Hunter/ganbara night   作:カルガモ大将

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士郎の現状
固有結界と狩人の心臓がせめぎ合い、いつ均衡が崩れるか分からない状態。心臓を使い過ぎれば人外へと近づき、ちょっとミスれば剣で串刺になる。生前はアヴァロンのおかげでなんとかなってたが、鯖化した結果アヴァロン未所持で召喚され、青王もおらず、結構ヤバイ状態。髪の色もぱっと見は士郎と同じだが、実はスプレーで着色して誤魔化してるだけで既にアーチャーと同じで真っ白。肌も焦げて来てる。獅子王戦でエクスカリバー投影するとか色々と無茶したから仕方ないネ。なお、クーフーリンオルタはカラドボルグ連発で余裕だった模様。むしろ魔神柱の方が大変だった。無銘みたいに投影レベルが上がってる訳じゃないので、エクスカリバー投影したら普通に無茶な行為な訳で……アッ(察し)


第2話

ウルクへと移動する間、色々な事を聞いた。サーヴァントってなんぞや? と言った超基礎的な内容から、なんでサーヴァントがマシュと腕士郎っぽい士郎の2人しか居ないのかなど。

 

まさか、サーヴァントをあまり呼ぶと現界させる余裕がなくなるからこの2人(実際は士郎1人)だけという理由だとは思わなかった。

 

どうせGOとは違って弓でヘラクレスが居るだろうから俺が手出ししなくてもなんとかなるべ、なんて考えてた頃の自分をぶん殴りたい。

 

カルデアひどすぎでしょ。士郎とマシュだけとか、それ、クソゲーの域だぞ。ロムルスやアルテラ、バサクレス、乳上に獅子上、オルタニキとよく戦えたな。尊敬するわ、マジで。

 

そして、俺はある事に気付いてしまった。

 

「敵影です」

 

「ヒャッハー! 今日のメシだぜー!」

 

アナの声と共に駆け出す俺。魔獣達を即座に弓で撃ち抜いて殲滅し、道具袋に突っ込んで士郎の元へ戻る。

 

「さぁ! 早く! 俺の為にメシを作ってくれ! 」

 

この時代、古すぎるもん。調味料を使った料理に餌付けされて屈伏しちゃうのも、仕方ないよね。デミグラスハンバーグとか美味し過ぎて気絶したわ。

 

「ま、待ってくれ! 今はまだ食事時じゃないから、休憩まで待ってくれ!」

 

「くそう! 何がダメだって言うんだ! あれか!? 宝具が欲しいのか!? 宝具なら作れるからあげるぞ! 量産に成功した宝具なら沢山あげるぞ!」

 

「そ、そういう問題じゃあないんだ!」

 

『聞いたかロマ二!? ハンターお手製の宝具だ! しかも、量産に成功しているらしいぞぅ! これは貰わなければ損だ!』

 

『ちょっ、ダヴィンチちゃん落ち着いて!』

 

「あーあ、また混沌としてるよ。マシュ、あんな風に育っちゃあダメでしゅからね〜」

 

「せ、先輩っ! 私はあんな風に育ったりしません!」

 

「……だとよ、アーチャー。あーあ、可愛い後輩ちゃんに愛想尽かされちゃったね〜。お兄さん悲しいなぁ〜。世界救うやる気なくなっちゃったなぁ〜」

 

フフフ、ここで貴様らは俺に懇願するはずだ。

 

「なら別にいいよ。アーチャー、ハンターは置いてってもいいわよ」

 

この反応は予想外だぞう。

 

「おっと、そんな事したら後悔するぜぃ? フフフ、俺には秘密兵器もあるし、変身も残してるからな」

 

「こっちとしても、考えがあるわ」

 

なぬっ! これは覇気だ! 覚悟を決めたのか!

 

「ほう……聞いてやろう」

 

ならば此方もそれに応えるまでだ。

 

「あなた、ついてこなかったら、アーチャーの料理を食べれなくなるわよ」

 

……あっ。

 

「でもまぁ、アーチャーの料理、要らないみたいだしぃ? いいわよ、別について来なくても」

 

「嘘ですごめんなさい許して下さいなんでもしますから!」

 

立香ちゃんの足に抱き着き縋り付き懇願する。

 

「今、なんでもするって、言ったわよね?」

 

「アッ、ハイ」

 

そんな、養豚場の豚を見るような目で見られると……すごく、興奮する。ご褒美です、ブヒブヒ。エリちゃんに蔑まれたい。

 

「今から最初の命令するわ。よく聞きなさい」

 

「なんなりと」

 

辺りに緊張が走る。周りの奴らも、固唾を呑んでいる。

 

「──ゴクリ」

 

耐え切れず、生唾を飲み込んだ。だが、喉は乾いたままだ。俺は一体、こんな少女にどんな命令をされてしまうのか……まったく分からない! すごく興奮する!

