今回は放課後ティータイムのメンバーが登場します!
まだまだ駆け出しですが、感想等ありましたら、お願いします!
これは夢・・・?
最近よく見る夢。
俺には大切な人がいて。
その子の事が、俺は大好きで。
顔は見えないんだけど、何人か集団の中にいて。
全員大好きだけど、とびっきりその子のことは好きで。
でも、いつも夢の終わりには遠く離れてしまう―――。
誰かに連れ去られるような。
そんな感覚。
俺は手を伸ばす。
でもあと少し届かない。
そうして夢は終わる。
俺は泣きながら、目を覚ます。
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「うわっ・・・?!!!」
大声をあげて目を覚ます。
また変な夢を見た。
最悪だ・・・。
教室中から絶賛視線を浴びる。
すいません、と小さく謝る。
そんな中、背中をちょんちょんと突かれる。
「尾形くん大丈夫かーい?」
「えっ、ああ・・・大丈夫。ごめん」
唯が小声で囁く。
何やら面白そうな顔で見てくるんじゃないよ唯くん。
コラ、和も。
あー、まだ友達もそんな居ないクラスで気持ち悪い奴みたいな印象植え付けちまったああああ。
なんやかんやで授業は進み、お昼の鐘が鳴る。
俺はくるっと後ろを振り返り、自炊のおにぎりを鞄から出し唯の机に並べる。
和も続いて机の横側に自分のお弁当を持ってくる。
もう学校が始まって一か月が経とうとしてるが、これが俺のお昼のスタイルだ。
「相変わらず和ちゃんのお弁当って美味しそうだよね~いいな~」
「唯も美味しそうでしょ。」
「尾形くんも自炊してるの凄いよね!いつも大変そう」
「あら、そんなこと言ったら私も自炊よ?」
「えええ!何で皆そんなスペック高いの!?」
「いや、おにぎりくらい誰でも作れるから・・・」
「ぇ。そそそそうだよねねね」
「お前分かりやすすぎな。」
「まぁ、唯には憂がいるからね。」
「憂?」
「妹よ。唯の妹!」
あぁ、あの時の・・・。
出来た子だなっていう印象だ。
今度会ってみたいな。
「それで、みんな部活の方は決まったの?」
「あぁ、俺はバスケ部に入る事にした。」
「私も軽音部ってとこに入ることにしやした!!」
「えっ!?結局入ることにしたの!?何するとこなの?」
「どうしてもって言われて~。でも楽しそうなんだ!ギターとかやるの」
「マネージャーじゃないのか?」
「人に言われるとなんか悔しい・・・。ちゃんとメンバーとして入ったんだから!」
数日前に唯は部活見学に行ったらしい。
というよりも辞めさせて下さいって言おうとしたらしい。
軽音。
軽い音楽と書いて軽音。
何を勘違いしたのか、口笛とか吹いてる適当な部活だと思ったらしい。
まぁ唯らしいといえば唯らしいが・・・。
「演奏聴かせてもらったんだけどね、なんか凄く良かったんだ。心に響いたの」
「へぇ」
「それは良かったわね。」
「メンバーの皆もいい人ばかりだし、美味しいお菓子も出てくるし、最高だよ!」
「先輩は?」
「去年で全員いなくなっちゃったみたい。だからいないよ~」
「やりたい放題って訳ね・・・」
「ギターどうするの?」
「部費で落ちないかな~って思ったんだけd・・・」
すかさず和と俺が、
「落ちないよ」
「え」
一瞬唯が固まる。
だがすぐ笑顔になる。
「でもでも、五千円くらいで買えるよね~」
もう唖然とするしかなかった。
こんな子掴まされて大丈夫か?軽音部・・・
「今日和ちゃん達部活?」
「あぁ。」
「私は今日はないわ」
「私はぶ!か!つ!ある~」
どんだけ強調したいんだよ・・・。
今までやってこなかったのか?
