けいおん! 〜大切な事は君が教えてくれた〜   作:あいとわ

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お久しぶりです。
今回の回は原作とオリジナルを混ぜ合わせました!
学園祭編スタートです!
もうすぐアニメ一期の内容が終了に近付いていますね!
この物語も折り返しにきました!最後まで楽しんでくださいね!


#24 放課後ティータイム!

 

 

放課後、軽音部の部室にて。

さわ子先生がパソコンを貸してくれて、それで去年の学園祭のライブ映像をみんなで見ていた。

特に梓は目を輝かせて眺めていた。

ふわふわ時間の曲が流れる。

 

「んー。それにしてもライブの時だけは凄い演奏してますよね~!」

チラリと唯の方を向きながら梓は言う。

だがそれに反応したのは律だった。

「君も言うようになったなぁ~このこの!」

律は軽く後ろから梓の首を締めた。

ぐへえと変な声をあげる梓。

 

「うふふ・・あははッ!」

突如笑う唯。

「どうしたんだ?」

「いや、色々思い出しちゃってさ・・・!」

「あ~!この時、唯ちゃん声ガラガラだったわよね~!」

「そうそう!朝起きたら全然声でないんだもん!」

「それで澪ちゃんに代わりにボーカル頼んだのよね!」

「うんー。申し訳なかったなぁ~」

ムギと唯が盛り上がっている。

まぁ、この話は俺も分かる。

さわ子先生の特訓を受けた後、彼女は声を枯らしてしまい、ボーカルは澪になったのだ。

「もう一年前の話なんだな・・・。早いもんだ。」

「相馬!お前、演奏するんだろ!?」

「律、無理言うな」

「無理じゃないよ!ドラム叩いてみる!?男子が叩くドラムってカッコイイよな~」

「曲が成り立たなくなるけどいい?」

「そこで助太刀として私が登場すれば―――!」

「りっちゃんが神となる・・・!!」

「唯先輩も律先輩も、ちゃんと真面目に考えてください!」

「ちぇ~」

「いや、普通やらないから・・・」

 

「まぁ、梓にとっては、初めてのライブだもんな!」

「頑張れよ、梓」

 

俺と律の言葉に少し照れ臭そうにしながら、

 

「はい!私・・・頑張ります!」

 

 

・・・という良いムードなのも束の間。

いきなり和が部室へと入ってくる。

少し飽きれ気味な顔をしている。

もしやこれは―――。

 

「お!和!どうしたの?」

「どうしたのじゃないのよ、律。」

やれやれと首を振りながら律に紙を一枚渡す。

「こーどーしよーとどけ?」

「"講堂使用届け"な?」

若干澪がキレ気味で律の肩を掴む。

律もその雰囲気に戦慄する。

 

「去年にもこんな事あったな」

 

「いやあ~あの時はァ~」

 

一瞬だけど、澪の鉄拳が律の顔面にクリーンヒットした様を見た気がした。

 

 

***

 

 

「じゃー、使用届け書くぞ~。梓、書記な!」

「私ですか?分かりました・・・」

しぶしぶだが、筆箱を取り出し、紙を律から受け取る。

「えーと・・・使用者は軽音部っと。あのー、ここのバンド名ってなんでしたっけ?」

梓は本当に自然に聞いた質問だが、ここから展開が面白くなった。

「チョコレートメロディー!」と澪。

「スイートスマイル!」と唯。

ごめん、律はよく聞き取れなかった。

まぁ要は全員バラバラだったってことだ。

認識が全員違うってあり得るのか普通!

もう一年も活動してるんだぞ・・・。

 

「そういえば決めてなかったね・・・」

「いい機会だから決めるか!」

「そうだね~!」

 

「ねえねえ!"平沢唯とズッコケシスターズ"ってどう!?」

「あたし等何者だよ・・・」

 

「"ピュアピュア"とかどうかな?」

「澪、もうネタはいいから真面目に考えようぜ」

「うぅ、割と本気だったのに・・・」

「本気だったんかい!」

やはり澪のセンスはちょっと乙女チックなんだな。

「ほら・・・人のセンスは色々ですから・・・!」

「梓・・・ありがとな・・・」

 

