今回は少しドキドキする回となっております!!
お楽しみくださーい!!
そして次回からはイベント編です!
それが終わればあずにゃんが出てきます!!
「えー、みんな!ライブ・・・お疲れ様~!!」
「「お疲れ様~~~!!!」」
ライブが終わり、音楽準備室へと戻る。
気付けば、既に夕方に近付いていた。
文化祭最終日はクラスの模擬店の方は全然力になれなかったな・・・。
なんでよりによって貧血なんか起こすんだ・・・。
「それにしても、唯!初めてのライブにしては上出来だったよ!良く頑張ったね!」
「えへへ~途中に失敗しかけたけど、どうにか頑張りました!」
「うん!次は新歓に向けて曲作りと、更に腕上げていこ!」
「そうだね~!」
「ムギもキーボード相変わらずバッチシだったよ~!最高だった!」
「あら、ありがと~!」
「ムギちゃんの作曲って人を惹きつけるよね~」
「嬉しいわ~!」
「そして・・・澪!!本当によく頑張った!!ベースボーカルお疲れ様!!!」
「あ・・・ありがと・・・」
「これで澪も恥ずかしがり屋は克服出来たんじゃないか~?」
「そ・・・そうかもな・・・」
「澪ちゃん、良かったね~!」
「澪ちゃんの声、素敵だったわよ~」
「うんうん。相馬もなんか言ってあげな」
全員の視線が俺に向く。
正直、遅刻した身であまり偉そうなことは言えなかった。
「皆・・・最高だったよ。あんなに何かに見入ったのは初めてかもしれない。」
全員が照れくさそうに。
そして満足そうに。
「だから、ありがとな。何してないけど、こんな俺を仲間に迎え入れてくれて―――。」
「相馬くんは大事な軽音部の仲間だよ!」
「そうだぜ!来年は弾いてもらうかな~」
「え!?それは勘弁・・・」
「それもいいかもしれないな。私みたいにボーカルやってみなよ!」
澪が微笑む。
「お前っ、さっきまで意気消沈してたじゃねーか!」
「相馬くんの演奏もいいかもしれないわね~」
「嘘だろ・・・ムギ・・・」
「うふふ」
来年は演奏する側にいるのかなぁ・・・。
どうなるか本当に分からないもんだな。
そんな中でふとある一つの事実が思い浮かぶ。
「高校生活の軽音部としてのライブ・・・3回あるうちの1回はもう終わっちゃったんだな・・・」
「高校一年も早かったね・・・なんだかんだ」
「そうだな~いつの間にか卒業まで行っちゃったりしてな~」
「そんなの嫌だ~ずっーと放課後でお茶してたい!」
「あのなぁ・・・前に澪も言ってたけど、軽音部は喫茶店じゃないんだよ・・・」
「ふーんだ、知ってるもーん。ね!ムギちゃん!」
「そうね、軽音部にお茶は大事よね~」
「ね~!」
「・・・・・」
こんな日々がずっと続いていくのだろうか。
ずっと。
否。
心のどこかで思っている事を、隠してはいけない。
こんな日々がずっと続いて"ほしい"のだ。
いつからか、俺はそんなことを考えるようになっていた。
―――。
まぁ、今はいい。
とりあえず、目標であった文化祭での初めてのライブを終える事が出来て。
ここにいる彼女達が今、心の底から微笑み、楽しんでいるのだから。
それで俺はそれを目の前で見ることが出来て、彼女等の演奏を見守ることが出来たのだから。
だから今はそれ以上の事は考えない。
だから今はいい。
今は―――――。
*************************************
夜になった。
恒例であるらしい、後夜祭のお時間の始まりである。
生徒だけで学校中のあちらこちらを周ることが出来たり、体育館でイベントがあったり。
それに加え、キャンプファイヤーが学校の庭で行われた。
こんな町の真ん中で火なんか起こしていいのだろうか・・・と思ったが、何やら恒例行事らしく市に許可を取っているらしい。
面白いことをするもんだな・・・。
俺はクラスで一緒の唯と和と一緒に体育館へと向かうことにした。
「和、生徒会はこれに参加しなくていいのか?」
「うん!これは後夜祭実行委員ってのがあるからね。私達はそれを許可するのが仕事なのよ」
「へぇ」
「みてみて!イベントで何か面白そうなことやってる!」
唯が俺と和の腕を引っ張り、体育館へと入る。
「みんなーーー!乗ってるかーーいッ!!!」
いえーーい!!と周りが歓声をあげる。
ものすごい熱気だ。
ライブを思い出させる。
・・・とていうか元女子校ってだけあって声援が黄色い。
キャーキャーという声しかむしろ聞こえない。
唯もその一人だった。
「今回のお題は~!!胸キュン☆文化祭イベントォ~!!!」
司会の女の子が腕を大きく振りながら、告げる。
胸キュンイベント・・・?
なんだそれ・・・リア充の集いの発表とかそういうやつか?
「今回・・・最も票が集まって・・・そして私達実行委員も満場一致でコレ!っていうモノがあります!!!」
おおおッ!!!と歓声が上がる。
そんなに盛り上がるもんなの・・・これ。
いや、十分楽しいけどさ・・・!!
