ブロント語を喋る初音ミクが未来を変えるとか言ってきた   作:タクティス・ハルバード=レミィ

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第2話 違和感

 

 

 

 いつもの場所っていうか、みんながいる空き地。

 

 路地裏とか誰が言ったんだ。

 

 ミクに僕は付いてくだけだけど、分かるのかな?

 

『ネギを使うことすら無かった、のび太くんはいつもあんな感じ?』

 

「うん、君が2人をボコボコにする以外同じ」

 

 自分でも分かってる、弱いってことは。

 

 簡単に治るわけじゃない。

 

「言っとくけど、私は機械だから人の感情なんてわからない」

 

「感情はわかるんじゃ? それに僕は友達だと思ってる」

 

「機械の?」

 

「普通の」

 

 

 

 歩いて数分、空き地に着いた。

 

 特に人は居な……居た。しずかちゃんが。

 

「どうしたの? もしかしてあの子のこと好き?」

 

「感情分かってるんだよね」

 

 ドンピシャに当ててくるミクは凄い。

 

「私はなんとも思わないから行ってきていいよ」

 

「それは出来ない」

 

「ネギ齧るから」

 

 ミクはすっと、手のひらサイズのネギを出す。

 

「もっと出来ないから」

 

 行きたがらないミクの手を僕は引っ張って、しずかちゃんに声を掛ける。

 

「し〜ずかちゃんっ!」

 

『のび太さん……その子誰?』

 

 普通の人より白い肌、ありえないツインテールは、そう思われても仕方ない。

 

「初音ミクだよ! 僕の友達」

 

「初めまして、マスターの未来を」

 

「あーそうそう! 今度勉強教えてくれない?」

 

 初音ミクの声を遮るように、僕は話を切り替える。

 

 マスターとか引かれるに決まってる!

 

「分かった、ミクさんよろしくね?」

 

「よろ、しく」

 

 ミクはぎこちなく笑い、しずかちゃんは「またね」と帰っていく。

 

 彼女(ミク)が笑ったの初めて見た、割と可愛い気がする。

 

 空き地で何しようかな。

 

「少し話さない? 君の事色々知りたいんだ」

 

「話してなくてすみません」

 

「いいよいいよ、そこで座ろ?」

 

 

 

 三つの穴の空いた筒が山のようになっている場所に乗って座る。

 

 上がり方を分からないようで、ミクはアワアワしてる。

 

「はい、手を握って」

 

 僕は手を差し出し、握らせると持ち上げて腰掛けさせた。

 

「ありがとうございます」

 

 ミクって笑顔になるのは辛いの? 何故か僕の前で表情が変わらない。

 

「質問なんだけど、どうやって来たの?」

 

「のび太くんのお子さんに指示で」

 

「よく拒否しなかったね」

 

「ヌコ型ロボットも居ましたが、私の方が優秀なのは確定的に明らかです。四次元ポケットっていう、なんでも入る袋になんか負けません」

 

 残念だけど、三つの言語しか喋れないし、ネギしかない君に勝利はないと思う。

 

「他に何が出来る?」

 

「歌えます!」

 

「歌ってみてよ」

 

 深呼吸をすると、滑らかな声を出す。

 

 

 

『ネギ〜ネギ〜ネギ〜ネギ〜ネギ〜』

 

「ふむ?」

 

「ネギっネギっネギ〜」

 

 ネギしか言ってない! なんだこのネギ愛。

 

「ネギ〜……forever.endroll」

 

 最後の最後に、超綺麗な声でフォーエバーエンドロールって言われても困る。

 

『よーするに、歌って踊れないボーカロイド』

 

「ネガネガはやめてください、歌えないけど踊れるボーカロイドです!」

 

「脳筋だよね?」

 

 

 

 腕で×を作り『ブー』とミクは言った。


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