「よーし!分かった!私が決めてあげる!!」

 

そこで名乗り出たのが、さわ子先生。

いや、アンタかい。

「「「「もう少しみんなで考えよーう」」」」

「団結したな・・・」

「ドンマイです、さわ子先生」

「うるさいわよ!尾形君も考えなさい!?」

「えー・・・じゃあ"バッド・ガールズ"」

「それセンスいいわ!!!さすが!分かってる!」

 

「「「「もう少しみんなで考えよーう」」」」

 

「・・・ダメみたいでした」

「そうみたいね」

 

「じゃあ、決まってからでいいから後で生徒会室までお願いね~」

和が苦笑しながら部室を後にした。

「あ!待って!和ちゃん!あとで帰りにお茶しよ~!」

「分かったわ、唯。また後でね」

「うん!」

「お前等、相変わらず仲良いんだな」

「何言ってるのさ、相馬くん。一年の頃から三人で仲良かったじゃないの~!」

「お、おう」

ニヤニヤしている唯。

なんで笑ってるんだ。

 

「んじゃ、学園祭も近いことだし、練習すっか!」

「はい!」

 

目を輝かせながら梓は返事する。

 

これでいいんだ。

これでいい。

 

俺は最後まで見届ける、それでいいんだ。

 

 

************************************

 

 

放課後の帰り道。

俺は澪と律、梓の四人で帰っていた。

唯とムギは和とお茶に行ってしまったのだ。

帰りは俺らだけになってしまったのだが、他愛もない会話が続く。

 

「今年はどんな出し物やんのかなぁ~」

「律先輩のクラスはメイド喫茶じゃないんですか?」

「それもありそうなんだけど、澪がいないからなぁ~」

「確かに澪先輩ならメイド服似合いそうですよね!」

「「よく言った梓!」」

俺と律のハモリにイラつきを隠せない澪ちゃん。

殺気でてるって・・・。

「でも澪先輩、ファンクラブあるんですよね?私の友達も入ってました!」

「え!?嘘ーー・・・」

「本当に人気なんだな、澪は―――。」

「いいよ、私は!人気じゃなくたって・・・」

 

どこか寂しげな表情を浮かべる澪。

なんだろう、最近よく目にする気がする。

スッと浮かべるその表情。

彼女が何を想っているのかは分からないけど、時に一瞬。

本当に刹那的に。

俺はその一瞬一瞬に立ち会っている気がして、少し気にかかっていた。

 

「まぁ澪は恥ずかしがり屋さんだからな~。しゃーないっしょ!」

「前に話聞いたけど、あれ完全に律のせいな気がしてならないんだが・・・」

「そ、そんなことないもーん」

「そんなことあるだろ」

「何ー!?なー、澪も何か言ってやれよー!」

 

律が澪に話し掛けた時、澪は何か思いついたように、体を反転させた。

 

「ごめん!私、和に渡さなきゃいけないものあるんだった!今日はここで!バイバイ!」

 

「あ、うん・・・!」

「お疲れ様でした!」

「じゃあな、澪」

 

軽く手を振ると、彼女はそそくさと喫茶店の方へと向かっていった。

本当に一瞬で去っていったな。

あの表情と何か関係でもあるのかな。

まぁ、深くは詮索しないでおこう。

 

 

 

「なーんか澪の奴も変わったよなぁ~」

 

 

 

ふとそんな一言が律の口から放たれた。

何か・・・違和感を感じた気がした。

 

「何が?」

「いや、べっつに~。」

「なんだよ、気になるだろ。言えよ。」

「―――――。」

 

少し彼女が俯いた気がした。

その瞳に宿るのは・・・闇だ。

どうしたんだろう。

 

「いや、新学期始まってから思ってたんだけどさ」

「うん」

「ほら、私と澪は小学校から仲いいじゃん?ずっと一緒だったけど、初めてクラスとか離れて―――」

「あー、なるほどな」

「遠くにいってしまったことで、初めて分かる事ってあるじゃん?」

「遠くっていっても、下の階のクラスじゃ?」

「いや、梓。相当仲良かったらそう感じるときもあるよ」

「そういうものなんですかね・・・」

「あぁ。俺も一緒だから。」

 

