けいおん! 〜大切な事は君が教えてくれた〜   作:あいとわ

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お久しぶりです、あいとわです。

今回は少しドキドキする回となっております!!
お楽しみくださーい!!

そして次回からはイベント編です!
それが終わればあずにゃんが出てきます!!


#15 大好き!

 

「えー、みんな!ライブ・・・お疲れ様~!!」

 

 

「「お疲れ様~~~!!!」」

 

 

ライブが終わり、音楽準備室へと戻る。

気付けば、既に夕方に近付いていた。

文化祭最終日はクラスの模擬店の方は全然力になれなかったな・・・。

なんでよりによって貧血なんか起こすんだ・・・。

 

「それにしても、唯!初めてのライブにしては上出来だったよ!良く頑張ったね!」

「えへへ~途中に失敗しかけたけど、どうにか頑張りました!」

「うん!次は新歓に向けて曲作りと、更に腕上げていこ!」

「そうだね~!」

 

「ムギもキーボード相変わらずバッチシだったよ~!最高だった!」

「あら、ありがと~!」

「ムギちゃんの作曲って人を惹きつけるよね~」

「嬉しいわ~!」

 

「そして・・・澪!!本当によく頑張った!!ベースボーカルお疲れ様!!!」

 

「あ・・・ありがと・・・」

「これで澪も恥ずかしがり屋は克服出来たんじゃないか~?」

「そ・・・そうかもな・・・」

「澪ちゃん、良かったね~!」

「澪ちゃんの声、素敵だったわよ~」

 

「うんうん。相馬もなんか言ってあげな」

 

全員の視線が俺に向く。

正直、遅刻した身であまり偉そうなことは言えなかった。

 

 

「皆・・・最高だったよ。あんなに何かに見入ったのは初めてかもしれない。」

 

 

全員が照れくさそうに。

そして満足そうに。

 

 

「だから、ありがとな。何してないけど、こんな俺を仲間に迎え入れてくれて―――。」

 

 

「相馬くんは大事な軽音部の仲間だよ!」

「そうだぜ!来年は弾いてもらうかな~」

「え!?それは勘弁・・・」

「それもいいかもしれないな。私みたいにボーカルやってみなよ!」

澪が微笑む。

「お前っ、さっきまで意気消沈してたじゃねーか!」

「相馬くんの演奏もいいかもしれないわね~」

「嘘だろ・・・ムギ・・・」

「うふふ」

 

来年は演奏する側にいるのかなぁ・・・。

どうなるか本当に分からないもんだな。

そんな中でふとある一つの事実が思い浮かぶ。

 

「高校生活の軽音部としてのライブ・・・3回あるうちの1回はもう終わっちゃったんだな・・・」

 

「高校一年も早かったね・・・なんだかんだ」

「そうだな~いつの間にか卒業まで行っちゃったりしてな~」

「そんなの嫌だ~ずっーと放課後でお茶してたい!」

「あのなぁ・・・前に澪も言ってたけど、軽音部は喫茶店じゃないんだよ・・・」

「ふーんだ、知ってるもーん。ね!ムギちゃん!」

「そうね、軽音部にお茶は大事よね~」

「ね~!」

「・・・・・」

 

こんな日々がずっと続いていくのだろうか。

ずっと。

 

否。

心のどこかで思っている事を、隠してはいけない。

こんな日々がずっと続いて"ほしい"のだ。

いつからか、俺はそんなことを考えるようになっていた。

 

 

―――。

 

まぁ、今はいい。

 

 

とりあえず、目標であった文化祭での初めてのライブを終える事が出来て。

 

 

ここにいる彼女達が今、心の底から微笑み、楽しんでいるのだから。

 

 

それで俺はそれを目の前で見ることが出来て、彼女等の演奏を見守ることが出来たのだから。

 

 

だから今はそれ以上の事は考えない。

 

 

だから今はいい。

 

 

 

 

 

今は―――――。

 

 

*************************************

 

夜になった。

恒例であるらしい、後夜祭のお時間の始まりである。

 

生徒だけで学校中のあちらこちらを周ることが出来たり、体育館でイベントがあったり。

それに加え、キャンプファイヤーが学校の庭で行われた。

こんな町の真ん中で火なんか起こしていいのだろうか・・・と思ったが、何やら恒例行事らしく市に許可を取っているらしい。

面白いことをするもんだな・・・。

 

俺はクラスで一緒の唯と和と一緒に体育館へと向かうことにした。

「和、生徒会はこれに参加しなくていいのか?」

「うん!これは後夜祭実行委員ってのがあるからね。私達はそれを許可するのが仕事なのよ」

「へぇ」

「みてみて!イベントで何か面白そうなことやってる!」

唯が俺と和の腕を引っ張り、体育館へと入る。

 

 

「みんなーーー!乗ってるかーーいッ!!!」

 

 

いえーーい!!と周りが歓声をあげる。

ものすごい熱気だ。

ライブを思い出させる。

・・・とていうか元女子校ってだけあって声援が黄色い。

キャーキャーという声しかむしろ聞こえない。

唯もその一人だった。

 

「今回のお題は~!!胸キュン☆文化祭イベントォ~!!!」

 

司会の女の子が腕を大きく振りながら、告げる。

胸キュンイベント・・・?

なんだそれ・・・リア充の集いの発表とかそういうやつか?

 

「今回・・・最も票が集まって・・・そして私達実行委員も満場一致でコレ!っていうモノがあります!!!」

 

おおおッ!!!と歓声が上がる。

そんなに盛り上がるもんなの・・・これ。

いや、十分楽しいけどさ・・・!!

