ブロント語を喋る初音ミクが未来を変えるとか言ってきた   作:タクティス・ハルバード=レミィ

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第4話 汚いさすがのび太くんきたない

 今、ネギを握りしめて部屋に立ってる。

 

 僕が立ってるんだ。周りから見たら変な人だろう。

 

 ミクなら、ネギで来るはず! 今まで無かったけどあのネギ愛はヤバイ!

 

 誰も来ない事を常に確認できるよう、部屋のドア側を向いてネギを振り回す。

 

『ミク〜ネギだ! ネギっていうかネギ!』

 

 そんなことをいいながら振り回す、もちろんまだ来ない。

 

「えっと、高いヤツ! A+だよ!」

 

 くるくる回転して高さを誇る。

 

 もちろん100円ちょいの安い方だ。

 

「美味しいよ!!」

 

 途端に机側から、炸裂音が鳴り響く。

 

 僕は何かに打ち当たり、吹き飛ぶ。

 

 ネギはもう無い。

 

 椅子が転がっていて、これ(椅子)に当たったんだなと気づいた。

 

 

 

『キラキラキラと輝く未来のネギ〜』

 

 そんな聞き覚えのある声が聞こえ、顔を持ち上げる。

 

 ミクが椅子に座ってネギの白い方を齧ってる。

 

「A+じゃないですね。どちかというと激マズ」

 

 

 

 不機嫌そうにミクはネギを二つに折ると、開きっぱなしの引き出しへ放り込んだ。

 

「ミク……どこにいたんだ、ついでにサンダル脱いで」

 

「帰ろうと思ったんですが、息子さんに呼ばれまして」

 

「息子って僕の? 名前は?」

 

「名前は忘れました」

 

 本当に忘れた? そんな。

 

 ミクはサンダルを僕に投げつける。

 

「疲れたので引き出しに篭ってるとネギで呼ばれて来てみれば……汚いさすがのび太くんきたない」

 

「ごめん、僕だって悪気はないんだ」

 

「何処がですか?お? 久々に怒りが暴発しそうなので、晩御飯はネギ使ってください」

 

 腕を組み、ミクは怒りの視線を向けてる。

 

「ミクがいえばいいと思うよ」

 

「仕方ないですね、分かりました」

 

 鼻歌を歌いながら、僕を横切って階段を降りて行った。

 

 僕って何の為に外でたんだ……?

 

 

 

 晩御飯はネギで決まった。

 

 ネギの和え物、ネギの味噌汁、ネギのソテー、ネギご飯。

 

 台所で、僕とミクは並んで座り、お母さんとお父さんと向かい合う形だ。

 

 1番変わった所、家族が1人増えて食卓が騒がしくなった。

 

 

 

『のび太、本当にその子大丈夫なのか?』

 

 不思議そうにお父さんはネギのソテーを摘み、言った。

 

「うん! 大丈夫だよ」

 

「頼むぞ、ミク」

 

 お父さんは、僕じゃなく初音ミクを見て言う。

 

「そんなぁ!」

 

「分かりました、お父さん」

 

「否定してよミクも!」

 

 笑いながら、ご飯食べた気がする。

 

 久々にガヤガヤだった。

 

 

 

 でも、大きな問題が発生していたのは言うまでもない。

 

『どうやって寝るの!?』

 

 天井からぶら下がっている電気を『立ったまま』消してから気づいた。

 

 ミクは僕の布団で目を瞑り『消してくれてありがとうございます』と、丁寧にお礼まで言ってくれました。

 

「どうやって寝よう」

 

「私の中来ますか?」

 

「遠慮」

 

 どうしよう。押入れ空だったっけ……。

 

 押入れをガバッと開け、中を確認する。

 

 お布団が一つあり、それだけだ。

 

 この押入れのサイズは、僕くらい。

 

 ミクだと、膝を曲げないと行けないな。

 

 チラッと僕は、ミクの寝顔を見て決めた。

 

 

 

 布団を押入れ内で広げる。

 

 枕を置いて、布団を掛けて。

 

「ミク、おやすみ」

 

『……おやすみなさい、マスター(のび太くん)

 

 僕は押入れに入り、布団に体を預けた。

 

 本当に真っ暗だね、押入れは。

 

 寝れるのかな?

 

 

 

――目を瞑った、僕は。


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