Hunter/ganbara night   作:カルガモ大将

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Q.量産型宝具って、一体なんなのさ……

A.ハンターが作った武器防具便利アイテム等々全般のこと。宝具擬きも含まれる。鋼とか魔物の素材とかバンバン使ってるし、宝具になってもおかしくないよネ!


第3話

美味しいご飯と美女には勝てなかったよ……(屈服誰得ダブルピース)

 

 

ウルクの城壁も間近に迫ったし、ここらでお暇させてもらうか。

 

「さて、俺はここまでだ」

 

「へ? なんで?」

 

不思議そうに此方を見る立香に対し、必殺の切り札を出す。

 

「俺はギルガメッシュとは相性が悪い。だから、会わない方がいい。むしろ、単独行動の方がいい」

 

「ええー!? ダメだよ単独行動なんて。絶対に集団で行動した方が効率もいいよ!」

 

「悪いが、それはダメだ。お前たちは所謂正義の味方であって、俺は正義の味方とは程遠い存在だからだ。俺はあくまで狩人だ。だから、直接人理修復に手を貸す訳じゃあない。間接的に手を貸す訳だ。これは、命令だろうと絶対に破れない俺の戒律だ」

 

「えー? それはズルイよ」

 

頰を膨らませ、不貞腐れる立香。あざと可愛い。死ぬ。

 

「ハッハッハ。ではこれにて、諸君とはおさらばだ」

 

モドリ玉を地面に叩きつけ、地面から緑色のけむりが溢れ出す。

 

「ちょ、待ちなさいよ!」

 

立香の声を無視し、そのまま天の丘へと転移する。

 

「……ふぅ。やっぱ俺、チームプレイって奴にはとことん向いてねぇわ」

 

北壁の方へと走り出す。

さて、北にはゴルゴーンと魔獣戦線だ。これからやるべき事は、魔獣を狩り尽くし、その素材で準備を整える事だ。

 

今着ている緑色の外套を脱ぎ去り、道具袋に突っ込む。代わりに土色の外套を取り出し、それに身を包む。

今度は刃が自分の身長と同じぐらいある鳥の羽のような銀色の片刃の剣を取り出し、それを持ったまま北壁を駆け上がる。

 

「っしゃおらぁ! 加勢に来てやったぜ!」

 

そのまま壁から飛び降り、魔獣達を細切れにしていく。

 

「テメェらは素材だ! すべて糧とする! 」

 

切り刻み、通り抜けながら必要な素材を少しだけ抜き取っていく。

 

「悪いが、俺は狩人(ハンター)だ! テメェらは狩る側では無く、狩られる側だ!」

 

道具袋から短槍を引き出し、遠方の魔獣を狙い投げ飛ばす。

 

戦場(ここ)は、俺にとっちゃあ慣れたもんだ! 実家のような安心感だ! だから!」

 

剣に魔力を充填し、頭上に掲げる。

 

「手っ取り早く、終わらせる方法も知ってんだよ!」

 

刃の無い方にある噴出口から赤黒い灼雷が溢れ出し、剣を覆い尽くした。込める魔力量が増えるにつれ、バチバチという音が大きく、断続的に聞こえるようになって来た。

 

「ぶっ飛びやがれええぇぇぇーーーー!!!」

 

一気に振り下ろし、ビームを前方に撃ち出す。これこそは、俺が鍛え上げし偽・ビーム剣。その名も、赫醒大剣バルハーリィ。いい名前が思いつかなかったからモンハンから取った。だって、素材となった竜の名前なんて知らんし……ネーミングセンスも無いし……ま、是非も無いよネ!

 

灼熱の炎と雷を混成させたビームを撃ち出すことにより前方の敵を吹き飛ばす。結果、一点突破することが可能になり、敵に囲まれた時に脱出し易くなる訳だ。

 

「今日はビーム祭りだ! まだまだ行くぞおら! 」

 

近寄って来た魔獣を足で蹴り飛ばしながら、再び魔力を充填して行く。

 

「護衛ならば、この私に任されよ!」

 

「ああ! 任せた!」

 

このタイミングでレオニダスとは! 心強い!

先程よりも込める魔力を増やす。

 

「ぬぅぅりゃあぁあ! フハハ! 滾って来たぞおおお!!!」

 

レオニダスが俺を狙う魔獣を悉く返り討ちにしていく。

よし、これならば真名解放も出来るだろう。

 

「我が焔は、悪を浄化せん。我が雷は、敵を殲滅せん。この光、受けるがいい!」

 

魔力充填、完了。

 

赫い彗星(バルハーリィ)!!!」

 

先程撃ち出したモノとは、比べ物にならない程に巨大な赤黒い光が前方に撃ち出された。

 

「なんと! なんという魔力の無駄遣い! これだけの魔力があれば、もっと効率的に狩れるでしょう!」

 

レオニダスの意見はもっともだ。だが、此方にもそれなりの理由はある。

 

