歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
「なんでですか!」
そう…私たちはメンバーが五人以上になったため、再び部活申請にきていた。
しかし、絵里先輩にアイドル部を作ることはできないときっぱり言われてしまった。
「理由。聞いてもいいですか?」
あ、少し怖い顔になってしまったかもしれない。絵里先輩が一瞬ひるむ。
「…っ…それは、似たような部活があるからです」
そう言って、絵里先輩は一枚の紙を見せる。
「アイドル研究部…部員数一人!?」
「でも…それって…」
みんなが困惑する。
「アイドル研究部、最初から一人だったわけやないんよ」
そうか…って、にこ先輩じゃん。
なるほどな…
「じゃあ、にこ先輩を仲間に入れればいいわけですね」
誰がなんと言おうと、それがたとえ絵里先輩でも、私はμ'sと一緒に廃校を阻止してみせる。
少し強引だが、こうすれば何も問題ない。
「まぁ、そうやんなぁ?」
ふっと希先輩は嬉しそうに目を細めた。
「希先輩!ありがとうございます」
「うちはなにもしてないよ…あっ」
希先輩がちょいちょいと私を手招きする。耳を貸せということだろうか。
「えりちのことも、よろしくな?」
あぁ…なんて優しい先輩なのだろう。
こくりと頷くと、希先輩は私の肩に頭を乗せてありがとう、と言った。
わわわ、なんて恥ずかしいことを…でも…
二人見つめあって笑いあう。絵里先輩のこともどうにかしなきゃいけないけど、まずはにこ先輩が先だな。
なんでこれからのことを考えていると、周りから刺さるような視線を感じる。周りを見ると、みんなが睨むように私と希先輩を見ていた。
「希、後でとっても大事な話があるのだけど」
希先輩は絵里先輩からとてつもなく怖い笑顔をされていた。顔ひきつってるよ、希先輩。
私は…
みんなに無理やり引っ張られて廊下に出されました…
あの後、希先輩との関係を問われ、怒られ、にこ先輩のところに行くことになった。
アイドル研究部の部室の前で、私たちは一度心の準備をする。
まぁ、そんなもの必要ないのだが。
それだけ、私には自信がある。
みんなが頷いたところでドアをノックする。
「失礼します」
「誰?」
はい、早速睨まれました…と思ったら。
「みはねじゃない!」
こわい、こわい、こわい!!!
めっちゃ笑顔。これでもかってくらい笑顔。
にこ先輩は、なぜだか満面の笑みで私に詰め寄って来た。
「あ、あの…お話があってきました」
「なに?とうとうこのにこにーと…」
「違います。たぶんそれは違います」
理由はわからないが、即座に否定していた。
「じゃあなによ」
声のトーンが少し下がる。
「私たちをアイドル研究部に入れてほしいなーって」
「いやよ。なんでそんな子たちと…」
ちっ
てか、絶対にこにーとアイドルについて語り合うとか言おうとしてたな。
にこ先輩は、眉間にしわを寄せて他のみんなのことを睨みつけている。
「そうですか。じゃあ、さよなら」
押してダメなら引いてみるという言葉がある。さて、どうするのかな?にこ先輩は。
「ま、待って!」
にこ先輩が抱きついてホールドしてきた。
「いや、アイドル研究部に入れてくれないなら用はないんで」
私は冷めた顔で歩みを進める。
ちなみに、周りのみんながなにも言ってくれないのは、さっきのことをまだ怒っているからだと思う。また睨まれてるし…
「ーーーっわかったわよ!」
「やった♪」
にこ先輩、本当はずっとμ'sの仲間に入りたがっていたのだ。朝練とか毎日見てたし。やたら私に絡んでくるし。
「矢澤先輩!これからよろしくお願いします!」
うん。穂乃果先輩、元気がいいね!
「にこにーって呼びなさい」
「はいっ!にこ先輩!」
にこにーのくだりはスルーだよね。うん。
「にこ先輩よろしくにゃ!」
「にこ先輩も、アイドル大好きなんですねっ!私もなんです!」
花陽ちゃんとにこ先輩が揃ったらアイドルについては最強な気がする。
「これからよろしくお願いしますね」
「にこ先輩、よろしくお願いします♪」
「…どうも」
っておい!真姫ちゃん、君はコミュ障なのか?なんだどうもって、にこ先輩睨んでるよ。
「ふんっ!練習行くわよ!」
あ、でもなんだかんだで嬉しそう…
屋上へ向かう部長の足取りは、今にもスキップしだしそうな軽いものだった。
屋上へ行ってにこ先輩の持ちネタ?のにっこにっこにーってのをすごいやらされました。絶対私やったときみんな引いてたよ…
全員固まってたもん…真姫ちゃんやことりちゃんには頭なでられるし…
これからは、私たちはアイドル研究部の中のμ'sというグループになる。
*
〜絵里〜
まったく、希はなにをやってるのよ。
なに、みはねといちゃいちゃしてるのよ。なんで、見つめあっちゃってるのよ。
嫉妬が募り、だんだんと不安に変わっていく。
「まぁまぁえりち、みはねちゃんはかわいい後輩やん?」
「先輩後輩であんなことしないわよ!?」
いや、まぁ実際私はそれ以上のことをしてしまったんだけど…
ほんとにもう…
最近みはねは生徒会に来ないし、もちろん話す機会なんてほとんどない。さっきだって…
「あ、えりち、屋上見てみ?にこっちも一緒に練習しとる」
希が指差す方を見ると、屋上が。そこでは、矢澤さんを中心に先ほどまでこの部屋にいたみはねたちの姿があった。
という事は、アイドル研究部になったという事か。
みはねがどんどん遠くなってしまう…
「えりちも、素直になったらいいんやない?」
「…なんの事かしら」
何も気にしていないかのような口ぶり。
そんな私に、希はなにも言わず優しく微笑むだけだった。
***
希先輩の部活動のビデオ撮影があったり、μ'sのリーダーは誰だとか様々な問題を乗り越えたある日。
「た、大変ですぅ!」
部室に花陽ちゃんの叫び声が響いた。
「どうしたの?」
「ラブライブです!ラブライブが開催されることになりました!」
ラブライブ!?
「って、なに?」
「スクールアイドルの甲子園、それがラブライブです!噂には聞いてましたけど、ついに始めるなんて…!」
興奮が冷めないのか、いつもとかなり違ったキャラで熱弁してくれる花陽ちゃん。アイドル好きの彼女がここまで興奮するということは、よほどすごいことなのだろう。
「チケットの発売はいつでしょうか?初日特典は…?」
「って、花陽ちゃん見に行くつもりなの?」
「当たり前です!これはアイドル史に残る一大イベントですよ!」
さ、さっきから花陽ちゃんがすごい…
てか…
「てっきりラブライブ目指して頑張ろうってなるのかと思ってた」
そこまで大きな声で言ったつもりはないが、全員が私のほう一斉に向く。
「そっか、そうだよね!」
穂乃果先輩は瞳をキラキラさせて私たちもスクールアイドルだもんね、と呟く。
みんなも少しだけその気になってきたようだ。
屋上でにこ先輩と合流した。にこ先輩もラブライブのことを知っていたようで、みんなでラブライブ出場の許可を取りに行くことになった。
相変わらずみんな行動が早い。
置いてかれないように、私も歩くスピードを速めた。
はい、どうだったでしょうか?
学校が休みなので、どんどん書き進めていきたいと思います!