君の仮面は   作:JALBAS

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いよいよ、彗星の破片の落下・・・・それにより、首領を復活させようとするショッカー・・・・
頼みの本郷と滝は、人質を取られて動けない・・・・・
そこに、新たなる援軍が・・・・・




《 第九話 》

 

空には彗星が尾を引き、紐のように模様を描いている。それは2つに分かれ、徐々にその間隔を広げていく。

「もうすぐ・・・・もうすぐだぞ!」

三葉(首領)は両手を広げ、嬉々として空を見上げている。

「くっ・・・こ・・このままでは・・・・」

人質を取られ、抵抗できずに戦闘員達に抑え込まれている、本郷が呟く。

―――― そこに、新たな線路が現れ、蒸気機関車型の緑の電車が走り込んで来る。

「な・・・何だ?」

「ぜ・・・ゼロライナー?」

ゼロライナーからひとつの人影と、緑の光が飛び出し、人質達を囲む怪人軍団に襲い掛かる。

「はあっ!」

「うおおおりゃあっ!」

あっという間に、怪人たちは一掃される。

「ライダー1号、援軍に来たぞ!」

仮面ライダーゼロノスと、その相棒のデネブであった。

「おお、ゼロノス・・・ようし!とうっ!」

人質が無くなった本郷は、自分達を押さえ付けていた、戦闘員達を薙ぎ払う。そして・・・・

「ライダー、変身!・・・とおおおっ!」

仮面ライダー1号に変身する。

「滝!お前は、三葉を!」

「分かった!」

怪人・イマジンはライダー1号に任せ、滝は、三葉の元に走る。

「おのれ!奴らを、ここに近づけさせるな!」

死神博士の号令で、怪人・イマジン軍団は、ライダー1号とゼロノスに襲い掛かる。

「デネブ!お前は、糸守の人達を避難させろ!」

「分かった!」

デネブは、そのまま行こうとする。

「おい、待て!そのまま行くつもりか?“怪物”って怖がられるだけだぞ!」

「え~っ!じゃあ、どうすればいいんだ?」

「誰か、皆を先導できる奴に乗り移ればいいだろ!ほら、あそこの偉そうなおっさんに!」

ゼロノスは、宮水としきを指差す。

「おお・・・そうか!分かった!」

デネブは再び緑の光となり、宮水としきに向かって行く。そして、としきの中に入って行く。としきの目が、緑色に光り、頭の後ろにテールが伸びる。

「・・・最初に言って・・・・」

「言わなくていいから、早く行け!」

「う~~~わ・・分かった・・・」

少し不満そうに、デネブは従う。

「みんな、今の内に避難するんだ!」

「で・・でも、お姉ちゃんが!」

「そうや、三葉を置いて逃げられへん!」

四葉と勅使河原が、としき(デネブ)に食い下がる。

「仮面ライダー達に任せるんだ!我々が居ると、彼らが戦えない!」

「う・・・うん・・・」

「わ・・・分かったで・・・・」

2人とも、渋々承諾する。逃げながら、勅使河原は、何度も後ろを振り返る。

“しかし・・・やっぱり、本当におったんや!仮面ライダーは・・・・”

これで、思う存分戦えると、ゼロノスは得意の口上を述べる。

「最初に言っておく・・・俺は、か~な~り強い!」

「どれだけ強いか知らんが、たったひとりで援軍とは、片腹痛いわ!」

「あれ?ひとりなんて、言った覚えは無いけど?」

「何っ?」

 

ショッカーイマジンと怪人の混成軍団と戦う、ライダー1号。流石に敵の数が多く、苦戦を強いられる。その背後から、更なる大群が襲い掛かる。

「ライダー、パンチ!」

その大群の中に、もうひとり、新たなライダーが飛び込んで来た。ライダー1号と似た姿だが、手袋とブーツが赤く、腕と脚には、太い白いラインが入っている。

「ライダー2号を忘れていたな!」

「おう、一文字!」

「本郷、手を貸すぞ!」

ライダー2号の登場で、徐々に状況が好転していく・・・・そして更に、

「V3、反転キック!」

緑のボディに、赤い仮面の仮面ライダーも援軍に駆け付ける。

「風見っ!」

「本郷先輩、俺も手伝います!」

仮面ライダーV3も現れ、イマジン・怪人軍団は徐々に圧されていく。

 

「こちらにも、助っ人はいるぞ!」

突然、カーテンのような壁が現れ、その壁に飲み込まれてイマジン達が消滅していく。そして、カーテンの中から、マゼンダと黒を基調として、カードが何枚も突き刺さったようなマスクをしたライダーが現れる。

