IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

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もうだいぶ原作から掛け離れていますが、気にしたら負けです。
これもMUGEN連結システムのちょっとした応用さ。

では本編をどうぞ↓


第122話 恋の季節?

 

 

「ほんわ君さんなんて知りません!!」

 

「み、南美…。」

 

土曜日の夕方、ほんわ君の部屋に南美の怒気を孕んだ大声が響き渡った。

その後、怒り心頭の南美は乱暴にドアを開けてほんわ君の部屋を出ていくのだった。

 

 

 

 

「聞いてくださいよカセンさ~ん。」

 

「……なんでここに居るのが分かったのさ…。」

 

南美が勇儀に泣きつくために駆け込んだのは、夢鶴市にある酒蔵の“茨木酒造”の一角である。この茨木酒造と勇儀の実家である星熊家は古くから続く名家であり、先祖代々交流があった。

そんな関係もあり、勇儀は何もない時はこうしてここに入り浸ることが多い。

 

「そんなことよりも、聞いてくださいよ̠カセンさん! ほんわ君さんって酷いんですよ!」

 

困惑の表情を浮かべる勇儀に構わず南美は話を切り出した。

 

 

「今日ですね、お泊りしようと思ってほんわ君さんの家に行ったんですよ。」

 

「あ、私の意志は無視なのね。」

 

「そしたら、そしたらですよ!」

 

南美はずずいと勇儀に顔を寄せる。勇儀はもうどうにでもなれというような顔で話を聞く体勢になった。

 

「ほんわ君さんの部屋にですね、その、え、エッチな本が…。」

 

「そりゃ、あいつも男なんだからエロ本の一冊や二冊くらいあったって不思議じゃないだろうさ…。」

 

「その、それが、おっぱいの大きな人特集みたいな奴で…。」

 

「あ~、うん。」

 

予想以上にくだらない話だったことに、勇儀はうんざりしたような顔を浮かべるとともに、聞くんじゃなかったとでも言いたげな風に溜息を吐いた。

 

「やっぱり、男の人って胸の大きな女の子のほうが好きなんでしょうか?」

 

「なんで私に聞くのさ。」

 

「だって、カセンさん…。」

 

そこまで言って南美は視線を落とした。その視線を追いかけた勇儀はハァと小さく息を吐きだす。

そして、ゴンと南美の頭に軽くげんこつを落とした。

 

「私にそんなの分かるわけないじゃないのさ。」

 

「う~。」

 

「それに、ほんわの奴がそんなことで女を選ぶような奴かい?」

 

勇儀の問いに南美はフルフルと首を横に振った。

 

「分かってるなら、いいじゃないか。」

 

「は、はい…。でも、私…。」

 

「あぁ、何となく分かる。キレてほんわを怒鳴ったんだろ? で、気まずくて…。」

 

「はい…。その、どうすれば良いのか分からなくて…。」

 

うつむく南美の頭に勇儀はポンと手を置いた。

 

「素直に謝ればいいのさ。お互い好き同士で一緒にいたいって思ってるんなら、素直に謝ってさ、また一緒にいたいって言えばいいじゃないか。」

 

「はい…、そうですよね…。」

 

勇儀の言葉を聞いて南美は強く頷いて立ち上がった。

そして、そのまま勇儀に頭を下げて部屋から出て行く。そんな彼女の後ろ姿を見送った勇儀は脇に置いていた瓢箪を手に取り、その中の酒を飲み下した。

 

「うん、良い酒だ。」

 

 

 

「あ、あの…ほんわ君さん…?」

 

ほんわ君の部屋に戻ってきた南美は恐る恐る部屋の中を覗き見る。すると、そこには入り口にいる南美に向かって

土下座するほんわ君の姿があった。

 

「ごめん!」

 

「ほんわ君さん…?」

 

土下座の先制攻撃を受けた南美は困惑し、困ったような顔でほんわ君と視線を合わせるようにその場にしゃがんだ。

 

「わ、私の方こそ、ごめんなさい…。ほんわ君さんの話も聞かずに怒鳴っちゃって…。」

 

正面から頭を下げた南美にほんわ君は顔を上げる。その後二人はお互いに謝りあった。そうして二人ともお互い謝りあっていると、それが何かおかしくなったのか、二人は一緒に笑い合った。

 

「ほんわ君さん、あの、私、胸も大きくないですし、女の子らしくないですけど、これからも一緒にいてください。」

 

「うん、喜んで。ずっと一緒だよ南美。」

 

向かい合って抱き合っている二人はそのままお互いの顔を近付けてキスをした。

 

 

「あれ、えぐれさんのだったんですか?」

 

