欠けているモノを求めて   作:怠惰の化身

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今回少し長めです。



感情支配のアウトブレイク

春。其は、俺を心地よい眠りに誘う言葉。

夏。其は、俺を家に引き留める言葉。

秋。其は、俺を深い眠りに誘う言葉。

冬。其は、俺を布団に縛り付ける言葉。

 

この一節は八幡が昨日の夜、小町に伝えた言葉。

季節は春。

八幡は普段より30分早く学校の駐輪場に自転車を止めた。

 

「くそう、小町の奴。ぼっちの俺が30分早く来てもしょうがないだろうが」

 

ぶつぶつと悪態をつきながら下駄箱へ向かう八幡。

 

電車通学やバス通学の生徒が、この時間に集中するのだろう。

普段、遅刻ギリギリに向かうその場所は人が多く、混雑しているようだった。

 

「はぁ……」

 

人混みが苦手な八幡は深くため息をつくと自分の下駄箱に向かう。

混雑は妙に靴を履き替える速度が遅いことが原因のようだ。

 

「あー、やっぱ可愛いわー」

「だよな。前、生のアイドル見たけどさ。あの子のが上だよ、上」

 

八幡が下駄箱に行くと同じクラスの男子と思われる2人が話していた。

 

(そこ邪魔なんだけど……)

 

思っても口に出せない小心者の八幡。

下駄箱が封鎖されて途方に暮れ、どうしようかと悩んでいるが男子達の会話は続く。

 

「彼氏いんのかなー、やっぱ」

「いてもいなくてもお前に望みはねーよ、安心しろ」

「諦めたら試合終了だよ。俺、彼氏になりたいです」

 

あるある、ねーよと盛り上がってる2人にイライラとし始めたが、よく見ると他の生徒数名もクラスの男子と同じ方に視線を向けているのがわかった。

この封鎖の原因を作ってる視線の先の人物は何者なのだろうと、八幡も興味が湧いて視線を向けると。

 

「一色か……」

 

そこには亜麻色の髪を揺らしながら、せっせとポスターを貼っている一色がいた。

ぴょこぴょこと動く動作は、なるほど可愛いと思えるものだった。

 

「いろはす頑張ってんなー」

「んあ?」

 

ふいに掛けられる声に顔を向けると戸部が隣にいた。

「ヒキタニ君チィース」とウインクしてくる戸部に会釈して返す。

 

「ヒキタニ君朝から元気ない系?栄ドリ飲む?」

 

もぞっとした動きの八幡をそのように感じた戸部はカバンから栄養ドリンクを取り出すとニカッと笑顔で「ファイトいっぱーつ!」と言いながら差し出してくる。

 

「いや、いつもこうだから……」

「あ?あー、そう言えばそうかー。ヒキタニ君いつもそんな感じだったわー」

 

そう言って戸部はカバンに栄養ドリンクを戻すと八幡と一色を交互に見る。

 

「あれ?ヒキタニ君もそれ系?」

 

男子が邪魔で動けず暇つぶしに一色を見ていた八幡に謎なことを言ってくる。

 

「系って何?」

「それ系はそれ系っしよー。いろはすファンクラブの会員」

「え?なにそのおぞましいクラブ」

 

戸部が言うには、ファンクラブといっても会員証や鉄則のようなものはなく、一色をいいなと思ったキミは会員だ!みたいなユルい感じのものらしい。

学生だから特定の誰かに好意を寄せることに照れがあり、誤魔化すために作られた用語みたいなものなのだろう。

 

「なるほど。そこの、一色の周りに居る生徒どもを会員と揶揄するために用いられる用語の意味にもなるわけか」

 

八幡は、ポスターを貼り終えたところで男子に話しかけられて対応している一色を眺めながら思ったことを口にすると、戸部は「ヒキタニ君辛辣ウー」と笑い、

 

