IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

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今日からは期末試験が目白押しになるので、投稿ペースが落ちます。

では本編をどうぞ↓


第131話 覇者と竜の仕合

 

 

「さぁ…始めようか。」

 

「誰であろうと、私を超えることは不可能だ。」

 

アンジェと楯無の激闘、その次の仕合はスペイン代表、ソフィア・ドラゴネッティ対、アメリカ代表にして前回覇者のハスラー・ワンの勝負だ。

前回覇者による2連覇とかかっているこの仕合の注目度は半端ではなく、会場の外に設置されているモニターも人でごった返していた。

 

(オレ)を倒せるのは英雄だけさ。貴様にその資格があるか?」

 

「…私は闘技場の覇者(マスター・オブ・アリーナ)…、お前が何者でも立ち塞がるならば打ち倒すのみ。」

 

ソフィアの言葉にハスラーは殺気に溢れた目で睨み返す。そんなハスラーの態度にソフィアは嬉しそうに口角を吊り上げた。

 

「そんな瞳で見るなよ、嬉しくなってくるじゃないか。」

 

「…ふん。」

 

ソフィアの台詞にハスラーは呆れたような顔を浮かべてブレードを手にする。

それを見たソフィアは吊り上げた口角をそのままに鋭い目付きになり、ハスラーを睨み付けた。

 

「さぁ、愛し合おうじゃないか!」

 

「倒す…。」

 

開始のブザーと共に両者とも前進して距離を詰める。

ハスラーは右手のライフルを腰だめに構えながらブレードを振る姿勢を作る。

しかしソフィアはそんなものは関係ないとばかりに全速前進で突撃する。

 

「ガオーッ!!」

 

「……。」

 

天真爛漫、そんな言葉がよく似合うソフィアとは対照的に、ハスラーはひたすら冷静に彼女を迎え撃つ。

突進してきたソフィアに対してハスラーはライフルで牽制を行いながら、構えていたブレードを彼女の顔面に向けて突き出した。それをソフィアは頭を横に倒すことで回避して、ハスラーに肉薄する。

しかしそれもハスラーは読んでいたのか、完全に肉薄される前に前蹴りをソフィアの腹に打ち込み、多少の間合いを取る。

それでもソフィアは愚直にハスラーへと掴みかかり、捉えきった。

 

「それっ!」

 

ハスラーの腰を掴んだソフィアは強引に持ち上げてバックドロップを叩き込んだ。しかしハスラーはその状態のまま左手のブレードを逆手に持ち、ソフィアに向かって突くように振り下ろす。

それを察知したソフィアはハスラーへのホールドを解いてその場から飛び退いた。そしてホールドが外れたハスラーは直ぐ様に立ち上がって肩の2連ミサイルを放って突撃する。

 

「……。」

 

「クールだなぁ、もっと熱くなろうぜぇ!?」

 

淡々と、まるで作業をこなすように戦闘を行うハスラーを見てソフィアは煽るように言う。それでもハスラーの表情は変わらない。

 

(私は超える…、織斑千冬を…!!)

 

「寂しいなぁ…。戦っているのに、他の女の事を考えられるなんて!」

 

どこか思い詰めた表情を浮かべるハスラーにソフィアは拗ねたような顔でアッパーを繰り出す。

鋭く繰り出されたソフィアのアッパーをハスラーはスウェイバックで回避する。

そして返す刀で左手に持ったブレードで斬りつけた。アッパーのモーションで回避の出来ないソフィアはハスラーによる斬撃をもろに受け、シールドエネルギーを大きく減らす。

一方のハスラーは斬りつけた後は、ライフルの弾丸をばら蒔いて追撃されないようにしつつ距離を開けた。

 

「徹底したヒット&アウェイ…。嫌になるね。そんなに己が怖いか? 闘技場の覇者ともあろう者が、たった一人の竜が怖いのか?」

 

「……。」

 

挑発するソフィアの言葉にもハスラーは顔色ひとつ変えずにライフルとブレードを構えていた。

そんな彼女の態度にソフィアはガシガシと頭を掻く。

 

「何故だ? 何故貴様は戦う。名誉か? 金か?」

 

「…その問答に答える義理はない。」

 

「おお、その通りだ。しかし己は気になる。何故貴様はこの場にいるのか、な。」

 

