君との…   作:ゆ☆

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君とバレンタイン。

 

「んーこんなもんかなぁ。いや比企谷はもっと甘い方が…。」

 

 

「なにかおり、もしかしてそれ例の彼にあげるやつ?」

 

 

「うん。まぁ受け取ってくれるかわかんないんだけどね。」

 

 

「かおりみたいな女の子がチョコとかギャップ萌えで例の彼もイチコロなんじゃないの〜?」

 

 

「ギャップ萌え!それある!ってちょっとそれ失礼だから。ウケる。」

 

 

「はいはい。でもそんなに難しい相手には見えないけどね〜ちょっとかっこいいけど。」

 

 

「あー捻くれてるからね。まっわかりにくいけど優しいとこもあんだよね。」

 

 

「はい頂きましたー!ごちそうさま。」

 

 

「やめてよなんかすっごい恥ずかしくなってきた。」

 

 

「よし、じゃあ仕上げして終るよ!」

 

 

とこんな感じであたし、折本かおりはサークルの友達とチョコ作りに励んでいた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

バレンタインねぇ。

いつだかの高校時代、バレンタインイベントなるものをしたな。

 

キッカケは葉山にチョコを渡したいという依頼で依頼内容自体は上手く成功したと思う。

 

そういえばあの時海浜総合も合同だったからあいつも居たんだったな。

 

試食と言って、少々不恰好ながら充分に美味いチョコを貰ったんだった。

 

あれから数年。今年は誰かから貰えるんだろうか。

 

 

 

 

いつものように折本と昼食を取っていると

 

 

「ねぇ、比企谷って放課後空いてる?っていうか空けて。」

 

 

「お、おう。まぁバイトは昨日だったし今日は空いてるが。」

 

 

「あっそうなの?じゃあよかったー。」

 

 

「今日はなんの用なんだ?」

 

 

「へ?あ、いやちょっとね。」

 

どうも歯切れが悪い。

 

 

「なんだよ。どうかしたのか?なんかあるなら言えよ?」

 

 

「い、いや何もないけどちょっと、ね。

いいから空けといて!じゃ!」

 

 

と逃げるように去ってしまって行った。

 

んだよ。まっなんかあるなら言ってくるか。

 

 

 

 

 

「…遅くない?」

 

 

「悪い、遅れた。最後の講義の教授無駄話多くてな。」

 

 

「まっ付き合ってもらうのはこっちだからいいんだけどね。公園行かない?」

 

と、大学を出て俺たちの家の近くの少し大きめの公園へ向かう。

 

 

 

 

「おい、どうしたよこんなところ来て。」

 

 

「あーこの辺でいっか、とりあえず手短にと。

はいこれ、あげる。」

 

と、小包みを渡される。

 

 

「わ、悪いな。サンキュ。」

 

まさか貰えるとは思ってなかった。

 

 

「それでね。こっからが本題。」

 

「…あたしね、比企谷のこと好きみたい。ひひっウケるね。」

 

 

突然の告白に戸惑いが隠せなくなる。

 

だが、こいつは俺なんかには勿体無いくらいの女の子だ。

俺なんかよりも良い男の方がこいつの暖かい笑いが引き出せるはずなんだ。

 

 

「悪いがそれは勘違い「違う。勘違いじゃない。勘違いなんかじゃないんだ。」なんで言い切れるんだ。」

 

 

「あたしもねずっと考えてた。比企谷の隣は居心地がよくて、だけどこれは友達として好きなのかなって。

それでね、前にも聞かれたんだけどまた聞かれたの。

かおりと彼ってどういう関係なのー?って

あたし即答で友達だよ!って答えられなくてさ。

ずっと考えてたんだよね。それで考えてた日に比企谷が家に上がらせてくれた。」

 

それでこいつはあの日あんな顔して歩いてたのか。

 

「それで?」

と続きを促す。

 

 

「それでさ、あたしこういう性格じゃん?