それを見た、イマジン達が叫ぶ。

「貴様、何者だ?」

「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」

仮面ライダーディケイドは、ライダーカードを取り出し、ディケイドライバーに装填する。

『ファイナルアタックライド・ディ・ディ・ディケイド!』

ディケイドとイマジン達の間に、10枚のフォログラムカードのトンネルができる。ディケイドは、大きくジャンプして、そのトンネルを通り抜けてキックを放つ。

「ヘアッ!」

「ギエエエエエエエエッ!」

イマジン達は、木っ端微塵に砕け散る。

 

「イイイイイイッ!」

次は、かまいたちに襲われたかのように、怪人達が次々に破裂していく・・・・そして、そいつらを倒した黒い影が、動きを止めて姿を現す・・・・赤いボディに、カブト虫の角を持つ、仮面ライダーカブトが・・・・・

カブトは、人差し指を立て、天に翳す。

「お婆ちゃんが言っていた・・・・これも、“ムスビ”だと・・・」

「グワアアアアッ!」

新たな怪人とイマジンが、後ろから襲い掛かる。カブトは、ベルトのゼクターホーンを戻し、エネルギーをチャージする。

「ライダーキック!」

ゼクターホーンを戻し、エネルギーを開放する。

『Rider kick!』

振り向きざまに、怪人達に回し蹴りを浴びせる。

「ギエエエエエエエエエッ!」

一撃で、怪人達は木っ端微塵に砕け散る。

 

更には、何処からの銃撃で何体ものイマジン達が撃破される。そして、闇の中から、右半分がメタルグリーン、左半分がメタルブルーの仮面ライダーが姿を現す。

『さあ、お前達の罪を数えろ!』

2人分のハモった声で、仮面ライダーWはそう叫ぶ。

「グウエエエエエエエエッツ!」

新たな怪人・イマジン軍団が、Wに向かってくる。

Wは黒いガイアメモリを取り出し、青いガイアメモリと交換で、ダブルドライバーに装填する。

『サイクロン!ジョーカー!』

Wの左半分が、黒いボディーに変化する。

次に、Wは黒いガイアメモリを、マキシマムスロットに装填する。

『ジョーカー、マキシマムドライブ!』

緑色の竜巻が、Wをはるか上空に巻き上げる。そのまま、Wはキックを放つ。

『ジョーカーエクストリーム!』

Wの体が2つに分かれ、怪人軍団に突っ込んで行く。

「ギイイイイイイイイイッ!」

怪人軍団は、これまた木っ端微塵に砕け散る。

 

「おのれ!ライダーどもめ・・・・だが、最後に笑うのはわしだ!」

完全な劣勢にも関わらず、首領の乗り移った三葉は、不適な笑みを浮かべる。

そこに、滝が駆け付ける。

「三葉!」

「ふん・・・来たか、滝・・・・だが、もう遅い!三葉は、もう戻らん!」

「ふざけるな!三葉を返せ!」

「ギイイイイイッ!」

滝に、残っていた怪人達が襲い掛かる。

『させるかよ!』

赤い光が、滝と合わさる。

「変身!」

滝は、電王に変身する。

「邪魔すんじゃねえ!」

電王は、デンガッシャーで怪人達を蹴散らす。

「いくぜ!いくぜ!いくぜ!」

そのまま、三葉に向かって行く。

「愚か者め!」

三葉の目が、赤く妖しく光る。次の瞬間、見えない衝撃に電王は大きく跳ね飛ばされる。

「ぬうおおおおおおっ!」

電王は尻餅を付く、同時に、赤い光が、更に後方に吹き飛ばされる。変身も解け、滝は元に戻る。

『何?どうなってやがんだ?』

「な・・・何だ?この力は?」

「ふふふ・・・礼を言うぞ、立花滝。わしがここまで復活できたのも、貴様のおかげだ。」

「何だと?・・・どういう意味だ?」

「三葉の魂に憑依したとはいえ、以前の失敗のダメージと、3年の歳月により、わしの魂は酷く衰弱していた。この体に戻った後も、三葉の魂に圧され、中々表に出られなかった。復活するには、強い負のエネルギーが必要だった・・・・・最初は、糸守の住民を目の前で殺し、それによって、三葉の中に強い負のエネルギーを溜めるつもりだった・・・・だが、三葉はお前を好いていた・・・・お前はもう覚えていないだろうが、こいつは、昨日お前に逢いに行ったのだ!」

