IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

115 / 182

これはバレンタイン特別編の前書きに書けば良かったかも知れないけど、高校時代のクラスメイトがバレンタインになると男女とか問わずに回りにチョコレート配りまくってて、皆してそのクラスメイトをGHQって呼んでたなぁって。

では本編をどうぞ↓


第94話 オルコット邸にて

夏休みになって帰国していたセシリアは、この日とても機嫌がよかった。

その機嫌の良さは長年一緒にいるチェルシーや執事長さえもそう何度も見たことがないほどである。

 

その理由は至極簡単である。

 

「お、おはようございます、お嬢様…。」

 

「ふふ、おはようございます、一夏さん。」

 

想い人の織斑一夏が執事として彼女の屋敷で働いているからだ。

 

そも、なぜ彼がオルコット邸にて執事の真似事をしているのかと言うと、時間は少し遡る。

 

 

あの日、メカ翡翠、ロボカイ、ロボレンの3体によってボコボコにされた一夏は満身創痍で自宅に帰宅した。

その時、郵便受けには見慣れない封筒が一つ。

差出人の名前はオルコット家となっていた。

 

見慣れた友人の名前を見た一夏は丁寧に封筒を開けると、中から航空機のチケットと丁寧に封された手紙が出てきた。

 

「…映画とかに出てきそうな手紙だな…。こっちは、イギリス行きの飛行機の…?」

 

チケットを見て内心首を傾げつつ一夏は封をしている蝋を剥がして手紙に目を通す。

手紙の文字はとても綺麗な日本語で書かれており、それが逆に外装とのちぐはぐさを強調している。

 

手紙の内容は簡潔に言えば、夏休みの数日間をイギリスで過ごしてはみませんかというものだ。

 

「あー、イギリスかぁ…。んー、行ってみたいには行ってみたいけど、どうするかなぁ…。」

 

夏休みの間、特に予定などはなく、日々を自己研磨に充てようと思っていた一夏には海外旅行をするつもりは特になかった。

しかし、常日頃に見聞を広めろ、視野を開けと姉から言われている彼からすればこの海外渡航の誘いはウェルカムなものだ。

 

がしかし、いざ目の前にそれが現れると戸惑ってしまうのもまた彼らしさと言うべきだろう。

渡航の費用はオルコット家持ち、宿泊もオルコット邸で寝泊まりして良いと言う破格とも言うべき条件で海外に行けるのだ。

ソファの上で胡座をかいて悩んでいた一夏は、悩み抜いた挙げ句、ある番号に電話を掛けた。

 

 

 

 

「何を迷うことがある、行ってこい。」

 

「アッハイ。」

 

電話口から帰ってきたのはあっさりとした一言だった。

余りに悩んだ一夏が保護者でもある千冬に電話を掛けて事情を説明したところ、彼女からの返答はたった一言、「行ってこい」である。

 

費用の心配も要らず、心配事もそこまでないとならば送り出すという決断だ。

さすがの一夏も千冬の一言で決心が着いたのか、キャリーバックを物置から引っ張り出し、数日分の着替えやら必需品を積めていく。

 

 

 

 

「ん、あぁ…。快適すぎたな。まさかファーストクラスのチケットだったなんて。」

 

飛行機を降りて空港内を歩いていた一夏は機内でのことを思い返す。

IS学園の寮室にも劣らない豪華で快適な内装の座席、と言うよりも一種の個室で余りにも快適な時間を過ごした一夏は“あれに慣れたらダメになるやつだな。”と独り言ちて手紙に書かれていた場所を目指す。

 

そしてキャリーバックを引いて約束の場所までくると一人のメイドが一夏を出迎えた。

 

「織斑一夏様ですね。お迎えにあがりました。」

 

「えっと、もしかしてセシリアの?」

 

「はい、オルコット家に仕えるメイドでチェルシーと申します。」

 

チェルシーは頭を下げると一夏の荷物を手にとってそのまま車に向かって歩く。

始めて見るメイドという肩書きの人物に呆然としていた一夏であったが車に乗り込もうとするチェルシーに声を掛けられてハッとして用意された車に乗り込む。

 

 