先程まで薄ら笑いを浮かべていたソフィアであったが、急に鋭い目付きへと変わり、正面のハスラーを見る。

だが、ハスラーはずっと無感情のような顔を崩さずにいた。

 

「貴様からは死んでも勝ってやろうという気概が感じられんのだよ。」

 

「それが、どうした?」

 

「ふむ…。気迫なき者に竜の首は獲れんという事だ!」

 

それだけ言いきってソフィアはハスラーへと距離を詰める。

ハスラーは後ろに引きながらライフルと2連ミサイルでソフィアに牽制を行う。そんな弾幕をソフィアは器用に避けながらハスラーに肉薄する。

 

「逃げるなよ!」

 

「……。」

 

ミサイルと銃弾の弾幕をくぐり抜けたソフィアは両腕を大きく突きだしてハスラーの体を力強く掴んだ。

そしてぐんっと根っこから引き抜くように持ち上げて上空へと放り投げる。

 

「ドラゴン……ファイアー!!」

 

「ッ……!」

 

ソフィアの放ったエネルギーがハスラーを捉え、シールドエネルギーを削る。

しかしハスラーも即座に空中で体勢を立て直してソフィアから離れようもするものの、その瞬間にはもうソフィアがハスラーの目の前にいた。

 

「一緒に踊ろうじゃないか!!」

 

「クソッ!!」

 

「ウァチャチャチャチャチャッ、ファチャァッ!!!」

 

きっちり逃がすこともせずに捕まえたソフィアはハスラーに向けて何発も何発もラッシュを仕掛ける。

そしてハスラーのシールドエネルギーを大きく削り取ると、締めのように蹴り飛ばした。

 

「破滅のブラストスクリーム!!」

 

「ッ…ァアッ!?」

 

空間から顔を覗かせる竜の放ったエネルギーの波に呑み込まれたハスラーは、今大会で初めて人間らしい呻き声を上げる。

 

(私はハスラー・ワン…。闘技場の覇者…。織斑千冬を超える者…!)

 

しかしハスラーは執念と意地でそのエネルギーの奔流に逆らい、その先にいるであろうソフィアに向かって歩みを進める。

ブースターを吹かし、前へ前へと突き進み、やっとの思いでエネルギーの中から抜けだした。が、その先には既にソフィアが姿勢を低くして待ち構えている。

 

「グラウンド──ゼロッ!!」

 

「かっ──」

 

エネルギーの奔流を抜け出たハスラーを出迎えたのは強烈なソフィアのアッパーだった。

全身の力を全て使った一撃はハスラーの顎をしっかりと捉え、軽々と意識を刈り取る。

 

「は……。」

 

「これにて落着、己の勝ちだ。」

 

シールドエネルギー、そして意識を失ったハスラーはその場に崩れ落ち、赤いカラーリングのなされた専用機“ナインボール”も待機状態に戻る。

 

「ハッハッハッ! おお 闘技場の覇者(マスター・オブ・アリーナ)よ きぜつしてしまうとは なさけない!」

 

煽るような口調で倒れたハスラーに告げるソフィアは小さく口角を吊り上げると、専用機を待機状態に戻し、彼女を担いで連れていく。

 

 

 

遂に決定した決勝戦の組み合わせ。

アンジェ・オルレアンとソフィア・ドラゴネッティ、この二人の組み合わせに、一部の賭けサイトでは波乱が起こっていた。

一番人気であるハスラー・ワンが準決勝で敗退し、ソフィア、アンジェが決勝戦へと出場したことで、かなりざわついているのだ。

 

「ハハハ、いやぁ…、荒れてるなぁ。」

 

そんなサイトの状況を見て、簪はブドウジュースを注いだワイングラス片手にあくどい笑みを浮かべていた。

その彼女を見て、他の七人は呆れたような顔になる。

 

 

 

こうして準決勝2試合は終わり、残りの決勝戦一つとなった。

準決勝終了から、時間を置いてその日の内に決勝戦が行われるのだが、世界中の人たちはそれを今か今かと心待にしていた。

 

 

 

 





特に後書きで言うことがあるかと言われればない。
強いて言えばもう少し強キャラ感を出せればと思うものの、文章力のない貧弱一般人には無理な話だった。

では次回でお会いしましょうノシ


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