Hunter/ganbara night   作:カルガモ大将

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第2話

第2話

 

 

「テメェ、最近喚ばれたサーヴァントだな」

 

あびゃぁ〜ランサーが来ちゃったぁ〜。

やめちくり〜。対人戦は得意じゃ無いんだからやめちくり〜。

 

「ふむ。今宵は、酒を飲むにはいい夜だと思ったのだがな。無粋な者もいるようだな」

 

俺は佐々木小次郎、俺は佐々木小次郎、俺は佐々木小次郎、モンスターハンターなんかじゃあない、俺は佐々木小次郎だ。

 

バーサーカーだろうがセイバーだろうが、余裕で追い返す最強のNOUMINなんだ! 俺も燕返しっぽいの出来るし、ランサーぐらい追い返してやらぁ!

対人戦は得意じゃないけどな!

 

「はっ、いけ好かねえ野郎だ。まぁ、酒を飲むにはいい夜ってのは肯定してやるよ」

 

そう言って、深紅の槍を構えるランサー。

 

「お前は分かりやすいな、ランサー」

 

そう言って俺は、双剣を構える。

 

「そう言うお前はセイバーか。わかりやすいな」

 

「どうせだ、教えよう。私は、アサシンのサーヴァントだ」

 

ほら、顔を見られたくないから髑髏の面を被ってるしね、アサシンって言ってもバレないでしょ。

 

「ケッ、白兵戦が得意なアサシンが居るかよ」

 

えぇ〜。俺、どんだけ嫌われてんのぉ〜。

 

「アサシンでも、暗殺だけでは食っていけない世の中なのだよ。芸は多い方がいい」

 

いや、たしかに、モンスター相手にはエゲツないぐらい卑怯な方法とか使って戦ってたけどさぁ……ね? 人間が相手なら、負けても気に入られたら命は取られないこともあるけど、モンスター相手だと死に直結する訳だし、アーチャー同様、誇りなんてもんは犬に食わせたから。

やっぱ英雄ってのはみんな、自分の持つ何かに誇りを持ってるんだよなぁ。

セイバーは剣、ランサーは槍、アーチャーは……固有結界か? 原作アサシンは燕返しを誇ってたし。

俺、誇れるようなの何も無いじゃないか。

基本はパクリと模倣だしなぁ。

 

「まぁ、アサシンだろうがやる事は変わらねぇ」

 

「そうだな。英霊同士、出会ったらやる事は決まっている」

 

おら! クランの番犬! ハンターの力を見せてやらぁ!

 

「いざ、尋常に……」

 

一度は言って見たかったこのセリフ。

俺の一言で空気が引き締まり、圧倒的な圧が、ここら一帯を支配する。

風は止み、木々はじっと耐え、互いに、視線だけで射殺さんばかりに睨みつける。

 

月が雲に隠れ、夜の闇が覆い尽くす。

 

時が止まったかのように感じた。

 

だが、何がきっかけで動き出すのかは、お互いに分かっていたようだ。

 

「「勝負!」」

 

月が俺たちを照らすと同時に駆け出した。

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

ふぇぇ……ランサーの兄貴、強いよぉ〜。

 

「おらおらどうしたぁ! 防戦一方だぞ!」

 

エゲツない速度で放たれる突きを避け、受け流し、ぶっ叩いて軌道を逸らしたりしてるが、イマイチ戦い方が分からん。

 

「ははは! 所詮はアサシン。闇討ちしか能がねえようだ……な!」

 

「ぐおお!」

 

重い! なんつぅ重さの蹴りだ! 双剣で受け止めてもぶっとばすって、どんだけ重いんだよ!

 

だが、甘かったなランサー。これは我が逃走経路なり!

 

ランサーの蹴りで、俺は確かに階段の上まで吹っ飛んだ。だが、ここからが俺のターンだ。

双剣を腰に括り付けた袋に突っ込み、代わりに弓を取り出し、構える。

 

「I am the bone of my sword」

 

言って見たかっただけで他意は無い。

魔力で構成された5発の矢が、ランサーを狙い撃つ。

 

「弓も扱うか! 面白い奴だ!」

 

面白い奴扱いキマシター。

でも、矢は全部躱される。

ひっどい野郎だ。

お前、人型のナルガクルガだったりしないか? てか、人型のナルガクルガだろ。動きが速すぎるわ!

お前人間じゃねぇだろ! そもそも英霊って死人だし、人間じゃねぇか。そうだよな、よくよく考えたら人間じゃないもんな。動きとか、明らかに人間がする動きじゃないし、やっぱり人外って認識でいいよね?