「一夏様のお噂はかねがね聞いております。なんでもとてもお優しいとか。」

 

「あっと、チェルシー、さん? その話はどこから…?」

 

慣れた様子で車を走らせるチェルシーはミラー越しに一夏と目を合わせる。

まさか話しかけられるとは思っていなかった一夏はぎょっとして言葉を返す。

その辿々しさにチェルシーは思わずフフっと笑う。

 

「もちろんお嬢様から、ですわ。…さ、もう着きましたよ。」

 

ゆっくりと車を停めたチェルシーは座席から降りると、荷物を降ろして一夏側のドアを開ける。

チェルシーに案内され、オルコット邸の門をくぐった一夏はあまりのそれに言葉を失った。

 

「き、貴族の屋敷ってどこもこんなに豪華って言うか、立派なんですか?」

 

「そうですね、オルコット家の屋敷はまだ小さい方でしょうか。」

 

「これで小さい方、なんですか?」

 

「えぇ。初代当主様は浪費がお嫌いな方だったらしく、屋敷も無駄に大きくしたくなかったとか…。」

 

一夏はチェルシーの話にはぁと感心しながら庭園を見回す。

隅々まで手入れが行き届いた西洋庭園は、日本庭園とはまた違った面白みがあり、見る者の目を奪う。

そして庭園を通り抜け、屋敷の入り口を開けると、老紳士を伴ってセシリアが一夏を出迎えた。

 

「お久しぶり…というほどでもありませんわね。」

 

「まぁそうだな。」

 

玄関で二言三言交わした二人は老紳士に促されるまま屋敷の奥へと歩いていく。

そしてある一室の前に着くと、老紳士は一夏の荷物を受け取る。

 

「一夏さん、着替えを用意してありますので、この部屋で着替えて頂けます?」

 

「着替え? あぁ、ドレスコードみたいなもんか。確かに少しラフだったかもな。」

 

一夏は自身の格好を見返して、確かに貴族の屋敷でジーパンというのも変だなと思い、セシリアの言葉に従って部屋に入る。

そして一夏の着替えを手伝うという名目で老紳士も部屋に入っていった。

 

 

「こちらが着替えでございます。」

 

老紳士が用意されている服を一夏に手渡すと、それを丁寧に広げた一夏は目を見開いた。

 

「こ、これって燕尾服…?」

 

「執事服にございます。着れますか?」

 

「た、たぶん大丈夫だと思います…。」

 

初めて見る執事服に一夏は戸惑いつつも着替えを始める。

老紳士はいつでも手が貸せるようにそれを見守っていた。

慣れない衣服ではあるが、スーツとほぼ変わらないこともありすんなりと着替えることができた。

 

「終わりました。」

 

「はい。…、ちゃんと着れてますね。では行きましょう。」

 

「はい、えっと…。」

 

「オズワルドです、オルコット家の執事長をしております。」

 

老紳士、オズワルドはそう言うとドアを開けて一夏に退室を促した。

それに従って部屋を出た一夏はドアの前で待っていたセシリアに視線を移す。

 

「あの、セシリアさん。この格好はどういうことでしょうか?」

 

「あぁ、そのことですか。説明が遅くなりましたね。さすがに学友とはいえ、オルコット家の当主が年頃の殿方を家に泊まらせているとなれば良くない噂を招くこともあります。そこで一夏さんをオルコット家の新人執事としてしまえばよかろうなのだ…という訳です。」

 

一夏の質問にセシリアはパンっと手を叩いて笑顔で答えた。

そのあくまでも悪気はなかったという笑顔に一夏はそれ以上咎めることも出来ずに閉口するしかなかった。

 

 

 

これがセシリアがご機嫌であり、一夏が執事の真似事をしている理由である。

 

 

 

「それで、今日の予定はなんだったかしら?」

 

「はい、少々お待ち下さい。」

 

朝食を摂り終えたセシリアは紅茶を注いだティーカップを眺めながら隣で佇む一夏に尋ねる。

一夏は懐から手帳を取り出してパラパラとページを捲って今日のページを開こうとするが、オズワルドがそれを手で止めた。

 

「本日は午後にペンウッド卿との会談があります。」

 

