戦姫絶唱しないシンフォギア~転生者と不思議な道具~ 作:高性能脂肪
「調もそのひんやりとした手を感じてほしいデス!」
「あのねきりちゃん……私が私の手を触ってもひんやりしてても分からないよ」
S .O .N .G. 本部の廊下で切ちゃんと調ちゃんが話しているのが聞こえたからそっちへ行ってみると、切ちゃんが調ちゃんの右手を左手に当てていた……そりゃ分からんだろうに、少しはマシになったかと思っていたがまだまだ時間がかかりそうだ。しかも切ちゃんは調ちゃんの手がひんやりして気持ちいいのかまったりとした顔になっているし
「何やってるの二人とも?」
「調の手がひんやりして気持ちいいのに調がそれを分かってくれないのデスよ」
「だからねきりちゃん、それはきりちゃんの手が温かいからそう感じるの……私が私の手を触っても体温が同じだから分からないよ」
「デデース! 調が難しい事を言って私を奔走しようとしてるデス」
「…………きりちゃん、それを言うなら翻弄だよ」
時間がかかるどころかスタートすらしていないのがきりちゃんらしいところか…………調ちゃんが頑張って常識を、教えている姿が目に浮かぶ。いやそれは少し考えれば分かっていた事だ、そうじゃなくてだ……きりちゃんは調ちゃんに調ちゃんの手がひんやりして気持ちいい事を知ってほしい、調ちゃんは自分の手だから分からない、か
…………周りには未来ちゃんはいないな、ならあのひみつ道具が使える。今はシミュレーションルーム、いつも訓練している部屋に誰もいないし
「はいはい切ちゃん、調ちゃん。なんとかしてあげるからシミュレーションルームに行くよ」
「デデース‼ 何とか出来るとは流石デス」
という訳でシミュレーションルームに来た! 今回使うひみつ道具は大きいから、今まで使ってきたひみつ道具のように廊下とかでポンと出すわけにはいかないのだ
「およよ~これは大きいデスね」
「うん…きりちゃんより大きい」
「今回使うひみつ道具は人体とりかえ機! 使い方は簡単、切ちゃんと調ちゃんがそれぞれ両側に入って……今回は俺がリモコンのスイッチを押したら、はい終わり」
「デ、デデース‼ この体は調のデスよ」
「…………きりちゃんの胸大きい」
見慣れないなやっぱり……胸がない切ちゃんと胸がある調ちゃんは。切ちゃんは調ちゃんの手を触っては「およよ~本当デス、ひんやりしてないデス」と言ってるし、調ちゃんはずっと切ちゃんの胸を触っているし
「じゃなくて! 切ちゃん、調ちゃんに調ちゃんのひんやりとした手を感じてもらいたかったんだろ」
「そ、そうデス! はい調、どうぞデス」
「うん、切ちゃん…………あっ本当だ、ひんやりして気持ちいいね」
「そうなんデス! だけど私の手もポワワンとして気持ちいいデス」
「うん、きりちゃんの手は温かくて気持ちいいよ」
何かイチャイチャしだしたけど、まぁ切ちゃんと調ちゃんの何時もの事だから良いか! イチャイチャし終わったら切ちゃんと調ちゃんの体を戻して……
「先に言っておくが未来ちゃんには使わせないかね」
「何でですか! 私は何もしてないのに」
「…………しないじゃなくて、してないなのが駄目なんだよ。一つ聞くけど、それで何をするの?」
「普通に体を触ったり、走ってみたりとか……」
「俺が戻すのを忘れて家に帰ったら?」
「それはもう……響の力強い体で、私のひ弱な体になった響にキャッ」
「だから駄目なんだよ‼」