ハイスクールエクストラヴァDxD~転生せし者達 作:カオスサイン
EPⅠ「転生を果たしたけど…」
Side瑠雨也
「…」
俺は「ハイスクールDxD」の世界に転生した。
家族は両親のみ。
俺は親に迷惑をかけないようにと早くに一人立ちし転生特典を駆使し「万事屋」をして生計を建てていた。
競売にかけられていた古い館を買い取り改装、「七瀬邸」と命名し日々を過ごしていた。
でもそれまでに原作とは違う点がいくつかあった。
一つは俺が頼んだ「BlackCyc」関連作品のキャラが全員とまではいかないが存在している事だ。
まさか、その作品の一つである「BeforeDawnDaybreak~深淵の歌姫」に登場したメインヒロインの一人である歌姫、レオノーラの救出依頼を受けた時は流石に驚いたぜ…。
二つ目は原作主人公である兵藤一誠ことイッセーに双子の弟、兵藤兜誠が存在していた事だ。
だがこれはすぐにその弟が俺と同じ転生者である事は分かった。
でもまさか主人公の座と力までもが奪われていたとは予想外だった。
そしてその転生者が流したイッセーの悪評に唯一振り回されなかった俺達の幼馴染である紫藤イリナにも転生者の魔の手が迫ろうとしていた。
「い、嫌!…」
「へっへ~まさか男の恰好しているイリナたんと遭遇するなんてなんて俺はラッキーなんだ!」
この男こそ三人目の転生者である顕谷 荒耶である。
彼は男装しているイリナを偶然見つけ彼女を襲おうとしていた。
「何をしている!」
「其処までだ屑野郎!」
「だ、誰だ!?…」
俺は一早くイリナのピンチに気が付きそして偶然通りがかった刑事の田上 信吾さんと一緒に屑転生者を取り抑えようとする。
「チッ!こうなったら…「フィジカル・バースト」!」
「ムッ!?」
どうやらコイツの特典は本来必要なニューロリンカー等の端末無しで「アクセルワールド」の加速の力を使える能力のようだった。
「どらあっ!」
だが笑止!
「MinDeadBlooD~支配者の為の狂死曲」の主人公である吸血鬼、七瀬しずるの身体能力を得ている俺の前ではどれだけ加速しようと無意味!
最ッ高にハイって奴だああ!
「ぶげえっ!?……」
俺の渾身のキックを受けてフィジカルバーストが解除された転生者は目を回しぶっ倒れる。
そこを田上さんに取り押さえられ連行されていった。
「瑠雨也君?…」
「すまなかったな紫藤、今迄黙っていて…俺は普通の人間ではない吸血鬼なんだよ…」
俺は自身の素性の全てをイリナに明かした。
Sideイリナ
「…」
私は何故か男装していた私が女性だという事を知る不良に危うく襲われかけた。
そこを幼馴染の一人である館凪 瑠雨也君に助けてもらったのだ。
でも不良をのした時の彼は何処か普通じゃなかった。
嫌、不良も急に動きが早くなっておかしかったけど。
だけどその疑問はすぐに彼の口から聞けた。
「自分は吸血鬼」だと…。
そして彼が次に口にした言葉で私は愕然とした。
「聖書の神は既に過去の大戦で亡くなり、その部下である現天界の長、天使長ミカエルが神の残したシステムの不具合を直さずに使用しているせいで人生を狂わされてしまった人達がいる」とも…。
私が生まれてから今迄信じてきたモノはなんだったんだろうか?…そう考え出すと途端に涙が溢れ出てきてしまった。
すると彼が「何、これからは己の目で見て信じられるものを見つけ出していけば良い」と言ってくれたのだ。
私はまた感動の涙が溢れてきていた。
「ちょ!?…待ってろ良い物があるぜ」
「何これ?…」
泣き出した私に瑠雨也君は慌てたのか背負っていたリュックサックから鶏の卵よりも一回り程大きい卵を私の手の平に乗せてきた。
「悪魔払いの修行に行く予定なんだろ?
此奴は俺からイリナ、君への贈り物だよ。
大切に育ててくれよ?」
「…うん!ありがとう瑠雨也君!」
どうやら私の悪魔払いの修行の旅の御守にと彼がプレゼントしてくれたのだ。
私はたまらずお礼を告げ旅立った。
Side瑠雨也
「さてと…紫藤には刻凍る果ての獣魔の卵を渡したしこれで彼女は大丈夫な筈だ。
…後は…」
どうしてこうなった!?
