街中の夜、田中と悠が演奏をしていた。
田中は胡弓と笛を使い弾いてくそれに対し悠は、筝と竜笛を使い演奏していく。
田中達の演奏を聴く人やそのまま通り過ぎる人も居る。
曲が終われば小さく拍手され次の演奏が始まれば拍手が止みまた曲が終われば拍手、それの繰り返しが続く。
酒を呑みながら田中達の演奏を肴にしたり、サインを貰う人も居た。
結構有名らしい街中で演奏する人で。
「一緒に演奏か踊ってくれる人居ませんか?」
田中が募集をかけ、数十人の中から3人だけ集まった。
踊ってくれる人が居なかったが弾いてくれる人は集まった、これで弾ける曲が増え楽しくなる。
一人はベース、二人目はクーチョー、最後は胡弓田中が使ってるのを渡し田中は踊りに変更。
「いいゾーこれ」
偶々来てた人で和風楽器二人使えるとは吃驚だ、特にクーチョー何て使える人見かけないからな。
楽譜を渡して見ながら弾いてもらおう。
「準備おkですか?」
「大丈夫だ、問題ない」
「そんなんじゃ甘いよ」
「おkです」
じゃあ、始めようか。
一人淫夢民居たが気にしたら負けだ。
踊ってる時に思った事だがベースの人上手いなおい、他の二人も上手いのだがベースだけ違う。
彼はもしかしたら変態ベーシストかもしれない、3フィンガーとかスラップをアドリブで入れてきてるな。
こんな事になるならチェロバース持ってこればよかったな。
踊りで頑張ろう、音ハメ気持ちいいし。
「山田君少し待ってくれ」
「先輩あそこですよ!」
と俺達を指差して来たのは二人の女性で一人はカフェによく来る千冬さんでもう一人は昔からの常連の方山田さんだった。
数十人の中にコンビニで買った酒と缶ビール持って紛れ混んで行く彼女達、真耶が急かす様に酒とつまみを出してくれと言っていた。
「私の昔からの楽しみなんですよ此処でお酒呑みながらゆっくりするのが」
「JAZZBAR見たいな物か」
「そんな感じですね」
「こんばんは」
突然話かけて来たサラリーマンの方に挨拶され、山田達も挨拶を返す。
仕事の疲れを癒しに来た人が結構多い見たいだ。
そんな中で千冬は踊ってる人物が田中という事に気付く。
「田中じゃないか」
「あれ、先輩知り合い何ですか?」
「最近知り合ったばっかだけどな」
「イイですね、私はそういう出会いとかないですから」
そう言いながら缶ビール開けチビチビと呑んでいく山田、千冬もつられて開けてく。
「私も出会いが欲しいです」
「山田君はまだチャンスはあるだろう、私なんてブリュンヒルデの肩書きのせいで.....」
「先輩は美人ですからまだまだ大丈夫ですよ!そうですよね!」
唐突に振られたサラリーマンは困りながら答える。
「おっそうだな(適当)」
「ほらこの人もそう言ってますので大丈夫ですよ!」
「イマイチ実感が持てん」
まだ、束より結婚の未来はあるだろうと思う千冬、地味に親友をディスってるあたり酔いが少し回ってるのだろう。
缶ビールは6本目に突入。
「ラストメドレー行きます」
ラストが入り隣に居たサラリーマンが田中の前に出て行く。
「俺も仲間に入れてくれよ〜頼むよ〜(踊り枠で)」
「ハイ、ヨロシクゥ!」
踊ってるサラリーマンの兄さんの口からドラムの音が聴こえた。
まさかのボイパーの登場で、演奏組に火が付いた、俺も負けてられんと。
「やりますねぇ!」
田中の動きをトレースしていくサラリーマン、動きを直で真似る技術何て長年やらないと不可能だ。
あのサラリーマン只者じゃねぇ。
「凄いですねあの人」
「見ていない様でちゃんと見てる、か。何故サラリーマン何かやってるんだあの人はその道に行けるだろう」
冷静に分析していく千冬達、つまみを食おうとしたらもう無かった。
「あ、演奏終わっちゃいました」
そういい真耶は少ししょんぼりする。
