歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
〜真姫〜
「ふんふっふ〜ん♪」
この鼻歌を歌っていつになくご機嫌な彼女。
わかってるとは思うけどもちろんみはねよ。
よく考えたらどんな人なのかって紹介されてないわよね。って、誰に紹介するのかしら。
「みはねちゃーん。今日はご機嫌ね」
「みはねちゃんの髪サラサラ」
「ねぇねぇ。私とも遊ぼう?」
「ちょ、みはねちゃんは凛たちと遊ぶのでいっぱいいっぱいにゃ!」
うん。なんていうか、ものすごく人気なの。
μ'sの中では海未とか絵里とかが女子から人気だけど、みはねは本当に特別。
背は私より少し低いくらい、希と同じくらいね。顔はとても整っていて、お人形さんみたいにかわいいわ。
それに、こう、性格がものすごくいいって言えば伝わるかしら。困ってる人がいたら迷わず手を差し伸べちゃうし。本人が自分の魅力にまったく自覚がないのがムカつくくらい。
それに、見た目や性格がいいだけじゃなく、頭がいいのもポイントが高いのかしら?
運動は…いいってわけでもないのに、一生懸命でかわいいし。そう!かわかっこいいの!
コホン…とにかくモテるのよ。
「真姫ちゃん助けて!」
なんで説明している間にクラスメイト…だけじゃないわね、他の学年の人もいる…
に襲われかけるのよ。おかしいでしょ。
「自分でなんとかしなさいよ」
「いじわる。…じゃあ、三年生の教室行ってくる」
はぁ…本当に大好きよね。絵里と希とにこちゃんの三年生組のこと。
べ、べつに妬いてなんかないし。
「はぁ…こっちきなさいよ」
後ろを向いて歩き出そうとしたみはねの腕を引っ張る。
案の定バランスを崩してこっちに倒れてくる。そこまではよかった。でも、ここまで受身が取れないとか想定外。
みはねの顔が私の顔のすぐ横にある。片方の腕は私がつかんでいるけど、もう片方は窓についている。ほんとに近い。壁ドンならぬ窓ドンね。
周りの女子が黄色い声または悲鳴をあげているくらい。
「真姫ちゃんいい匂いする」
「って、なに言い出すのよ!」
ぺしっと頭を叩く。
「痛い…真姫ちゃんがいじめる。私はこんなに真姫ちゃんのこと好きなのに…」
周りの目も気にせずそんなことを言ってくる。あれ、この状況っていろいろとまずいんじゃないの?ま、そんなの今に始まったことじゃないけど。
「いじめてないわよ」
みはねにはどうも甘いみたい。
頭を優しくなでてあげると嬉しそうに笑って抱きついてきた。
まったくもう、しょうがないわね。
今日のみはねはいつも以上に甘えんぼみたいだ。私の首元にグリグリと頭を押し付けてくる。
「今日は甘えんぼね?」
「ん。今日希と学校来たんだけど、みんなの好きなとこの話ししながら来たの。そしたら、ほんとに大好きだなぁって」
たぶん私にしか聞こえないくらいの声。
昨日は希の家に泊まったのね。
それにしても、周りの人たち写真撮ってるんだけど。
「ほら、そろそろ離れなさい」
「えー。もうちょっと」
「こら、くっついてこないの」
「とか言いってるけど無理に離そうとしないじゃん」
周りに助けを求めようと顔を上げると、微笑ましそうに見ている花陽とニタニタと嫌な笑みを浮かべている凛。
「これは…みんなに報告にゃ」
「ちょ、凛ちゃん邪魔しちゃダメだよぉ」
「どうしたの、あんたたち?」
タイミングがいいのか悪いのか。
もう、にこちゃんが来ちゃったじゃない。
「真姫ちゃんがみはねちゃんにデレデレしてるにゃ」
「って、こら!なに言ってるのよ凛!」
「凛、真姫ちゃんはデレデレなんかしてないよ?」
「みはね、ずいぶんとご機嫌じゃない」
あーもう。せっかくの幸せな時間が…
まぁ、でも、あんなことがあった後でもみんな普通だし、ちょっとは安心したかも…?
たぶん、みはねのおかげね。
***
えーと、なんで私はこんなことになってるんだろう…?