だからさ、ずっと一緒に居たらわかるんじゃないかと思ってさ。

そういう感じでここ最近は居たの。

でも、答えずっと前に出てた。

あたしがこんなこと言うのは都合いいかも知れないけど、

 

好きです。」

 

 

「俺もここ最近はずっとお前が頭の中きら離れなかった。

でも、お前は俺なんかと一緒に居たら駄目なんじゃないか、俺なんかと一緒に居てつまらないんじゃないか、俺なんかじゃお前の笑顔は引き出せないんじゃないかって。

だから、

 

 

「ううん。それは違うと思うんだよね。

あたしは比企谷の隣が良いし比企谷の隣だから心から笑えるんだって思った。

それに、一応あたしの好きな人なんだから、なんかとか言わないでよね。」

 

 

「お前は、俺でいいのか?」

 

 

「うん。捻くれてるし、友達いないし、家に引きこもってばっかだけど、実はすんごい優しい比企谷がいいんだよね。

ってちょっと照れるね。」

 

 

ここまで言われたら流石に自分の気持ちに嘘はつけなくなる。

 

 

「お、俺もお前が、折本かおりが好きだ。俺でよかったら付き合ってほしい。」

 

 

「え?いいの?本当に?嘘じゃない?」

 

 

「あぁ、よろしく頼む。」

 

 

「よ、よかったぁぁぁ。」

 

と緊張が解けたのか座りこんでしまった。

 

 

「………グス、グス」

 

 

「ってお前泣いてんのか?」

 

 

「…なんか安心したらちょっと…。

それにやっと言えたから…。」

 

 

「お、おいちょっとやめろ。泣き止んでくれほら。」グイっ

 

とちょっと控えめに胸を貸す。

か、彼氏だしこれくらいはいいよね?

 

 

「ちょっ、ちょっと待って恥ずかしい恥ずかしい。」

 

いや恥ずかしいのはこっちなんだが。

 

 

「あーいや泣き止んだならよかった。」

 

 

「ゴメンゴメン。ずっとさ、不安だったから。

比企谷優しいから嫌々であたしに毎回付き合ってるんじゃないかとか色々考えててさ。」

 

 

「いや俺は嫌なことなら全力で嫌がるし意地でもやらない男だぞ。だから嫌ではなかったぞ。楽しかったしな。」

 

 

「あーすっごい想像つく。ウケる。

まぁ、あれだね、これからよろしくね比企谷。」

 

 

「お、おうこちらこそよろしくな。」

 

 

あっあれ渡しておくか。

 

 

「ほれ、チョコのお返しにはまだ早いけど誕生日プレゼントだ。」

 

と、鞄の中からプレゼントを出して渡す。

 

 

「え、あたしの誕生日覚えてたの?

ってか誕生日には早いから。ウケる。」

 

 

「まぁな。ボッチは記憶力がいいんだよ。

プレゼントはまた違うものをやるよ。」

 

 

「ひひっもうボッチじゃなくなるけどね。

って、いいからいいから!プレゼントこれでいい!これがいい!」

 

 

「お、おうそうか。じゃあまぁ誕生日は別で祝うだけにしとくか。」

 

 

「やめて。にやける。

よーし、付き合った記念だし今日は比企谷んち泊まるぞー!!よし行くよ!」

 

 

「ばっ、お前それは無しだろ。」

 

 

 

 

「あっ比企谷、靴紐解けてるよ。」

 

 

「あん?どれだ?」

 

と下を見た瞬間、

 

チュ

 

唇に柔らかいものがあたる。

 

「なななな、なにしてんだりょ!」

 

恥ずかしさの余り噛んでしまう。

 

 

「あたしの初めのキスだよ。これでもうあたしからは逃げられないからね!ひひっ」

 

 

 

 

もうこいつには敵わないかも知れないと思わされた瞬間だった。

 

 

こうして茶色いパーマの暖かい笑顔を持つ素敵な女の子が隣にいることになった。

 

 

俺の青春ラブコメはここから始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最終話です。

折本の誕生日が2月ということでまだ早いですがバレンタインを使いました。

次回作はまだ考えていませんが、書いたら次回作もよろしくお願いします。

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