歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜   作:YURYI*

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48.おかしい日

 

 

 

 

いつも通り退屈な授業を受けて、休み時間には周りの人と話したりいつも通りに過ごす。

やっと放課後。長かったような短かったような。ぼーっと過ごしていたからかよく覚えていない。

お昼休みにいつも通り真姫と音楽室に行ったが途中で怒ったような呆れたような顔で寝ててって言われちゃったし…

あ、そういえばこれからにこと穂乃果は神田明神に行くんだった。

部活を休みにするとはあえて言っていないので部室に向かうことにする。

 

ふと外に目を向けると雨が降り出してしまっていた。

なんだか気持ちまで沈んでいってしまうような感覚になる。今日はなんだか調子が悪い。

そうこうしているうちに部室までついた。中からはもうみんなの話し声が聞こえてくる。

それだけで元気をもらえる気がする。

 

「大丈夫。みんなの笑顔は私が守るよ」

 

ガチャ

 

「みんな。突然だけど今日は部活なしにするから。神田明神に行こ?」

 

「な、なんでにゃ!?」

 

「いきなりやな。まだ来てないにこっちや穂乃果ちゃんにも伝えな」

 

どうせ雨降ってるから外では練習できないし。

 

「伝えなくて大丈夫だよ。ほら…行こ」

 

「ちょっと理由も説明しないの?今日のみはねおかしいわよ?」

 

絵里に言われてそれもそうか…と思いなおす。ひとつ息を吐くと後ろにいるみんなに笑顔を向けた。案の定みんなの頭の上にはクエスチョンマーク。

 

「神田明神でにこと穂乃果がラブライブ!出場についての話をしてるんだよ。たぶん、にこが説得しようとしてると思う」

 

「にこちゃんが?それを早く言いなさいよ」

 

「ご、ごめん。だから、早く行こ?」

 

なんだか頭がいたい。そんなこと言ってられる場合じゃないのに。

 

みんなは急げ急げと昇降口へ向かう。

さっきまでみんなのことをせかしていた私はもうとっくに置いていかれてしまったようだ。

 

「なんか、ほんとどうしたんだろ」

 

ぽつり、小さくつぶやいた言葉はどこに届くわけでもなく消えた。みんなの背中はどんどんと小さくなっていくばかり。

急がないと。そう思って走り出そうとした瞬間、視界がぐらついたかと思えば真っ暗になった。意味がわからない。

 

「みはねっ」

 

誰かに名前を呼ばれた。

やわらかい。いい匂いがする。この優しくてあたたかい匂いは…

 

「〜っ!?」

 

「みはね?大丈夫?」

 

やっぱり希だ。

 

「後ろみたらふらふらしてるし、いきなり倒れそうになるわでびっくりしたわぁ」

 

「ご、ごめん。自分でもびっくりしてる。大丈夫だから行こう」

 

「休んどいた方がいいんやない?」

 

「いや、平気」

 

立ち上がって歩きだすと、希は何も言わずに隣まで小走りできて私の腕をとる。

 

「また倒れたりしたら困るやんなぁ」

 

「ありがと」

 

やっぱり希は何も言わなくてもわかってくれる。それだけで嬉しかった。

 

 

 

 

 

私と希、相合傘をして歩く。少し先には絵里と海未とことり。さらに先には凛と手を引かれて歩いている花陽。それを見ている真姫。

さっきからチラチラと絵里に見られている気がするが、気にしないことにしよう。

 

「大丈夫かなぁ?にこっち」

 

「どうだろう。大丈夫って信じるしかないけどね」

 

「せやなぁ」

 

希の肩が少し濡れてしまっていることに気がついて傘の位置を調節する。

 

「あの…なんでみいちゃんと希ちゃんは同じ傘を使っているの?」

 

いきなり振り向いたことりに私も希もびっくりしてしまう。危うく傘を落としてしまうところだった。

 

「や、えっと、私がお願いしたんだよ。希の傘入りたいーって」

 

「そうなんですか?私の傘でもよかったのですよ?」

 

やけにそわそわしている海未。

あぁ、そっか。最近ことりや海未と二人の時間取れてなかったかも。

 

「じゃあ、今からお邪魔してもいい?」

 

「もちろんです!」

 

ほんとに嬉しそう。かわいいなぁ。

対してことりはちょっと渋い顔をしている。

 

「ことりは帰りね?」

 

「う、うんっ!」

 

ことりの顔にもぱぁっと笑顔になった。

よかった…

希に傘を握らせて海未の傘に入ろうとすると、手を引っ張られて希のところに戻って来てしまった。いきなりどうしたんだろう。

 

「みはね、大丈夫?」

 

なんだ、そういうことか。

 

「大丈夫だよ」

 

「そっか。その…今日はうちに泊まらん?や、泊まってほしいんやけど」

 

やっぱり希は優しい。だからついついその優しさに甘えてしまう。

 

「そうする。ありがと」

 

にっこりと笑った希の顔を見てから海未の傘に入らせてもらった。

 

そのあと神田明神についてみんなの想いを穂乃果に告げた。

大丈夫。みんなもついてる。

そんな気持ちも伝わったのか、はたまた穂乃果も元々そう思っていたのかラブライブ!に出場することを決めたのだった。

 

「雨、やめーーー!!!」

 

まさか穂乃果がそう叫んだ瞬間にほんとに雨が止んじゃうなんてね。

 

なんだかこれからもこのメンバーなら奇跡を起こせる。そんな気がするんだ。

 

 




あと少しで夏休みだー!!!
なんて、遊ぶ時間なんてないですけどね…笑


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