「まあでも、いろはすって男女共に人気あるからそんな使われ方しないけどなー」

「は?女子には嫌われてるだろ」

「情報古いっしよー。人の印象は日々更新されるんだぜ、ヒキタニ君」

 

今まさに印象を更新した八幡を余所に、戸部はコホンとせきを払いつつ続ける。

 

「生徒会長になってから真面目に勉強するようになって、男友達と遊びに行かなくなったいろはす。生徒会の仕事で駆けずり回る姿は男子のみならず女子からも好印象を与え。そして!」

 

そこで戸部は少し寂しそうな表情に変えて一色に視線を向ける。

 

「隼人くんに過度なアプローチを止めて、サッカー部にも顔を出さなくなってさー……。隣に居るのは生徒会の副会長くんと書記ちゃん。それが更に評価上げてるみたいなんだけどさー。兄のように慕ってた俺への対応も冷たいし、なんか最近距離あるんだよなー……」

 

慕って、のところで八幡は戸部を二度見する。

 

「ヒキタニくん、顔に出てるよ」

 

いつから居たのか海老名姫菜が口に手を当ててクスクスと笑っていた。

 

「あ!海老名さーん」

「とべっち、ハロハロ~」

 

海老名は先ほどの表情が嘘のように浮かれた声で話しかける戸部を軽くあしらって一色に視線を向ける。

一色の近くにはそこそこイケメンの男子数人が一色に話しかけているが、女子も疎らに居る。

女子も普通に一色と話しているところから八幡は、なるほど、戸部の言ってることもあながち間違ってないのかと思う。

 

「ぐ腐腐……。いい眺めだわ~」

 

そんな特別変な感じはしない状況に海老名のセンサーが反応したことに八幡と戸部は顔を見合せる。

 

「え、海老名さん?どったの?」

 

戸部が疑問を投げかけると海老名はメガネをキラッと光らせ「ふ化する前のたまごよ~」と意味不明な供述を始めた。

 

「ああやって一見仲良く話しているけど、あの男の子達は全員ライバルなの。1人の女の子を取り合って腹の探り合いをしてる……。でも結局、誰も報われない運命……。そう!女の子には意中の男性が既にいるの……!」

 

そこで海老名は八幡をチラッと見た後、メガネをクイッと手で直し。

 

「そして……。ある日、あの少年は現実を目の前にするの」

 

海老名は一色の近くにいる華奢な少年を指差す。

 

「女の子が知らない男と幸せそうに歩いてる姿を見てしまうの。そしてそれが恋人だと知り、少年は喪失感に打ちひしがれる……。そして、一人ぼっちの孤独を感じ暗闇で手を伸ばす……。……すると、その手を握る暖かい手が!はあはあ……」

「え、海老名さーん……」

 

異常を察知して戸部は手を伸ばすが、海老名にペチッと払い除けられる。

 

「そこにはライバルだった男の子が」

 

海老名は一色の近くにいる小麦色に焼けた大柄の少年を指差す。

 

「ライバルの男の子は少年を力強く抱き寄せる。そう……、少年は1人じゃなかったの……。いつも隣に彼がいた。そして、喪失感を埋めるように2人はお互いを求め合う。穴を埋めるように……、穴を!」

 

そこで興奮が最高潮に達したのか海老名はヨロヨロとふらつくと倒れこむ。

 

「海老名さーーん!」

 

海老名を抱き止めた戸部は流れるような手つきで脈を測り「今回は大丈夫かー」と安堵する。

 

「ありがとう、とべっち。もう大丈夫」

 

ヨロヨロと立ち上がり戸部にお礼を述べる海老名。

八幡はそんな2人を眺めてから、周囲を見渡すとあることに気付く。

今繰り広げられた異常な光景に反応してる生徒は少ない。つまり、これを日常の1コマと捉えていることが窺える。

 

「まあ、とべっちの言ってることは大体合ってるよ」

「え?なんのこと?」

「ヒキタニ君ボケたん?いろはすのこと」

 

