神魔の素質を持つ者も異世界から来るそうですよ?   作:リフェア

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本来は先週の土曜か日曜に投稿しようと思ったのですが、バンドリのアプリが面白くて遅れてしまいました。
ごめんなさい。


10話 白夜叉

覇瑠徒と女性店員の戦いは始まる前に終わりを迎えた。

 

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」

 

黒ウサギが店内から爆走してくる着物風の服を着た真っ白い髪の少女に抱き(もしくはフライングボディーアタック)つかれ、少女と共に街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。

 

「きゃあーーーーー………!」

 

ボチャン。そして遠くなる悲鳴。

覇瑠徒と十六夜達は眼を丸くし、店員は痛そうな頭を抱えていた。

 

「すまなかった店員、客としても態度が悪かった。」

 

覇瑠徒はとんでもないものを見て平常心を取り戻し女性店員に謝った。

 

「案外あっさりと謝るのね、まあ店の前で揉め事をされても困りますけどね」

「あんなものを見た後で貴女と戦う気にはなれないからな。」

 

女性店員と覇瑠徒の間では何事もなく終わった、だが十六夜が真剣な表情で

 

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

「ありません」

「なんなら有料でも」

「やりません」

 

真剣な表情でキッパリ言い切る女性店員。二人は割とマジだった。

フライングボディーアタックで黒ウサギを強襲した白い髪の幼い少女は、黒ウサギの胸に顔を埋めてなすり付けていた。

 

「し、白夜叉様⁉どうして貴女がこんな下層に⁉」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろに!フフ、フホホフホホ!やっぱりウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

スリスリスリスリ。

 

「白夜叉様!ちょ、ちょっと離れてください!」

 

白夜叉と呼ばれた少女を無理やり引き剥がし、頭を摑んで店に向かって投げつける。

くるくると縦回転した少女を、覇瑠徒は体で受け止めた。

 

「懐かしいなこの感じ」

「飛んできた初対面の美少女を体で受け止めるとはおんしなかなかやるのう、おんし名はなんと言う?」

「覇瑠徒と言いますよ、よろしくお願いします白夜叉さん」

 

懐かしいと思いつつ笑顔で自己紹介する覇瑠徒。

一連の流れの中で呆気にとられていた飛鳥は、思い出したように白夜叉に話しかける。

 

「貴女はこの店の人?」

「おお、そうだとも。この”サウザンドアイズ”の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き売れるぞ」

「オーナー。それでは売上が伸びません。ボスが怒ります」

 

何処までも冷静な声で女性店員が釘を刺す。

濡れた服やミニスカートを絞りながら水路から上がってきた黒ウサギは複雑そうに呟く。

 

「うう………まさか私まで濡れる事になるなんて」

「因果応報………かな」

 

悲しげに服を絞る黒ウサギ。

反対に濡れても全く気にしない白夜叉は、店先で覇瑠徒達を見回してニヤリと笑った。

 

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たという事は………遂に黒ウサギが私のペットに」

「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

 

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。何処まで本気かわからない白夜叉は笑って店に招く。

 

「まあいい。話があるなら店内で聞こう」

「よろしいのですか?彼らは旗も持たない”ノーネーム”のはず。規定では」

「”ノーネーム”だと分かっていながら名を尋ねる、性悪店員に対する詫びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ」

 

む、っと拗ねるような顔をする女性店員。彼女にしてみればルールを守っただけなのだから気を悪くするのは仕方がない事だろう。

 

「色々すまなかったな。」

 

覇瑠徒はそう言って店に入った。




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