距離を詰めて襲いかかる。

黒いスーツに身を包んでいるとは思えないほど機敏な動きで瞬く間に距離を詰め、左右の拳でラッシュする。

 

 

「い、今のは…? 何もないところで狗飼選手の姿勢が崩れたような気がしたのですが…。」

 

「アレがグスタフさんの戦い方です。半透明のワイヤーを使っての搦め手を用いて相手を崩す、強いですよ。」

 

「大半の人間はアレを見切れずに負ける。」

 

実況ブースに座るルガールと飛田はグスタフの一挙手一投足をつぶさに目で追っている。

だが、実況は何が起こっているのか目で追えていないようで、困惑を隠せないでいる。

 

 

 

「吹き飛べ!」

 

開始から十分弱、ボロボロになった狗飼に向けてグスタフが手を振るうと、次の瞬間には狗飼の体が宙を舞いリングの外に落ちる。

 

「決着です! グスタフ選手、圧巻の実力!!」

 

「…狗飼も粘ってはいたのですが…。」

 

「相手が悪かったな、これは。」

 

竹刀を器用に使って凌いでいた狗飼であったが、グスタフの圧倒的な手数を前にして敗北を喫したのであった。

 

 

「荒らしや、荒らしがおる。」

 

「あかんのや、グスタフさんはホンマにあかんのや…。」

 

「ワイヤー、当て身、…うっ、頭が…。」

 

社員エリアでは圧倒的な実力を見せたグスタフの姿にトラウマを刺激された者達によって阿鼻叫喚の様相を呈していた。

 

 

そしてそのまま大会は進み、最後の試合はルガール=ベルンシュタインとグスタフ=ミュンヒハウゼンによる30分以上に渡る死闘の末に両者気絶と相成った。

 

 

「以上でKGDO社内大会を終わります。実況は私、武富桜子。解説は─」

 

「KGDO社員、飛田高明でお送りしました。」

 

「それでは皆さん、また1年後にお会いしましょう!」

 

こうして毎年恒例KGDO社内大会は幕を閉じたのである。

 

 





呂虎龍が出ていないのは、この時はまだ中国国内でVIPの護衛をしていたからです。

狗飼はこの日だけ同僚に交代してもらってます。


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