「うん…。この前えぐれさん達が家に来てさ。その時に置いていったんだ。」

 

落ち着いた二人はソファに座って話し合っているとその中で、あの本の理由が明らかになり、南美は驚いた。そして驚きと同時に南美はえぐれに対して少しばかり殺意を抱いたらしい。

 

 

その後、究極の魔法使いジャギによって7対3をつけられたえぐれシジミは全一シンによって肋骨をへし折られたという。

 

 

 

 

そんな事があった一方で、IS学園ではと言うと…。

 

 

「女心とは、何なんでしょうね…。」

 

狗飼が警備員の詰め所でお茶を飲みながら、同じように待機しているグスタフや弥子、椛に尋ねた。

 

「私に聞かれても困るな。」

 

「私も、そこまで詳しくはないので…。」

 

「先輩、もしかして山田先生のこと…!」

 

3人の中でも、椛は目をキラキラさせながら興味津々な様子で狗飼に詰め寄った。

そんな彼女を“あぁ”と何かを察したようにグスタフと弥子は見詰める。が、しかし、以外にも二人が予想した出来事は起きなかった。

 

「え、えぇ…。その、山田真耶さんの事が、女性として好きになってしまっていたというか、はい…。」

 

分かりにくく、何処と無く顔をほんのりと赤くしている狗飼を見て、その場の3人は珍しい物を見たという顔になる。

 

「まさか、お前からそんな話を切り出されるとはな。予想外だ。」

 

「じ、自分でも、その、驚いています…。」

 

好奇の視線を投げ掛けられている狗飼は耳まで真っ赤して俯いてしまう。

 

「さ、最初はそんな、恋愛感情のようなものは一切なかったんです。ですが、その、真耶さんと会って、人となりに触れている内に、彼女の笑顔や、笑い声に、惹き付けられまして…。」

 

「ほう、ほうほう…。」

 

「いいですね、最高ですね!!」

 

初々しい態度の狗飼に女性陣二人はニヤニヤした顔になる。

そんな視線に耐えきれずに狗飼は顔を手で覆い隠した。

 

普段の凛々しい彼からは想像も出来ない姿に、3人はハァと息を吐き、相談に乗ることにしたのだった。

 

(両思いだって言うのは黙っておこう。)

 

(その方が何かと面白そうですし。)

 

その腹の内で、色々と企んでいることを、狗飼は察知出来なかった。

 

 

 

 

そんな事が詰め所で行われている一方で、同じくIS学園の学生食堂ではと言うと……

 

「ハァ…、男心、ですか…。」

 

一夏と真耶が向い合せで座っており、真耶は真剣な表情でいる。それに対して一夏はどこか気の抜けた表情だ。

真剣な顔で持ち掛けられた話が、男心を知りたいというものであり、しかもそれがすでに両想いが確定している二人のうちの片割れから持ち掛けられたものなのだから、こうもなろう。

 

「そうなんです…。その、私ですね、好きな人がいるんですが…。」

 

「あ、知ってます。」

 

「えぇ!?」

 

一夏の発言に真耶は驚いたように椅子から立ち上がる。しかしすぐに周囲の視線を気にして座りなおした。真耶はコホンと咳払いをして一夏に顔を近づけて小声で話しだす。

 

「どどどどどどど、ど、どうして知ってるんですか…!?」

 

「いや、その人オレと箒の師匠ですし…。」

 

「ふぇ?!」

 

一夏の発言にまたもや真耶は目を点にして驚いた。わたわたと落ち着かないように狼狽えている真耶に一夏は内心苦笑いを浮かべている。

 

「それで、山田先生はどうして狗飼さんのことを?」

 

「え、あ、はい…。その、さ、最初はKGDOの皆さんに差し入れを持っていってた時の窓口みたいな感じだったんです。その時に話してる内に、狗飼さんの真面目な所とか…、優しい所とか、気付いたら、す、好きになってたんです…。」

 

そう言って真耶は耳まで真っ赤にしながら“う~”と唸って恥ずかしそうに俯いている。

 

(…なんで両思いって気がつかないかな、狗飼さんといい、山田先生といい…。まぁ、言わない方が面白そうだな…。)

 

腹の中でやや黒い側面に目覚めつつある一夏であるが、その場はしっかりと真耶の相談に乗ったらしい。

その相談内容を他の専用機組達に話さなければ完璧な相談役と言えただろう。

 

 

果たして、警備員と教師の恋は実るのだろうか…。

 

 

 





巨乳物のエロ本話はいつかやろうと思ってました。
思い付いてからだいぶ過ぎましたが。


では次回でお会いしましょうノシ


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