「?どうかしましたか旦那様…?」
イリナとの一時の別れから数年後、俺は何故かミカエルの仲間であり原作一の巨乳を持った天使長ガブリエルに抱き着かれていた。
けれど彼女は堕天使になっていた。
あの糞ミカエルめ…俺への純粋な恋心を持った彼女までをもシステムの邪魔扱いし堕天させたようだ。
あの糞天使の事だ。アーシアも既に教会から追放されてしまっているに違いない。
良し…殲滅決定!
だがその前に兵藤兜誠を排除しイッセーの赤龍帝の力を一刻も早く取り戻させる事が最優先事項である。
先は長いな…。
Side兜誠
「へっへ…これでやってやったぜ……」
俺は兵藤兜誠。 兄である兵藤一誠の双子の弟としてハイD世界に転生を果たした。
俺が願ったのは只一つ!「イッセーの赤龍帝の力を奪う事」だ。
その願いは見事叶えられた筈だったが神器を宿した俺を殺しに来たのがレイナーレではなく彼女の部下のドーナシークだったのには驚いた。
まあこれくらいのイレギュラーは計算の内である。
俺はワザと彼に殺されまんまとリアス・グレモリーの兵士眷属として二度目の転生を果たした。
だが…一向に赤龍帝の籠手<ブーステッドギア>の本来の力は覚醒しなかった…何故だ!?
「兵藤兜誠だな?」
「誰だ!?」
「俺か?俺はお前みたいに本来の宿主から力を奪い、主人公になった気でいる奴等を駆逐する為にきた」
「まさかテメエは!?…」
そこには俺と同じ転生者がいたのだ。
すぐにブーステッドギアの発動を試みるもやはり発動しなかった。
「馬鹿なのかお前は?
ウェルシュドラゴン、ドライグに真の赤龍帝と認められていないアンタが力を扱える筈が無いだろうが!」
「なん…!?…」
転生者の言葉に反論しようとした瞬間俺の左腕はいつの間にか千切れていた。
「ぎゃああああ!?…」
激痛が走り俺は悶え苦しむ。
「ツマラねえな…そんなんだからドライグに認められないんだぜ?
あ、後イッセーに被せていたアンタの悪事は俺が白日の下に晒してやったからな!」
「なっ!?…て、テメエ…」
「ん?どうやって俺がアンタの悪事を暴いたかって?…それはコイツ、<チ>の触手<ク・リトルリトル>を使ったからさ!」
転生者が告げた言葉に俺は驚愕し彼が周囲に浮かせた緑色の眼球の形をした植物の様な何かを見て俺は気絶してしまった。
あんなの知らない…。
「俺の力、返せよ!…」
そして俺はいつの間にか目の前にいた兄によってボッコボッコにされた。
Side瑠雨也
「あっけないな…まあ俺みたいな存在は稀有だよなあ…。
後の処理はサーゼクスの奴に任せるか」
俺は自身の力の一つ、<チ>の触手<ク・リトルリトル>の力を使い屑転生者兵藤兜誠を完膚無きまでに叩きのめし彼から赤龍帝の力を奪還しイッセーに返した。
事情を知ったリアス・グレモリーは彼をすぐさま転生させてくれ俺と同盟関係を結んでくれもした。
だけど又もや別の問題が降りかかってきた。
「上位種…それにヒバゴンだと!?…」
本来この世界に存在しない筈の化物達の名をサーゼクスから聞いて俺は頭を抱えていた。
恐らくどこぞの屑神が暴走して彼等をこの世界に招き入れてしまったか…。
とにかく奴等が本格的に侵攻を開始する前に殲滅させなければこの世界は破滅を迎える事になってしまう。
恐らくサーゼクスの義理の息子で現白龍皇であるヴァーリーでも奴等には苦戦するだろう。
それぐらいヤバイ奴等なのだ。
ならば俺が取るべき方法は二つ。
原作組の大幅な強化。
そして他にこの世界に転生してきた良識の者達の協力を得る事だ。
「神様の不手際で<コー>、<テュ>、<シン>、<レン>のトラ(トロ)ぺゾヘドロンの宝珠も行方不明のままだし早く探さないと!…」
俺は新たにそう決意し再びの原作介入を行う手筈を整えていた。
転生を果たしてから屑転生者駆逐までの簡単な流れをダイジェストでお送り致しました。
次回からは本格的に原作介入を開始します。