戦姫絶唱しないシンフォギア~転生者と不思議な道具~ 作:高性能脂肪
「それにしても翼の絵って個性的だよな~」
「奏、良いように言うな……はっきり言ってやるのも優しさだ。翼ちゃんは絵はひどい!」
「奏に藤本さん! 私の絵はひどくありません……少々個性的なだけです」
S .O .N .G.本部の休憩所で翼ちゃんの絵について話している。前にアルカノイズの絵を自信満々に描き、我ながら良く特徴を捉えている…と言って提出した紙にはノイズではなく小学生が描いたような武士が描かれていた。あの時のクリスちゃんの反応は間違っていない、ノイズを描くと思ったらあんな絵だったらそうなるだろう
「いや~弘は翼に厳しいんじゃないか? あれくらいの絵だったらそこらへんの人でも描くぞ」
「確かにそうだけどな……それでもノイズ描けって言われて武士描く奴がいるか? 例えるなら犬描けって言われてライオン描いてるんだぞ。防人になりすぎて脳の一部がおかしくなってるんだよ、きっと」
「藤本さん……防人を馬鹿にしないでく「防人は馬鹿にしてないよ、翼ちゃんがおかしいっておもってるだけで」か、奏! 藤本さんが私をいじめるんだ」
「はいはい翼は甘えん坊だな~こうしてると昔を思い出すな」
珍しい光景だ、あの翼ちゃんが防人をかなぐり捨てて奏に抱きつくなんて……というかそこまでの事なんて言ってないぞ、ただ事実を言っただけだ。しかし一体どうしたら翼ちゃんが認めるのか……あっ! あれを使おう、あれだったら認めざるを得ないだろう
「…………分かった。そこまで言うなら仕方ない、紙とペンを持ってくるから描いてみ? そのあとひみつ道具使って証明するから」
「分かりました。藤本さんこそ私がひどくないということを認めさせてみせます!」
「おう! 翼頑張れよ」
その余裕がすぐ無くなると思うんだが……翼ちゃんって理由無き自信があるからな。でもそれが翼ちゃんの強みで弱みでもあるんだよな~防人だからかな?
「比較の為に奏と一緒に翼ちゃんも描いてみて。じゃあ何を描いてもらおうか?」
「私は何でも構いません!」
「あぁ~なら象でいいんじゃないか? 翼だって描けるだろうし」
「そうだな……じゃあ描き始めて!」
同時に描き始める奏と翼ちゃん。そして同時に描き終わったのだが……ふと思った。奏って絵はどうなんだ? 比較の為に描いてもらっているが、これで下手だったらどうにもならないぞ…
「奏の絵はって上手い! 何この象、あの時間で描けるのかこれ」
「流石は奏、絵を描くのが上手い」
「あっはっは~そう褒めるなって、照れるだろ」
「(絵が上手くて)安心した、じゃあこのアニメスプレーを吹き掛けると……奏の描いた凄い象が動きだす」
そう翼ちゃんを認めさせてるためのひみつ道具とはこのアニメスプレー! これを吹き掛けた絵はその紙の中で動きだす、というひみつ道具だ。つまりその絵がどう動くかはその絵しだい、よほど変じゃない限りは普通に動くのだ!
「じゃあ翼ちゃんの絵を…………俺は何を描けって言ったっけ?」
「何を言っているのですか? 藤本さんは象を描けと言ったではありませんか」
「そうだよな象だよな……これが象か? 足は6本だし、鼻らしきものはアゴから生えてるし、鼻の上に口があるし、口の下に牙があるし…………というかフォルムが象じゃない、これが象か?」
「何を言っているのですか藤本さん? 我ながら特徴を良く捉えていると思うのですが……奏?」
「翼、これは象じゃないぞ。これはエイリアンを描いたんだろ?」
「なっ奏まで! 良いでしょう藤本さん、さっきのスプレーを吹き掛けてみてください。奏の象と同じように動くはずです」
「分かった……吹き掛けるぞ」
翼ちゃんの描いた象と言い張っているエイリアンにアニメスプレーを吹き掛けると…………想像以上の動きをした
「…………もう良いだろう? これを切歌ちゃんに見せたら泣くレベルだからな、認めろ……翼ちゃんの絵はひどいという事を」
「い、いや認めません! そこまで言うのなら暁に見せてきます!」
「おい馬鹿止めろ!」
その後切歌に見せたら調に抱き付き…その調に見せたらクリスちゃんの後ろに隠れ、クリスちゃんに見せたらガチで怒られた翼ちゃんがいた。クリスちゃんで良かったな翼ちゃん、これがマリアならどえらい事になっていたぞ……切歌ちゃん達の姉というよりか母親的なマリアさんならな