けいおん! 〜大切な事は君が教えてくれた〜   作:あいとわ

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今日は澪ちゃんが多めにでてきます!
僕は最初澪推しでした・・・!
それではどうぞ!!


#4 進展!

 

「ふぅああああああ・・・」

 

とてつもなく大きな欠伸をする。昨日、いや今日は本当に疲れた。

誰もいない朝の校舎を歩く。

朝の澄んだ空気と日差しが心地よい。

今は一部の教師しかいないのではないだろうか。そのレベルで早い時間に学校に着いていた。

 

昨日あんなことがあれば普通寝れないよなぁ・・・。

 

「あっ」

ふと声が漏れる。目の前には秋山澪ちゃんがいた。

ちゃんとセットされた髪に透き通る瞳がハッキリわかる。

「おはよう」

「お、おはよう・・・」

少し恥ずかしがりながら返事を返してくれる。

彼女もまた寝れなくて早めに来たのだろうか。まだ朝礼まで二時間もある。

「昨日はありがとうな・・・尾形くん」

「いいってことよ―――。」

会話が途切れてしまう。

なんとか繋ぎ止めなきゃ。

 

「・・・体育館行かね?」

「えっ、でも―――」

「ごめん、何か用事でもあった?」

「ないけど・・・」

「じゃあ行こう。バスケでもしよーぜ」

しばらく考え込んだ後、了承してくれた。

 

2人で歩き出す。

彼女の性格なのか、自分からは話し出さない。

とても人見知りがすごい子なのかな?

だから気を遣わない田井中さんとかにはあの口調なのか。

「うーん、誰もいない校舎は気持ちいいな~」

「そうだな~」

彼女も大きく手を広げ、深呼吸をしていた。

 

体育館へと着く。

中からは音は聞こえない。

本当に誰もいないんだな・・・。

体育館の事務員の方はいたので、体育館の鍵を拝借する。

部室からボールを一つ出し、ダムダムとドリブルさせながら秋山さんの方へと向かう。

「そういえば、尾形くんはバスケ部だったな。」

「うん」

シュッとボールを放つ。

何の抵抗もなく、ボールはリングの中を通過する。

「おおっ!凄い!」

「あざ~す!」

バスケ部では決めて当たり前のシュートだったが、こんなにも褒められると逆に照れた。

秋山さんは目を輝かせて、こちらを見る。

「秋山さんも打ってみなよ、シュート」

「えっ、私は無理だよ!運動音痴だからな・・・」

「いいから」

ボールを渡す。

慣れない手つきで、えいっ!とボールを放る。

ボールはリングを通過することはなく、その手前へ落ちていく。

「ほらな・・・」

やれやれという表情でこちらを見る。

・・・可愛いっていうか美人だな。

こんな顔も出来たんだ、この子。

今まで目も合わせてくれなかったくらいだからな。

 

「膝を使うんだよ、手だけで打ってるから届かないんだ」

「膝?」

「そう、思いっきり曲げて打ってみ?」

「分かった」

再び秋山さんはボールを放る。先ほどと違うのは、膝を曲げていること。

 

シュパッ!

 

と気持ちのいい音が鳴った。

ボールがリングに当たらず、ネットだけを通過する音だ。

「やったぁ!!」

バンザイをしながら、ピョンピョンと飛んで喜ぶ彼女。

思わず見惚れてしまう―――。

 

「凄いな、尾形くんは!」

 

「・・・相馬でいいよ」

 

「えっ?」

なんて事を言ってしまったんだ俺は!!!

何の躊躇いもなしに言ってしまった!!

しかも秋山さんに限って・・・!

嫌われたか・・・。

「分かった。相馬は中学MVPなんだろ?」

「えっ、あぁ・・・そうだよ。昔の話だよ」

あれ、すんなりと呼んでくれた。

この気持ちはなんだろう・・・本当に嬉しい。

「昔っていっても一年前でしょ?」

「あぁっと、そうだった―――」

「面白い奴だな」

ウフフ、と笑う秋山さん。

俺も自然と笑みが零れた。

「私のことも澪って呼んでくれ。私だけじゃ恥ずかしいからな・・・」

「分かった、み―――」

 

 

 

「なーにやってんの~お二人さーん」

 

 

 

「うわあああああ」

2人して大声をあげて驚いてしまう。実際ニヤニヤしてしまう場面だったけども!!