 

「──なんだ、本気でも出すのか?」

 

人外相手なら、俺は強い。

モンスターハンターだしな。本職は人外相手の戦闘だ。

 

「──あぁ。生涯を賭けて編み出した我が技を、受けてみるか?」

 

人外が相手ならば、この戦い方が向いてる。

 

「いいぜ。真正面から打ち砕いてやるよ」

 

モンハンには、曲射と剛射という2種類の技がある。

曲射はボイポスカタストロフェで、剛射はステラと言えば分かりやすいだろう。

実際は、もっともっと劣化した技なんだが。いや、劣化で済むレベルではないが。

 

まぁそんなワケで、俺は擬似的に二つの宝具を持ってるようなものなのである。でもそれじゃあ威力が全く足りないので、そこは工夫する。

 

放つと5本に増える矢をつがえ、空高く放つ。

それを繰り返す事10回、所要時間1秒。

 

「待たせたな、ランサー。楽しみはこれからだ」

 

50本に増えた矢が、ランサー目掛けて降ってくる。

だから俺はそれを──

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

──爆破した。

 

やったことは簡単。宝具化してる矢を壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)しただけである。

エミヤもチートだけど、ランスロットもチートだよね。

どちらも無限に宝具を作れるから、爆弾を無限に投げつけれるワケだ。

いやぁ、俺にも似たような宝具があってよかったよ。

狩人は徒手にて死せずって名前の宝具でね、触れたらなんでも宝具になるんだよ。

 

ランサーが爆破の海に飲み込まれる。だが、悲しいことに油断は出来ない。

 

「季節外れだが、花火を楽しめ」

 

おら! 大タル爆弾を改造して、向けた方向に吹っ飛んでいく様に改造してやったぞ!

オマケで壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)だ!

 

我ながら酷いことしてるよ。

 

大タル爆弾が爆発し、派手に爆発した。

爆破の余波で木々が吹っ飛びそうになっている。いやぁ、結界が張ってあってよかったよ。結界が張ってなかったら、

木々は根こそぎ吹っ飛んでただろうな。

 

爆破によって発生した煙が晴れると、そこには傷だらけのランサーが居た。

 

「こいつぁ、結構ヤバかったな。まさか、ルーン魔術で身を守ることになるとは思わなかったぜ」

 

うわぁ。余裕そうじゃあないですかぁ。

目がギラギラしてますよ。あなた、確実に俺を殺す気じゃあないですかぁ。

 

「お前のこの技。確かに、英雄が扱うものじゃあねぇな。生まれついての弱者が、生まれついての強者に対抗する為に最も適した技だ」

 

「流石は生まれついての強者。生まれついての英雄だ。我ら弱者とは言うことが違う」

 

あんたには分からないでしょうねぇ! ただの人間なんだから、怪力無双とか出来ないんだよこっちは!

 

「そう怒るな。むしろ褒めてるんだ。よくここまで修練を積んだな。だから──」

 

やっぱりあなた怒ってんじゃないですかー。

 

「──山門の守護者よ! 我が必殺の一撃を、受けるがいい!」

 

当たらない事に定評のあるゲイボルグじゃないですかー。俺は勿論逃げるけどね。

……ん? お前、今、山門の守護者って言ったよな?

 

突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)!!!」

 

野郎!!!

よりにもよって、投げボルクじゃねーか!!!

 

アイテムポーチから急いでランスの盾を取り出す。

モンハンではガードが堅いことに定評のあるランス。

Fateのランサーとは違って、槍と盾を持って戦うのが基本のスタイルだが、今回は守りが重要だ。

盾を2種類取り出して重ねることで厚さを増し、全力でゲイボルグの進行を拒む。

 

「お、おおおおおおおおお!!!!」

 

重い! 熱い! 速い! 痛い! メッチャ痛い!

なんやこれ! メッチャ痛い!

ヤベェよヤベェよ! 盾がゴリゴリ削られてんだけど!?

どっちもドラゴンの素材で出来てるんだけど!?

もしかしてアレか!? 低級のドラゴンだったりしたの!?

それとも、実はワイバーンの素材だったり!?

盗まれた!? 実は偽物!? 困るわ!

 

「悪いな、アサシン。テメェの盾じゃあ、この必殺の槍は防げねぇ」

 

「そう簡単に、俺は死ねねえ!」

 

全力で守るぞおら!

せめて山門は守らなければ、キャスターに会わせる顔が無い!

 

「ぐ、おおおおおおおおおおおお!!!」

 

盾が貫通された!

だが、盾が無いなら、掴んで止めるだけだ!

 

「盾が無くとも掴んで離さぬか。諦めの悪い奴だ」

 

「おおおおおあああああああああ!!!」

 

真名解放してるからなのか、ゲイボルクを掴んでもこっちの宝具に出来ねぇ! 全然ダメじゃあねぇか! 俺の宝具無能!

 

「そろそろ限界だろうな。時間だ」

 

あれ? なんか光ってね?

そーいや、エミヤが投げボルクを防いだ時って、どんな感じだったっけ?

たしか、アイアスで防ぐも最期は──

 

 

 

 

──その日、冬木市には一際大きな花火が打ち上がった。

 

 

「けっ、締まらねえ終わりだぜ。あいつは、守護者には向かねえってのによ。死合うなら、平原でやりたかったぜ」

 

ランサーは不満気に言い放った。

ゲイボルクは、投げれば所持者の手元に自動で戻ってくる。飛んで帰って来た槍を掴み取り、ランサーは闇へ溶け込んで行った。


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