「あら、ペンウッドおじ様が?」

 

オズワルドの口から出た人名にセシリアは思わずオズワルドの方を向く。

 

「はい。なんでも後見人として成長したお嬢様のお顔を見たいとのことでして。」

 

「…そうですか、おじ様が…。」

 

セシリアは懐かしさに思いを馳せるような顔を浮かべてカップの紅茶を飲み干した。

 

 

 

「あの、ペンウッド卿って誰なんです?」

 

オズワルド、チェルシーの二人と一緒に三人で朝食を摂っていた一夏が思い出したように二人に尋ねる。

その質問に二人は顔を見合わせると、オズワルドが口を開いた。

 

「シェルビー・M・ペンウッド卿は英国海軍中将で、セシリアお嬢様の後見人です。」

 

「後見人…。」

 

「お嬢様がオルコット家の当主となったのはまだ幼い頃でした。そのため、お嬢様のお父上と若い頃から親交のあったペンウッド卿が後見人を買って出たのですよ。」

 

「そうだったんですか…。」

 

納得したように背もたれに深く背中を預けた一夏を見て、オズワルドはフフっと笑い席を立つ。

 

「さて、それでは仕事を再開しましょう。織斑くんももう大丈夫ですね?」

 

「は、はい! 任せてください。」

 

「ふ、良い返事です。」

 

オズワルドは笑うと食器を流しに持っていき水を張った器に入れる。

そしてパンっと手を叩いて笑顔でチェルシーと一夏の二人に話しかける。

 

「では、今日も1日働きましょうか。」

 

「「はい!」」

 

オズワルドの言葉に二人は返事を返し、各々の仕事に取りかかった。

 

 

取り掛かったと言っても、この屋敷で一夏が任されている仕事は少ない。

セシリアの身の回りのことはチェルシーが、その他全般をオズワルドがこなしているため、一夏に回ってくる仕事は屋敷の掃除くらいのものだ。

 

それでも任されている仕事は仕事なので、一夏は懸命にそれに取り組む。

これでも幼い頃は一人で家の大掃除をしていた一夏であるが、ここまで広い屋敷となると勝手が違うのか、初めての時はかなり苦戦していた。

 

しかし長い間磨いてきた主婦力のお陰か、二日目の今日は昨日よりもより丁寧に、より早く仕上げることが出来るようになっていた。

 

 

「驚きの成長速度ですね。」

 

「ええ、これには少々驚きました…。ですが、だからこそその資質を見極めませんと…。」

 

「…怪我にはお気をつけて…。」

 

サングラスを怪しく光らせ、その場を後にするオズワルドの背中にチェルシーはそっと言葉を投げた。

 

 

前日より一時間早く掃除を仕上げた一夏は成長の早さに驚くオズワルドとチェルシーの二人を尻目に与えられた余暇で庭の様子を見て回っていた。

すると、手入れの行き届いた庭園の一角に誰かが佇んでいるのを見つける。

その人物──赤いロングコートに赤いつば広帽子を被った長身の男性──も一夏のことを見つけたのか、一夏のいる方に体を向けるとゆっくりと足を進める。

 

「ほう…、マスターに着いて久々に来てみれば面白いものが見れた。…男…、それも日本人か。あのお嬢ちゃんにしては珍しい使用人だ。」

 

赤いコートの男は興味深いとでも言うような様子で呟きながら一夏に詰め寄る。

そんな男の行動や謎の威圧感に一夏は息を呑んで立ち竦んでいた。

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。お久しぶりですね、ペンウッドおじ様。」

 

「や、やぁセシリア…、久しぶり。本当にキレイになったね…。」

 

その時玄関ではセシリアが自分の後見人であるシェルビー・M・ペンウッドを出迎えていた。

セシリアは数年ぶりに会うペンウッド卿を笑顔で出迎えたのだが、一方のペンウッドはどこか顔色が悪く、若干の冷や汗をかいている。

 

「おじ様…? 顔色が優れないようですが…。」

 

「いや、大丈夫だよ…。その…、あれだ…。」

 

