実況パワフルサッカー ~聖ライカ―学園 全国までの日々~   作:希望の光

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第9話:偵察

地区大会も準々決勝までが終わり、今日はこれからの大会での貴重な休みである。

 

...気がつけば、聖ライカ―学院も、約15年ぶりの準決勝進出を果たしていた。...それも、当然かのように。

一回戦の試合で9―0で勝利すると、その勢いに乗ったまま、二回戦、三回戦をそれぞれ6―0、5―1で勝利。さらに四回戦を3―1で突破して準々決勝を1―0と少し勢いは衰えたものの 確実な勝利を手にしていた。

勿論、毎日暑い中での試合の為、選手達の疲労も多い。...それも選手層が薄い、聖ライカ―学院も同じである。

そんな中、今日は中一日の休みである。

 

泉「暑い~...なんで今年の夏はこんなに暑いんだよ~... 」

結局ただ普通に生活しようが、試合をしようが変わらないじゃないかよ...

 

矢「まあ良いじゃないでやんすか。せっかく今日は久しぶりの練習が無い日でやんすから。のんびりしようでやんす。」

 

泉「いや―時が経つのは早いね♪もうこの高校に入って4ヶ月経つんだもんな。」

いろいろな事があったけれどよ。

 

矢「本当でやんす。その4ヶ月間でオイラ達もかなり成長したでやんす。」

 

泉「それでさ、今日暇じゃん?どっか行こうと思うんだけどさ...他の学校の試合を見に行こうと思っているんだけど...行く?」

 

矢「勿論でやんす!皆誘って行こうでやんす!」

 

泉「そうだな。」

 

矢「じゃあ皆に連絡してみるでやんす!」

 

 

 

 

泉「どうだった?」

 

矢「皆『勿論行く!』と言っていたでやんす。」

 

お―お―皆サッカー好きで嬉しいな♪

 

矢「10時に駅に集合らしいでやんす!それじゃあまた後ででやんす!」

 

泉「おう!」ガチャン

 

ふう...少し長電話してしまったな...

しっかし次の征佳第一高校はどれだけの強さなんだ?有名じゃないらしいけどなんか急に強くなったと雑誌で見た気がするんだよな...

 

そう思って俺はこの地区の結果一覧を見てしまった。

 

中「...なんだこれ⁉」

 

そこには通常あり得ない程の点差で勝利している征佳第一高校の試合結果が書かれていた。

...準々決勝11―0そんな強くなった高校がなぜここまで誰も知らないかがはっきりとわかった。

皆、相手の高校が弱いと勘違いしているのだ。泉達聖ライカ―学院やパワフル高校がこの地区て有名なのは、あのアルベルト光山が評価したから。その為皆が見に来ていたのだ。

...だがこの高校がとれだけ強いかは、俺達との試合ではっきりするだろう。

 

今日で相手の戦術を盗み、対策をしなければ。泉はそう思った。

 

 

 

 

 

泉「...これは凄いな。」

予想を遥かに超える強さ。おそらく攻撃力はパワフル高校を超しているだろう。

 

伊「なんだよこの高校!なんで今までこの高校が知られていなかったんだよ⁉」

 

矢「本当でやんす!何ででやんす⁉」

 

泉「おいおい...そんなに焦るな。大丈夫。俺達なら勝てるよ。それより...この地区の情報はどうかしている。みんなスカウトの言うことに左右され過ぎだ。その結果、今日だって俺達以外ほとんど人がいない。」

 

吉「確かにね...ても、これはかなり強いよ。私達の中学時代のメンバ―と良いところね。」

 

泉「まあうちのチ―ムなら大丈夫だ!何にせよ相手は攻撃力が高いが守備力は普通だ。それなら俺達は守備力が高くて攻撃力も高い。自信を持てばな。ただ少しでも油断したり逆に緊張したりしたら...わからないがな。」

 

まあそれがサッカーの面白さなんだけれどよ♪

 

藍「あの坂口って人凄いね。バンバン点を稼いでる。」

 

泉「坂口⁉おい!坂口って確か...」

 

吉「うん...あの坂口君だね...」

 

花「坂口ならボクも聞いたことがあるよ...12歳の頃から頭角を表し、中学最強と呼ばれた男。しかし怪我をして能力は激減、それからは名が表にでる事は無くなった...」

 

泉「アイツ...昔にだいぶ近づいてきているな...」

 

吉「本当だよ...昔の能力に戻ったらまず勝てないだろうね...」

 

北「ちなみに二人と坂口君はどのような関係で?」

 

