戦姫絶唱しないシンフォギア~転生者と不思議な道具~ 作:高性能脂肪
「君に貸すひみつ道具は無い!」
「そこをなんとかお願いします」
未来ちゃんが呼ぶから何事かと思ったら、ひみつ道具を貸してほしいとの事だった。普通に考えれば無理だ……今まで何をしてきたか、よく考えてほしい! きせかえカメラ、温泉ジャグジーの二つのひみつ道具で問題を起こしている未来ちゃんに貸していいひみつ道具が思い付かないんだ
「というか……どういうひみつ道具を貸してほしいの? 話を聞くだけ聞いて断るから」
「断らないでください! その……響の声そっくりになるひみつ道具ないですか」
「…………まぁ(響ちゃんに)被害は出なさそうだし良いか。 今なら響ちゃんは本部にいるだろうし……。じゃあ今からどこでもドアで本部に行くから、響ちゃんを連れてシミュレーションルームに来てね」
「はい、お願いします!」
声だけ聞けば安心出来るんだけど、顔を見ると安心出来ない。口はゆるんでるし、目は……あれだしな、とはいえあのひみつ道具で未来ちゃんが犯罪行動は起こさないだろうし大丈夫だ‼
「あの~弘さん、私は何をされるんですか? 未来の顔が凄い事になってるし……大丈夫なんですよね」
「大丈夫だ。今から出すひみつ道具で響ちゃんが襲われる事にはならない……問題ない」
「本当ですよね、その言葉信じますよ」
「響~なに話してるの? 私が呼んだのに……」
「未来ごめんごめん、ちょっと弘さんにどんな道具か聞いてただけだよ」
シミュレーションルームに来た未来ちゃんと響ちゃん……響ちゃんは不安そうな顔で入ってきた途端、俺にすぐさま今回のひみつ道具は大丈夫か聞いてきた。大丈夫なはずだ……予想の斜め上の使い方をしなかったらだけど
「今回使うひみつ道具は声のキャンデー!」
「キャンディー? どう見ても機械なんですけど」
「そうですよ弘さん、これじゃあ舐めれないです」
俺も声のキャンデーを見たとき思った。だから響ちゃん達が思うのは仕方ない……だとしても
「……それを言うな、このひみつ道具の名前は定まってないんだから。そんなことより響ちゃん、このマイクにむかって話してみて…………うんありがとう、これでほらキャンディーが出てきただろ? これを舐めると響ちゃんそっくりな声に最高30分なれる」
「こ、これで響の声「ただし! 交換条件として未来ちゃんの声のキャンディーを作って響ちゃんに舐めてもらう」ひ、響が私の声にゴクリッい、良いですよ」
「ええっ! わ、私が未来の声にですか……ねぇ未来~私の声で変な事しないでね」
「ももももも、も、勿論だよ響! へ、変な事しないから安心して」
キャンディーを舐めた未来ちゃんをどこでもドアで元の部屋に戻したが、何か大きなミスをしたような気分になった。響ちゃんの声で響ちゃんに安心してねと言ったが、それがより一層安心できない。残された俺とキャンディーを舐めた響ちゃんはその後ろ姿をただ見ていた
「…………きっと大丈夫だ、安心していいよ響ちゃん!」
「無理無理無理、無理ですって弘さん。あの未来を見たら安心できませんって‼」
「…………未来ちゃんの声で、そのテンションで話されると変な感じだな」
「そんな事言ってる場合じゃないですって! 未来~信じてるからね私、未来が変な事しないって」
こんな感じだったが、その後は何とか気持ちを切り替えてキャンディーの効果がきれるまで未来ちゃんの声で遊んだ。未来ちゃんの声で何時ものように歌ってもらったり、響ちゃんを表す言葉である……ごはん&ごはんを言ってもらったり、様々な事をして遊んだ
そして次の日、S .O .N .G.本部の廊下であった響ちゃんの目は死んでいた
「あれ響ちゃん? どうしたの目が死んでるけど」
「…………弘さん知ってます? 最近の目覚まし時計って好きな音入れられるんですよ……」
「ふ、ふーんそうなんだ」
「今日、私……私の声で起きたんです。私だけの未来起きてっていう声で…………昨日未来は目覚まし時計に音を入れ続けたみたいでハハハ、私これから毎日……私の声で起きるみたいです。あっこれから訓練なので失礼します」
「おっおう~(いろんな意味で)が、頑張れよ」
響ちゃんはフラフラしながら歩いていった。そして響ちゃんが見えなくなったとき思った事はただ一つ
「ちくしょう、あの女(未来ちゃん)はもう駄目だ‼」