ペンウッドはチラチラとセシリアから視線を外し、後ろや横を気にする素振りを見せる。

そうして心配するセシリアとそれを何でもないよと言うペンウッドという構図が出来上がったのだが、それはすぐに打ち消された。

 

「ペンウッド卿、もうよろしいですか?」

 

ペンウッドが降りてきた車から凛とした女性の声が聞こえた。

その声にペンウッドはあちゃーと言うように頭を押さえる。そして車から一人の女性が降りてきた。それに伴って運転席からも一人の老人が姿を現す。

その女性の姿にセシリアは目を見開いて驚愕した。

 

「イ、インテグラ=ヘルシング様…?」

 

「久しぶりね、セシリア。1年半前のパーティ以来?」

 

車から姿を現したのは現イギリス国家代表のインテグラ=ヘルシングその人だった。

 

「すまない、ペンウッド卿が君に会いに行くと聞いたら私も会いたくなってね。そのお陰で君の驚く顔が見れたが…。」

 

「い、いえ、その、光栄ですわ…。」

 

予想にもしていなかった人物の登場にセシリアは呆然としている。

そんな主を支えるようにオズワルドが一歩前に出る。

 

「そうでしたか。それではお部屋にご案内します。さぁ、お嬢様も。」

 

「え、えぇ。」

 

オズワルドの呼び掛けに正気に戻ったセシリアは一息ついて応対用の部屋に足を向ける。

そしてインテグラとペンウッド、運転手の老人も二人に続いて屋敷に入る。

 

 

「暫しお待ち下さい。」

 

案内された部屋で3人が席に着くとオズワルドは静かに部屋を出る。

 

「すまないねセシリア…。私が事前に連絡すれば良かったんだが…。」

 

「いえ…、大丈夫ですわ。すこし驚いただけですもの。」

 

オズワルドが出ていくなり、ペンウッドは対面のセシリアに頭を下げる。

しかしセシリアはペンウッドの言葉に首を横に振った。

 

「なんと言うか…、インテグラ様の突発的な行動にも慣れていますし、気にしていたら身が持ちませんもの。」

 

「ハッハ、言ってくれるじゃないか。さすがは国家代表候補生の首席だ。」

 

インテグラはニヤリと笑みを浮かべると、じろりとセシリアを見つめる。

 

「それでだ、この屋敷に新しく入った執事とやらはどこにいる?」

 

うっすらと笑みを浮かべたインテグラは周囲を見渡す仕草をする。

その顔からもしかしてと、今回の突然の訪問の理由を察したセシリアは苦笑いを浮かべてベルを手に取った。

しかし、セシリアがベルを鳴らすよりも早く部屋のドアが開けられた。

 

「その必要はない、セシリア・オルコット…。件の少年は私が連れてきた。」

 

その言葉と共に部屋に入ってきたのは、一夏が庭園で出会った赤コートの男であった。

男の後ろからはおずおずと一夏が部屋の様子を伺っている。

 

「い、一夏さん!?」

 

「ほう、彼が新しい執事か。」

 

男の後ろから顔を覗かせる一夏を見て、インテグラは興味深そうに頷く。

インテグラに一夏を見られたセシリアはあちゃーと言うように額に手を当てた。しかしインテグラはそんなセシリアの様子など素知らぬ様子でソファから立ち上がり、つかつかと一夏に歩み寄る。

 

「……ふむ、良い目をしている。野心溢れる、男らしい瞳だ。」

 

「やはりお前もそう思うかインテグラ…。IS委員会はかなりの人材を囲え込めたようだ。」

 

赤コートの男は心底嬉しそうな顔で口角を吊り上げて笑う。

その笑顔につられたのか、インテグラも小さな微笑みを浮かべて一夏を見る。

 

「だが、この男は飼い殺される男じゃなかろうよ。」

 

「それは言えてるな。」

 

インテグラと男は顔を向かい合わせながらクックと笑っている。

その行動にどうも要領を得ない一夏は首を傾げるしかなかった。

 

「あぁ、すまない。こちらの話さ。さて、新人執事くん?」

 

「え、あ、はい!」

 

呼び掛けられた一夏は背筋を伸ばしてインテグラの方を向く。そんな一夏の肩にインテグラはポンと手を置いた。

 