「じゃあ尾形くん一緒に帰ろっ!」
「おう、部活終わりどこに行けばいい?」
「うーん、じゃあ体育館前まで行くよ!」
「分かった」
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放課後。
体育館に集合する。
男子は俺含めメンバー七人・・・か。
本当に少ないな・・・。
練習は週に2回。
本当に少ない気もするが、強豪でもないしそんなもんか。
一人の男子が話しかけてくる。
「名前は?」
「尾形相馬だ、ガードやってた」
ガードというのは比較的背が小さい人がやるパスしたり、スリーポイントを打ったり、主にゲームメイクする司令塔の事だ。
「俺は仙崎一馬。センターだ」
センターは背が大きく、ゴール下でリバウンドボールを取る人のこと。
とにかく背がでかい。
仙崎は身長が185センチくらいあった。(俺は175)
試合が始まる。
3対3のゲーム。
バスケは楽しい。
嫌なことを全て忘れさせてくれる。
この感覚。
コート全てが見えているようなこの感じ。
俺はずっとガードをやってきたからなのか、人の視線やアイコンタクト、そして違和感を人の倍感知出来る。
後ろを見てても誰かが自分を必要としていれば、俺は気付くことが出来る。
いや、別にキセキの世代とかじゃないよ?
ボールを受け取り、スリーポイントを打つ。
・・・ように見せかけドリブルでゴールへ駆け込み、レイアップを決める。
こんなもんお手のもんだ。
チームのレベルは低くもないが高くもなかった。
とりわけ、仙崎はずば抜けて上手かった。
強豪校でもいたのだろうか。
恐らく、仙崎が中心に―――。
もうやめよう。
競争心はもう捨てたんだ。
いいじゃないか、一番じゃなくても―――。
その想いとは裏腹、俺は無意識に加速していく。
バスケにのめり込んでいく。
気付けば、俺のマークは仙崎になっていた。
恐らく、誰も止めることが出来なかったからであろう。
仙崎・・・。
背がでかいからって俺を止められるとでも?
即座にスリーポイントを放ち、リングにボールが吸い込まれるように通過するのを見届ける。
おお~と歓声があがる。
この感じ久々だな。
こうして部活は終わり、解散となった。
唯はもう来てるだろうか・・・?
気付けばもう夜だった。
時計は七時をまわっている。
俺は体育館入り口へと向かう。
入り口のすぐ傍に唯はいた。
「あっ、唯!待たせたな」
「あ、ううん!全然!それより尾形くんバスケ凄かったね!」
「え、あぁ・・・見てたの?」
「うん!少しね!メンバーの子も一緒なんだ~」
え。
唯の後ろからゾロゾロと人影を感知する。
「こんにちは~」
「律・・・こんばんはの時間だと思うけど・・・」
「うふふ」
三人の声。
一人は、髪の毛をカチューシャであげている女の子。
一人は、黒髪清楚系の目がキリッとしてる女の子。
一人は、ほんわかしてる天然お嬢様系な女の子。
それと・・・唯。
「こんばんは、田井中律ッス!」
「こんばんは、尾形相馬です」
「琴吹紬です。」
「えっ、えっと・・・」
「あ~コイツは秋山澪です」
人見知りなのかな・・・。
てか美人多くね・・・。
なんなんだこの学校は・・・。
「みんなが軽音部の皆だよ~紹介したいなって思って!」
「あ、うん・・・」
気まずい。
非常に気まずい。
「ところで皆さんでこの後お食事でもしません?」
琴吹さんが何やら提案してくる。
「さんせーい!」
「いや、待て待て!俺初対面ですけど!?そこんとこ理解してる!?」
「もういいじゃーん。同じ高校なんだし」
田井中さんが睨み付けてくる。
この子馴染むの早っ!
「わ、私は帰るかな・・・!」
「いいよ、澪のあんな写真とかバラまいちゃお~」
「うわーーー!何のだよーー!!」
2人がボコスカ喧嘩し始める。
それはニコニコと笑う琴吹さん。
「なんか軽音部って・・・お前にピッタリな気がするよ・・・唯・・・」
「そう?なんか嬉しい!」
「嬉しいって・・・」
爽やかな笑み。
苦笑する俺だが、この笑顔本当にかわいいと思った。
いや、別に惚れてるとかそういうんじゃないけども。
そして俺はまだ知らない。
この出会いが、また更なる奇跡の日々を生み出すことも―――。