唐突に海老名に話しかけられた内容がわからなかった八幡に戸部が大丈夫?といった感じで教えてくる。

一色が人気者の件だろうが八幡は心の中で、「俺以外が大丈夫じゃないんだよ!」と叫んだ。

 

「彼女も大変だよね~。毎日毎日ああやって囲まれて」

「一色はちやほやされるの好きだから喜んでんじゃねーの」

 

すると戸部が「そこよ、そこ」と言い。

 

「俺もそう思ってたんだけとさー。どうも本人、嬉しくは思ってないみたいなんだわ」

 

八幡は、戸部に言われて一色を観察する。

一色は確かに奉仕部にいる時のように自分から会話を出したりしていないようだ。

 

「うーん。まあ、確かに合わせてるような感じがするな」

「そうそう。流石ヒキタニくんだね」

「まあ、そのおかげで得るものもあったみたいだけどなー」

 

戸部はそう言ってカバンから何か書かれた用紙を取り出す。

 

「これこれ。隼人くんの彼女に相応しい子ランキング」

 

そこには、『葉山隼人くんの彼女、誰なら許せる?』といったタイトルのランキング表が書かれており、三位に一色いろは322票と明記されていた。

二位の雪ノ下雪乃と13票差と接戦なところを見るとかなりのものだ。

因みに一位は587票で戸塚彩加だった。

総武高の闇は深い。

 

ランキングは3人に大半の票が集中してるらしく、四位は三浦優美子104票、五位に海老名姫菜58票といった結果だ。

そして八幡は、そのままランキング表を見ていると1票のところに比企谷八幡の名前を見かける。

海老名に視線を向けると笑顔で見返してきた。

 

「実は俺、いろはすに入れたんよ。ヒキタニ君は誰に入れたん?」

 

八幡は安定の影の薄さでアンケートすら受けていないのだった。

まるで誇らしいことのようにどや顔で説明しようと戸部に顔を向ける八幡だが、向いた直後に顔を強張らせる。

 

「戸部、今なんつった?」

 

後ろから唐突に呼ばれた戸部は顔が一瞬で青く変化して恐る恐る後ろを振り向く。

その、ドスの利いた声の持ち主。

君の名は。

 

「あ、優美子。ハロハロ~」

 

三浦優美子は海老名に挨拶を返して戸部に近づく。

 

「いやー……。サッカー部のマネージャーだし、妹みたいなもんだからなんとなく……」

 

三浦は戸部の持ってたランキング表を取り上げ、内容を確認する。

そして、一色に視線を向けるとチッと舌打ちした後、表をグシャグシャと丸めてゴミ箱に投げ入れる。

戸部はその光景を弱々しく眺めるのみ。

 

「ヒキタニ君~」

「俺に振るな」

 

下駄箱の一部と化してた八幡に仔犬のような瞳で助けを求める戸部。

 

「あ、ヒキオ」

 

あ、ゴミ。みたいなアクセントで呼ばれる八幡。

 

「で、アンタはアレはどうしたよ」

 

三浦はゴミ箱をチラッと見て八幡に聞いてくる。

 

「俺はアンケートを受けてない」

 

八幡は、アレはどうしたよ。の翻訳が、ゴミ箱に入らなくていいのかよ、ではないことを祈りつつそう答える。

 

「は?」

「優美子。ヒキタニくん、忘れられてたんだよ」

 

八幡の言ってる意味が理解できなかった三浦に海老名が説明する。

 

「流石ヒキオ、マジうけるんだけど!」

 

三浦はそれは楽しそうに腹を抱えて笑うのだった。

ツボに入ったようで、ヒーヒー言いながらチラッと八幡を見てさらに爆笑。

 

「優美子、笑いすぎだよ」

 

そんな三浦の態度に海老名はそう言って八幡に「ごめんね~」と三浦の代わりに両手を合わせて謝罪する。

 

「別に……。慣れてるから気にしてない」

 

