そして、それが嘘だと分かっているけど「それなら仕方ない」と思うことにする流れが一般的なのでしょう。
でも性格的に嘘が嫌いな投稿者である自分は言ってしまおうと思います。
タイトルは言えないですが、気晴らしに見たアニメにはまってそれしか考えられなかったです。
ごめんなさい!
まとめサイト巡回したり、アマゾンのBDレビュー投稿したり、
日々更新される投稿動画見たりしてました。
楽しかったです!
生徒会と言えば学園ドラマ、アニメ、特にノベライズのコンテンツで絶大な権力を握り、先生と対等かそれ以上の発言権を有するそんな部活だ。
そして、生徒会長といえば学園の頂点にして至極。誰からも一目置かれる人物が学園の指揮をとり、学校のイベントで常に話題を作る成績優秀な美男、又は美女で構成される華のある人物が選ばれる。
しかし、現実は甘くない。
生徒会は先生の下請け、学校イベントでは実行委員会の下請け、基本裏方。
生徒会長は学校の内申を上げるため、総武高校は指定高推奨を貰えるために雑務をこなすだけの部活だ。
そこに華はなく、生徒会も無難にこなせる生徒が選ばれることが多い。
「比企谷、そこの資料取ってくれるか?」
「おお…これか?」
「ああ、ありがとう」
総武高校も毎年、無難にこなせる生徒会長が選ばれてたのだが今年は少し違った。
生徒会室は何やらよくわからいポスターや、派手な小物など置かれ華やかと言うよりアバンギャルドな雰囲気漂う謎空間になっており、どこかにありそうな芸能事務所のような感じだ。
八幡は、辛うじて生徒会の原型を留めている折り畳み式の長机とパイプ椅子に座り、隣に座る真面目を絵に書いたような正統派メガネ男子、副会長の本牧牧人と生徒会の雑務である入学式の資料作りを手伝っている。
無論、この謎空間を作ったのは彼ではない、彼は見たまま真面目なのだ。
八幡は、その空間の奥にあるデコシール付きパイプ椅子と、お手製の生徒会長と犯人を明記した三角プレートを見て小さくため息を吐く。
「しかし、お前も大変だな。この仕事も本来は一色がやることだろうに……」
八幡は一色を生徒会長にした責任で少し手伝ってやろうと軽い気持ちでいたが、そんな会長に振り回される副会長や書記の藤沢沙和子など生徒会部員の苦労を計算に入れてなかったことに罪悪感を感じ気まずそうに本牧に声を掛ける。
「ん?ああ、まあ大変ではあるけど遣り甲斐はあるからいいさ」
「……まあ、なに?俺もできるだけ手伝うからさ」
「比企谷も忙しいんだろ?今までも十分助けられたと思ってるから気にするな」
「いや、一色のせいで苦労してんだから手伝うわ」
本牧は資料をPCに打ち込む手を止め、虚をつかれたような顔で八幡を見る。
視線を感じ八幡も資料の整理する手を止め訝しげに本牧に顔を向ける。
「……突然、何?」
「比企谷……。会長と…その、付き合ってるのか?」
「はあ?なんでそうなる?」
「いや、そうとしか思えない言い回しだろ」
で?ホントのところどうなんだ?と身を乗り出して探りを入れてくる本牧は実に楽しそうだ。
そんな本牧の真面目から離れた態度にギャップとは必ず萌える要素になるわけではないと新たな初見をする八幡だが、言われた言葉から会話を思い返す。
「あー……、確かに。そう捉えても仕方ないな……」
「で!どうなの!?」
妙にいやらしい顔で食い入るように聞いてくる本牧に、八幡はギャップ萌えとウザいキャラは紙一重だと思いながら「だから違うって」と前置きをして、
「説明するけどさ、……怒るなよ?」
「怒る?この流れでどうして俺が怒る展開になるのか想像できないが……。まあ、分かったよ」
疑問を顔に滲ませつつ本牧はそう言って体勢を戻す。
「俺が一色を推奨したのは知ってるか?」
「ああ、生徒会長になった経緯は会長からなんとなく聞いている」
「じゃあ推奨しなかった場合、どうなってたか知ってるか?」
『先輩がどうしてもと頭を下げてきたから仕方なくですよー、わたし以外適切な人材がいなかったみたいですしねー』
