寺子たちに課せられる日々の鍛練の中でも、山行は一際過酷なものとして知られていた。
土掬い、蜘蛛蜂、苔頭、鬼鋏。そんな得体の知れない化け物共が跋扈する山々を身一つで越えてゆかなければならないのである。
 そして今宵も少年たちが山に解き放たれた。底知れぬ闇のまえに、彼らはただ無力であった。
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