IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

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お待たせしました…。
と言っても今回は短めです。申し訳ないです。

では本編をどうぞ↓


第23話 世紀末企業の機体

──IS学園 第3アリーナ

 

「さてそれではISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、北星は前に出ろ。」

 

千冬の指示に従い、3人が前に出る。

 

余談ではあるが、IS学園指定のISスーツのデザインはどことなくスク水を彷彿とさせる。学園の上層部にそういった趣味の人間でもいるのだろうか…。

 

そんなことは置いておいて、南美、セシリア、一夏の3人がみんなの前に出る。

 

 

 

side 一夏

 

「…、織斑、もっと早く展開しろ。熟練者はISの展開に1秒とかからないぞ。」

 

そんな事言われてもまだコツが掴めてないんだ…。

 

ISは一度フィッティング、つまりその人専用に合わせるとアクセサリーの形で待機できるようになる。

セシリアは左耳の青いイヤーカフス、南美は左足首のアンクレット、そしてオレのはガントレットだ。

…アクセサリーじゃなくて防具なのでは?と突っ込んではいけない。

 

意識を右腕のガントレットに集中させる。

ISを纏うイメージを膨らませ、力を込めた瞬間、白式が展開された。

 

やっぱりまだ慣れない…。

 

「よし、織斑、オルコット、飛べ。」

 

言われてオレとセシリアは急上昇する、のだが、オレの上昇速度はセシリアと比べるととても遅かった。

 

「スペック的には白式の方がブルー・ティアーズよりも上なのだがなぁ…。」

 

個別回線でお叱りの言葉をもらった。

まぁそりゃ確かにそう言いたくなるだろう…。

 

これに関してはホントに感覚でやるしかないみたいだし。この前南美にこれの理屈を尋ねたら聞いたことないような原理やら何やらで訳が分からなくなったからな…。

 

「さて、じゃあ今度は上空から急降下しろ。そうだな…、地表から10センチで急停止だ。やってみろ。」

 

10センチ…、またそれは無茶難題を…。

でもやんなきゃないし、やるっきゃない。

 

 

 

side out...

 

 

 

千冬の指示を受け、セシリアと一夏は同時に降下を開始する。

 

セシリアは体勢を崩さず、綺麗に静止した。だがその横で挑戦していた一夏は完全に止まることはできず、白式の踵がアリーナの地面に僅かだがめり込んだ。

 

「ふむ…。オルコットはさすがだな、織斑は、まぁ惜しかったな。勢いをつけすぎだ。」

 

めり込んだ踵部分を見てそう言った。踵はそこまで深く突き刺さっているわけではなく、勢いが殺しきれなかったことが見てとれた。

 

「よし、次は武装展開を披露してもらいたいが、1名ほどそれが出来ないヤツがいてな…。」

 

そう言って千冬は専用機を展開している南美を見る。

その視線に気付いたのか、南美はあははと苦笑いを浮かべた。

 

「仕方ないですよ、もともと私の機体は武器に頼らない戦闘での継戦能力の向上を主目的に開発されましたから…。」

 

「仕方ない、ならお前の機体について解説してくれないか? 代表決定戦の時のお前の動きについて疑問を抱いている者も多いからな。」

 

「分かりました。と言っても企業秘密的な部分はある程度ぼかしますよ。」

 

「構わん。」

 

千冬の許可をもらった南美ははーいと返事をしてみんなの方に向き直る。

 

「私の専用機“ラスト”は日本の企業ラストオブセンチュリーエンタープライズが開発した世にも珍しい格闘特化機体です。独自の機構として“世紀末ブースト”と“エネルギー再利用システム”があります。詳しいことは企業秘密ですが、その特性をこれから説明していきます。最初に、この機体の一番の特徴である“エネルギー再利用システム”について説明します。このシステムは簡単に言うと、行動をした際に発生する余剰エネルギー、いわゆるロスしてしまうエネルギーを別の形で機体内に貯蔵するシステムです。このシステムによってラストの継戦能力は格段に向上しました。

そしてそうして貯蔵されたエネルギーは何に使われるかと言うと、さっき言った“世紀末ブースト”ともうひとつ、“シールドオーラシステム”に回されます。

え~と、世紀末ブーストは正式名称が長くて面倒なのでこう呼んでます。で、どんなのかって言うと決闘の時に見せたあのギューンって移動するヤツです。これはISのテクニックである瞬時加速《イグニッション・ブースト》のようなものですが、出力はかなり高いです。専用のバッテリー?にエネルギーを溜めて好きな時に使用できるのが利点ですね。瞬時加速のように読まれるリスクが低いのもメリットです。

そして次にシールドオーラシステムですが、この機体の肝はこっちです。この機体はご存知の通り武器が一切ありません。なのでこのまま受け太刀するとシールドエネルギーが減ることになります。それを解決するのがシールドオーラシステムです。これは溜めたエネルギーをバリアのように展開することで多少の攻撃を受け止めるものです。範囲を狭めたり、広げたりは自由自在ですが、広いとその分溜めたエネルギーの消費は早いです。

世紀末ブーストとシールドオーラシステムのエネルギーはそれぞれ別のバッテリー?に溜まる親切設計です。

大体の説明は以上ですね。」

 

「ふむ…。良いだろう。じゃあ次に移るぞ──」

 

その後授業は問題なく進んだ。

 

 

 





ブーストとオーラガードの再現についてはかなり悩みました…。



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