神魔の素質を持つ者も異世界から来るそうですよ? 作:リフェア
「何処だここ」
上空4000mほどの位置にいた、落下しながらも
(人が三人と猫が一匹か)
「あれ、力が使えないどうゆうことだ?」
覇瑠徒は、本来使えるはずだった飛行術で周りの人たちを助けるはずだったが、何故か力が使えなかった。
(他のも使えない、そうかあの紙に書いてあった『己の家族を友人を財産を世界の全てを捨て』そうなると大変な事になる)
直後覇瑠徒は、落下地点にあった湖に落ちた。
水膜で勢いが衰えいたため四人は無傷で済んだが女の子と一緒に落ちた猫は大変そうだった。
覇瑠徒を含めた他の三人はさっさと陸地に上がりながら、それぞれが罵詈雑言を吐き捨てていた。
「し、信じられないわ! まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「さらに右に同じだクソ野郎。普通に考えて上空がスタート地点って殺しに来てるぜこれ。それと石の中はやめとけ」
「なぜだ?」
「経験者だからだ。」
「どんな感じだった」
「話したくない」
「石の中に居たら動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「俺はどうにかしようとしたけど、無理だった」
「貴方、その後どうしたの?」
「石に入れてくれた方が助けてくれたよ」
三人はそれぞれ湖に落ちて濡れた服を絞った。その後ろで猫を助けた女の子が、
「此処・・・どこだろう?」
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」
「俺達知ってる世界じゃないってことは分かるな」
「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだけど、まずは”オマエ”って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」
「春日部耀。以下同文」
「そう。よろしく春日部さん。」
その後、逆廻十六夜が自己紹介していたが覇瑠徒は考えていた。
(力が使えないと言う事はあいつらが俺にしたやつが解除されているかもな)
「何を考えてたかは知らんが次はお前の番だぞ」
「俺の番か、俺は星導覇瑠徒」
「よろしく覇瑠徒くん」
「ああ、よろしく飛鳥に耀に十六夜」
「おう、よろしくな覇瑠徒」
「・・・よろしく」
*
「で、呼び出されたのはいいけどなんで誰もいえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
「そうだよな、俺たちが湖に落ちて岸辺上がった時に目の前に現れてるのが普通だと思う。それと説明する人は人間じゃないかもな」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「この状況に落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」
「これぐらいでパニックしてたら俺のいた世界では生きていけないぞ」
「そんなにやばいのか覇瑠徒のいた世界は」
「まあ、今よりは」
「ここでじっとしてる訳にはいかないからあそこの物陰に隠れてる兎に話を聞こうぜ」
覇瑠徒が指した方向で何かが跳ね、四人の視線が集まる。
「なんだ、貴方も気づいていたの?」
「俺達空から落ちてきただろうが、上から丸見えだったし十六夜もか?」
「当然。だが覇瑠徒はよく落下中に見えたな、そっちの猫を抱いてる奴も気づいていたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「色々あって目が良いからな」
「面白いなお前ら」
四人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠った冷ややかな視線を兎に向ける。
「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「いいけど、君の心臓と交換ね」
「あっは、取りつくシマもないですねというか最後の言葉が物騒ですね♪」
バンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ。
しかしその眼は冷静に四人を値踏みしていた。
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。まあ、扱いにくいのは難点ですけどもてか最後の方何ですか!心臓と交換って物騒すぎますヨ)
黒ウサギはおどけつつも、四人にどう接するべきか冷静に考えを張り巡らせていると春日部耀が黒ウサギの隣に立ち、黒いウサ耳を根っこから鷲掴み、
「えい」
「フギャ!」
力いっぱい引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どうゆう了見ですか⁉」
「好奇心の為せる業」
「自由にも程があります!」
「当然の結果」
「当然の結果とはどうゆう事ですか!」
「俺たちを呼んだのにずっと隠れてたじゃん」
「それはタイミングが悪くてですね」
「へえ? このウサ耳って本物のなのか?」
今度は十六夜が右から摑んで引っ張る。
「・・・。じゃあ私も」
「俺の引っ張る耳がないぞ」
と言って覇瑠徒は、黒ウサギのほっぺたを突っついた。
「ちょ、ちょっと待ってーーー!」
今度は飛鳥が左から。左右に力いっぱい引っ張られ、ほっぺたをプニプニされた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。
そうして、色々あって問題児達が集結した。
どうもリフェアです。
本編が始まりましたがいかがだったでしょうか。
本家様にオリ主を雑ぜるのが難しい今日この頃、次回多分覇瑠徒の恩恵が分かります(無根拠)
次回もよろしくお願いします。