歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜   作:YURYI*

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短いです。




33.Run away

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ことり〜

 

どうしてこんなことになっちゃったんだろう。

私が穂乃果ちゃんに留学のことを黙っていたせいかもしれない。

自分のせいなのに、悲しくてどうすればいいのかわからなくなって逃げ出してきてしまった。

 

 

「ことりちゃん!待って!!!」

 

「…っ」

 

この声は大好きな大好きなあの人の声。

 

ーーーことりのこと追いかけてきてくれた。

 

ううん。心のどこかでは追いかけてきてくれるんじゃないか。追いかけてきてほしいって思ってた。

だから、ほんとに来てくれるなんて…そんなの嬉しいよ。

でも、天邪鬼な私は足をとめることなんてできなくて…

 

「待ってって言ってるのに」

 

ぐいっと後ろに引っ張られたかと思ったら優しく抱きしめられた。

 

「なんで…なんで追いかけてきてくれたの…?」

 

「なんでって、心配だったから。ことりちゃん泣いてたし」

 

やっぱり誰にでも優しいみいちゃんのことだから、心配したって言うと思ってたよ。

たぶん、ことりじゃなくても…

 

「それに…ことりちゃんは私の彼女だからね。好きな人が悲しいときは、一番に慰めてあげたいじゃん」

 

「な、あ、えぇっ」

 

そんなこと言ってくれるなんて思ってもいなくて、動揺して言葉が出てこない。

それをどう捉えたのかわからないけど、みいちゃんはことりの耳元で、ダメ?って囁いた。

 

「ダメじゃないよ…嬉しい」

 

後ろから回されている手を優しく解く。

みいちゃんのほうを向くとなんだかとても複雑そうな顔をしていた。

 

「どうしたの?みいちゃん」

 

「だって、手…」

 

あぁ…なんでこんなにかわいいんだろうね。

抱きしめてほしくないって思われちゃったとか考えているんだろうなぁ。

みいちゃんと向かい合ったのはちゃんと意味があるんだよ。ふふっ♪

飼い主に捨てられた子犬のような顔をしているみいちゃんに、そのまま前から抱きつく。

 

「もっとぎゅってしてくれなきゃいやっ」

 

その言葉にみいちゃんの顔は一気に赤く染まる。照れながらもちゃんとぎゅってしてくれている。

さっきまで、あんなに恥ずかしいセリフをすらすらと言っていた人とは思えない反応。

でも、そんなところもかわいくて、大好きでどうしようもなくなっちゃう。

みいちゃんと一緒にいるだけで悲しい気持ちがどんどなくなっていく。ほんとに不思議だね。

 

「よ、よし!家まで送っていくから帰ろうか」

 

もうこんなに時間経っていたんだ。

一緒に帰ってくれるのはものすごく嬉しい。けど…

 

「あの…手…繋いで帰っちゃダメ?」

 

「い、いいよ」

 

なんだか今日はひどく甘えたい気分。

いや、みいちゃんには常に甘えていたいし…甘やかすのも好きなんだけど、なんて言ったらいいのかな?

 

手から直接伝わるみいちゃんの熱が心地よい。今はそれだけで十分だった。

 

 

帰り道でも穂乃果ちゃんのことを聞いてくるわけでもなく他愛ない話をしてくれる。

そんな楽しい時間はすぐ過ぎちゃうもので家に着いてしまった。

家に入らなきゃいけないのはわかっているけど、みいちゃんの手をなかなか離せない。

そんなことりをみいちゃんは何も言わずに待ってくれている。

 

「あの…あのね…」

 

「うん。どうしたの?」

 

ふわりと優しく微笑んで、次の言葉を待ってくれる。

 

「もっと…もっとね…」

 

「うん」

 

「みいちゃんと…一緒にいたい…っ」

 

わがままだし、困らせちゃうかも。

でも、このままバイバイするのは嫌で…

もっと一緒にいたい。もっと触れてほしいって気持ちが勝っちゃって、ついに言葉にしてしまった。

みいちゃんは少し驚いたような顔をしたけど、さっきと変わらない笑顔を向けてくれていた。

 

「よく言えました。じつは私も一緒にいたいと思ってたよ」

 

私の頭を優しく撫でながらそんな嬉しいことを言ってくれる。

 

それからの時間は本当に幸せで。

今まで自分から進んで触れてきてくれなかったみいちゃんが、不意打ちでキスしてきてくれたり、一緒のベッドで寝て抱きしめてくれたり…

たぶん、ことりのこと喜ばそうとしてくれてるんだなぁっていうのがすごく伝わってきて。嬉しくて。

 

 

 

 

「ねぇみいちゃん。まだ起きてる?」

 

「ん…起きてるよ。どうかしたの?」

 

今日なら、言える気がする。

 

「あのね…私のこと、ことりって呼んでほしいの」

 

今までずっと気になってた。希ちゃんのことも絵里ちゃんのことも呼び捨てで呼んでいること。まぁ、絵里ちゃんは最近だけど…

 

「んー…そうだな…」

 

「…んぇ?」

 

何か考え始めるみいちゃん。

やっぱりことりって呼び捨てで呼びたくないのかな…

 

「じゃあ…一緒にいられるようになったら、かな」

 

みいちゃんは何を言っているんだろう?

考えてもわからないので、素直に聞いてみる。

 

「どういうこと?」

 

「ことりちゃんとずっと一緒にいられるようになったら、そう呼ばせてもらおうかな」

 

ずっと一緒、そっか。ことりが留学しちゃうからそんなこと言ってるんだね。

きっと、優しいあなたは今呼び方を変えたらことりの決心が鈍っちゃうってわかってるんだね。

 

「ほら、寂しくなっちゃうし」

 

確かにみいちゃんの思っている通りで、今ことりって呼ばれたら離れたくなくなっちゃうと思うんだ。

だから、帰ってくるまでお預けってことなんだね…

 

「わかった。ごめんね」

 

「ううん。こっちこそごめん」

 

おやすみを言ってどちらからともなく手を繋いでキスをして、私たちは二人一緒に夢の中へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




短時間で書いたので短くてすみません。

最近寒くて朝起きれないのが悩みです。



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