パッと浮かぶのは唯の顔。

そして、仙崎と唯が話している光景。

俺はただクラスが違うってだけだったけど、二人が友達になっている事なんて知らなかった。

 

仲良いからこその、孤独感。

 

特別な感情があるのだろう。

 

「じゃあ私ここなので!」

ふと梓がたまたま通ったデパートの前で立ち止まった。

「ん?なんかするの?」

「はい!ちょっと弦錆びちゃってて買ってくるのと新しいスコアが欲しいので!」

「そうなんだ」

「部長として嬉しいよ~後輩が勉強熱心で!」

「も~」

 

梓に手を振り、律と二人で帰る事になる。

駅まであと少しだが、俺はどうしても気になっていたことがあった。

 

「少し飯でも食っていかないか?」

「え?」

「ほら、腹減ったろ?俺が奢ってやるからファミレス行こうぜ」

「あ、うん。分かった」

「ちょっとは嬉しそうにしなさい。奢ってあげるんだから」

「キャ~!嬉しい!」

「・・・・・」

 

 

***

 

 

テーブルにつき、適当な品物を頼む。

高校生に御用達のドリンクバーも。

 

「それで?」

「へ?」

「さっきの続きだよ」

「さっきって?」

キョトンとする律。

「澪のこと、だよ」

「あ~」

 

律は頬杖をつき、少し寂しそうな表情を浮かべた。

 

「何て言うんだー。澪が遠くに行っちゃった気がするんだよなぁ~」

「遠く、か」

「うん。ずっと一緒だったし遊んでたからね」

「確かに律には澪もガツガツ行けるしな」

「余裕で頭ゴーンとかされるけどね!」

 

小さく舌を出し、茶化す律。

なんだろう、あまり二人で話す機会がなかったからだろうか。

律の新しい一面を見た気がした。

 

「なぁ、澪はどんなやつなんだ?」

「何々~澪のこと気になっちゃってる感じ?」

「言葉の綾だよ。誤解だ」

「そういえば前も聞いたよな、そんなこと」

「あ~。学園祭のフォークダンスの時だっけ?」

「確かね。二人はお似合いだと思ったんだけどな~私の勘違いか」

「・・・・・」

「そうでもないみたいだな」

 

時に律は鋭い。

伊達に部長をやっているわけではない。

よく皆のことを見ている。

 

「澪はそうだな~。自分をしっかり持ってて、でも他人も尊重できる・・・良い奴よ~」

「へぇ。どんなところが?」

「見てれば分かるじゃん!」

「まぁな」

「人見知りだけど、仲良くなれば別。ちゃんと向き合ってくれる子だよ。」

「・・・だな」

 

「でも中学でも澪はおとなしくてあまり私以上の友達ってなかなかいなかったから・・・」

 

「嫉妬ってやつ?」

 

「・・・・かもね」

 

「やけに素直だな、認めないかと思った」

「私にだって素直なときはあります!」

「和と俺と同じクラスになって、新しい友達が出来てるとこの複雑さ、か」

「私が勝手に感じてることなんだけどね」

「まぁ仕方ないっちゃ仕方ないさ」

「和はすっげー良い奴だし、澪も任せられる!でも最近澪の対応が塩対応なんだもーん」

「あ~。まぁでもそれは仲良いからこそだろ」

「そうか~?」

「あぁ。信頼してるからだよ。俺はそう感じる」

「うーむ。まさか相馬にアドバイスを貰うときが来るとは・・・」

「どういう意味?」

「なんでもないよーだ!」

 

普段元気な女の子だけど、こう話してみると普通な感じもする。

まぁ当たり前だけど。

 

 

「それで~?澪ちゃんとはどうなのよ!最近!」

 

 

「だからなんでそうなる・・・」

「あれから一年経つけど、何か気持ちに進展あったのか~?」

ニヤニヤしながら聞いてくる。

そんなに俺は分かりやすいか?

