IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

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戦闘書くの、そろそろ辛いかも。
でもね、やり始めたなら最後まで書かなきゃね。

では本編をどうぞ↓


第129話 幕間の予想会

 

 

 

「さて…あと四人、ベスト4が決定したな。」

 

「はい。アンジェ・オルレアンさん、更識楯無さん、ソフィア・ドラゴネッティさん、そしてハスラー・ワンさん…。」

 

出場者に与えられた個室の中でスミカはモニターを眺めながらヴィートと話していた。

話題はもちろん第5回モンド・グロッソの準決勝まで残った四人のことである。

 

「このまま行けば刀剣部門はアンジェだろうな。」

 

「そうですね、イザベルさんも真改さんも、インテグラさんも卓越した技術を持っていましたが、やはりアンジェさんは頭一つ抜けてる気がします。」

 

「それは私も思うよ。間合い管理はインテグラ、鋭さは真改、扱いの巧みさはイザベルがそれぞれ長所として持っているが、やはりアンジェはどれをとっても3人より同格かやや上…。」

 

「それ故に総合力ではアンジェさんに軍配が上がる…。」

 

ヴィートが最後に呟いた言葉にスミカは小さく頷いた。

刀剣術の怪物、アンジェ・オルレアンの凄さを再確認し、その規格外さを改めて思い知ったからだ。

間合い管理の達人であるインテグラ・ヘルシング、そしてそれを下したイザベル・ローエングラムの実力を身を持って思い知っているスミカだからこそである。

 

「本当に…デュノア社はあんな化け物をどうやって抱え込んでいるのやら…。」

 

「…デュノア社と言えば、社長のジャック氏の恋愛譚が一時期話題になっていましたね。」

 

このまま話しているとスミカがストレスでティーカップを割りかねないと判断したヴィートは無理矢理に話題を変える。

その話題に食いついたのか、スミカはティーカップを置いてヴィートの方を向いた。

 

「なんだヴィート、あんな昼ドラのような話に興味があるのか?」

 

「あぁ、いえ…。展開自体ではなくその、ジャック社長が本当に愛した女性のほうでして…。」

 

からかうようににやにやしているスミカであったが、返ってきた答えに眉を上げる。

 

「自分も女性の身でありますから…、あのように深く殿方に愛してもらいたいな…と。」

 

ヴィートは真っ白な頬を薄紅に染めながらスミカの質問に答える。そして言い切ってやはり恥ずかしくなったのか、手に持ったファイルで顔を隠してしまった。

そんなヴィートを見てスミカはハァと小さく溜め息を吐いてからモニターに視線を移す。

 

「…やっぱり、問題はハスラー…か。」

 

そう呟いたスミカの目にはアメリカ代表のハスラーが映っていた。

 

 

 

「どう思うの?」

 

「何がだ白野。」

 

「誰が勝つと思うのかって話よ。」

 

栗毛色の長髪に白いワンピースを着た少女の質問にイザベルは“あぁ”と呟いた。

イザベルは肘掛け椅子に座り、モニターを見つめたまま優雅に頬杖をついて口を開く。

 

「大方の雑種共の予想はハスラー・ワンであろうな。しかし(オレ)はそうは思わん。」

 

イザベルの言葉に白野と呼ばれた少女は疑問に思い、イザベルの隣のソファに座る。

 

「どういうこと?」

 

「奴からは勝とうという気迫が伝わって来ない。それだけさ。同じ理由で更識もないな。奴も本気で勝ちに来てはいない。」

 

「…その二人は勝つ気がないってこと?」

 

「そうではない。少なからず勝つつもりはあるのだろうが…、奴らではソフィアとアンジェには勝てんだろうと言うだけだ。」

 

それっきりイザベルは何も語ろうとはせず、ただじっとモニターを見つめていた。自分だけ全てを分かって、それを説明しようともしないイザベルに白野と呼ばれた少女は少しだけムッとしてティーカップの紅茶を口に含んだ。

 

(我に勝ったのだ…。見せてみるが良いソフィア・ドラゴネッティ、貴様の言う(ロマン)とやらをな。)

 

イザベルはモニターに映るスペイン代表のソフィアを見詰めていた。

 

 

 

 

「誰が勝つと思う?」

 

「アンジェお姉ちゃん!!」

 

「わ、私もアンジェさんかな~って。」

 