八幡は表情を変えず淡々とした口調でそう言うと、三浦は笑うのを止めバツの悪そうな顔をする。

 

「あー……、今のはあーしが悪い。ごめん、ヒキオ」

 

三浦は頭をガシガシと掻いて、そう謝罪する。

そんな三浦の態度が意外だったのか、八幡は声を詰まらせて呆けた顔で頷いた。

 

「ん。じゃあ、あーしら先行くから」

 

そう言って三浦は自分の下駄箱に向かうか、そこには封鎖してるクラスの男子がいる。

すると三浦は男子の横に並び睨みを利かせて一言。

 

「邪魔」

 

なんということでしょう。

その一言で、先ほどまで封鎖していた2人の男子は跳び跳ねるように場所を開け、一色を見て緩んでた顔は怯えの色に様変わり。

履き替えを済ましてなかった失態のせいで逃げることもできず立ち尽くす始末。

三浦は、そんな男子を当然のように気にする素振りも見せず靴を履き替える。

 

「ヒキタニくんととべっち、教室で」

 

そして海老名も2人に声をかけた後、三浦と共に大勢の生徒がごった返す中、『モーゼの十戒』の海が割れるシーンのように人が割れる道を歩いていった。

 

「ヒキタニ君、マジサンクス!」

 

八幡がカースト上位者の威光を恐怖とともに見ていると、戸部が親指を立てて感謝する。

結果的に戸部の発言がうやむやになったからだろう。

 

「じゃー、俺たちも行くべ」

 

そう戸部は言って靴を履き替え、「早く早く」と急かしてくる。

急ぐ理由も一緒に行く理由も無いのだが、ここに居てもしょうがないので八幡は誘われるままホイホイ付いていくことにした。

 

靴をを履き替えて何気なく一色を見ると、まだ男子達に話しかけられて対応に追われていた。

ちょと困ったような感じがする一色の姿を、人気者は大変だね~と感想を抱いていると一色と目が合った。

 

一色は八幡をポケーと見たかと思えば、良いものを見つけたと言わんばかりに笑顔で「せんぱーい」と言いながら手を振ってくる。

 

「一色さんが俺に手を振ってきたぞ!」

「いや、俺だろ!」

 

自分だと期待したか?残念!俺だよ!!

まさに外道。と暫定一色ファンクラブ会員の男子2人相手に妙な優越感に浸ってしまった八幡は、外道ベイビーのように接近する一色から逃げるタイミングを逃してしまう。

 

会員の2人は近づく一色に「こんにちは」と爽やかに声をかけるが、一瞥もされることなくスルーされる。

 

そうして一色は八幡の近くに来ると袖を引っ張りながら「どうですか~。あのポスター、わたしが作ったんですよ~」と言ってくる。

 

「おお。いろはす、見てた見てた。おつかれさんよー」

「戸部先輩には聞いてないです」

「え、ええー……」

 

戸部はこの一色の対応のどこに慕われてると思っているのか謎だ。

 

そんな会員と戸部を軽く蹴散らして八幡に「どうですか~」と聞いてくる一色が何を考えているのか、どういうつもりで袖を引っ張っているのか。

 

「い、いいんじゃねーの?おつかれ……」

 

朝から色々ありすぎた。

小町にたたき起こされ、戸部にからまれ、暴走する海老名、こわーい三浦ときたところに一色のこの行動。

だからだろう。八幡は思考がうまく働かず、そう適当に返してしまう。

 

「もー!可愛い彼女が頑張ってる姿を見てその感想はないですよー!」

 

これはいけない。

八幡は自分の迂闊さに愕然とする。

そして八幡は小学生の夏、小町が夏休みの工作にアイスの棒で城を作たと言って感想を聞いてきた時を思い出す。

 

その時も八幡は適当に返し、その態度に小町は不機嫌になった。

つーん、と言いながら無視する小町の機嫌を戻すため真夏の暑い中、ガリガリ君を買いに出かけたのは辛い思い出だ。

しかし現金なもので、小町はガリガリ君のおかげで機嫌を直して食べた後の棒を何を思ってか、砲身に見立てて城の天守閣にくっつけていた。

安い女だった。そしてアホだ。

 

