今回は少し短いです。
※注意※
この作品はフィクションです。実在の人物、事件、団体とは一切関係なく、また、中野TRF及びそこに通うプレイヤーの方々を誹謗・中傷する目的は一切ありません。
久々な前置きが済んだところで本編をどうぞ↓
時は少し遡って南美のIS学園入学が決定してから2週間後の土曜日、この日TRF‐Rでは異様な光景が広がっていた。
いつもなら各々好きなところに陣取り、進行役の声を待っているはずのモヒカン一同は、今日に限ってなぜか整然と隊列を組んで並んでいた。それも皆、歴戦の兵士のような精悍な面持ちで。
そしてそんなモヒカン達の前に立つ一人の男がいた。そう、モヒカンリーダーの鋼である。
鋼はマイクの前で小さく息をつき、重々しくその口を開いた。
「諸君、私は北斗が好きだ。
諸君、私は北斗が好きだ。
諸君! 私は北斗が大好きだ。」
鋼の口から発せられる言葉。それに動じることなくモヒカン達は次の言葉を待つ。
何故なら“北斗が好き”であることなど、ここに集う者達には当然のことだからである。
「バスケが好きだ。百烈が好きだ。ドリブルが好きだ。タイフーンループが好きだ。ドラム缶ハメが好きだ。釵ループが好きだ。ブーンループが好きだ。一撃コンが好きだ。
トキで、レイで、ユダで、ラオウで、ケンシロウで、サウザーで、シンで、ジャギで、ハート様で、マミヤで…。
AC北斗で行われるありとあらゆる永久コンボと即死が大好きだ。」
ズイと鋼が身を乗り出した。
そこにはいつものふざけた彼の姿はなく、心の底から北斗を愛する真摯さが滲み出ている。
「対戦相手をバスケで殺すのが好きだ。空中高く浮き上がった対戦相手を更に追撃して心の肋骨をバラバラにした時などは心が踊る!
覇者の操るレイが他の修羅達を撃破するのが好きだ。覇者にへこまされ、逃げ出した先でクイーンに追い打ちされている所を見たときは胸がすくような気持ちだった。
屠殺場で待ち受けるクイーンが覚悟を決めたモヒカン達を蹂躙するのが好きだ。茫然としたモヒカンが、俄に残った意識で何度も何度もコインを投入する姿は感動すら覚える!
敗北した修羅達を煽ってる時などはもうたまらない!
私の言葉でえぐれシジミがビクンビクンという絶叫と共にびくびくと体を震わせるのも最高だ!
哀れなモヒカン達が弱キャラを使って健気にも立ち上がって来たのを、レイで完全に消毒してやった時などは絶頂すら覚える!!」
ダンッと鋼は愉悦の表情を浮かべながら床を踏み鳴らす。だがすぐに真面目な顔に戻って言葉を続ける。
「他の修羅達に滅茶苦茶にされるのが好きだ。
必死に積み上げてきた連勝数が止められ、逆に積み上げられるのはとてもとても悲しいことだ。
圧倒的なダイアの前に屈するのが好きだ。
覇者にちにゃられ、すかすかの財布でとぼとぼと帰るのは屈辱の極みだ!」
息をつき、一呼吸置いて、更に言葉を続ける。
「諸君、私は世紀末を、更なる世紀末を望んでいる。諸君、私に付き従うモヒカン戦友諸君。諸君らは何を望んでいる?
更なる世紀末を望むか? 情け容赦ない糞のような世紀末を望むか?
あらゆるコンボパーツを使い、どこからでも10割削る、嵐のような世紀末を望むか?」
鋼がモヒカン達にそう問いかけると彼らは一斉に腕を掲げた。
「「世紀末(クリーク)! 世紀末! 世紀末!」」
モヒカン達の一斉唱に鋼は満足げな笑みを浮かべる。
「よろしい、ならば世紀末だ。
我々は満身の力を込めて今まさに降り下ろさんとする握り拳だ。
だが、この暗い闇の底(TRF‐R)で何年もの間耐え続けてきた我々にはただの世紀末ではもはや足りない!