「イギリスは良い国だ。もっとも、食に関して言えば他の国の方が旨いものは多いがね。ここに滞在している内に楽しんでくれ。」

 

「は、はい。」

 

「良い返事だ。ウォルター、アーカード、そろそろ出るとしよう。新人執事くんの時間をこれ以上割くとまずい。」

 

インテグラは一夏の返事を聞くと満足げに頷き、赤コートの男と老執事を連れて部屋を去ろうとする。

がしかし、セシリアが赤コートの男を呼び止めた。

 

「お待ちくださいアーカード様! 今一度、貴方に挑ませてくださいませ。」

 

「ほう…、カスールカスタムすら満足に扱えきれなかったあのお嬢ちゃんが言うようになったものだ。」

 

「私があの時のままだと思わないで頂きたいですわね。」

 

赤コートの男、アーカードを呼び止めたセシリアはつかつかとアーカードに近寄り胸を張る。

その自信に満ち満ちた瞳を見たアーカードはニヤリと歯を剥き出しにして笑う。

 

「なるほど、口だけではないようだ。面白い! これだから人間は最高なのだ!」

 

「ふふ…。その余裕、今になくして差し上げますわ!」

 

セシリアとアーカードの二人は三段笑いを響かせながらその場を後にした。

 

 

 

「行ってしまわれましたな…。」

 

「アーカードめ、こういう時に歯止めが効かないのを直せと何度も言っているのに…。」

 

高笑いしながら去っていく二人の背中を見送った面々ははぁと深い溜め息を吐く。

各々の顔は皆苦笑いを浮かべている一方で、もはや慣れてしまっているようでもあった。

 

「さて、ああなった以上半日は戻ってこないだろう。さて、新人執事くん。街に出ようか。」

 

インテグラはそう言ってポンと一夏の肩に手を置いた。

その言葉に一夏は目を見開いてインテグラを見る。

 

「ん? どうした?」

 

「い、いえ…。」

 

「本来ならセシリアにも同行してもらいたかったが、うちのアーカードと勝負しに行ってしまったからね。だから私と1対1になるが、構わないか?」

 

一夏の意思をお構いなしに話を進めていくインテグラに一夏は“あ、この人も他人の話を聞かないタイプだ”と悟った。

悟ってしまってからの一夏の行動は早かった。

さらさらと並べ立てられるインテグラの言葉を頭の中で恐らくこう言うことだろうと本音に変換し、波風立てないよう相づちを打つマシーンへと転身したのだ。

 

「さぁ行くぞ。」

 

「あ、はい。」

 

意気揚々と一夏を連れてインテグラは街に出掛けていった。

 

 

 

 

そして、一夏がインテグラとロンドン巡りを楽しんでいる頃、ドイツではと言うと───

 

 

 

「なんだと?! セシリアが嫁を屋敷に招待した、だとぉ!!」

 

「はい、織斑一夏につけていた隊員からの報告です。間違いないかと。」

 

「ぐぬぬ、なんとも羨まけしからん! クラリッサ!!」

 

「はい、もう手は打ってあります。」

 

ハンカチを噛んで悔しがるラウラか勢いよく振り向くと、クラリッサは予想していたのか丁寧に頭を下げた。

そんなクラリッサの言葉にラウラはニヤリと笑い、掌を彼女に向ける。

その行動の意図を瞬時に把握したクラリッサはラウラの掌に自身の掌を打ち付ける。

 

「さすがは私の副官だ!!」

 

「お褒めにあずかり光栄です!!」

 

ハイタッチを交わした二人はお互いの手を力強く握り合う。

そして息ぴったりのタイミングで高笑いを部屋の中に響かせた。

 

 

 

 

 





うちのクラリッサさんは楽しいことに全力で取り組む勢です。

・今回はMUGENストーリー紹介はお休みです。
その代わりにMUGEN動画の紹介をば…。

・「秋子さんの謎ジャム寄せ集め」シリーズ
…あの水瀬秋子の超必、通称「謎ジャム」の対応キャラの演出を集めた動画です。
あのキャラ達のリアクションを楽しめる動画となっています。




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。