唯にもさわ子先生にも聞かれた。

「どうしてそんな風に思うの?」

「勘だよ勘!女の勘!」

「なにそれ・・・」

「相馬と澪はお似合いだからな~」

「どうして?」

「どうしてってそりゃ~。なんでだろうね~」

「おい・・・」

 

「いくら律がそんなこと言ったって、澪が相手にしちゃくれねーよ、俺の事なんて」

 

「どーだか!」

「え?」

 

 

意地悪する子供のような表情の律。

 

なんか無邪気で可愛かった。

 

 

 

 

 

「相馬はうち等にとって魅力的な男子だと思うぞ?そこらへんの男よりは信頼できるし」

 

 

 

 

 

「え―――――」

 

 

そんなことを言われるとは思わなかった。

さすがにドキッとしてしまう。

律の顔をうまく見れない。

 

「な、なんだよそれ!からかうでないぞ」

「からかってないよ。本当の話。」

「マジかよ・・・」

「うん。こんだけ一緒にいれば、そう思えてくるもんでしょ!」

「そういうものなのか」

 

 

 

 

「それは相馬も一緒でしょ?」

 

 

 

 

「・・・まぁな」

 

 

珍しく俺も素直だった。

・・・珍しく。

 

 

「私が相談に乗ってやるよ!楽しくなってきたぞ~!」

「そういう律は彼氏とかいらねーのか?俺が相談乗ってやるぞ?」

「今はいらないかな~学祭終わったら考える!」

「じゃあ、学祭終わってからだな」

「任せたぞ、相棒」

「おう」

 

 

律は周りが見えてて、良い奴だ。

周囲のことも気にかけれるし、男子だったらモテてるだろうなーって思う。

時たま見せる女の子らしさがギャップでいいのだろう。

今度、乗ってやるか。相談。

 

 

あれから二時間程度話し込み、いつの間にか九時半を過ぎていた。

 

「そろそろ帰るか」

「そうだな」

「うん、じゃあお会計よろくぅ~~!!」

「ケッ、可愛くねーなぁ」

「へへーん!」

 

お会計を済ませ、外へ出る。

すっかり夜になっていた。

駅まで見送るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!相馬くんとりっちゃんだー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「え!?!?」」

 

ふと背後から声が聞こえた。

本当にお馴染みの声。

「唯!?」

「お!唯~!和と澪も!」

「何してるの~!?」

「相馬とご飯食べてたんだ~」

「いいなぁ~!」

「律達もこっち来ればよかったのに・・・」

「二人で密会してたのさ~!」

「してねーだろ・・・」

「補導されるわよ、アンタ達」

「やましいことはしてません、一切!」

 

五人で駅まで歩く。

澪の方を見る。

一瞬目が合ったものの、すぐ逸らされてしまう。

 

・・・どうなのかなぁ・・・。

 

 

************************************

 

 

翌日の放課後。

 

「それで?バンド名結局どうするんだ?」

「あ、忘れてたー」

「忘れるなよ!」

「もう適当に決めちゃう?」

「いや、そこちゃんとした方がいいと思います・・・」

「あずにゃん決めてもいいよ!?」

「困ります・・・」

 

 

 

「じゃあ私が決めるわ!!!!」

 

 

 

さわ子が律の手から紙を取り上げ、ボールペンで書き込む。

 

 

そこにあった名は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「放課後ティータイム!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「あら?私はお似合いだと思うけど?皆には特にね!」

自信満々にいうさわ子先生。

確かに俺らにはピッタリなバンド名だが・・・。

「ゆ、緩すぎませんかねぇ・・・」

「確かに・・・」

「でも私は好きかも!この名前!」

「うん!私も気に入ったよ!」

澪と唯が大賛成の様子。

ムギも表情と反応からして賛成だろう。

「梓と律はこれでいいのか?」

「・・・まぁいいだろう」

「私も良いと思います!」

「じゃあ決まり!放課後ティータイムで!」

「お~!」

 

放課後ティータイム。

緩すぎる気もするけど、でも確かに俺らを象徴していていいネーミングかもな。

やるじゃん、先生。

 

「じゃあ練習すっか」

「そうだね」

 

 

 

それぞれがポジションに着く。

 

 

 

だが俺はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園祭の前に訪れる、放課後ティータイムの絆に亀裂が入ることなんて―――――。

 




伝説のバンド、結成―――。

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