「俺は寝て起きれば魔力が回復するぐらいには燃費がいいんでな。それに、新兵を死なせないためにも、ここらで数を大きく減らした方がいいだろう?」

 

言い終わると同時に、ビームが途切れた。

 

「ま、こんなもんだな」

 

地面は大きく抉れ、遠く遠くまでそれは続いていた。

 

「俺は新兵が死なねえようサポートに回る。あんたは思う存分暴れればいいさ」

 

「ええ、いいですとも! あなたがこのまま暴れれば魔獣はその数を大きく減らすでしょう! ですが! それでは新兵の教育にはなりませぬ! 実に効率的だ! 新兵はあなたに任せましょう!」

 

それだけ言うと、レオニダスは魔獣へ突っ込んで行った。

 

「さて、なるだけ効率的に物事を運びたいものだ。死者は出さんようにせねばな」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

Welcome to ようこそ war park.

今日もドッタンバッタン大騒ぎ。

 

昨日から寝ずに魔獣を狩っては素材を集め、危なそうな新兵を発見しては近くの魔獣を狙い撃って死者を出さないよう心がけている。今は壁の上から狙撃しているが、魔獣が増えれば一気に数を減らす予定だ。

 

うーむ。なかなかに面倒だ。思い切り吹っ飛ばしたいな。でもなぁ。吹っ飛ばしたら素材が無くなっちまうんだよなぁ。うーむ、悩む。

 

そんな事を考えつつも手は勝手に矢を装填し魔獣を狙撃する。慣れって怖いよね。

 

「あー……そういや、こっちに住んでる時は日常茶飯事だったなぁ」

 

頭上をイシュタル、もとい、イシュタ凛が通過して行った。

 

あいつ、エビフ山に住んでた俺を無理やり追い出したからなぁ。そのせいで引越しすることになっちまった。

 

うわ、思い出したら腹が立って来た。よし、狙撃しよう。

 

「蝕め。腐敗の時来たれり。姿形、崩れゆく定めに有り」

 

ムシュフシュの毒針で作製した毒矢を番え、イシュタルが行くであろうジッグラトの天井付近に狙いを定める。

 

あの速度だから……大体、このタイミングだな。

 

矢を放ち、しっかりと当たるかを確認する。

 

「……っしゃ! ビンゴ! ざまあみやがれ!」

 

矢は防いだようだが、イシュタルはバランスを崩して天井を破壊しながら落下したようだ。ちょっと気分がスッキリ。

 

今日も一日、頑張っていきましょう。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

日が暮れ、闇が支配する時。俺は、ウルクの城壁の上にいた。

 

「えーと、ここは守りでここに城で……」

 

城壁にカリカリと記号を削っていた。これは、来るべき決戦へ向けての準備だ。彫っているのは原初のルーンよりも遥かに古い文字だ。ほら、メソポタミアだからルーンの原点があっても不思議じゃ無いし? むしろ、驚かされたのは俺の方だし?

 

ま、是非も無いよネ!

 

に、してもだ。この調子だと掘り終えるのにかなりの時間がかかりそうだ。ヤベェよヤベェよ。北壁の魔獣戦線を維持しなきゃいけないってのに、こっちもこっちでデスマーチとかマジヤベェよ。これどうすっかなぁ。兵士が英雄並みに強かったら問題ないんだけどなぁ。

 

……ん? 英雄並みに強かったら問題ない?

 

それだ!

 

俺が大量生産を可能とした量産型宝具(宝具擬きも含む)を、一部の兵士たちに渡せばいいじゃないか! なんて名案! なんて太っ腹! 量産型宝具とは言っても、作る手間暇は計り知れず! 素材を集め厳選するのは地獄の如し!

 

とてつもなく心苦しいが、仕方あるまい。カルデアが所持する鯖が士郎とマシュだけの時点で、俺が頑張らないと人理修復は不可能だ。

 

ウルクへ来るまでの道中で士郎の戦闘を観て見たが……あれは、甘い。たしかに洗練されてる。だが、甘い。あれはもう、技術の面では士郎の限界まで辿り着きつつあるのだろう。だが、問題は心だ。それなりに醜いものを見たのだろう。それなりに穢れたものを見たのだろう。苦悩と葛藤も色々とあったのだろう。だが、第七特異点(ここ)の悪意には程遠い。ゴルゴーン、ラフム、ティアマト(オマケでエレちゃん)……果たして、奴らを相手にして、甘さを捨てられるのか。それとも、正義の味方(あまちゃん)を貫き通すのか。

 

甘さを捨てられなかったら……いや、ギルガメッシュがどうにかしてくれるか。過度な憐れみこそ原罪だ。第七特異点(ここ)を乗り越えられねば、ゲーティアを倒すことなど、夢のまた夢だ。

 

これ、俺に神託が来なかったら確実に人理修復不可能だったよね?

 

 

 

 




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