一夏ちゃんを無双させたいが為のインフィニット・ストラトス   作:銭湯妖精 島風

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送り火

 

 

桜花作戦から3日が経ち、BETA残党狩りと戦死者の遺体回収を済ませる事が出来た

 

分かっていた事だったが、仲間の死は何度味わっても辛く悲しい

 

1個大隊中、死亡5 重体4 重傷5 軽傷14とハイヴ攻略戦を行い出た被害は比較的少ない方だが、悲しいものは悲しい

 

 

「一夏、束さんが探してるよ」

 

「・・・ありがとうございます一騎さん」

 

桟橋から地平線の彼方を眺めていた私に一騎さんがそう言ったので、私は涙をハンカチで拭き振り返り御礼を言う

 

「束さん、ロビーにいる筈だから」

 

「分かりました、行きましょう」

 

私の言葉に一騎さんは無言で頷き、私に寄り添ってくれる

 

 

一騎さんが居なかったら今頃私は泣いて部屋からは出て来れなかっただろう

 

 

少し歩き祭議場のロビーに着くと、喪服の人々の中にいる束さんへ歩み寄る

 

「あ、いっちゃん。急に姿が見えなくなって心配してたんだよ?」

 

「・・・すみません束さん」

 

私が謝ると束さんは優しく私の頭を撫でてくれた

 

それから程なくして合同葬儀が始まる、戦死者は其々の宗教に応じ埋葬されるので、形式自体は簡略化されている

 

私は1人1人の遺影の前に行き、手を合わせて1人1人に御礼と謝罪と感謝を述べて行く

 

そして最後に祭議場裏に有る桟橋へ行き、紙製の灯篭に火を焼べて海へ流し、再び手を合わせ死者の冥福を祈る

 

 

しばらく桟橋の邪魔にならない場所に立ち流れて行く灯篭を眺め続けていると

 

「此処にいたんすね隊長、夏前とは言え潮風に当たりすぎると風邪ひくっすよ?」

 

振り返ると、喪服を纏い車椅子に乗って左肩から先が無いが相変わらずな表情のブレアが、そこに居た

 

多分、今車椅子を押して来た青年がブレアの婚約者なのだろう

 

「・・・そうですね、ありがとうございますブレア。具合はどうですか?」

 

「ボチボチっすかね?腕は再生治療で如何にかなるらしいんで心配しないで下さい、でも暫くは入院っすね」

 

 

ブレアが落ちた あの時、私は正直ブレアは死んだと思っていたが、ブレアは紙一重で急所からレーザーを逸らしていた

 

いやはやブレアは実は実力を隠しているんじゃないかと、疑いたくなる出来事ではあった

 

 

一騎さんと共にハイヴから離脱しようとしたら一騎さんの武御雷の足元近くで動くブレアを発見して急いで近付き応急処置をしてデューカリオンの医務室に搬送した

 

あと十数分治療が遅ければブレアは助からなかったかもしれない状態だったらしい

 

「では、暫くは貴女のウェディングドレス姿もお預けですか、残念です」

 

私はブレアに歩み寄り軽く彼女の頭を撫でて言う

 

 

私達は生き残った、戦死した仲間の分も私達は精一杯生きなければならない

 

それが生き残った者の務め、なのだろう

 

 






ふぅ、何とか書けました


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