ざっくりとした明らかな嘘の臭いしかしない一色の説明を受けた本牧は適当に聞き流していた言葉を断片的に思い出す。
わたし可愛いから、大勢の推奨者の期待、先生からの懇願、等々。
「誰もやりたがらない生徒会長に祭り上げられて調子に乗ってホイホイ立候補しちゃったのだろうと思っていたんだが……」
本牧はそう言って、これから告げられる内容に予測できる範囲の最悪な内容を想定して身構え、ゴクリと喉をならす。
そんな本牧を見据えて八幡は息を薄く吸い、罪を告白する。
「……一色が生徒会長にならなかった場合、雪ノ下がなってた」
本牧は八幡の言葉を理解できなかったのか呆けた顔をしながら指で言葉を集める仕草をしつつ整理をする。
そして集めた言葉を整理し終えて理解したのか、本牧は指を震わせる。
「……は?……はあああぁ!?意味が……意味が意味が意味がいーみぃーが!わからない!」
予測以上だったのだろう、口と目は大きく見開き真面目さの欠片もない、まるで大罪司教に憑依されたような顔の本牧。
想像したのだろう、雪ノ下の正確に作り上げられた資料と的確な指示の元で働く自分の姿を。
「ここにドーンてな感じに機材置いて……、チョコのデコも良い雰囲気のよろしくでーすとか何なんだよ……。唐突に海浜との合同料理教室とか、先に言えよ……」
今度は一色との打ち合わせを思い出しているのだろう、漏れるセリフはとても打ち合わせと思えない内容だが。
理想と現実、かみ合わないものである。
「おおお落ち着け本牧。いや、雪ノ下も結構スパルタよ?」
「……スパルタと理不尽、どちらが良い?」
「うっ……。す、すまん……」
優秀な雪ノ下と真面目な本牧、この組み合わせの相性は相当だ。
八幡の基準だと雪ノ下の発案はスパルタでしかないが、本牧にとってスパルタとは限らない。
現に雪ノ下のテニスの練習メニューに戸塚は応えてみせたが、八幡はスパルタと切って捨てた。
それにそもそも、雪ノ下の発案は雪ノ下陽乃をトレースした内容であって、生徒会長になった雪ノ下はスパルタとは違う別の選択を選んでいた可能性もある。
しかしこれは、八幡が奉仕部を救わなかった場合の仮定の話。
仮定の話は仮定であって現実ではない。だとしても本牧にとって衝撃の事実である。
本牧は優秀な生徒なので仮定の話が意味の無いことは論理的には分かっているが、感情的には分かりたくないのだろう。
隣の芝生が青過ぎる。
どう考えても今の環境より楽な未来しか想像できない、しかしそれでも。
「……雪ノ下さんは生徒会長になりたかったのか?」
「それは分からない。ただ、今はならなくて良かったと思っているみたいだ」
「そうか……。なら良かったのかもな、これで」
真面目な本牧といい加減な一色。
相性的に最悪な組み合わせ、一方的に本牧の精神力が磨り減る状況を容認する自己犠牲のような答えは八幡も予想外だった。
そんな八幡の驚きが顔に出ていたのだろう、本牧は苦笑いをして「まあ、あれだ」と続ける。
「さっきも言ったが、やりがいはあるし会長みたいな性格の人と関わるのもいい経験だ。理不尽も多いが達成感もあるし楽しいこともある」
「そう言ってくれると助かる。まあ、そういうわけだから一色がまたなんかやらかしたら言ってくれ」
「ああ。まあ、生徒会の仕事だからなるべく生徒会で解決できるようには努めたいけどな、1人じゃないし……」
八幡は悟りを開いたような大人びた本牧の言葉に、もうこいつが生徒会長でいいんじゃないか?と感心するが、1人じゃないと言って遠い目をする本牧にニヤリと笑う。
「藤沢か?」
「ファ!?」
「書記の藤沢だよ、どうなんだ?」
「なななんだねキミは!とと突然何を言い出すんだ、さっぱり分からないよ!」
総武カンパニーの本牧会長は明確に何かを隠している、バレバレだけど。
立場が逆転した状況に狼狽する本牧に八幡が探りを入れてるとドアをノックする音が生徒会室に響く。
「牧人さん資りょ……。比企谷先輩…いらしてたんですね……」
「お、おう……」
名前呼びである。