 

数秒か、数十秒か。数えてないから分からないが、長いと感じる沈黙の後、立香が口を開いた。

 

「ハンターの素顔、見てみたいの」

 

「……は?」

 

辛うじて、言葉を出せた。

 

「は? 顔を見たい? もっとこう……裸になれとか、そんな感じのじゃあなく?」

 

魅せるよー。僕はかなり(筋肉を)魅せるよー。

 

「汚物は目に入れたくないので」

 

すっごい綺麗な笑顔で言われた。

 

「ゴフッ……い、今のはかなり心にキタ」

 

とんでもない精神ダメージだ。かなり辛い。

 

「ほらほら早く見せてよ。じゃないと、私がフードを剥がすぞー」

 

「いや、でも、フードを剥がすのはやめてもらいたいなー。俺の素顔を見ても損するだけですし、見るに耐えない顔ですし」

 

「ハンターに命ずる。自が──」

 

「了解しました! 素顔をお見せしましょう!」

 

自害って言いやがった! ちくしょう! こうなりゃヤケだ! 目元まで覆っていたフードから顔を出す。

 

「んん?」

 

「え?」

 

『『えぇっ!?』』

 

「ほぉら、こーゆー反応されるから嫌だったんだよ」

 

『『「「マ、マーリンと同じ顔だーーー!!!」」』』

 

マシュ、士郎、それにロマンとダヴィンチちゃんの声がハモった。

 

「こりゃあ驚いた。僕と同じ顔だなんてね」

 

だが、当のマーリンは落ち着いていた。

 

「あーあ、ヤダヤダ。こんなダメそうな奴と同じ顔だなんて」

 

「ねぇ、ハンター」

 

「ん? どうしたよ」

 

立香ちゃんから声がかかったので顔を見上げると、目が笑ってなかった。

 

「私、あなたの素顔が見たいって、言ったわよね?」

 

「そ、そうだな」

 

な、なんだこの威圧感は!? ヒドラを相手にした時と同じぐらいの圧だぞ!?

 

「ねぇ、その顔、偽物……だよね?」

 

「え、や、その……」

 

「本当のこと、言ってくれる……よね?」

 

あかん。危険センサーが全力で警鐘を鳴らしてる。

 

「あの、その、えっと、その……」

 

「私、聞き分けの悪い子は嫌いなの」

 

「……はい。この顔、偽物です」

 

女の子には勝てなかったよ……。

 

「本物の顔、見せてくれるかしら?」

 

「……はい」

 

俺は、同意するしか出来なかった。

首の辺りにある隙間に指を突っ込み、マスクを剥がしていく。

 

『えぇっ!? マスクをつけていたのかい!?』

 

『これは一本取られた。マスクとは考えつかなかったよ』

 

「……はぁ。人様に見せるもんじゃあねぇんだけどなぁ」

 

「金の髪に碧の瞳。そして、割と普通な顔立ちの青年がハンターの素顔だったわけね」

 

「やめろぉ! マジマジと見るな! 解説すんな! あと、普通の顔で悪かったな!」

 

そんな俺の反応に気を良くしたのか、立香の顔が歪む。下衆さが溢れ出す笑顔に変貌した。

 

「おんやぁ? ハンターともあろうお方が、お顔が真っ赤ですよぉ? 素顔を見られるのが、そんなに恥ずかしかったんですかぁ?」

 

「や、やめろぉ! 見るな! 見るな!」

 

「この反応……もしかして、童貞ですかぁ?」

 

ど、どうっ……!!??

 

「どどどどどどど童貞ちゃうわ! む、むしろ美女とヤりまくったわ!」

 

「へぇ〜? とんなことをしたのか、是非とも聞いてみたいですねぇ〜?」

 

「あ、う、あ、あ……」

 

ダメだ……こいつには勝てん。こいつは化け物だ。早く、早く逃げなくては……!!!

 

「ほら、早く教えて下さいよ。ねぇ? 早く?」

 

お、女の子に顔をガッチリと掴まれたっっっ!!??

 

「──……」

 

何かを言おうとして、俺は恥ずかしさのあまり意識が飛んだ。

恥ずかしくて気絶するなんて、俺、一生の不覚。

ちくしょう!

前世のコミュ障と童貞拗らせたツケが回って来やがった!

俺はいつだってそうだ! すぐに本気にしちまう!

これは俺の人生そのものだ!

誰も俺を愛さない……。

 

悲しみ。

 




次もきっと来月更新
次からハンターが準備を着々と進める……予定
あくまでぐだーとマシュの物語なので、ハンターは積極的に関わる予定はないです。

Qなんでクーフーリンのゲイボルクすら防げないハンターがエルキドゥを撤退させられるほど強かったの?

A鯖じゃなくて生きてるから。

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