だが八幡も、あの時と同じ失態をまた繰り返してしまった。

小町をどうこう言える立場ではないのだ。

そう考えた八幡の出した結論は。

 

(やはり、ハーゲンダッツだろうか……)

 

一色はデザート作りが上手い。料理教室の時にこっそりくれたクッキーはとても美味しかった。

あんな旨いクッキーを作れる一色が安いガリガリ君に満足するとは思えない。

ハーゲンダッツ、痛い出費だ。

しかしそれで可愛い彼女が機嫌を直すのなら仕方な

 

「ちょっとまて」

 

違う、そうじゃない。

何故、何時の間に一色が彼女になっているのか。

一色と付き合うことになった出来事の記憶は無いし、思い出も無い。

もちろん世界線を移動した感覚も無い、魔眼など持ち合わせていないのだから。

あまりにも一色の『彼女』とか言うパワーワードが強烈に思考を狂わせたのだろう。

八幡はそう思い立ち、とりあえず彼女といっだ誤認から訂正しようと仕切り直しすことにした。

 

「……どうしたんですかぁ」

 

すると一色は不安気に瞳を震わせて弱々しく聞いてくる。

八幡の雰囲気の変化を察したのだろう。

何か良くないことを言われる、と。

 

そこで八幡ははたと気付く。

一色が意味も無くこんな嘘をつくはずがないことを。

何らかの理由があって嘘を言い、八幡ならそれに合わせてくれると信じているのだ。

 

「……悪かった。誕生日、埋め合わせするから許してくれないか?」

 

後で理由を聞くとして、とりあえず合わせてやろうと思い、できうる限りの優しい口調でそう言った。

そんな八幡に一色は虚をつかれたように驚いた顔をしたが、すぐ笑顔に変える。

 

「期待してた通り……。や、それ以上ですよー」

 

ぽつりとそう言った後、一色は「期待してますねー」と嬉しそうに笑う。

その姿に一抹の不安を感じた八幡はそこで気付く。

何故俺は、一色の期待に応える必要があるのか、と。

雪ノ下や由比ヶ浜なら応えたいと思うのだが、一色の期待に応えてもリスクしかないのではなかろうか?と。

 

そんなことを考えていると一色は、でわ~と笑顔で手を振って立ち去ろうと踵を返す。

 

「お、おい__」

 

そんな一色を呼び止めようと手を伸ばした八幡だが、突然肩を掴まれる。

 

「ヒキタニ君。……いろはすと付き合ってたの?」

 

八幡の肩に手を置いた戸部は掴む力とは裏腹に力無い声でそう聞いてくる。

 

「いや、ちょと肩を離してくれ」

「手を伸ばしてたけどさ、手でも繋ごうとしてたの?ラブラブなの?……そういえばこないだも一緒だったよね?」

 

恋のライバルと思ってた相手が別の女子と付き合っている。

しかもその女子は妹のように思ってた一色だ。

八幡を掴む手に自然と力が入る。

 

「落ち着け戸部。あれは小町の誕生日祝いだよ、関係……ッ!おいやめろ、揺らすな、く、くるし……うぇ」

 

サッカー部で鍛えてあるだけに戸部の力は強い。

そして八幡は周囲に目を向けると大勢の生徒の視線が集中していた。

会員の2人も、嘘だろ……。といった顔だ。

 

そんな中、圧倒的な力の前に抵抗できずに揺すられ続ける八幡は薄れゆく意識の中で一色を見る。

囲んでた男子から解放され、1人悠々と立ち去って行く一色。

そこで初めて理解する。

あぁ……。俺はまた一色に利用されたのだ、と。

 




アウトブレイクは感染症の集団発生みたいな意味です。
パンデミックはその上位互換みたいなものですね。

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