魔法少女リリカルなのは 黒い鳥、星光とともに   作:如月シュウ

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日常回は、文章量が少し落ちますね。


二話 訓練風景

模擬戦終了後、俺は六課の食堂で昼食を食べていた。何故、こんなことになったかというと……。

 

『立ち話もあれだし、時間もちょうどいいから食堂で話そっか』

 

という、高町の提案でこうなった。

 

「それにしても、凄いよね。私だってフェイトちゃん相手には勝率五割くらいなのに」

 

と、何故か隣にいる高町。さらに、俺の正面にはテスタロッサと八神が昼食を食べていた。何故だ。

というか高町よ。勝率五割は充分だと思うが。

 

「正直、期待以上の実力やわぁ。これなら、フォワードメンバーに任せるには早い任務も任せられるな!」

 

もともと、そのために来たのだが。仕事があるのはありがたいが、あまりたくさん持ってこられると、こちらの身が持たない。

 

「そういえば、最後に使った瞬間的な加速。あれは何だったの?」

 

と、これはテスタロッサ。

確かに、あんな変態機動をする奴はなかなかいないだろう。というか、俺以外見たこと無い。

 

「あぁ、あれは飛行魔法の応用だ」

 

飛行魔法には、二つの力が必要だ。

一つめは、浮力。地上から、空中へ飛び立つための力だ。飛行中は、この浮力に魔力を使うことになる。

二つめは、推力。前後左右に進むための力で、応用したのもこの推力である。本来の飛行魔法は、浮力をつかって滞空しつつ、推力で進むという使い方をするため、魔力を放出し続けるのだが、先の模擬戦で使ったあれは、魔力放出と言うよりは、魔力爆発に近い。魔力を、リンカーコアから一瞬だけ大量に放出することで、驚異的な推力を得ることができる。

ということを、かいつまんで説明した。

 

「――ということで、俺はこの技術をQB(クイックブースト)と呼んでいる」

 

「クイックブーストかぁ。でもそれって、結構危険なんじゃ……」

 

「その通り。一回使っただけで相当な負荷が掛かるし、そもそも魔力運用に長けているならこんなことしなくても、十分なスピードで動き回れる。だがまぁ、生憎『粗製』の身でね。これくらいしないと、対抗出来ないんだ」

 

「でも、相当な負荷が掛かるって、大丈夫なの?」

 

なんというか……相当お人好しな奴らである。特にテスタロッサ。今も、会って間もない男相手(まぁ、俺なんだが)に対して、心配そうな表情を向けてきている。

正直、新鮮だ。職業柄、貶されたり、蔑まれたりすることはあっても、心配されるというのは無い。

テスタロッサが美人なのも相まって、ほんの少し頬が紅潮する。それを隠すように顔をそらして、口を開く。

 

「心配しなくても模擬戦で使ったのは、かなり出力を抑えて使ったから、体に異常は無い」

 

少しだけ、頭が痛む程度だ。

 

「そっか。良かった」

 

安心したように、テスタロッサは微笑んだ。

そこからは他愛もない話になり、特筆することなく昼食を終えた。

 

 

 

 

 

 

昼食後、やることがなくなった俺は、デバイスを軽くメンテナンスして、割り当てられた部屋に荷物を置いていた。

その後六課の内部を見回っていると、テスタロッサ率いるライトニング部隊の副隊長、八神シグナムという女性に出会い、暇なら訓練を見に行かないかと誘われた。

 

 

 

 

 




次回は、初任務となります。

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