そこに居たのは田井中さん。

そしてその後ろからひょこっと唯と琴吹さんも出てくる。

「律・・・驚かすなよ・・・」

「なかなかいい感じの雰囲気だったからさぁ~ん」

「うるさいよ田井中さん」

「2人ともバスケしてたの?いいな~!」

唯、空気読みなさい。

「澪ちゃん、大丈夫そう?」

「あぁ、もう大丈夫!」

「澪~良かったよ~!私も後でソレを知ったからさ~」

「うん、相馬が守ってくれたんだ!」

「おお~!男前だね尾形くん!」

「あざーす。」

 

「いや待てそれより澪、今なんて呼んだ・・・!?」

 

「相馬だけど・・・」

「やはり進んでいたか」

「お前殴るぞ」

「ひゃ~」

なんかいつもの日常に戻って良かった。

高校に入って女子ばっかで嫌なところもあったけど、これはこれで毎日楽しいな。

 

「今日放課後お前も来いよ!相馬!」

ふいに田井中さん。

「なに、なんて?」

「君も軽音部に入るんだ、相馬さん!」

色々急すぎてついていけないんだけども。

「気が向いたらな」

 

・・・・・。

軽音部に入る、か。

 

思ってもみなかった一言。

 

しかし、今思ってみれば。

 

どこか気持ちの奥底で考えていたのかもしれない―――。

 

*****************************************

 

時は、昨晩に巻き戻る。

俺は夜の道を駆け、駅方面へと向かっていた。

本当に嫌な予感がする。

そしてそれに伴い痛みを増す頭痛。

絶対に何かが起きているに違いなかった。

 

キャーと声が聞こえた。

 

もう近くだ・・・!

急げ―――。

曲がり角を曲がると、そこには秋山さんと琴吹さんがいた。

それと男の影が3人。

思わず息を飲む。

男達は一目瞭然、酔っ払いであった。

一人は秋山さんの肩を掴んでいた。

 

 

「や、めろ―――ッ!!」

 

 

無我夢中で駆けだす。

秋山さんを掴むその手を振り払う。

「尾形くん!」

「もう勘弁してください、相手は女子高生ですよ」

彼女ら二人を自分の背の後ろへ。

「お~い兄さん男前だねぇ~!かっこい~」

「ヒュ~ヒュ~」

酔っ払いらは俺を煽り始める。

そんな低俗な挑発には乗らない。

「逃げろ。とりあえず今は全力で―――」

「えっ・・・」

恐怖で足が竦んでるのか動けない二人。

 

「早くッ!!!」

 

言われるがままに逃げ始める二人。

酔っ払いは追うことはしなかったものの、俺に対しての目つきは変わっていた。

男なんてこんなもんだ。

酔っぱらっているフリなど、いくらでもできる。

民度の低いことを・・・。

「お前さ、自分のこともっと大事にしろよ」

「あれ、友達?」

「そうです」

「偉いね~もっちょっとでお持ち帰りできたのに」

「そんなことさせねーよ」

「威勢のいい高校生だな、まぁ今回はこれで勘弁してやるよ」

男達はどこか闇の中へ消えていった。

 

すぐさま俺は彼女らの後を追っていく。

2人を探し出すのに時間は掛からなかった。

近くの公園にいたからだ。

秋山さんは泣きながら蹲っている。

「大丈夫?」

「尾形くん・・・」

琴吹さんは心配そうな表情だった。

「もう俺が追っ払っといたから大丈夫だ!な!」

「うん・・・」

ゆっくり頭をポンポンとする。

「それじゃ、帰ろう。家まで送っていくからさ」

「うん・・・」

「それと財布、唯ん家に忘れていったろ?憂ちゃんが届けてくれたよ」

「ありがとう・・・」

 

三人で並んで駅へ向かう。

琴吹さんと俺が会話をし、秋山さんは黙っているままだった。

少しでも気分が良くなれば、と思い明るい会話をした。

 

 

 

そして次の日の朝、二人の関係は進展することになるのであった―――。

 




生まれる絆―――。

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