「気になります~?気になりますよね!では!こちらをご覧ください!!奇跡の一枚!!」
ステージの後ろ側にあるスクリーンにある画像が映し出される。
瞬間、会場が黄色い声援で包まれた。
これは―――――。
「キャーー!あれ相馬くんと澪ちゃんだよ!!!」
唯が目を輝かせながら、叫ぶ。
そして俺の腕を掴み、揺らしてくる。
「嘘だろ―――?」
「あらまぁ・・・」
和もポンッと俺の肩を叩いた。
「まじかよ・・・」
そう、映っていたのは俺が澪をお姫様だっこしている写真であった。
そしてお互いがお互いを見つめ合っている一枚であった。
会場中の盛り上がりがボルテージMAXとなる。
何やらザワザワし始め、どこにいるのかを探し始めるアホがいるらしい事を悟る。
ステージ上に上がるのだけはごめんだ・・・!
そしてそれは澪の死を意味する!!
せっかく恥ずかしがり屋を克服したのに、それはまずい!
「わりぃ・・・俺出るわ!」
「あ、待って!相馬くん!!」
「もう・・・仕方ないわねぇ」
***
静かな学校へと移る。
三階の窓がある場所。
俺、和、唯の三人でちょっとしたスペースに座り込む。
窓から、夜の校庭を眺める。
先生や実行委員がキャンプファイヤーの準備をしていた。
結構大がかりなものなんだな。
「やっぱり私も行かなきゃかしら?」
ふと和が口を開く。
「・・・大丈夫か?」
「少し様子見に行ってみるわね!曽我部先輩いるし!」
「おう、頑張れよ」
「頑張って!和ちゃん!」
「ありがと!後でね!」
和の背を見送る。
二人きりで。
窓の外を見る。
「静かだね~」
「だな。楽しかった―――」
「本当に!来年はもっと楽しい文化祭にしたいな~!」
「これ以上に楽しいのか・・・最高だな!」
「でしょ!?体の方は大丈夫?」
「あぁ、もう大丈夫!実は寝れなかったんだ・・・」
「寝れなかった?」
「うん。なんか明日が本番なんだな~って思ってさ」
「うふふ、相馬くん可愛いね」
「なんでだよ・・・」
「ありがとね、相馬くん」
急に言われる。
彼女は何を言い出すのだろうか。
「相馬くんが軽音部に入ってくれたから、もっともっと軽音部が楽しくなった気がするんだ・・・私!」
「そう?別に俺は何もしてないよ。ただの雑談要員だよ」
「そんなことない!来年からは演奏してもらうもん!」
「あのな・・・それは」
「いつも本当にありがとう!大好き!相馬くん―――!!!」
瞬間。
キャンプファイヤーに火が点いた―――。
*************************************
キャンプファイヤーって凄い。
なんというか、女子とフォークダンスするんだってさ。
そんな青春を感じざるえないイベントある?
・・・とまあそんなことを考えていた。
俺も男なんだと改めて認識していた。
フォークダンスのペアはランダムで何人かと入れ替わるらしい。
そして俺の最初の相手は―――。
「なーんで相馬なんだよー。」
「悪かったな・・・相馬で・・・」
なんと、田井中律さんであった。
律はなかなか手を出してこない。
そんなに俺が嫌なのだろうか・・・。
「おいっ、律!音楽始まるって!」
「分かってるよーっ。」
それでもなかなか手を出してこない律の手を俺は強引に取る。
もう勝手に握りしめる感じで。
「キャッ・・・うわっ・・・もー!なんだよー。」
「お前でもキャとか言うんだな」
「一応女なんですけどー?」
「すいません・・・」
適当に音楽に合わせながら踊る。
体育で練習したのと同じだ。
ダンス自体は難しくないので楽だった。
「それにしても、体育館の写真、凄かったわねぇ~!」
律がニヤニヤしながら言ってくる。
こいつ・・・。
見てやがったのか・・・。
澪は嫌がってなかったかな・・・。
「澪はなんて言ってた・・・?」
「まぁ、恥ずかしがってたけど、嬉しそうだったぞー?」
「なんだよそれ・・・」
適当にあしらったが、俺も少し嬉しかったのは事実だった。
だが、それは誰にも言わない。
もう少し自己分析してみる必要があるな。
「なぁ。相馬は澪のこと好きじゃないのかー?」
「えっ!!!???」
唐突な質問で思わず変な声をあげてしまう。
なんか察されたら嫌だな。
俺が・・・澪を・・・?
今思うとそういうった感情は全く考えたことなかった。
でも・・・それはどうなんだ?
澪は好きだ。
でもそれはさっきの唯と同じで、"友達"としてなのか・・・?
実、際唯から"友達として"と言われた訳ではないが・・・俺はそう思った。
「わかんねー・・・」
それが回答だった。
律は嬉しそうに、かつビックリしたように、頬を赤らめる。
「えー!!!いいじゃんいいじゃん!うちは応援するぞー!!」
「って嘘だよ。そんな訳ねーだろ?易々だまされてんじゃねーよ!」
「ハァ~?なんだよそれ。面白くなると思ったのにさ~」
「面白がるなよ・・・」
実際のところは、分からないが本音だった。
うん。
俺は・・・俺の・・・本当の気持ちなど・・・俺以外分かるはずもないのに―――。
交わる想い―――。