大世紀末を!
一心不乱の世紀末を!!」
鋼の力強い言葉を聞いてモヒカン達の顔はいっそう引き締まる。
「我等は所詮1店舗の常連客、30人程度のモヒカン集団に過ぎない。だが、諸君らは一騎当千の古強者だと私は信仰している。ならば諸君と私で総力30000と一人のモヒカン集団となる。
我々を忘却の彼方へと追いやり、眠りこけている連中を叩き起こそう。
台の横に立って煽り尽くしてやろう。
連中に世紀末の恐怖を思い出させてやる。
連中に我々のやり込み量を思い出させてやる。
天と地の──」
(TA・Д・)<選手宣誓がなげぇよ!
(眉゜Д゜)<ホントそれな。
(♂・鋼・)<あぁ⁉ パフォーマンスではしゃいで何がワリィんだよ!
(TA・Д・)<今日の主役はお前じゃねぇから。もういい、土曜大会ノーサちゃん進学おめでとうスペシャルの開幕だぁ!
(モヒ・Д・)<ヒャッハー!
(モヒ・∀・)<イィィエェエエエッ!!
「さーて1回戦の第4試合、本日の主役、ノーサシンの登場です!」
(モヒ゜Д゜)<クイーン来た、これで勝つる。
(モヒ・ω・)<ノーサちゃぁあああんっ!!
「ヒャッハー! TRF‐Rじゃあ!!」
1P側に座りながらノーサが声を上げる。2P側では対戦相手のメビューシャが青い顔をしていた。
ジョインジョインジョインジョインシィン ジョインジョインジョインシィン
デデデデザタイムオブレトビューション バトーワン デッサイダデステニーナントゴクトケンッ
「さぁ、欲望まみれの開幕獄屠拳をパナしていくのはノーサシン。いつものように主導権を握っていくぅ。」
ペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシナントゴクトケンッ
「君が、死ぬまで、コンボを、止めない!!」
「ペシペシ殴って獄屠拳、完全に浮かせて入部完了。クイーンがシンバスケを投入して殴り続ける! 容赦はしないと、そう言わんばかりの手元の動き。もはや人間には不可能ではないか?」
ユリアァァアアアアッ
「勝ったのはノーサシン。メビューシャの顔が真っ青になっています。」
(メ・д・)<オレノーサさんに何かしました?
(モヒ・∀・)<メビューシャ、ドンマイ!
(モヒ・Д・)<それなりにおいしいポジだから。
「続きまして、第5試合。鋼レイ対えぐれサウザーです。」
(♂・鋼・)<イィィエェエエエッ!! 空前絶後の、超絶怒濤の北斗プレイヤー! 北斗を愛し、北斗に愛された男ぉ、百烈、ドリブル、トラベリング、全ての永パの産みの親! そぉ、我こそはぁ─
(TA・Д・)<良いから試合始めんぞ!!
(♂・鋼・)<なぁぜぇだ!?
こうしてまた何事もなく大会は進み、いつもの北斗勢の姿がそこにはあった。
今日もTRF‐Rは平和である。
「ほんわ君さん!」
「ノーサさん!」
大会が終わると南美は店内の隅に駆け出し、そこにいたほんわ君に抱きついた。ほんわ君も南美のその行動にはもう馴れているのか、普通に受け止める。
そうして大会終わりのフリータイムに店内の一角で一部に有名なカップルがいちゃつき始めた。
店の隅に置かれたベンチに二人は腰を掛ける。
「えへへ、優勝しました。」
「うん、見てたよ。凄かった!」
モミー店長が二人の為に追加で置いたベンチで二人は彼らだけの空間を作っている。
こういう時、この近くには誰も近寄らないのがTRF‐Rの新しい暗黙の了解となっている。
TRF‐Rの常連客公認カップルであるため、このタイミングで彼らに話し掛けるような無粋な者はいないのである。
なぜだろう、こういう話の方が筆が進むという…。
ちなみに活動報告の方でアンケートを行っています。
時間のある方は一度覗いてみてください。