右には絵里。左には亜里沙と雪穂ちゃん。
あ、雪穂ちゃんっていうのは学院祭の時ライブを見にきてくれていた高坂先輩の妹ね。
その時に少しだけ話して仲良くなったんだ。
「あ、あの!私、すごくみはねさんに憧れてるんです!」
「え、えっと、私憧れられるような人間じゃないよ?」
「そんなことないよ!みはねさんのこと亜里沙大好きだもん」
ぎゅうって左腕に抱きついてくる。やっぱり亜里沙かわいい。
って、なぜか絵里が右手を強く握ってきた。
チラッと盗み見てみるとこっちは見ていないが、ほっぺを膨らませている。なんだ、拗ねてるだけね。
かわいい。いじりたい。あぁー。
「ありがとっ私も亜里沙大好きだよ!」
「ふわぁぁぁあ」
亜里沙顔真っ赤。かわいすぎてきゅんきゅんする。
ちらっ
ちらっちらっ
って、さっきから何回ちら見するのお姉さんよ。
「絵里?どうしたの?」
どうしたのかなんてわかっている。でも、かわいくてかわいくてしょうがないんだもん。なんか、今なら好きな子をいじめたくなっちゃう男の子の気持ちにとても共感できる。
「な、なんでもないわよ?」
「ふーん」
素直じゃない子にはお仕置きかな?
するっと、絵里とつないでいた手をうまくほどく。
そのままその手を亜里沙の頭に乗っけてなでる。
絵里は…と、あ、つないでいた手を自分の手で握りしめてる。下を向いていて表情はよくわからないけど、悲しんでいることはたしかだ。
「みはねさんも絵里さんも、うちのお姉ちゃんとは全然違って亜里沙が羨ましいな」
「そうかなぁ?穂乃果さんがお姉ちゃんだったら毎日楽しそうだけど。ね、お姉ちゃん」
「え、えぇ…そうね」
妹たちの話も耳に入っていない様子。
って、あ!
「絵里危ない」
絵里の腰を抱くようにしてこっちに引き寄せる。
私が道路側を歩くべきだった。
絵里は前から来た自転車に気づかず、また自転車のほうもスマホをいじっていてぶつかりそうになってしまっていた。
私が気づかなかったらぶつかってただろ。
「あ、ありがとう。みはね」
「いや、ぶつからなくてよかったよ。てか、私の大事な絵里が怪我したらどうすんだし。ちゃんと前見て運転してほしいんだけど」
「み、みはねさんかっこいい」
「みはねさんなんだから当たり前だよ〜。お姉ちゃんも怪我とかしなくてよかった」
「ちょ、2人とも褒めすぎ。ほんとに怒ってんだから」
慕ってくれるのは悪いことじゃないし、むしろ嬉しいからいいんだけどね。
「みはね。その…」
絵里は話しかけてきたが下を向いている。
まぁ、なんとなくいいたいことがわかる気がする。
「絵里。手、つなぐよ。あと、さっきは意地悪してごめん」
「ううん。みはねありがとう」
今度は恋人つなぎで歩く。
それに気づいた亜里紗と雪穂ちゃんはキャーキャー騒いで、二人もつなぎたいと言ってきた。でも、私の手はあと一個しかないよ…
「じゃあ、今日は我慢するねっ。雪穂はなかなかみはねさんと会えないし、つなぎなよ!」
「い、いいの?ありがとう!」
「まぁ、会いたいって言ってくれれば会いに行くけどね」
結局雪穂ちゃんとも手をつなぐことになった。そのあとはかわいい妹たちの話を聞きながら歩いた。
「あーあ、もう家に着いちゃった。送ってくれてありがとうございました」
「どういたしまして。このくらいどうってことないよ」
「ええ。楽しかったわ」
「あ、あの!お姉ちゃんいるんで、家、上がっていきませんか?」
「絵里。高坂先輩と話してみたら?」
「みはねは?」
私は行かないほうがいいと思うな。
それに…
「私はことあと海未ちゃん家に行かなきゃなんだよね」
「そう…それならしょうがないわね。またね、みはね」
「みはねさん、また泊まりに来てくださいね!」
「みはねさん!今度ゆっくりお話ししましょう」
「うん。みんなまたね」
私はここからそこまで距離もない海未ちゃんの家に向かった。
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