もっと早く来れればまだ聴けたのだから。
「また今度此処に来ればいいじゃないか、次の曲を楽しみにして」
「それもそうですね、また来ればいいですもんね」
小さな演奏会は終わり、周りに居た人達も気分良く帰って行った。
真耶達も帰ろうとした時呼び止められた。
「千冬さんこんばんは」
「こんばんは」
田中と挨拶を交わす。
「常連の人と一緒に来るとは思いもよらなっかったですよ」
「私も君達がこんな事してるとは吃驚だよ、それにしても演奏素晴らしかったぞ」
「ありがとうございます」
「素晴らしい演奏でしたよ!」
と笑顔で褒めてくる真耶に少し照れる田中つい小声で返事をしてしまう。
勿論千冬に褒められて嬉しかったし、直接褒めてくれる人は珍しいのだ俺には。
「おまたせ!」
自分の楽器を片付けてコッチに来た悠。
「そちらは?」
「高下悠、学生です。後田中の彼氏です(大嘘)」
「かか彼氏さんですか!?お、男の子同士でで!」
山田は変な妄想をして顔を赤くする、高下が服を脱ぎお前の事が好きだったんだよと言ってるシーンを思い浮かべた。
「駄目ですよ!男の子同士で!」
「冗談なんですがそれは......」
「じょ、冗談ですか.....」
何故か安心した山田、自分がした妄想が本当に起きたら脳がオーバーヒートする。
「大人をあんまりからかうな」
「センセンシャル!」
「そうですよ!からかっちゃッメ!ですよ」
ッメって使う人始めて見たな、これ岳斗に見せたら感動するんじゃないかな。
「あ、山田真耶です」
「田中龍です」
唐突に自己紹介が始まり、そこから会話が発展しないで終わる。
何を話していいのか分からず沈黙。
田中が話題を探し話しかける。
「何時も来て頂きありがとうございます」
「いえいえ、私の方こそ綺麗な演奏聴かせてもらってありがとうございます」
千冬と悠はなにこれぇと思いながら見てた。
千冬ネキ結婚はどうよ?と悠が伺ったが千冬に殴られ年上には敬語を使え、女性にその話題はタブーだと怒られていた。
何やってんだ彼奴はと呆れていた田中であった。
「田中君に一つお願いしていいですか?」
「良いですよ」
「この前弾いた曲をもう一回聴かせてくれませんか?」
この前弾いた曲か、楽器が違うが大丈夫だろう。
「分かりました」
胡弓を手に取り、下の先っぽを自分の靴で汚れない様にする。
長い弓を添えて弾く。
胡弓独特の音が鳴る。
「この曲が一番好きだなぁ」
と真耶は小さく呟き、また演奏に聴きはいる。
真耶の後ろで千冬と悠は小さく喋って居た。
「田中はいつから楽器を弾いてたんだ?」
「中学の時に会ってた時には既に弾いてましたから、多分小さい頃からだと思いますよ千冬ネキ」
小さい頃からか、相当好きなんだな楽器。
悠の呼び方はもうスルーしていくスタイル。
「ああいうのは一種の才能、ではないか諦めずに続けてこそだな」
そう千冬は感心するが
「それも間違っちゃいないですが努力も才能の一種ですよ、間違った努力をしてしまえば間違い続けてしまうしかと言って正しい努力に辿り着く前に折れてしまえば終わる。折れずに正しい努力をして行く人達は才能がありますよ」
悠はそう千冬に言う。
悠は言い忘れてた事を追加で言った。
間違った努力をしてる人を才能無しとは言わない、努力してる以前で才能なんですから。
間違ったら友人またはその専門、学校の先生やネットがあるんだから頼るべきだと思いますけどね大人でも子供でも。
「それもそうだな」
悠と話していた千冬は演奏が終わったのを見て帰る準備をした。
「またな田中と高下、帰るぞ山田君」
「気を付けて帰って下さいね二人共......って先輩待って下さいよー!」
千冬に置いてかれる真耶。
田中と悠も楽器を持って俺らも帰るかと言い、人混みに紛れて帰って行った。
こんな一般人居てたまるか