一夏ちゃんを無双させたいが為のインフィニット・ストラトス 作:銭湯妖精 島風
IS学園の解析班が来る前に、案の定ミンチになっていた少年兵の遺体と介錯を施した彼の遺体を死体袋に収納し、血塗れのコクピットは仕方ないので、何もせずにムラサメを待機状態に格納して私達はアリーナを後にした
その後、クラス代表戦は正式に中止となる通達がされた
正直、敵機の全てが少年兵だったとしたら、彼等の練度は高過ぎる
恐らく彼等は10代半ばも良いところで、どんなに頑張っても彼処までの練度へ至るには1桁の歳から本格的な訓練を行わなければならないだろう
だが、そんな事をしなくても身体の出来上がった大人が機体に搭乗すれば良い筈だ
アレには大人では無く
単純に御し易いから、では無い筈だ
成熟した大人の傭兵では無く、未成熟な子供を使う理由
私は、その疑問を抱き解析班が作業している区画へと足を運んだ
部屋へ入ると解析班の人々が1つ1つ丁寧に解析をしていた
既に私が落とした方は形も無くパーツになっていたので、正直驚く
邪魔にならない様に壁際を移動し、端末片手に報告を聞いている姉さんの元へ向かい話し掛ける
「織斑先生、何か分かりましたか?」
「あぁ、とりあえずパイロットだった少年兵の司法解剖の結果、彼等は何かしらの投薬と外科的手術で機体と直結する機具らしき物が埋め込まれている事が分かった、また機体側のシートにも接続用端子が確認されている」
姉さんは苦虫を噛み潰した様な表情で苛立ちを抑えながら言う
「そう、ですか」
私も姉さんと同様に怒りを覚え、それを抑えながら言い
「恐らくIS技術に頼らない兵器、なのでしょうねコレは」
恐らく子供でないと行けない理由は、この直結機具だろう
そう仮説を立て、更に1つの仮説が浮かぶ
もし、もしも仮にだ
その場合、ISは最強の兵器の座から降ろされ、世界の抑止力足り得なくなる
建て前では戦争への使用禁止ではあるが、抑止力になっている事は間違いない
この技術が広まれば、ISコアを持たない小国や過激派がISと同等の戦力を持つ事になり、直ぐにでも戦争の火種になりかねない
そう、私だけが世界を渡った唯一の存在とかあり得ないだろう
私という前例がある以上、可能性がある
「織斑先生、少しコーヒーブレイクでもしませんか?奢りますよ?」
努めて表情を作り周りに気付かれない様に姉さんへ言うと、アイコンタクトが通じたのか軽く頷き応じてくれた
とにかく姉さんへ仮説を伝え、その可能性が有るかを吟味したい
あとは姉さんへ束さんをIS学園へ招待する許可を貰わないといけない
ふぅ、ひとまずはこの様な感じで大丈夫だろうか?