第1話
第1話
ちょっと待てやおい、おいおい。
なんであんたが目の前におんねん
「っ……問おう。あんたが俺のマスターか」
驚きすぎて、噛みそうになったわ。
「えぇ。私が貴方のマスターよ。キャスターのサーヴァントだけれど、そんなことは気になさらないで」
なんで目の前にメディアおば様がおんねん。
紫フードで顔を隠してる時点で察しはついたさ。確かにさ、空いてるところってアサシンだけですもんね。でもね、第5次の聖杯戦争はやめてくれよぉ〜。
HFは勘弁してくれよ〜。UBWなら楽勝だけど、どんなルートになるかまったくもってん分からんて。
「ではアサシン──」
「いや、ハンターのサーヴァントです」
「……は?」
この、なんとも言えない空気が本当に辛い。
「俺、
「あ、あなた今、
そんなわなわなと震えても、困ります。
いや、聖杯からの知識で俺がどんな風に伝わってるかも知ってんのよ。だからこーゆー反応されるのも仕方ないと思うよ、うん。
ほら、俺ってば最初、モンハンの世界に転生したと思ってたからさ、ドラゴンとかと殺し合いして、その血肉を喰らってた訳よ。
でもさぁ、ここ、型月な訳よ。
……後は分かるね?
「呼吸すれば魔力生み出せるし単独行動も持ってるんで、マスター不在でも1人で戦えるから、魔力は回さなくても大丈夫だから、そこんとこよろしく。なんなりと命令してくれ」
「……お、おほん! あ、貴方には山門の守護を任せるわ」
「あいあい了解しました。陣地作成とか道具作成も出来るんで、困った時はよろしく。ま、仲良くやろうや」
握手は大事だからな。スッと右手を差し出す。
「え、えぇ。よろしく頼むわ」
まだ若干震えている手を優しく握りしめる。
「あいよろしく」
取り敢えず、難所は抜けたな。もしも対応をミスったら小次郎みたいに肋骨が胸から飛び出て、ダイナミックこんにちわをしていただろう。
うー怖い怖い。
「なにかあったら、すぐに連絡しなさい」
「はい了解」
そう言って、彼女は闇に消えた。
転移するとかスゲーなぁおい。
転移とかマジでチートだわ。簡単にモンスターに近づけて、尚且つ簡単に逃走も出来て、撹乱も出来る。
うわ転移強い。
「まぁそう簡単に、戦局は動かんじゃろ」
転移は機会があったら教えてもらうとして、先ずはランサーが襲って来るじゃろ。ランサーなら……まぁ、なんとかなるかなぁ。なんとかなればいいなかぁ。むしろ、なんとかなって下さい。
▽▽▽
原作において、アサシンは山門から離れられなかった。でもまぁ俺は単独行動を持ってるし、自分で魔力も精製できる訳だから遠くまで離れることが出来る訳である。
型月ファンとしては、色々と見て回りたい訳である。
マーボーは食うか考えてみたが、マーボーは死ぬ可能性が高いから無し。というわけで、その他を色々と見て回る事にした。
川とかコンテナとか橋とか色々ね。
時間も考えて、陽が出た今から見て回る事にする。ほら、霊体化すればバレないし、そもそも日中は戦わないし、観光するにはもってこいだな。
──なんて、考えてる時期がありました。
観光3日目で呼び出しを食らいましたよ、ええ。
「で、何か言い分はあるかしら?」
「ほら、戦うには地理的情報とかも必要だろ? 霊脈とかさぁ……ね? おたく、魔術師だからわかるでしょ?」
山門で正座させられてるから、膝とか脛がメッチャ痛いねん。クラス
「私が聞きたいのは、なぜ、山門から離れられるか、という事です」
あーそーいやそーだったな。きっと知らなかったんだろうな。
「ほら、初日にも話した通り、俺って単独行動持ちなんですよ。そのお陰で、マスターが居なくても動き回れる訳です。たしかに、この山門が依代となってるから離れられないんすけど、まぁそこはほら、単独行動でなんとかなるんで。ついでに言っておくと、呼吸するだけで魔力も精製できる訳でして、この2つの要素のお陰で山門に縛られるということも無く、1人でフラフラ歩き回っても問題ないのですよ」
「そう……で、なぜ、山門を守護しなかったのかしら?」
あかん。不機嫌なままやんけ。
全然地雷回避出来てないわ。
「ほら、基本的に昼は戦わないじゃないですか。なので、昼は開けててもいいかなぁ……と思いまして」
「他に、言い分はあるかしら?」
「え、えぇと……」
なにか、なにかないか……ハッ!
アレがあった!
「聖杯からの知識では浅くしかないんで知らないでしょうけど……俺、魔術を少し齧ってるんですよ。それでですね、色々と道具とかを作れる訳なんですよ。そのための材料集めなどもしていた訳なのですよ」
「なるほどねぇ……」
お、少し収まったか。
「何を作ろうとしてるのかしら?」
ダメでしたー。ですよねー。そう簡単には収まらないですよけー。
「モドリ玉です」
「モドリ玉?」
「はい、モドリ玉です。簡単に言うならば、使い切りで限定的に転移魔術の効果を発揮する道具のことです」
「……そう、分かったわ。昼の間は自由にしていいわよ」
ただし、便利な道具を作ったのなら私に報告しなさい、と一言付け加え、彼女は視界から消えた。
「あざました!」
危機一髪だった。ちょっとやばかった。ミスったらダイナミック肋骨こんにちはだった。
またの名を、露骨な肋骨。
俺ってば聖杯からの知識では結構有名らしいのに、なんでこんな扱いナノカナー。
カナシイナー。
さて、これからどうしていくか考えなくてはな。
まずはランサーだな。
バゼットさんが腕を斬り落とされてないなら戦うことになるかもしれんし、どうせ斬り落とされた後でもランサーと戦うことになるしなぁ。めんどくさいなぁ。
てか、ランサーとキャスターっていつ戦ったんだっけ? 全然覚えとらんなぁ。まぁ、麻婆がマスターの場合、サーヴァントが召喚されたら向こうが気付いて勝手に送り込んでくるしなぁ。
バゼットさんがまだ腕を斬り落とされてないパターンなら、こっそりついて行って綺礼をぬっ殺せばいいか。
……いや、そうだな。いっそのこと、綺礼殺しちゃう?
あーでもダメだなぁ、無理だ。ギルガメッシュはどう足掻いても勝てない。
そもそも、俺はモンスターハンターの世界だと思ってた訳だから、対人戦なんてまったく分からん。zeroのバーサーカーみたいな芸当は出来ないから無理だ。
そもそも、あの量に対抗するにはエミヤの力が絶対不可欠だ。
つまり、エミヤと士郎を殺さないようにして、覚醒イベントを済ませればいい訳だな! ついでに士郎を強化してギルガメッシュをぶっ殺して貰えば問題ない。
第五次聖杯戦争は、セイバールートとUBWを足して2で割ったような感じにすればいいワケだな。
桜ルートは論外。辛すぎる。
取り敢えず、聖杯は起動させないように全員生かすようにして、蟲爺は昇天させてやりたいが……まぁ無理だろう。昇天させるにはイリヤが死ぬことになるしなぁ。
うーむ。めんどうくさい。
個人的には桜と幸せになって貰いたいが、イリヤが死んだら可哀想だし、かといってうっか凛や看板娘であるセイバーを蔑ろにするように誘導するのもアレやしなぁ……まぁ、テキトーにやっときゃあ主人公がなんとかしてくれるやろ。正義の味方だし、なんとかなるべ。