ホテルのロビーに集まっていたミュカレ、ヒルダ、青蘭、真改達はロビーに置かれているテレビを見ながら話し合っていた。

ヒルダやアンジェにトラウマを植え付けられた青蘭などはアンジェの優勝を予想している。彼女らの周囲には遠巻きにメディアが押しかけてきており、写真などを撮影していた。

 

「真改さんはどう思うの?」

 

「……、アンジェさんは強い。それに、アンジェさんの専用ブレードがありますし。」

 

「…ヒルダちゃんを一瞬で倒しちゃったアレ、よね?」

 

「はい。月光(Clair de Lune)…、アレはほとんど自分の“月光”と同じ原理のブレードです。物理ブレードですが、斬る直前にエネルギー体を刀身に纏わせて破壊力を向上させて斬る…。」

 

真改は自分の専用機の待機状態である銀のペンダントを眺めながら呟いた。

ほぼ同じ機構を持つ者同士、どこか感じる部分があるのだろう。

 

「……嵌まれば一撃、そしてアンジェさんには嵌めるだけの技量がある。だから私もアンジェさんが勝つと思います。」

 

「アンジェお姉ちゃん強い! だから、負けない」

 

「そうだな…。」

 

ぶんぶんと腕を振ってアピールするヒルダに、ミュカレは彼女の小さな頭を優しく撫でてやる。

ミュカレの優しい手つきにヒルダは頬を緩ませて笑った。

 

「まぁ、ハスラーさんも強いけど…、流石に2連覇は出来ないとは思う。」

 

「フラグくさいなぁ…、それ。」

 

等々和気藹々と話している彼女達は表情に差異こそあれど、見ているのは一緒でアンジェ・オルレアンだけを見ていた。

 

 

 

「…アレクシア…、誰が優勝すると思う?」

 

「タテナシ!!」

 

「だよな!!」

 

試合後、すっかり意気投合した礼子とアレクシアは礼子の部屋で今までのモンド・グロッソの仕合のリプレイを見ながら優勝者について話し合っていた。

二人の意見はロシア代表の更識楯無であり、それについて食い違うことはない。

 

「タテナシのあのテクニック、アレは凄いな!!」

 

「そうだよな!!」

 

ハハと豪快に笑いながら彼女たちは肩を組む。片手にはコーラの瓶が握られていた。がしかし、彼女達の足下には度数の低いアルコールの類いの空き缶や空き瓶が転がっている。

そんな彼女達は上機嫌にコーラを呷りながら、テレビに映っている楯無の姿を真剣に見つめていた。

 

 

 

「……負けちゃったものねぇ…。」

 

「開催地の代表がベスト4にも残れないのか…。」

 

「なによなによ! 貴女だってぇ…。」

 

なぜか偶然ホテルの食堂で出くわしたインテグラとアナスタージアはどうしてかお互いの傷口に塩を塗ろうとしている。と言うよりも、アナスタージアが一方的に塩を塗り込まれている気もするが…。

ムキになって言い返すアナスタージアを見てインテグラが小さく笑っているのがいい証拠だろう。

 

 

 

 

「…ベスト4、誰が優勝するんだ?」(一夏)

 

「う~ん、ボクはアンジェさんに優勝してほしいけど…。」(シャル)

 

「賭けサイトを見たが、大方の予想はハスラーだな。」(簪)

 

「ホントだ…。残りの三人が団子状態になってる。」(箒)

 

「あたし的には楯無会長だと思うけど…。」(鈴)

 

「同感かな。」(南美)

 

「私はソフィアを推しているが…。」(ラウラ)

 

「どうなるのでしょうか…?」(セシリア)

 

テレビを見ていた八人はそれぞれの意見を出し合って予想し合う。冬休みという事も手伝い、一日中モンド・グロッソに関係するテレビ番組を見続けていた彼女らはもはや一種の情報通となりつつあった。

 

「ハスラーさんかぁ、やっぱり。今まで危なげ無さすぎだったもんな。」

 

「ホントにそれ。」

 

「対抗馬は…、ここまで来た連中ってどいつもこいつも化け物だったわ。」

 

3人の中から挙げようとした鈴音はその3人もまた怪物級であることを思い出して額に手を当てた。

そんな鈴音の様子に確かに確かにと肯定するように7人は頷く。

 

 

 

結果の見えない第5回モンド・グロッソ、残り3戦は遂に明日である。

 

 

 

 





皆さんは誰が優勝すると予想してますか?

では次回でお会いしましょうノシ


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