生徒会室に入ってきたのは、先程話題に上がった書記の藤沢沙和子だ。
「比企谷は手が空いてるからと俺の仕事を手伝ってくれててね、いやー手際よくて本当助かったよ、いやほんとビックリだね!」
本牧は誤魔化すように裏声で捲し立てるように八幡が仕事を手伝ってくれていることを、まるでろくろでも回すかのようなややオーバーな手振りを交えて話し出した。
話を聞いている藤沢は、もじもじしながら自身の三つ編みを触りつつチラチラと八幡を視界に入れているようだ。
(なんだ、この空気……)
八幡は、かもし出すラブコメの波動に動揺するが、この空気を正常に戻すほどのコミュ力もない。
だから、とりあえず冷静を欠いて玉縄化している本牧に「んん!」と咳払いして現状の打開を丸投げすることにした。
「か、会長は?」
咳払いに反応して出した答えは一色の所在。
いろえモンならなんとかしてくれる、そんな信頼にもよく似た丸投げである。
「先生と話してて……ちょっと、ね」
「へ、へぇー」
先生と話してるから一色は動けない。
藤沢の返答は本牧の望む結果ではなかったのだろう、本牧は瞳に落胆の色を浮かべてこぼすように声を漏らす。
しかし、それも一瞬の反応。
本牧は瞳に別の色を浮かべ、微かに口元を歪ませる。
「先生と話してるのは入学式についてかな?」
「多分、そうだと思うけど……」
「……そうか、なるほど」
本牧は先程とはうってかわって清々しい表情でうんうんと頷き、藤沢はその変化に疑問を顔に浮かべてる。
真面目キャラは危機的状況において必ずといっていいほど冷酷な解決案を出すのには理由がある。
__何を捨てればいい?他に何を捨てれ去れば変えられる!?他に何を…
真面目キャラは真面目さゆえ確実に助かる最適解を選び、捨てることを躊躇わない。
本牧は逃げる気なのだ、この場から。
藤沢は几帳面な性格ゆえに自分の作り出した空気は自分の責任と考える。
そんな几帳面な藤沢だからこそ、本牧がこの場から逃げたとしても非難することはしない。
だから、八幡を見捨てれば本牧は助かるのだ。
本牧は自分の考えた解決案に確信を持ち、企みのある表情に変えゆっくりと口を開く。
「俺も入学_」
「そういや、こないだカフェから出てくる本牧と藤沢を見かけたんだが」
ここにいるのが戦士や超大型腰巾着なら逃げ果せただろう。
だが比企谷八幡は甘くなかった。
八幡は正常に戻すコミュ力はないが、壊す力には自信がある。
非情な八幡パパラッチだが先に仕掛けたのは本牧だ。
「!い、いや。あれは……」
因果応報。
本牧は逃げ道を潰されただけではなく、デートを目撃されていた事実に驚愕を隠すことなく顔に出す。
藤沢も目を見開き、口に手をあてて驚きを隠せない様子。
これについて藤沢は、とばっちりなので八幡は多少の罪悪感はあるが気にしないことにした。
「で?どうなんだ?本牧?」
「い、いや。あれ、気になってたカフェだけど男友達と行けない感じのお店だから藤沢さんに付き合ってもらったんだよ。な、な?」
何食わぬ顔で聞く八幡に嘘の匂いしかしない理由をでっちあげる本牧は最早、冷静な思考すらできてないのだろう。
そして、無理がありすぎる理由への同意を求められた藤沢は、
「…………」
「……藤沢?どうした?」
藤沢は驚いたまま硬直していた。
しかし、その視線は八幡を直視したままで本牧の声も届いていない様だった。
そんな居心地の悪い視線に八幡は濁った目で見つめ返すと「ええっと……」と藤沢は含みをもたせて話し出す。
「いろはちゃんにも同じこと聞かれたんですけど、お店にも行ったって。……デートの相手、比企谷先輩だったんですね」
「!い、いや。あれは……」
因果応報だった。
続きます。
本牧と藤沢は友達以上、恋人未満の関係が一番しっくりします。
この二人がラブラブしてたら、なんかイラっとしますので。
今回は主要キャラは八幡だけになってしまいました。
その理由は雪ノ下・由比ヶ浜・一色を出すと、某アニメキャラ並みに知能低下しそうだったからです。