泉「それは...」

 

吉「中学一年の時、彼のいるチ―ムに唯一負けたんだ...」

 

それって泉君達がいた中学も相当強かったんでしょうね。一年で1敗は凄い。

 

泉「だけどその後に坂口君は怪我で...」

 

吉「能力は激減したらしいよ。」

 

伊「...で、それを含めてこのチ―ムに勝てるのか?」

 

泉「おそらく...今までの得点がほぼ坂口ならいける。」

 

花「え⁉普通逆じゃない⁉」

 

泉「よく考えてみろ。自覚はないかもしれないけれど俺や北野から見たらこのチ―ムのディフェンスは相当厄介だ。それで大人数の人が囲めば問題ない。」

 

そう...このチ―ムの最大の武器はディフェンスだと俺は思っている。それならそれを有効活用すればな...

 

 

ピ―!

 

北「あ、前半終わりましたね。」

 

4―0...しかも坂口は3得点か...

 

 

 

 

 

 

坂「いや―この相手もまあまあですね♪田口(タグチ)キャプテン♪」

 

田「まあこの地区だし何より今年からお前が入ったからな。」

 

だがこのワンマンチ―ムだと次の聖ライカ―学院には勝てるかわかんねぇよな...

 

坂「しっかし何でこのチ―ムが無名なんすかね?俺にはさっぱりっすよ。」

 

田「まあ皆次の試合でわかるだろう...聖ライカ―に勝とうが勝てまいが俺達の実力がどれ程かな。」

 

坂「そうっすね♪じゃあ後3点くらい決めるっす♪」

 

しかしこいつの判断も凄いな...いくら怪我をして治ってないとはいえ泉と戦いたいばかりにこの高校に入るなんてな...

 

ピ―!

 

坂「田口さん!パス下さい!」

 

田「おう!」トン!

 

坂「はぁっ!」ザシュッ!

 

泉(なんと言うミドルシュートだ...しかもこの距離からなんて...)

 

キュルキュル! スパ-ン!

 

吉「ね...ねぇ...」

 

泉「なんだ...」

 

吉「わかるでしょ...」

 

泉「まあ...流石に俺でもな...」

 

「「坂口(君)の実力が...ほぼ昔と同じだ...」」

 

矢「あの距離から決まるなんて滅多にないでやんす...」

 

 

 

坂「よっし!」

 

田「ナイスシュートだ坂口!」

 

坂「ありがとうございます。そろそろ本気で行こうと思いまして♪」

 

何...まさか...

 

田「お前...もしかして怪我が...治っているのか?」

 

坂「実はそうなんっすよ♪おれもびっくりしたっす♪」

 

田「なぜそれを隠していた?」

 

坂「まあ何となく♪」

 

田「おい...」

 

まじかよ...

 

 

 

 

ピ―ッピ―ッピ―...

 

「「「「「...」」」」」

 

皆鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていた...それもそうだ...

 

準々決勝11―0で征佳第一高校の勝利

 

花「...これは...坂口君の怪我が治ったみたいだね...」

 

泉「ああ...薄々気づいてはいたけど...」

 

吉「というか前よりさらに強くなってる...」

 

伊「俺達が見る限り、他のメンバ―の実力も相当な物だったぜ。」

 

北「流石にこのワタシでも彼には勝てませんね...」

 

........当たり前だ!

 

泉「とにかく油断していたら酒落ちになんねぇ...勿論全国目指すからな!作戦変更だ!坂口一人を囲むねは止めた!全員で全力を尽くす!」

 

そうでもしなければ負けるからな...

 

花「まあ全員で全力を尽くせば勝てるかもね...」

最初に比べてかなり征佳第一高校に対する評価が変わったね...

 

泉(というか鞍馬監督はこの高校の現状を知ってるのか?あの監督なら情報を持っているんじゃないか?)

 

 

 

 

 

 

 

鞍「準決勝進出おめでとう。高橋(タカハシ)」

 

高「おう、ありがとうな鞍馬。」

 

鞍「流石お前の育てた部員達だな...あの頃からとんでもない実力を付けたみたいだな...」

 

高「まあ俺が就任したからね♪」

 

坂口が入部したって言うこともあるけれど...

 

鞍「準決勝ではよろしく頼むぞ。」

 

高「お手柔らかに♪」

 

鞍「よく言うよ...」

 

まあ泉達もこいつらの実力に気づいたようだな...それもその筈だ。私達のチ―ムでおそらく最強のストライカ―である高橋が就任したからな...


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