問題児扱いなら問題児らしく好き勝手しようじゃないか   作:きりがる

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好きに時間って止めること出来ない?
体感時間を長くすることってどうやったら出来るの? 
「時よ止まれ 君は誰よりも美しいから」
とか言っていればOK?
「あなた(時間)の時間も私のもの…」
意味わかんねぇな。



04 チョロいね。だから脇役なんだよ、お前。

 

 

 

 

 

 ネレナカッタ……。

 

 飛鳥ちゃんも連れてサウザンドアイズの白夜叉ちゃんのもとにまた行くことになった。なにやらレティシアちゃんとこのゴミのような死体?を持って話をしに行くようだが、ペガサスは既に僕の中に戻ってるから歩いていかないといけない。ちっこい僕も消してるし、なにか乗れる生物でも作ろうか。

 

 アラガミのヴァジュラとかでいいや。あ、大きさ的に店の中に入れないか。ならオウガテイルとか? 別に小さくすればいいか。あ、庭から入ろう。

 

 魔獣創造でヴァジュラを創り出し、その上にべたりと張り付くようにして飛び乗るが…予想外の出来事が。ヴァジュラのマントで前が見えません。しかもこのマント硬いから当たると痛いのだ。気をつけてもらおう。

 

「グルル……」

「おっと、トイレ行ってたからちょっと遅れてるんだった。行き先は入れてあるから、庭にダイブしてね」

「グガァッ!」

 

 一吠えしてから夜の街を走り出す。既に人はおらず、静かな町並みをドスンドスンと遠慮なくヴァジュラで駆けていくが、これが昼間だったら大量の人を轢き殺していた。デッドライジングでゾンビ轢き殺すみたいになってたね。絶対。

 

 毛皮にへばり付いて揺れながら夜の町並みを眺めるが、如何せん揺れているため何もわからない。これは選択ミスったかもしれない。

 

 やがてついたのか、一つ大きくジャンプすると、少しの浮遊感の後に軽い衝撃とともにドズンと重い音が鳴る。

 

「何事だ!!」

 

 バンッと障子が開かれて白夜叉が飛び出してきたようだ。のそりと起き上がってヴァジュラのマントをのけて頭の方に移動する。何この角みたいなの。掴みやすい。

 

 顔を間から覗かせると、障子の向こうに見慣れたメンツと、知らない男が居た。またイケメンか。チッ、ここに来てからと言うもの、僕のようなフツメンを見たことがない。十六夜君もワイルドイケメンだし……爆発しろ下さい。

 

「おいおいなんだそれ、格好良いじゃねぇか! 今度はどんなペットだよ!? やっぱりお前は面白いやつなんじゃねぇか!」

 

 庭に飛び出してきた十六夜君は近寄ってきてヴァジュラをキラキラとした目で見てくるが、やっぱり男の子なんだねぇ。ヴァジュラも僕の敵じゃないと分かっているのか、十六夜君に向けて雷撃を放とうとしていない。

 

「なぁ、名前は何ていうんだ?」

「この子はヴァジュラって言う名前のアラガミでね。雷撃を得意としてるよ」

「おお! この見た目で雷撃か」

「そだよ。格好良いだろ? 雷球や雷撃によるドームなんてのも作れちゃうんだぜ?」

「マジかよ…ちょっとそこのルイオスって言うイケメン焼いてみねぇ?」

「え、マジで? リア充は爆発しろが僕によってできるなんて…どうせならガルムとかにしておけばよかった」

 

 ヴァジュラがバチバチと雷球を顔の前に作り始める。放電により地面が焦げ、辺りを明るく照らしていた。狙いは勿論、イケメン野郎であり、そのイケメン野郎は顔を真っ青にしてズリズリと座ったまま後ずさっている。

 

「よーし、ウェルダンにして「ちょっとこっちに来て下さい!!」…」

 

 黒ウサちゃんに物理的に引っ張られて部屋の中に入れられた。

 

 怒られたでござる……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

「落ち着きましたか?」

「黒ウサちゃんが膝枕してくれるなら」

「大丈夫なようですね」

 

 ちょっと黒ウサちゃんが辛辣な気がする。庭にはヴァジュラがちょこんと伏せて此方を眺めていた。そういえばアラガミなんだから誰もヴァジュラに傷つけることすらかなわないのでは…? 