「な・・・何だって?」

「ばかな娘だ、3年前のお前と知らず、お前に、自分が分からないのかと、必死に問いかけた。当然、お前は知る由も無い。三葉は、深い悲しみに暮れた・・・・その結果、大量の、強い負のエネルギーが発生した。それにより、わしは元の力を取り戻したのだ!」

それを聞いて、俺はようやく思い出した。俺は、右手首の組紐に目をやる。

・・・・3年前・・・・そうだ、電車の中で、知らない女に声を掛けられて・・・・その時、俺はこの組紐を・・・・俺に、この組紐を渡したのは、三葉だったんだ・・・・・

「・・・おお・・・ついに来たか!」

三葉の・・・いや、首領の言葉に、滝は背後の空を見る。赤く燃える塊が、どんどん大きく空に広がっていく。いよいよ、彗星の破片が墜ちて来た。

「死神博士よ!装置を稼動させろ!」

「はっ!」

死神博士が、首領再生装置を稼動させる。

「な・・・何だ?」

突然窪地の中が、大きく振動し始める。そして、御神体の巨木が真っ二つに裂け、その下から、巨大なアンテナが迫り出して来る。アンテナが開き、そこから電磁波のようなものが彗星の破片に放たれる・・・・すると、彗星の破片はこちらに引き寄せられるように、軌道を変えて行く・・・・・・

「こ・・・こちらに墜ちて来るぞ!」

「いかん、逃げろっ!」

戦っていたライダー達も、一時、この場を離れる。

「滝、お前も逃げろっ!」

ライダー1号が叫ぶ。

「だめだ!俺は、三葉を助ける!」

滝は、立ち上がって、また、三葉に向かって行く。

「滝いいいいっ!」

三葉の体は、装置と反応して光を発している。三葉は、両手を空に翳し、彗星の破片を見つめている。

「三葉っ!」

滝は、三葉にしがみ付く。

「な・・滝?・・・は・・・離せ!」

「離してたまるか!三葉を、返せ!」

「ええい・・・お前ごと、取り込んでやる!」

そして、彗星の破片は、御神体の窪地に墜落する。眩い光が、辺り一帯を包み込む。そして、大きな衝撃と、爆煙が立ち昇る・・・・・だが、衝撃は、何かに吸収されたように直ぐに消え去り、辺りは一気に静まり返る。逃げ延びたライダー達は、頂上の縁に立ち、まだ爆煙が立ち昇っている窪地の中を窺う・・・・中は大きく抉れ、御神体も、先程の装置も、跡形も無く消えている。

「ど・・・どうなったんだ?」

ライダー2号が口を開く。

「衝撃が消えたという事は、装置に吸収されたのか?・・・だとしたら?」

V3が言う。

「た・・・滝・・・・・」

ライダー1号は、項垂れている。

すると、辺りが激しく振動を始める。

「な・・・何だ?」

揺れはどんどん激しくなり、ライダー達は立っていられなくなり跪く。そして、窪地の中央から、地面に亀裂が走る。

「な・・・何か、出て来るぞ!」

凄まじい轟音と共に、再び爆煙が吹き上がり、その中から巨大な影が現れる。

「あ・・・あれは?」

そこには、全身が岩石でできていて、その表面を燃え盛る炎で包まれた、40mを越す巨人の姿があった。

『ふははははははははは!遂に、わしは蘇ったぞ!』

「こ・・これが、ショッカー首領の新しい体?」

「く・・・結局、復活を阻止できなかったか・・・」

巨人首領は、ライダー達に顔を向ける。

『無駄な努力を、ご苦労だったな、ライダー諸君!・・・手始めに、お前達から血祭りにあげてやろう!』

 

遂に、復活してしまったショッカー首領・・・死神博士によって、より強靭な肉体となって蘇った首領に、果たして、ライダー達は敵うのか?

そして、首領に取り込まれてしまった、滝と三葉の運命は?

 






応援に来るライダーの人選は、完全に私の好みです。主に、好きなセリフ回しのライダーを選んでます。
昭和ライダーで言ったら、やっぱ2号とV3は外せません!
カブトには、“お婆ちゃんが言っていた・・・”を、どうしても言わせたかった。
ちなみに、平成ライダーの中で、私が最も好きなセリフは“通りすがりの仮面ライダーだ!”です。
最後のナレーションの部分は、中江真司さんの声を連想して読んで下さい。

次回、最終話です。

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