一夏ちゃんを無双させたいが為のインフィニット・ストラトス 作:銭湯妖精 島風
「フリスト4、8、11シグナルロスト、レギンレイヴ7、9中破、作戦継続困難」
BETAの反抗が始まり約30分、流石に犠牲無く済む訳も無くフリストとレギンレイヴに被害が出始めている
絶え間無く聞こえる戦況を把握しながら私も部下へ指示を出し、最深部へと突き進んでいる
「交戦は必要最低限に留め、絶えず動いて下さい。足を止めたら
既に突撃砲は捨て長刀の二刀流でBETAを斬り殺し後続の為に道を作り先頭を突き進む
現段階では辛うじて戦死者は私の中隊には出て居ないが、それもいつまで持つか正直分からない
だが、進み続けなければ全員死ぬ、それは間違い無い
「あれがメインシャフト、そして最深部へ続く最後の道」
「隊長、私が先に行くっす」
私が止める間も無くブレアはドリフトからメインシャフトへ飛び出し
「レーザー級が居るっすよ!!気をつけ」
「ブレア!!全機、飛び込みレーザー級を駆逐せよ」
ブレアがレーザーに撃たれ落ち、私達は最大推力でメインシャフトへ飛び込み、2回目のレーザーヤークトを敢行する
「やはり嫌いだ貴様等、1匹残らずに死ね!!」
かなり無茶な機動を駆使して如何にかレーザーヤークトを完遂し、折れてしまった長刀を投げ棄て、相変わらずタコの様なブレイン級を見据え
「漸くですね、よくもブレアを、みんなを・・・終わりです。終わらせます」
「隊長、コレを」
片腕の無いラーズグリーズ12が突撃砲を差し出して来たので御礼を言って受け取りトリガーに指を掛けると
「作戦区域に未確認物体が出現、突然現れました。ハイヴのモニュメントへ激突コース」
「総員退避、瓦礫に気をつけて下さい!」
オペレーターの焦った声を聞き、直ぐに指示を出してドリフトへ避難した直後、騒音と振動が私達を襲う
「くっ・・・結構デカかったみたいですね」
運良くドリフトが崩れる事は無く、モニュメントの残骸が落ちて来た程度で私達には被害は無かったので、次こそはブレイン級を始末すべくドリフトから出ると、モニュメントが崩れた為に直接日光が差していて明るくなっていた
「今度こそ・・・?」
ブレイン級へ突撃砲の銃口を向け構えた視界の端に、見覚えの有る物を見つけ疑問に思う
何故、此処に再突入殻があるのか
警戒しつつ辺りを見渡すと、影が差し私の視界に朱が映る
もう2度と見る事が叶わない筈だった朱と刻まれた家紋に私は作戦中なのに涙が溢れだしてしまう
そんな私を知ってか知らずか、朱い武御雷はブレイン級を容赦無く突撃砲で蹂躙しミンチに変えてしまった
だが些細な問題だ、どうせ私も同じ様な目に合わせるつもりだったのだから
「ブレイン級の沈黙を確認、総員撤退を始めて下さい。我々の勝利です」
私は通信で告げ、朱い武御雷を見上げて ゆっくりと浮遊し管制ユニットの前まで移動し
「協力、感謝いたします。申し訳ありませんが、出て来て貰えますか?」
「え?・・・その声」
私の言葉に反応し、直ぐに管制ユニットが露出し、衛士の姿が露わになる
「嗚呼・・・嗚呼やはり貴方だったのですね?会いたかったです。一騎さん」
私は纏っていた武御雷を収納し、彼の前に降り立ち彼を見上げて言う
「俺も会いたかったよ一夏」
嗚呼、神様
今日ほど貴方を恨みながら感謝した日は私にはありません
夢なら覚めないで欲しい
よっし、取り敢えず桜花作戦は終了しました
そして、突然ですが、あと数話で本作は完結させます