ブロント語を喋る初音ミクが未来を変えるとか言ってきた   作:タクティス・ハルバード=レミィ

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第3話 いくえ不明

 散々空き地で話した後、僕は家に帰った。

 

 ミクは何故か、まだ居たいと言っていたので『帰って来てよ』と釘を指しておいた。

 

 お母さんには話しておかないといけない。

 

 玄関の靴を脱ぎ捨て、テレビのある居間にお母さんの前へ座る。

 

『お母さん、話があるんだけど』

 

「何かしら? 晩御飯は変更しないからね」

 

 言いづらい、初音ミクを家族にして下さいって?

 

「その、今日家に居た女の子、初音ミクって言うんだけど、一緒に暮らせないかな?」

 

「別にいいけど、どこのおうちの子? 挨拶しないと」

 

 ダメだ……もうおしまいだ。

 

「だっ大丈夫、僕がもう言ってるから」

 

「次は、ちゃんと事前報告しなさいよ?」

 

 

 

 僕は頷き、階段を上がって部屋に篭った。

 

 気がついたら、ママじゃなくてお母さんって呼んでる。

 

 凄いな、ミク。

 

 それから漫画を読んで時間を潰していた。

 

 

 何故か一向に、ミクは帰ってこない。

 

 もしかして、迷子? あんなに近いのに?

 

 もうちょい待ってみよう。

 

 

 

 

 

 午後6時だ。

 

 帰ってきてない。

 

 流石に心配なので、空き地に向かう事に。

 

 階段を駆け下り、靴を履いてドアをうるさく開ける。

 

 

 

 息を切らして空き地につくと、顔をあげてみる。

 

『ミク居ねぇ……』

 

 僕は呟いた。ため息のつもりなのに。

 

 最初はそんなに思い入れは無いと思っていたけど、認めるしかない。

 

 ミクに依存してる、1人っ子だからかな?

 

 内心落ち込みながら、僕は家に帰った。

 

 

 

 

 

 小鳥のさえずりが聞こえる、朝だ。

 

 早起きじゃない、不安で寝れなかった。

 

「ミクちゃんはどうしたの?」と聞かれた時は、「そうだね」としか返せなかった。

 

 今度こそは見つける。もう1回空き地に向かおう。

 

 パジャマを脱ぎ、シャツと短パン、メガネが僕の格好だ。

 

 階段を降り、また靴を履く。

 

 

 

『お母さん行ってきます!』

 

「5時には帰ってくるのよ?」

 

 分かってる。そう思いながら、ドアを開けた。

 

 でも、これは分からなかった。なんでスネ夫とジャイアンが?

 

『あの女どこだ! 今度こそ!』

 

「僕が知りたいくらい、見かけなかった?」

 

「見かけてねぇから来たんだよ」

 

 見かけてないのか。

 

「殴らせろ! 腹が立ってきた」

 

『やっちゃえジャイアン!』

 

 ジャイアンは腕を捲る。

 

「やめてよ、僕は悪くないじゃないか」

 

「のび太の癖に生意気だなあ、帰るぞ」

 

 スネ夫は「え? 帰るの?」と言いながら、ついていく。

 

 

 

 なんだか分からないけど、助かったみたいだ。

 

 とにかく、空き地に向かおう。

 

 

 

 人を避け、出来杉に無謀な頼み事(宿題)をして空き地に着いた。

 

 やっぱり誰も居ない。

 

 もう帰ってこない? ここで最終回?

 

 

 

 

 

 それから学校にも、商店街にも行った。

 

 八百屋やらスーパーのネギコーナーを特に見たけどダメだった。

 

 時間は午後3時を回って、家に帰還。

 

 

 

 そんな落ち込んでる僕は、冷蔵庫からネギを1本取り出す。一番太くて長い方。

 

 ミクは太いの持ってたよね?

 

 

 

――最後の望みにかけることにした。


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