 

「で、何の話だったんだい? ペガサスが踏み潰したゴミのこと?」

「いや、それもだが、黒ウサギが口説かれてたところだ」

「なんだって!? 黒ウサちゃんは今現在僕のモノだよ。あの美脚は誰にも渡さない!」

「そうです、黒ウサギの美脚は…って、何回同じネタを使っているのですか!」

 

 え、美脚ネタ何回かここで既に使われてたの? マジかよ、それじゃあ僕が面白くないやつみたいじゃん。そういうのは早く教えろよ。

 

 で、真面目っぽい話、このルイオスとかいうやつのコミュニティ、ペルセウスにゲームを申し込んでいたようだ。既に先程のゴミのように証拠が残っており、ノーネームの敷地に戻ればまだまだいるだろうから嘘はつけないとのこと。

 

 なんかペガサスがいつの間にかやっていたことが吉となったようだ。その話をしている中、ゆっくりとお茶を飲みながらルイオスとやらを観察する。視線の奥にも隠されていないのは黒ウサギに対する性的な視線。これはもうダメな奴や。やってもいいと思う。

 

 いつまで経ってもルイオスと黒ウサちゃんの言い合いに、いい加減イライラしてきた。もう決まったことなのだからうだうだ言い合う必要はないと思うのだが。

 

「ねぇ、何をグダグダと言い合ってるの? いい加減時間考えろよ。ゲームはお前らのノーネームへの侵略のせいでやるのは決定なんだよ。はい、終わり。ゲームの日程はそこの白夜叉ちゃんにでも決めてもらったら? さ、帰ろうぜ。眠いんだよね」

「な、何を勝手に決めてやがる! そんなことでゲームをするわけ……」

「五月蝿いなぁ…なんなら証拠でも集めて提示してやろうか? お前らが争った後も、死体も、全て此方が持ってる。そうだ! この証拠を提示して、ついでにノーネームとペルセウスのゲームがあるって大々的に発表しよっか! 月の兎の居る旗無しとあのペルセウスが戦うんだよ? きっと別の階層からも()()()お客さんが来てくれるに違いないよ! いやぁ…ペルセウスと縁のあるコミュニティが来てくれるといいねぇ……」

「ぐっ………」

 

 大きく手を広げてルイオスの目の前で立ってそう言うと、ルイオスは顔を顰める。

 

「うんうん、いいじゃないか、その表情。ゾクゾクするぜ?」

「お前……何が目的だ」

「目的? 強いて言うならレティシアちゃんかなぁ。あんなにも可愛らしい吸血鬼が手に入るかもしれないのに、動かないなんて馬鹿じゃん。ついでに黒ウサちゃんの好感度もゲットしとこうと思って」

「そ、そんな馬鹿げた理由で……」

 

 む、馬鹿げたとは失礼だね。僕は至って真面目なのに。

 

「さて、それじゃあ白夜叉ちゃん、細かいことはよろしく! そうそう、サウザンドアイズに属するコミュニティでも沢山呼んで盛り上げてよ! なんていたって僕達の晴れ舞台だぜ? 盛大に祝えよ」

「う、うむ…考えて「考えておくんじゃなくて決定だ。そこでペルセウスの不手際も言ってあげるから」…」

「ま、待ってくれ! そこまでしなくてもいいだろ!」

 

 はぁ…文句の多いイケメン野郎だ。

 再び振り返ってルイオスに向かって指を二本立てていく。

 

「仕方ない奴だね…お前に選択肢を2つ与えてあげる。一つ、他のコミュニティも呼んで祭りのようにゲームをするか。2つ、僕達だけで静かにゲームをするか。勿論、景品はレティシアちゃんだ。こっちが負けたら黒ウサちゃんもだっけ? いいよいいよ、そっちもあげちゃおう!」

「「「なっ!?」」」

 

 おや、女性陣が驚いている。

 

「で、どっちを取るんだい? 僕のオススメとしては二つ目かな? だって、勝ってしまえば全て手に入るんだぜ? で、どっち?」

「………勿論、二つ目だ。これでゲームをする。これ以上の変更はなしにしろ……勝っても文句言うなよ、ノーネーム風情が」

「勿論さ。僕達も精一杯食らいつくよ。だから、手加減に手加減を重ねてくれてもいいんだぜ?」

「巫山戯るな。お前は全力で潰す。絶対だ」

「やれやれ…なら、僕が手加減してあげよう。ゲーム日時は白夜叉ちゃんに決めさせる。あぁ、黒ウサちゃんもレティシアちゃんも渡さないぜ? じゃあね~」

 

 僕が欠伸しながら手をひらひら振りつつ外に出ると、のそりとヴァジュラが起き上がる。飛び乗って部屋を見てみると、何故か他の皆は動いていない。

 

「あれ、帰らないのかい? これからそこのお坊ちゃんは白夜叉ちゃんと大事な大事なお話があるそうだから、邪魔しちゃ悪いじゃんか。どうせ細かいことは白夜叉ちゃんが直々にノーネームに来て教えてくれるでしょ」

 

 ほら、帰るよ。といえば三人は立ち上がって部屋を出て行く。そこはかとなく説明は白夜叉ちゃんの方から来てやれって言っておいたし、わざわざまたこっちに来るなんて面倒なことをしなくてもいい。流石僕。冴えてる。

 