「気になります~?気になりますよね!では!こちらをご覧ください!!奇跡の一枚!!」

 

ステージの後ろ側にあるスクリーンにある画像が映し出される。

瞬間、会場が黄色い声援で包まれた。

 

これは―――――。

 

 

 

 

「キャーー!あれ相馬くんと澪ちゃんだよ!!!」

 

 

 

 

唯が目を輝かせながら、叫ぶ。

そして俺の腕を掴み、揺らしてくる。

「嘘だろ―――?」

「あらまぁ・・・」

和もポンッと俺の肩を叩いた。

「まじかよ・・・」

 

そう、映っていたのは俺が澪をお姫様だっこしている写真であった。

 

そしてお互いがお互いを見つめ合っている一枚であった。

会場中の盛り上がりがボルテージMAXとなる。

 

何やらザワザワし始め、どこにいるのかを探し始めるアホがいるらしい事を悟る。

ステージ上に上がるのだけはごめんだ・・・!

そしてそれは澪の死を意味する!!

せっかく恥ずかしがり屋を克服したのに、それはまずい!

 

「わりぃ・・・俺出るわ!」

「あ、待って!相馬くん!!」

「もう・・・仕方ないわねぇ」

 

 

***

 

 

静かな学校へと移る。

三階の窓がある場所。

俺、和、唯の三人でちょっとしたスペースに座り込む。

 

窓から、夜の校庭を眺める。

先生や実行委員がキャンプファイヤーの準備をしていた。

結構大がかりなものなんだな。

 

「やっぱり私も行かなきゃかしら?」

ふと和が口を開く。

「・・・大丈夫か?」

「少し様子見に行ってみるわね!曽我部先輩いるし!」

「おう、頑張れよ」

「頑張って!和ちゃん!」

「ありがと!後でね!」

 

 

和の背を見送る。

 

二人きりで。

 

窓の外を見る。

 

 

「静かだね~」

「だな。楽しかった―――」

「本当に!来年はもっと楽しい文化祭にしたいな~!」

「これ以上に楽しいのか・・・最高だな!」

「でしょ!?体の方は大丈夫?」

「あぁ、もう大丈夫!実は寝れなかったんだ・・・」

「寝れなかった?」

「うん。なんか明日が本番なんだな~って思ってさ」

「うふふ、相馬くん可愛いね」

「なんでだよ・・・」

 

「ありがとね、相馬くん」

 

急に言われる。

彼女は何を言い出すのだろうか。

 

「相馬くんが軽音部に入ってくれたから、もっともっと軽音部が楽しくなった気がするんだ・・・私!」

 

「そう?別に俺は何もしてないよ。ただの雑談要員だよ」

「そんなことない!来年からは演奏してもらうもん!」

「あのな・・・それは」

 

 

 

 

 

「いつも本当にありがとう!大好き!相馬くん―――!!!」

 

 

 

 

瞬間。

 

キャンプファイヤーに火が点いた―――。

 

 

*************************************

 

 

キャンプファイヤーって凄い。

なんというか、女子とフォークダンスするんだってさ。

そんな青春を感じざるえないイベントある?

 

・・・とまあそんなことを考えていた。

俺も男なんだと改めて認識していた。

フォークダンスのペアはランダムで何人かと入れ替わるらしい。

そして俺の最初の相手は―――。

 

 

 

「なーんで相馬なんだよー。」

 

「悪かったな・・・相馬で・・・」

 

 

なんと、田井中律さんであった。

律はなかなか手を出してこない。

そんなに俺が嫌なのだろうか・・・。

 

「おいっ、律!音楽始まるって!」

「分かってるよーっ。」

 

それでもなかなか手を出してこない律の手を俺は強引に取る。

もう勝手に握りしめる感じで。

「キャッ・・・うわっ・・・もー!なんだよー。」

「お前でもキャとか言うんだな」

「一応女なんですけどー?」

「すいません・・・」

 

適当に音楽に合わせながら踊る。

体育で練習したのと同じだ。

ダンス自体は難しくないので楽だった。

 

「それにしても、体育館の写真、凄かったわねぇ~!」

律がニヤニヤしながら言ってくる。

こいつ・・・。

見てやがったのか・・・。

澪は嫌がってなかったかな・・・。

「澪はなんて言ってた・・・?」

 

「まぁ、恥ずかしがってたけど、嬉しそうだったぞー?」

 

「なんだよそれ・・・」

適当にあしらったが、俺も少し嬉しかったのは事実だった。

だが、それは誰にも言わない。

もう少し自己分析してみる必要があるな。

 

 

 

「なぁ。相馬は澪のこと好きじゃないのかー?」

 

 

 

「えっ!!!???」

 

唐突な質問で思わず変な声をあげてしまう。

なんか察されたら嫌だな。

俺が・・・澪を・・・?

 

今思うとそういうった感情は全く考えたことなかった。

 

でも・・・それはどうなんだ?

 

澪は好きだ。

 

でもそれはさっきの唯と同じで、"友達"としてなのか・・・?

 

実、際唯から"友達として"と言われた訳ではないが・・・俺はそう思った。

 

 

「わかんねー・・・」

 

 

それが回答だった。

律は嬉しそうに、かつビックリしたように、頬を赤らめる。

「えー!!!いいじゃんいいじゃん!うちは応援するぞー!!」

「って嘘だよ。そんな訳ねーだろ?易々だまされてんじゃねーよ!」

「ハァ~?なんだよそれ。面白くなると思ったのにさ~」

「面白がるなよ・・・」

 

実際のところは、分からないが本音だった。

うん。

 

 

俺は・・・俺の・・・本当の気持ちなど・・・俺以外分かるはずもないのに―――。

 




交わる想い―――。

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