 一足先にヴァジュラに乗って本拠に帰り、少し前までレティシアちゃんたちといた部屋でのんびり座り、睡魔と戦っていると三人が帰ってきた。

 

「お、やっと帰ってきたね。遅いy『黙りなさい!』…」

 

 ウッス。何やら飛鳥ちゃんが叫んだと思ったら僕の口が強制的に閉じて喋ろうにも喋れなくなる。なので大人しく口を閉じていると、飛鳥ちゃんは僕の胸ぐらを思いっきり掴んで来た。首が閉まって苦しいけど言えないこの辛さ。

 次元の狭間の中からオーフィスが出てこようとしたが、押さえておいた。

 

「貴方、さっきのはどういうことかしら? 何故、黒ウサギを景品に出したのよッ!」

「……………………」

「私たちはレティシアを取り返し、黒ウサギを渡さないために…! なのに貴方のせいで……」

 

 なんとか言えとばかりに振ってくるが何も言えないよ? それと揺さぶられすぎて気持ち悪くなってきたから止めてくれないかな?

 

 流石に好き放題言っていいるのが目についたのか、十六夜君が止めに入ってくる。黒ウサちゃんが黙ってみてるってことは、普通に嫌われたんじゃね? うわ、やっちまった。

 

「落ち着け、お嬢様。お前が言えなくしてんのに何を喋らせようとしてんだ? 少しは考えろ」

「何よ、十六夜君も彼の味方?」

「ああ、今回はそうだ。ああいった場所で感情的になって叫んでもいい方向に話が進むわけ無いだろ。その点、黒葉の交渉は良いものと言ってもいいほどだった」

「……………そこまで言うなら聞いてあげるわ」

 

 僕に掛けた何かを解いたのか、口が急激に動くようになる。あー、普通に苦しかった。

 

「あー、苦しかった。鼻呼吸だけであの猛攻を耐えきるって辛くない?」

「御託はいいから説明しなさい」

「はいはい。えーっと、なんだっけ…そうそう、ペガサスのお陰で図らずともいい方向に話が持っていけたんだっけか。まず、ゲームをするための手札はこっちが持っている。だけどさ、お坊ちゃんはごねたでしょ? そんなお坊ちゃんと感情だけで話してても無駄じゃん。あんな輩に嫌だ、ゲームをやれ何ていうことが簡単に通るわけないもの」

「その通りだな。あの話の流れに持っていくのは黒葉みたいなキャラがうってつけだ」

「そゆこと。無理やりゲームの流れに持っていったのさ。しかも白夜叉ちゃん使って事を大きく大きくした。広告もして、偉い人達連れてきて…流石にお坊ちゃんもここまでされたらヤバイと思って焦るけど、流れはこっちが完全に掴んでるのさ。逃げられない。その焦りに…なんでもいいから回避する方法がほしいお坊ちゃんに甘い誘惑を……ってね。お陰で簡単にゲームだ。僕らは弱小コミュニティ、ノーネームだぜ? それに性欲の塊のお坊ちゃんに欲しい黒ウサギを付ければそれはもう……飛びつくしかないよねー」

 

 そう言ってケラケラと嗤う。ゲームを大人しく受けて勝てば黒ウサギを貰えて、自分たちの損はない。弱小コミュニティなんて余裕で勝てると思ってるのだろう。今頃、ホッと安心しながら気分良く酒でも飲んでるんじゃないかな?

 

 ああいったぐだぐだと話を長引かせたり、我儘を言う輩には、無理やり話をすすめるか、逃げられない状況に持ち込めばいい。簡単な話だ。

 

 欠伸をしながら立ち上がり、涙が滲んできた目を擦りながら扉を開ける。

 

「くぁ~……はぁ、本当に眠い。もう寝るからね。じゃ、そういうことで」

「……勝てるの?」

「君じゃ無理だ。だって弱いもん。僕よりは強いかもしれないけど、お坊ちゃんに力が通じてなかったんでしょ?」

「ならどうするのよ…こっちは少人数で向こうは多くの戦士がいるのよ!」

「そう叫ぶなよ、もう夜中だぜ? そうだね…今回は君は何もしなくてもいい。誰も、何もしなくてもいい。僕のせいだと言うなら僕が片付けようじゃないか。僕が悪いと言うなら、僕()が終わらせようじゃないか。嫌われ者の弱っちい僕はまだ何も抱えていないから守るものはないけれど……僕がきっかけだと言うなら、今回だけはサービスだ。このノーネーム、守ってやるよ」

 

 飛鳥ちゃんに叫ばれ、そう答える。僕は負けることは普通にあるけど、僕の子達が負けることなんてありえない。首だけで振り返り、背中越しに自信満々ににやりと笑い、すぐに閉じた扉に僕たちは遮られた。

 

 

 

 

 

 




久しぶりに現実逃避を目的にGOD EATERしてただけです。深い意味はない!
何かが矛盾してても見逃して下さい。

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